はじめに
この章の目的
本書は「ホームページを保存する」方法を分かりやすくまとめたガイドです。Webページやサイトの情報を手元に残したい方へ向け、用途別に適した保存方法と実例を紹介します。
誰に向いているか
- 後でオフラインで読みたい人
- 研究や記録のためにページを保管したい人
- サイトの一部をバックアップしたい人
パソコンだけでなくスマートフォンでの保存も扱います。
ここで扱う主な内容
- ブラウザの基本機能での保存(HTMLやPDF、スクリーンショット)
- 拡張機能やアドオンを使った便利な方法
- 専用ツールやコマンドラインでのサイト丸ごと保存
- 開発者ツールを使った保存テクニックや注意点
- 保存時の法律やマナー、活用例
読み方のポイント
まずは第2章の基本を試してください。慣れてきたら拡張機能や専用ツールに進むと効率よく保存できます。目的(後で読む、記録、バックアップ)を意識すると適切な方法が選べます。
以降の章で具体的な手順やおすすめツールを丁寧に解説します。
ホームページを保存する基本の方法
HTMLファイルとして保存する
手順:
1. ブラウザのメニューから「名前を付けて保存」を選びます。
2. 形式を選択(完全保存・HTMLのみ・単一ファイル)して保存します。
保存形式の違い:
– 完全保存: HTMLと画像・CSSなどを別フォルダに保存します。オフラインで表示しやすいですが、フォルダとファイルを一緒に移動してください。
– HTMLのみ: HTMLファイルだけ保存します。ファイルは小さくなりますが、画像やスタイルはオンライン参照のままになるためオフラインでは崩れることがあります。
– 単一ファイル(MHTML): すべてを1つにまとめます。共有しやすい一方で、一部ブラウザやサービスで互換性の問題が出ることがあります。
注意点とコツ:
– 保存前にページを読み込み直すと最新の状態を取り込めます。
– ログインが必要なページは、そのセッションの状態で保存してください。保存しても外部で開くと表示できない場合があります。
PDF形式で保存する
手順:
1. ブラウザの印刷メニューを開きます。
2. 宛先を「PDFに保存」や「PDFとして印刷」にします。
3. 用紙サイズや余白、背景画像を有効にして保存します。
利点と注意点:
– レイアウトをそのまま残せるので資料や証拠に向きます。
– リンクは通常クリックできない静的な形になります。
– 長いページはページ区切りで見栄えが変わることがあります。印刷プレビューで確認してから保存してください。
拡張機能を使った高機能な保存方法
概要
ブラウザ拡張機能は「その場で使える」便利な道具です。SingleFileのようにページ全体を1つのHTMLにまとめる拡張や、PDF化・クリップ用の拡張を使えば、目的に合った形で保存できます。
SingleFileの使い方(例)
- ChromeウェブストアやFirefoxアドオンでSingleFileを追加します。
- 保存したいページで拡張のアイコンをクリックし、「保存」を選びます。ページ内の画像やスタイル、スクリプトをまとめて1ファイルにします。
- オプションで「画像を埋め込む」や「スクリプト除外」を切り替えられます。動的に読み込むコンテンツも多くの場合保存できます。
適した場面:長い記事、ブラウザだけで完結させたいアーカイブ、オフラインで閲覧したい時。
PDF変換やWeb Clipperの活用
- PDF化拡張は印刷レイアウトや余白、背景画像を細かく調整できます。保存後の共有や注釈に向きます。
- EvernoteやOneNote、Notionのクリッパーは、記事をノート形式で整理できます。タグやノートブック指定で後から探しやすくなります。
設定・自動化のコツ
- ショートカットを設定すると素早く保存できます。複数ページを連続で保存する際は、フォルダ分けルールを決めると便利です。
よくあるトラブルと対処
- 動的要素が欠ける場合は、ページを一度手動で読み込んでから保存してください。ログインが必要なページは先に認証を済ませます。広告や拡張の干渉で崩れるときは一時的に無効化して試してください。
専用ツール・コマンドラインでのサイト全体保存
HTTrack(初心者向け)
HTTrackはGUIとコマンド版があり、サイトを“そのままの構造”で保存できます。使い方は簡単で、保存先フォルダとダウンロードするサイトのURLを入力し、必要があれば除外ルール(画像だけ除くなど)を設定します。進行状況が見やすく、途中で一時停止や再開もできます。
Wget(コマンドライン向け)
Wgetは細かい制御が得意なコマンドラインツールです。スクリプトで定期保存したいときや、自動で除外・帯域制限を入れたいときに便利です。
使い方の例
基本的なミラー保存は次のように実行します。
wget --mirror --convert-links --adjust-extension --page-requisites --no-parent https://example.com/
ポイントは必要なファイル(画像・CSS等)を一緒に取ることと、リンクを書き換えてローカルで見られるようにする点です。帯域や間隔は--limit-rate=200kや--wait=2で調整します。
実用のポイントと注意点
- HTTrackは初心者に分かりやすく、設定画面で除外や深さを指定できます。
- Wgetはスクリプト自動化や細かいオプションが必要な場面で強力です。
- 大規模サイトは時間と容量を使います。深さ制限やファイル種別の除外を設定してください。
- サイトの利用規約やrobots.txtを確認し、サーバーに負荷をかけないように配慮してください。
開発者ツールや他の保存方法
概要
EdgeやChromeの開発者ツールは、開発者以外でもページを丸ごと保存するのに便利です。スマホではブラウザの共有機能やPDF保存、NotionやPocketなどのクリッピングアプリで手軽に残せます。
ブラウザの開発者ツールで保存する
- 開発者ツールを開く(Windows: F12 / Ctrl+Shift+I、Mac: Cmd+Opt+I)。
- フルページのスクリーンショットを撮る:コマンドメニュー(Ctrl/Cmd+Shift+P)で「Capture full size screenshot」を実行します。ページ全体を画像で保存できます。
- リソースをまとめて保存する:Networkタブで通信を記録し、右クリック→「Export HAR」を選ぶと通信とリソースを保存できます(主に解析向け)。
- 個別ファイルはResourcesやNetworkから右クリックで新しいタブを開き、保存します。
スマホでの保存方法
- iPhone(Safari):共有メニュー→「PDFを作成」→ファイルに保存やブックに追加できます。
- Android(Chrome):共有→印刷→「PDFとして保存」。
- シンプルにブックマークや「オフラインで保存」機能(ブラウザにより名称が異なります)も使えます。
クリッピングアプリ
- Notion Web Clipper、Pocket、Evernoteは記事本文を抜き出して保存します。レイアウトを保持したい場合はスクリーンショットやPDF保存と併用すると安心です。
注意点
動的に読み込むコンテンツやログインが必要なページは正しく保存できないことがあります。著作権や個人情報の扱いにも気を付けてください。
保存時の注意点と活用例
動的コンテンツとログインが必要なページ
JavaScriptで後から読み込む内容や、ログイン後にしか見られない部分は、単純な「ページを保存」だと欠けます。対策は2つ。拡張機能(例:SingleFile、Save Page WE)で一つのファイルにまとめるか、ログイン状態で専用ツール(wgetやHTTrack)を使って保存します。動画やストリーミングは別途ダウンロード方法が必要です。
保存形式とファイル管理
よく使う形式はHTML、MHTML、PDFです。HTMLは編集や再利用に便利で、PDFは配布や証拠保存に向きます。ファイル名に日付(YYYYMMDD)とURLの簡略を入れ、フォルダを日付別に分けると後で探しやすくなります。バックアップは外付けやクラウドに必ず取ってください。
証拠保存のポイント
保存日時、元URL、保存に使ったツール名をメモします。可能ならスクリーンショットで時刻入りの画像を残すと強い証拠になります。ページ改変を避けるため、保存したファイルに手を加えないで保管してください。
オフラインでの活用例と制限
保存データはオフラインで閲覧や引用に使えますが、外部の埋め込み(地図、SNS投稿)やフォーム送信は機能しません。インタラクティブな動作は期待しないでください。
実務上の注意点
著作権やプライバシーに配慮して保存・利用します。業務で証拠保全する場合は社内のルールや法務に相談してください。自動化するならログを残し、定期的に保存結果を確認する習慣をつけると安心です。
まとめ:目的・用途に合った保存方法を選ぶポイント
目的別のおすすめ
- サイト全体のバックアップ
- HTTrackやWgetが適します。複数ページや階層をまるごと保存しやすく、自動でリンクをたどります。例:個人サイトのオフラインアーカイブ。
- 1ページを完璧に残したい
- SingleFile(拡張機能)やブラウザのPDF出力がおすすめです。動的コンテンツも単一ファイルで保持しやすいです。
- ざっくりオフラインで見る
- 「完全なHTML保存(Webページを名前を付けて保存)」で画像やスタイルをまとめて保存します。手軽です。
- スマホでの保存
- PDF出力、PocketやInstapaperなどの保存アプリ、またはブラウザのオフライン機能が便利です。
- すぐ戻りたいだけなら
- ブックマーク(場所の記録)やブラウザの履歴で十分です。キャプチャを併用すると安心です。
選び方のポイント
- 必要な忠実度(見た目重視か、リンク構造も含めるか)
- 保存する量と頻度(1ページかサイト全体か、定期的か)
- 技術的な手間と保存先(ローカル、外付け、クラウド)
実用的な注意点
- 著作権や利用規約を守ってください。自動で大量にダウンロードするとサーバーに負荷をかけます。
- まず少量でテストを行い、期待どおり保存できるか確認してください。
- メタ情報(保存日時、URL)を付けて管理すると後で探しやすくなります。
目的と用途を明確にして、上の選択肢から最適な方法を使い分けてください。












