はじめに
本書の目的
このドキュメントは、ハンドメイド作品を効果的に見せ、売上と来場者の満足度を高めるためのブース作りをやさしく解説します。初心者の方にも分かりやすい実践的な工夫を中心に、レイアウトや装飾、動線、そして身近な材料の使い方まで幅広く扱います。
想定する読者
- イベントに初めて出店する方
- 既に出店経験があるが、もっと見栄えを良くしたい方
- 小さなスペースでも魅力を伝えたい方
進め方とこの章の位置づけ
第1章では本書全体の概要と進め方を説明します。第2章以降で具体的なレイアウトや高さの使い方、商品配置、世界観づくり、動線設計、最後に100均アイテムの活用法を順に解説します。各章は単独でも役立つようにまとめますので、必要な部分から読んでください。
お願いと心構え
ブース作りは実験と工夫の積み重ねです。まずは小さな変更から試し、来場者の反応を見ながら改善してください。明るく整った見た目が、手作り品の魅力をぐっと引き上げます。
ハンドメイド ブース レイアウトの基本戦略
はじめに
ブース設営は「誰に」「どう見せるか」を決めることから始めます。目的が明確だと、限られたスペースでも効果的に見せられます。
ターゲットをはっきりさせる
年齢層や性別、購入目的(プレゼント用・自分用)を想定します。例えば、若い女性向けならアクセサリーを手前に、試着や照明で魅せます。
2m×2mを縮小して設計する
実際の寸法を紙に縮尺で描き、通路幅や動線を確認します。机は角を使うと回遊しやすく、中央は開けて入りやすくします。
机・看板の基本配置
・正面に小さな看板(A4〜A3)で価格やキャッチを表示します。
・レジは片側の端に置き、会計待ちが通路を塞がないようにします。
情報は絞って見せる
商品説明を詰め込み過ぎず、代表作と価格を目立たせます。ラベルや色でカテゴリ分けすると分かりやすくなります。
主催者に相談する
囲いや机配置の変更は主催者に相談すると調整可能です。事前に写真や縮小図を送るとスムーズです。
「高さ」を活用した視覚的インパクト
短いスペースでも「高さ」を取り入れると、遠くから目を引きやすくなります。視線の流れを作り、商品の価値を強調できます。
なぜ高さが有効か
- 視線は上から下へ流れるため、上部に見せ場を作ると目立ちます。
- 奥行き感が生まれ、ブースが広く見えます。
実践アイデア:パネルと洗濯物干し竿
- 室内用の洗濯物干し竿を使い、軽いパネルを立てかけます。簡単に組み替えられ、運搬も楽です。
- 100均の白パネルは軽くてシンプル。背景にロゴや色紙を貼るだけで統一感が出ます。
- 固定はクランプや結束バンドで行い、安全性を確保します。
台作りの工夫:コンテナ・ホース足・オリコン
- プラスチックコンテナを台にすると収納兼用で便利です。箱を重ねて高さを出せます。
- ホースの脚や市販の足を使えば、安定した低めの台を作れます。ゴム足を付けると滑りにくくなります。
- オリコン(折りたたみコンテナ)は軽く畳めて片付けが簡単です。展示の高さ調整にも向きます。
見せ方のコツと注意点
- 高さを段差にして前後に並べ、目線の高さに注目商品を置きます。小物は前、背の高いものは後ろに配置します。
- 上部は重心が高くなりやすいので、安全対策を徹底してください。会場のルールに合わせて固定や補強を行いましょう。
商品配置と高低差の工夫
全体の考え方
高さを変えると視線が動き、商品が目立ちます。平置きだけでなく、段差を作ることでメリハリが生まれます。まずは売りたい商品を中心に据え、そこから高さと色のバランスを考えて配置します。
高低差を作る具体例
- ディスプレイ台や木箱を積む:重ねるだけで簡単に段差が作れます。高さ違いの箱に同じ種類を分けて並べると見やすくなります。
- カゴやトレイを使う:小物はカゴにまとめ、台の上に置くと立体感が出ます。
- 100均のスタンドやケーキトレイ:低コストで高さ調整が可能です。透明のアクリル台を混ぜると軽やかに見えます。
商品ごとの置き場所の工夫
- 人気作・目玉商品は目線の高さに配置します。
- 子ども向け商品は子どもの目線(低め)に置き、親が手に取りやすいように近くに大人向けを置きます。
- セット販売は上下で組み合わせて見せると購買につながりやすいです。
見た目を整える小さな工夫
- テーブルクロスで下の機材を隠し、色で世界観を作ります。
- 値札は統一したフォントや色で目立たせます。小さな説明カードを添えると理解が早まります。
注意点
高低差を付けすぎると視認性が落ちます。通路側からも見えるか、手が届くかを必ず確認してください。
世界観の統一とブランディング
はじめに
ブースでは商品だけでなく「世界観」そのものを売ります。色・素材・フォントをそろえると、一目で印象が伝わりやすくなります。
色・素材・フォントの統一
まず主役になる色を2〜3色に絞ります。例えばナチュラル系なら生成り・ブラウン・緑、かわいい系ならパステル系を基調にします。素材も木目・金属・布など1〜2種類に限定するとまとまりが出ます。フォントは見やすさ重視で、見出し用と本文用の2種類までに抑えます。
ブランド表示の配置
ブランド名やロゴは遠くから見えるように大きく表示し、ブース上部や垂れ幕に配置します。背景と文字のコントラストを強くして、離れた位置からも認識できるようにしてください。高さは会場の視界を意識して決めます。
小物・包装・スタッフで統一感を出す
値札、袋、名刺、タグなどの細部をブランドカラーやロゴでそろえます。スタッフの服装も簡単な色合わせをするだけで印象が良くなります。
視線誘導と世界観の演出
中央に見せ場を作り、照明で強調すると視線が自然に集まります。小さなディスプレイでストーリーを説明すると商品の魅力が伝わりやすくなります。
実践チェックリスト
- 主色は2〜3色に絞る
- 素材は1〜2種類に限定
- ロゴは上部に大きく配置
- 小物とパッケージを統一
- 照明で見せ場を作る
これらを意識すると、ブース全体の印象が強まり、来場者に覚えてもらいやすくなります。
動線設計と入りやすさ
入口は開放的に
入口はできるだけ広く見せます。高いパーテーションや大きな什器で通路をふさがないことが第一です。通路側には低めのテーブルや什器を置き、視界を確保すると自然に入りやすくなります。
視線の誘導を作る
商品を並べる高さや配置で自然な流れを作ります。入口から奥へ視線が抜けるように、中央に背の低い導線を設けると回遊を促せます。サンプルや目立つ一点を入口近くに置くと足が止まりやすいです。
滞留と体験スペースの工夫
ワークショップや試着はブース奥よりも少し手前に配置すると、通路の流れを邪魔しません。滞留スペースは幅を確保し、椅子や荷物置き場を用意すると居心地が良くなります。
隣接ブース対策
背面は装飾で目立たせつつ高さを抑えると、隣の視線を遮りすぎません。大きな展示物が隣接する場合はブースの入口をやや広げ、入口付近に視覚的な区切り(ランプやラグ)を置いて独立感を出します。
実用チェックリスト
・入口幅を広く見せる
・視界を遮る高い什器を置かない
・試着・体験は通路を塞がない位置に
・スタッフは入口近くで声がけ
・価格や説明は入口付近に分かりやすく表示
これらを意識すると、来場者が入りやすく、滞在しやすいブースになります。
ブース装飾に使える100均アイテム
はじめに
100円ショップのアイテムは安価で汎用性が高く、ブース装飾に役立ちます。ここでは実際に使える品目と使い方のコツを具体例で紹介します。
必須アイテム
- テーブルクロス(複数枚): 荷物を隠すためと汚れ対策に。色違いを用意して、季節や商品に合わせて使い分けます。
- 黒布・ベロア生地: 商品の下に敷くと色が引き締まり、写真映えします。
- 滑り止めマット: 陳列物が滑らないようにします。
ディスプレイ小物
- 木製ブロック・小箱: 高低差をつける台に。重ねて安定させれば簡単な棚になります。
- アクリルケース・小皿・トレー: 小物をまとめて見せるのに便利です。
- ミニイーゼル・フォトフレーム: ポストカードや値札を立てて見やすくします。
照明と見せ方
- クリップライト・USBライト: 商品に明かりを当てて印象を良くします。
- LEDテープライト: 奥行きを出すのに有効です。
装飾素材・タグ類
- 造花・グリーン・フェルト: 世界観づくりに使えます。自然素材に近い色合いを選ぶと統一感が出ます。
- マスキングテープ・ラベル・タグ: 値札や説明を可愛く目立たせます。
整理・固定用品
- 収納バスケット・折りたたみケース: ストック管理と見た目をスッキリさせます。
- クリップ・洗濯ばさみ・結束バンド: 簡易固定や仮止めに便利です。
- 両面テープ・画びょう・粘着フック: 軽い飾りを簡単に取り付けられます。
設営のコツ
- 同じアイテムは複数持参して壊れや汚れに備えます。
- 色数は多くし過ぎず、主役の色を引き立てる配色にします。
- 高さと奥行きを意識して、視線が移るレイアウトを作ります。
どれも安く買える品が多く、それぞれ工夫次第で高見えします。実際に組み合わせて試し、写真で確認してから本番に臨むと安心です。












