ハンドメイド無申告のリスクと対策|確定申告の基礎知識

目次

はじめに

本記事の目的

ハンドメイド作品を販売する際の税や手続きについて、基本から実務的なポイントまでわかりやすく解説します。売上が少ない場合でも無申告のリスクや対処法を知っておくと安心です。

想定読者

オンラインショップやフリマアプリ、直接販売などで作品を売っている人。副業で少し売れている方、これから本格的に始める方にも役立ちます。

本章で得られること

  • なぜ確定申告が必要かの感覚がつかめます
  • 無申告が招く主なリスクを把握できます
  • この記事全体の構成と読み方がわかります

読み方のコツ

売上や経費の扱いは次章以降で具体例を挙げて説明します。まずは全体像をつかみ、該当する章から順に読み進めてください。

ハンドメイド販売と確定申告の基礎知識

確定申告が必要になる基準

  • 副業(本業に就いている場合):年間の利益が20万円を超えると申告義務が生じます。例えば、本業の給与があり、ハンドメイド売上から経費を引いて残る利益が21万円なら申告が必要です。
  • 専業(主にハンドメイドで生計を立てている場合):基礎控除38万円を超えると申告義務が生じます。売上から必要経費を差し引いた所得が39万円以上なら対象です。

ハンドメイド作品は課税対象です

  • 販売目的で制作・出品していれば営利活動と見なされます。友人にプレゼントする分は課税対象になりませんが、フリマサイトや委託販売で継続的に売ると課税対象になります。

継続性と反復性の判断

  • 1回限りの不要品売却と違い、継続的に作って出品する行為は事業的な性質があります。例えば、毎月複数点を出品し売上を得ている場合は税務上「営業」と見なされやすいです。

所得の計算と控除の考え方

  • 所得=売上−必要経費(材料費、発送費、プラットフォーム手数料など)。領収書や記録を残すと正確に計算できます。青色申告を選べば65万円(条件あり)などの特典がありますが、白色申告でも基礎控除は受けられます。

最低限の記帳と証拠の保管

  • 売上帳、経費のレシート、振込の記録を保管してください。確定申告時にスムーズに申告できます。

無申告時のペナルティと罰則

無申告加算税の仕組み

無申告加算税は、申告しなかった税額に対して課されます。通常は納付すべき税額の15%(追徴額が50万円以下の場合)、50万円を超える部分は20%が目安です。例えば、未払い税額が10万円なら加算税は約1万5千円になります。

延滞税について

延滞税は納付が遅れた日数に応じて日割りで増えます。率は年率で定められますので、長く放置すると利息のように増え続けます。仮に年率8%で1年放置すると、10万円の未納で約8千円の延滞税が付く計算です。

重加算税と悪質な場合

故意に申告を隠すなど悪質と認められると、重加算税(税額の35%など)が課されることがあります。さらに悪質な脱税では刑事罰(罰金や懲役)に至る可能性もあります。日々の記録を残し、証拠を提示できるようにしておくとリスクを減らせます。

長期間無申告で失うもの

長期間申告しないと、各種控除や経費の認定を受けにくくなります。また、加算税と延滞税が積み重なり、後で支払う負担が大きくなります。事業の信用にも影響します。

自主的に申告するとどうなるか

税務署に気付かれる前に自主的に申告・納付すると、罰則が軽くなる場合があります。過去の記録を用意して早めに相談することをおすすめします。

無申告がバレるメカニズム

税務署に無申告が見つかるルートは多岐にわたります。ここでは分かりやすく主な流れと具体例を紹介します。

1. 行政のデータ照合

税務署は銀行の入出金情報やクレジットカード決済、電子マネーの取引データを参照し、申告内容と照合します。たとえば販売サイトでの入金が銀行口座にまとまっていると、収入が把握されやすいです。

2. プラットフォームや決済事業者からの情報

フリマサイトやハンドメイド販売サイト、決済サービスは取引記録を保有しています。税務調査や要請があれば、これらの記録が税務署に提供されることがあります。

3. 第三者からの通報や情報提供

取引先、顧客、元従業員などが収入を知って通報するケースがあります。また業者が発行する請求書や領収書が調査で目に留まることもあります。

4. 住民税の扱いによる会社への通知

確定申告で住民税を「給与からの特別徴収」にすると勤務先に通知が行きます。会社に知られたくない場合は、申告時に「普通徴収」を選べば給与天引きの通知を避けられます。ただし、自治体によって扱いに差があるため注意が必要です。

5. 発覚した時の対応の基本

早めに申告や修正申告を行うと追徴税やペナルティが軽くなる場合があります。分からないときは税理士や税務署に相談し、指示に従うと安心です。

正しい確定申告の方法

1. 所得区分をはっきりさせる

ハンドメイド作家の所得は、事業として継続的に行うなら「事業所得」、副業として小規模なら「雑所得」になることが多いです。売上の規模や継続性、専従の有無で判断します。迷う場合は税務署や税理士に相談してください。

2. 青色申告を選ぶ場合の準備

青色申告を使うと節税メリットがありますが、事前に税務署へ申請が必要です。申請期限があるため早めに手続きをしてください。複式簿記や帳簿の備えも必要です。

3. 収入・経費の整理方法

売上は販売サイトの入金明細や通帳で集計します。経費は材料費、外注費、梱包・発送費、通信費、写真撮影費、販売手数料などを区別して記録します。領収書やスクリーンショット、通帳の写しなど証拠書類を整理して保管します。自宅兼用の経費は事業分だけ按分します。

4. 申告書の作り方と提出

国税庁の「申告書作成コーナー」を使うと案内に沿って入力できます。e-Taxでの提出にはマイナンバーカードやID・パスワード方式が使えます。手順は、帳簿で集計→申告書に転記→添付書類を準備→提出、の順です。

5. 実務のポイント

・日々の記帳を習慣化すると楽になります。
・領収書は必ず日付・内容が分かる状態で保存してください。
・不安があれば税務署の窓口や税理士に相談して誤りを防ぎましょう。

その他の重要な法的義務

特定商取引法の表示義務

ハンドメイド作品を事業として継続的に販売する場合、特定商取引法に基づく表示が必要です。買い手が安心して取引できるよう、販売ページやショップに事業者情報を明示します。

どの販売が対象か

1回限りのフリマ出店や友人への譲渡に近い販売は対象になりにくいです。一方、ネットショップ・常設の通販・複数回の出品は事業に該当する可能性が高いです。

表示すべき主な項目(実例を含む)

  • 事業者の氏名または屋号(例:山田花子/Hanako Atelier)
  • 住所(連絡先が分かる範囲で)
  • 電話番号またはメールアドレス
  • 販売価格および送料の表示方法(例:税込価格で表示)
  • 支払方法と支払時期(銀行振込、クレジット、後払いなど)
  • 商品の引渡時期(例:注文から7日以内に発送)
  • 返品・交換に関する条件(不良品対応、返品不可の明記など)

表示の方法と実例

販売サイトなら「特定商取引法に基づく表記」ページを作り、各項目を見やすく列挙します。SNSで販売する場合も、プロフィール欄や商品ページに必須情報を掲載するか、固定リンクで案内します。多くのマーケットプレイスは記載欄を用意しますが、内容を正確に入力してください。

その他の注意点

  • 個人情報の扱いは簡単なプライバシーポリシーで示すと信頼につながります。
  • 著作権や商標に抵触しないか確認してください。既存のキャラクターや模様を無断で使うと問題になります。

これらを整えると、トラブルを防ぎ購入者の信頼を得られます。まずは表示項目をチェックリストにして、順に整備するとよいです。

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