はじめに
本資料の目的
本資料は、Googleアナリティクス4(GA4)における「直帰率」について、基礎から実践まで分かりやすく解説します。定義や従来のUAとの違い、直帰率が高い場合の意味や目安、原因の探し方、改善策、SEOとの関係、GA4での確認方法まで、サイト運営に役立つ内容を順に扱います。
対象読者
ブログ運営者、ECサイト担当者、マーケター、初心者から中級者まで想定しています。専門用語は最小限に抑え、具体例(ブログ記事、商品ページ、問い合わせフォームなど)を交えて説明します。
この章での内容
本章では資料全体の構成と使い方を説明します。各章で何を学べるかを簡潔に示すので、自分の課題に合わせて読み進めてください。
読み進め方の提案
まず第2章でGA4の直帰率の基本定義を確認してください。その後、実際のデータの見方や改善手順(第4〜5章)に進むと具体的に取り組めます。必要に応じて第6章のSEOの話もご覧ください。
GA4の直帰率とは?UAとの違い
定義
GA4の直帰率は「ユーザーがサイト内でエンゲージメントを示さなかったセッションの割合」です。エンゲージメントがなかった=直帰と定義します。分かりやすく言うと、サイトで何も反応がなかったセッションを数えます。
エンゲージメントの具体例
エンゲージメントは次のいずれかで判定します。
– 10秒以上の滞在
– 2ページ以上の閲覧
– コンバージョンイベントの発生
たとえば、ユーザーが一覧ページを開いて10秒以上見たり、別のページに移動したり、問い合わせボタンを押した場合は「直帰ではない」と見なします。
UA(ユニバーサルアナリティクス)との主な違い
UAでは1ページだけ見て離脱したセッションを直帰としました。GA4はより行動に基づいた判定を行います。これにより、短時間でも何かしらの関与があれば直帰と見なされない点が大きな違いです。測定の目的が「滞在や行動の質」を重視する方向に変わっています。
計算式と具体例
計算式は簡単です。
直帰率(%) = 100% − エンゲージメント率(%)
例えば、エンゲージメント率が70%なら直帰率は30%です。
実務でのイメージと注意点
短い滞在でもページを読んで価値を得た場合は直帰と判定されないことがあります。逆に、長時間放置されたタブは誤差を生む可能性があります。データを解釈する際は、エンゲージメントの定義を理解してから改善策を考えると効果的です。
直帰率が高い場合の意味と目安
直帰率が高いとは
直帰率が高いとは、訪問者が最初に開いたページだけを見てサイトを離れる割合が高いことを指します。単に離脱が多いだけでなく、ページが訪問者の期待に合っていない可能性を示します。ただし、必ずしも悪いとは限りません。例えば問い合わせ完了や電話発信を目的としたページは、1ページで目的が達成されることがあります。
よくある原因(具体例付き)
- コンテンツの質が低い:見出しと本文が一致せず「期待外れ」と感じられる。例:検索結果のタイトルと記事内容が違う。
- 表示速度が遅い:読み込みに時間がかかり離脱。例:画像が多くスマホで重い。
- UI/UXの問題:ボタンやリンクが分かりにくく操作できない。例:スクロール先に重要情報があるのに気づかない。
- 内部リンク不足:次に見るべき動線がない。例:関連記事や関連商品への導線がない。
- ランディングページの特性:1ページで完結するキャンペーンやフォームページは直帰率が高くなる傾向があります。
業界別の目安(目安として参考にしてください)
- eコマース:20~40%
- 情報サイト(ブログ等):50~70%
- B2Bサービス:30~50%
- ランディングページ:70~90%
- 飲食店・ローカルビジネス:30~50%
判断のポイント
- ページの目的を確認してください。購入や問い合わせが目的なら直帰は悪影響です。情報提供が目的で、滞在時間が長ければ必ずしも問題ではありません。
- 他の指標も合わせて見てください:滞在時間、コンバージョン率、イベント(クリックや動画再生)など。これらで利用者の行動を補足できます。
ページごとに目的と指標を合わせて判断すると、直帰率の意味がより明確になります。
直帰率が高い原因の分析方法
はじめに
直帰率が高い原因は複数あります。ここではGA4のレポートや外部ツールを使い、順を追って原因を絞り込む方法を具体的に説明します。
1. 高いページ・チャネルを特定する
「ページとスクリーン」レポートで直帰率が高いランディングページを探します。チャネル別(オーガニック検索、SNS、広告など)にも集計し、どの流入経路で問題が起きているか確認します。例:SNS流入だけ直帰率が高いなら導線や期待とのズレを疑います。
2. ユーザー属性で切り分ける
デバイス(スマホ・PC)、地域、新規/リピーター別に直帰率を比較します。スマホだけ高ければ表示崩れや読み込み遅延、特定地域だけ高ければコンテンツの言葉遣いや文化のミスマッチを疑います。
3. ページの読み込み速度とCore Web Vitals
PageSpeed InsightsやSearch ConsoleのCore Web Vitalsを使い、LCP(表示遅延)、CLS(レイアウト移動)などを確認します。読み込みが遅いと直帰につながりやすいです。
4. サイト内導線とコンテンツの整合性
内部リンクやCTAの配置を実際に操作して確認します。導線が分かりにくい、次に進む理由が無い場合は滞在につながりません。記事が1ページだけで完結している場合は直帰が必ずしも悪いとは限りません。
5. 検索キーワードとのミスマッチを確認
Search ConsoleやGA4の参照キーワードで、ユーザーの検索意図とページ内容が合っているか照合します。期待と違う内容ならコンテンツを調整します。
6. セグメントを作って比較検証する
新規ユーザー、モバイルユーザー、特定キャンペーンなどセグメントを作り、変化を追います。施策前後で比較すると効果の有無が分かります。
7. 優先順位をつけて対応する
影響度(訪問数×直帰差)と実施工数で優先度を決めます。まずは影響が大きく工数が小さい改善から着手します。
直帰率が高い場合の改善方法
はじめに
直帰率が高いときは、訪問者が期待を満たせていない可能性が高いです。以下に具体的な改善策を項目ごとにわかりやすく示します。
1. コンテンツの質・関連性向上
- ユーザーニーズを調べ、タイトルと導入で価値を明確に示します。例:商品の説明→「誰に」「何ができるか」を冒頭で伝える。
- 見出しを分かりやすく。短い段落と箇条書きを使い読みやすくします。
- 同じ意図の検索ワードでコンテンツを調整します(FAQ追加や具体例の挿入)。
2. ページ表示速度の改善
- 画像を適切なサイズにし、WebPなどで圧縮します。遅い場合はキャッシュやCDNを導入します。
- 測定はPageSpeed InsightsやLighthouseで行い、目標は表示を2秒前後にすることです。
3. 内部リンクの最適化
- 関連記事へ自然につなぐ内部リンクを設けます。アンカーテキストは目的を示す短い文にします。
- 記事末や本文中で次に読むべきページを提案し、回遊を促します。
4. UI/UXの改善
- ナビゲーションを簡潔にし、主要な行動(購入・問い合わせ)ボタンを目立たせます。
- モバイルでの見え方を優先し、フォームは最小限の項目にします。ヒートマップで離脱箇所を確認します。
5. 流入経路・ターゲットの見直し
- 広告やSEOキーワードとコンテンツの整合性を確認します。流入元ごとにランディングページを最適化すると効果的です。
- UTMで流入の質を把握し、ターゲットを絞り直します。
優先順位と実行の進め方
- 低コストで効果が出やすい順に対応します(速度・見出し→コンテンツ→UI→内部リンク→流入見直し)。
- 変更は一度に多く行わず、1つずつ検証して2〜4週間で効果を確認してください。GA4のエンゲージメント指標を使うと改善効果が見えやすいです。
直帰率とSEOの関係
検索順位への直接的な影響
直帰率自体はGoogleが公式に示す検索順位の直接的な指標ではありません。検索アルゴリズムは多くの要素を総合して評価します。ただ、ユーザーの行動は間接的に評価に影響を与えます。
どのように間接影響するか(具体例)
- 検索結果から来た人がすぐ戻る(ポゴスティッキング)すると、検索意図に合っていない可能性を示します。こうした繰り返しは順位に悪影響を及ぼすことがあります。
- 滞在時間が長く、別ページへ遷移する流れが多ければ、サイトの価値が高いと判断されやすくなります。
SEO改善の優先ポイント(実践例)
- タイトルと説明文を検索意図に合わせて見直す(例:疑問に答える明確な見出し)。
- ページ読み込みを速くする(画像圧縮、不要なスクリプト削減)。
- 初見で分かる導入文を用意する。最初の数秒で興味を引きます。
- 内部リンクや次に読むべき記事を提示して回遊を促す。
測定と判断のコツ
直帰率だけで判断せず、滞在時間やコンバージョン、検索コンソールのクリック率と合わせて見てください。ページ単位での比較とユーザー意図の確認が、改善の近道です。
GA4での直帰率確認方法
準備
GA4にログインし、解析したいプロパティと期間を選びます。まずは対象期間を1週間〜1か月程度に設定すると傾向が見えやすくなります。
標準レポートで見る手順
- 左メニューで「エンゲージメント」→「ページとスクリーン」を開きます。
- 表の右上にある「指標を追加」または列の設定から「直帰率(Bounce rate)」を選びます。
- 比較したいディメンション(ページ、チャネル、流入元、ランディングページなど)を選択して表示します。
- ソートやフィルタで直帰率が高い順に並べ、優先度の高いページや流入経路を特定します。
詳細分析(探索を使う)
より詳しく調べるときは「探索(エクスプロレーション)」を使います。自由なテーブルを作り、ディメンションにページや参照元、指標に直帰率とセッション数を入れます。セグメントで新規ユーザー・リピーターやモバイル・PCを分けると原因が分かりやすくなります。
実務上のポイント
- セッション数が極端に少ないページは直帰率の信頼度が低くなります。まずは十分なトラフィックがある項目を確認します。
- ランディングページ単位で見ると改善の優先度が定まります。例えば問い合わせページの直帰率が高ければ導線改善を検討します。
- 定期的に比較(週次・月次)して施策の効果を追います。
この流れで直帰率の高い箇所を特定し、優先的に改善を進めてください。












