はじめに
この記事の目的
この連載では、GA4における「直帰率」について、定義や計算方法、従来のUAとの違い、確認方法、改善策、そして平均目安までを丁寧に解説します。GA4の直帰率は「エンゲージメントのなかったセッションの割合」と定義され、より実際のユーザー行動に即した分析ができるようになっています。
なぜ重要か
直帰率は、訪問者がサイトでどれだけ関わったかを知る手がかりです。例えば、ページを開いてすぐ閉じた場合はエンゲージメントがないと判断されます。一方で、1ページで目的を達成して離脱したケースもあるため、一概に高い=悪いとは言えません。GA4はこの違いをより正確に捉えます。
誰に向けているか
ウェブサイト運営者、マーケター、分析を始めたばかりの方に向けて、専門用語を抑えつつ具体例で分かりやすく説明します。
本記事の構成
第2章から第7章まで順を追って学べば、直帰率の意味を正しく理解し、改善に役立てられます。
GA4の直帰率とは?定義と計算方法
定義
GA4では「直帰」は、エンゲージメントのなかったセッションを指します。エンゲージメントが記録されないセッションは直帰と見なされ、そこから算出した割合が直帰率です。用語は簡単に言うと「何もアクションが起きなかった訪問」の割合です。
エンゲージメントの条件
GA4でセッションがエンゲージメントとしてカウントされる主な条件は次の3つです。
– セッション継続時間が10秒以上
– ページビューまたはスクリーンビューが2回以上
– コンバージョンイベントが発生
これらのいずれかを満たしたセッションを「エンゲージメントあり」と扱います。
計算方法(式)
直帰率はエンゲージメント率の逆数として計算できます。
– 直帰率(%)=100%-エンゲージメント率(%)
または、ページ別に見る場合は次の式でも表せます。
– 直帰率=(そのページから始まったセッションのうちエンゲージメントのなかったセッション数)/(そのページから始まったセッション数)×100
エンゲージメント率は「エンゲージメントのあったセッション数÷セッション総数×100」です。
具体例
例1:サイト全体でセッション100件、うちエンゲージメントが30件なら
– エンゲージメント率=30% → 直帰率=70%
例2:あるページで先に始まったセッションが50件、そのうちエンゲージメントが20件なら
– 直帰率=(50−20)/50×100=60%
注意点
GA4の計測はイベントに基づきます。自動で収集されるイベントや設定したコンバージョンにより、同じサイトでも直帰率が変わることがあります。測定方法を把握したうえで数値を解釈してください。
UAとGA4の直帰率の違い
定義の違い
UA(ユニバーサルアナリティクス)は「1ページだけ見て離脱したセッション」を直帰と定義します。対してGA4は「エンゲージメントが発生しなかったセッション」を直帰と見なします。GA4では10秒以上の滞在、コンバージョン、または複数のイベントがあればエンゲージメント扱いになります。
計測方法の違い
UAはページビュー中心の計測です。一つのページビューだけだと直帰にカウントされます。GA4はイベント中心の計測で、ページ表示もイベントの一つです。したがって、クリックやスクロールなどのイベントを細かく拾えます。
具体例での違い
例1:ユーザーが記事を15秒読んで離脱した場合、UAではページ遷移がないため直帰になりますが、GA4では10秒を超えているため直帰扱いになりません。例2:ページを3秒で見て離脱した場合、両方で直帰となる可能性が高いです。
分析での注意点
GA4の直帰率は従来と数値が変わりやすいです。指標名や計測方法が違うため、過去データと単純比較しないでください。改善施策を評価する際は、エンゲージメント率やエンゲージドセッション数も合わせて見ると分かりやすくなります。
GA4で直帰率を確認する方法
方法1:データ探索で確認する
- 管理画面の左メニューから「探索」を選び、「自由形式」を作成します。
- 「次元」に「ページタイトル」や「ランディングページ」を追加します。
- 「指標」に「直帰率(Bounce rate)」または「エンゲージメント率」を追加します。直帰率が見当たらない場合は「指標を追加」から検索してください。
- テーブルにページごとの直帰率を表示し、日付範囲やデバイスで絞り込みます。
- ※セグメントを使うと新規ユーザーだけの直帰率なども確認できます。
方法2:標準レポートをカスタマイズして確認する
- 左メニューの「レポート」→「ライフサイクル」→「エンゲージメント」→「ページとスクリーン」を開きます。
- 画面右上の「比較」や「カスタマイズ」を押して指標に「直帰率」を追加します。
- ランディングページ別に確認したいときは、ディメンションを「ランディングページ」に切り替えます。
- 表示をCSVやGoogleスプレッドシートにエクスポートして、ページごとの傾向を分析します。
確認時のポイント
・直帰率は日付範囲やフィルタで大きく変わります。短期間だけで判断しないでください。
・イベント設定や自動で計測されるエンゲージメントにより数値が変わることがあります。計測方法を統一して比較してください。
直帰率と離脱率の違い
定義の違い
- 直帰率:セッション中にエンゲージメント(滞在時間、スクロール、イベントなど)が発生しなかったセッションの割合です。1ページだけ見て何も操作せず離れた場合に増えます。
- 離脱率:特定のページからセッションが最後に終わった割合です。あるページがセッションの最後になりやすいかを示します。
具体例での違い
- ブログ記事に入り、何も操作せずに閉じた場合は「直帰」になり、そのページの「離脱」も増えます。
- サイト内を複数ページ移動して最後に商品ページで離脱した場合は直帰ではありませんが、その商品ページの離脱率は高くなります。
GA4での扱いと注意点
GA4では直帰率を管理画面で確認できます。離脱率はヘルプに定義があり、画面で直接見られないことがあります。その場合は「離脱数÷ページビュー数」で計算するなど、自分で集計してください。
使い分け方
直帰率はランディングページの第一印象を評価します。離脱率はページごとの離脱ポイントを探るとき役立ちます。両方を見比べることで問題箇所の特定がより正確になります。
GA4における直帰率が高い場合の改善方法
直帰率が高い原因を仮説立てする
まずGA4でどのページの直帰率が高いかを確認します。次に、検索キーワードや広告の文言とページ内容が合っているかを見ます。例えば「商品レビューを探すユーザー」が商品説明ページに来ていると、期待とずれて直帰しやすくなります。
検索意図とランディングページの一致を図る
検索語に合った見出しや導入文に変えます。たとえば「使い方を知りたい」検索なら、最初に使い方の要点を示し、詳しい説明へ誘導します。広告やSNSの案内文もランディング先と一致させます。
コンテンツの質を高める
読みやすい構成(見出し・箇条書き)にし、具体例や画像で補います。信頼性を高めるために実績やレビューを掲載します。記事なら結論を冒頭に置くと離脱を減らせます。
操作性と表示速度の改善
スマホでの見やすさを確認し、画像の最適化や不要なスクリプト削減で表示を速くします。読み込みが遅いと直帰が増えます。
エンゲージメントを増やす仕掛け
関連記事リンクや目立つ次の行動(ボタン)を配置します。たとえば「関連記事へ」「詳しい仕様を見る」といった誘導です。ポップアップは多用せず、控えめに使います。
計測と改善のサイクルを回す
GA4でスクロールやクリックなどのイベントを設定し、何が効いているかを見ます。小さな変更(見出し・ボタン色)を加え、効果があれば広げます。A/Bテストで確かめると確実です。
これらを順に試すと、検索意図に合った体験を提供でき、直帰率の改善につながります。
直帰率の平均目安
概要
直帰率の平均は業界やページの目的で大きく変わりますが、一般的には30〜50%程度が多い目安です。高すぎても低すぎても必ずしも悪いわけではありません。サイトの目的に合わせて読み替える必要があります。
業種・ページタイプ別の目安
- ブログ・ニュース:50〜80%程度。記事を読んで去る利用者が多いため高めでも問題ありません。
- ECサイト(商品一覧・詳細):20〜40%程度。購入導線を作るため低めが望ましいです。
- ランディングページ:60%前後でも妥当な場合があります。目的が情報受け取りや申込みの有無に左右されます。
判断するときのポイント
- 流入元(検索・広告・SNS)で比較する
- ページ滞在時間やコンバージョンと合わせて見る
- モバイルとPCで差がないか確認する
改善のヒント(目安に応じて)
- 直帰率が高い:導線を分かりやすく、読み込み速度を改善し、関連コンテンツを提示する
- 直帰率が低すぎる:誤った計測や意図しない動作がないか確認する
これらを基に、自社の目標と照らして改善計画を立てることをおすすめします。












