はじめに
本書の目的
この文書は、ハンドメイド作品がなかなか売れずに悩む作家や販売者向けに作りました。売れない原因を分かりやすく整理し、具体的な改善策や実践のコツを丁寧に解説します。読み終える頃には、次に何を試せばよいかが明確になります。
対象読者
- これからネット販売を始める方
- 販売はしているが売上が伸び悩んでいる方
- 自分の商品に自信はあるが売り方が分からない方
どなたでも読みやすい内容にしています。
読み方のポイント
まず第2章で原因を理解し、第3章の改善策から自分にできることを選んで実行してください。小さな改善を積み重ねることで大きな効果が得られます。試す際は一度に全部変えず、一つずつ評価することをおすすめします。
この章で得られること
- 本書の全体像が分かる
- 自分に必要な章を見つけられる
- 具体的な行動に移す心構えが作れる
次章では、まず売れない主な原因を丁寧に紐解いていきます。
ハンドメイドが売れない主な原因
はじめに
売れない原因は一つではありません。ここでは代表的な原因をわかりやすく説明します。自分のショップに当てはまる点を探して、ひとつずつ改善していきましょう。
市場ニーズとのズレ
購入者の生活場面や好みを想定せず作ると売れにくくなります。例えば若い母親向けの商品なのに大きすぎるサイズや手入れが大変な素材だと敬遠されます。ターゲットの年齢や使う場面を具体的にイメージして作ることが大切です。
価格設定のミス
高すぎると購入をためらわれ、安すぎると品質が疑われます。まずは材料費・作業時間・梱包や手数料を計算して、相場を調べた上で適正価格を決めましょう。割引戦略も利益が出る範囲で計画します。
写真や説明文で魅力が伝わらない
暗い写真や情報不足の説明文は購入意欲を下げます。明るい自然光での撮影、作品の拡大写真、使用イメージ(着用例や置いた状態)を載せてください。素材・サイズ・手入れ方法を簡潔に書き、作り手の想いも短く添えると親近感が増します。
集客・露出不足(インプレッション不足)
商品が目に触れなければ売れません。SNSやブログで制作過程や活用例を発信し、ショップの更新頻度を保ちます。商品タイトルやサムネイル画像で目を引く工夫をしましょう。
競争の激化・ジャンル選び
人気ジャンルはライバルが多く差別化が必要です。色や素材、機能で独自性を出すか、特定のニーズに特化することで目立ちやすくなります。
検索対策(SEO)やキーワード設定の不足
検索されやすい言葉をタイトルや説明に入れないと、買いたい人に届きません。具体的なキーワード(例:母の日/名入れ/天然素材/敏感肌対応)を自然に盛り込みましょう。
まずは上の項目を照らし合わせ、一つずつ改善してみてください。
売上を伸ばすための具体的な改善方法
1) 市場リサーチとターゲット設定の見直し
売れている作品や競合を実際に見ることから始めます。例:同ジャンルの上位20点を調べ、価格帯・素材・写真の傾向をメモします。誰が買っているか(年齢・性別・使用シーン)を想像し、ターゲット像を一つに絞ります。具体例:通勤用バッグなら20〜40代の働く女性を想定し、耐久性や収納性を強調します。
2) 適正価格の設定
材料費+作業時間(時給換算)+利益率で価格を決めます。目安として材料費の2〜3倍を意識するか、作業時間に時給を掛けて最低ラインを出します。競合価格と比べて高い場合は、素材や付加価値(ギフト包装や保証)で差別化します。
3) 魅力が伝わる写真と説明文
写真は明るい自然光で複数枚(全体/斜め/ディテール/使用例/サイズ比較)。手やモデルを入れてサイズ感を伝えます。説明文は冒頭で「誰に」「どんな場面で」使えるかを簡潔に書き、素材・サイズ・手入れ方法・発送目安を箇条書きにします。購入者の不安(耐久性や返品)に先回りして答えます。
4) SNSと検索キーワードの活用
InstagramやXで制作過程や使用例を定期投稿します。タイトルと説明には検索されやすいキーワード(長めのフレーズも含める)を自然に入れます。例:「敏感肌用コットンマスク/洗える/大人女性」など。
5) 販売チャネルの見直し
作品に合うサイトを選びます。手数料・客層・集客方法を比較して最適化します。複数チャネルを試し、反応が良い場所に注力します。
6) 継続的な改善(PDCA)
毎月アクセス数・お気に入り数・売上を記録し、写真・価格・説明を一つずつテストします。顧客の声を集めて改善案に反映します。小さな改善を積み重ねることが大切です。
売上アップにつながる事例や成功のポイント
1)ターゲットを絞って人気作家になった事例
ある作家は「結婚式のプチギフト」を欲しい人だけに向けて作品を作りました。受け取り手の年齢や好みを想定して商品ラインを整理し、商品説明も結婚式用であることを強調しました。その結果、リピーターが増え、口コミで注文が広がりました。ポイントは誰にどんな価値を届けるかを明確にすることです。
2)SNSとキャンペーンで新規を獲得した事例
Instagramで制作過程や使用例を投稿し、限定割引を組み合わせた出品者の例です。写真で使い方を見せることで興味を引き、期間限定キャンペーンで購入の後押しをしました。SNS投稿は短い動画やビフォー・アフター写真が効果的です。
3)地道な改善で売れた事例
検索ワードを見直し、価格帯と送料を調整し、写真を明るく撮り直した作家の例です。説明文に使い方やケア方法を加え、信頼が高まり購入につながりました。小さな改善の積み重ねが転換点になります。
4)成功の共通ポイント
・ターゲットを明確にする
・写真と説明を分かりやすくする
・リピーターを意識した仕組み(お礼カード、割引)を作る
・SNSで作品の魅力を定期的に伝える
これらを継続すると売上の安定につながります。
よくある間違い・やってはいけないこと
1. 自己満足だけで作り続ける
自分の好みだけで作品を作ると、買い手のニーズとずれます。たとえば色やサイズを限定し過ぎると購買層が狭まります。まずは販売実績やコメントを見て、少しずつ顧客の反応を取り入れてください。
2. 検索や表示を意識しない説明文・タイトル
難解な専門用語や独自造語だけで説明を書くと検索されにくくなります。具体例を入れて、一般的なキーワードも併記してください。写真には短いキャプションを付け、スマートフォン表示も確認しましょう。
3. すべてのサイトで同じ売り方をする
プラットフォームごとにユーザー層や流行が異なります。作品説明の書き方や価格帯、写真の雰囲気をサイトに合わせて調整してください。
4. 価格・送料を適切に設定しない
材料費だけで決めると利益が出ません。一度すべてのコストを洗い出し、相場も確認して適正価格を設定しましょう。送料が高いと購入をためらわれますので、明確に表記してください。
5. 写真や対応を手抜きにする
暗い写真や曖昧な説明は信頼を下げます。明るく複数アングルで撮影し、問い合わせには迅速に丁寧に答えてください。信頼は売上に直結します。












