大規模サイトの階層設計はどう考える?失敗しない情報構造の作り方

目次

はじめに

結論から言うと、大規模サイトの階層設計は「見た目を整えること」ではなく、「ページが増え続けても迷わず追加・整理できるルールを先に決められるか」で成否が決まります。3階層に収めることや、きれいな構成図を作ることよりも、カテゴリ・タグ・URLの役割を最初に切り分け、運用で崩れない前提を作るべきです。

大規模サイトでは、ページ数が増えるほど例外が生まれ、最初に想定していなかった情報が必ず入り込んできます。階層だけを先に決めると、そのたびにカテゴリの追加や名称変更が起き、タグが増え、URLの一貫性が失われます。その結果、ユーザーは目的のページにたどり着きにくくなり、検索エンジンから見ても評価が分散します。

一方で、分類の軸と追加ルールを最初に固定しておくと、ページが増えても迷いが生まれません。カテゴリは何のために存在するのか、タグはどこまで使うのか、URLは将来どう整理できる形にするのか。この前提が揃っていれば、構成図はあとからでも自然に組み上がります。大規模サイトの階層設計では、設計そのものよりも、壊れにくさを優先することが最も重要です。

大規模サイトの階層設計、なぜ途中で破綻するのか

最初は整理できていたのに、いつの間にか迷子になる

ページ数が少ない段階では、直感的な分類でも問題は起きません。しかしページが増え始めると、「ここに入れるのは違和感があるが他に置き場がない」という状態が発生します。この時点でカテゴリの追加や分割が始まり、全体の一貫性が崩れます。結果として、同じ内容のページが別カテゴリに散らばり、ユーザーはどこから探せばいいのか分からなくなります。

ページが増えるほど「正解」が分からなくなる理由

大規模サイトでは、新しいページを追加するたびに判断が必要になります。分類の基準が言語化されていないと、担当者ごとに判断がぶれます。似たテーマでも別カテゴリに入ったり、タグで代用されたりと、構造が積み重なるほど複雑になります。この状態では、後から整理し直そうとしても、どれが正しい構造なのか判断できなくなります。

小規模サイトの考え方をそのまま使ってはいけない

小規模サイトでは「分かりやすさ」だけを優先しても成り立ちますが、大規模サイトではそれだけでは足りません。増える前提で作られていない階層は、必ず限界を迎えます。階層設計が破綻する最大の原因は、将来の増加を想定せず、その時点での見やすさだけで決めてしまうことにあります。大規模サイトでは、今きれいに見えるかどうかより、増えたときに判断がぶれないかどうかが重要になります。

大規模サイトの階層設計でまず決めないといけないのは「階層」ではない

カテゴリで分けるべき情報、分けてはいけない情報

カテゴリは、ユーザーが最初に選ぶ入口として機能するものに限定する必要があります。内容が似ているという理由だけで細かく分けると、入口が増えすぎて選びにくくなります。一方で、探し方が明確に異なる情報を同じカテゴリにまとめると、ページを開いてから迷う原因になります。カテゴリは数を増やすことよりも、役割を明確に保つことが重要です。

タグを使うと一気に崩れるサイトの共通点

タグは便利ですが、使い方を誤ると階層を壊します。明確なルールがないままタグを増やすと、似た意味のタグが乱立し、どのタグが正しいのか分からなくなります。結果として、同じページが複数のタグページに表示され、構造が複雑になります。タグは分類の代替ではなく、横断的に探すための補助として使う必要があります。

検索・絞り込みを軽く考えると後で必ず詰む

検索機能や絞り込みは、見た目上は階層の外にあるように見えますが、実際には情報構造の一部です。ここを設計せずに後付けすると、カテゴリやタグと役割が重なり、どこから探せばいいのか分からなくなります。検索や絞り込みは、カテゴリで表現しきれない条件を扱う場所として位置付けておくことで、階層全体が安定します。

大規模サイトの階層設計の階層は3つまで?それ、守れないサイトのほうが多い

3階層にこだわるほど使いにくくなるケース

3階層は分かりやすい目安ですが、無理に当てはめると逆に使いにくくなります。情報量が多いサイトでは、関連性の薄いページまで同じ階層に押し込むことになり、一覧が肥大化します。その結果、探す側はスクロールやクリックを繰り返すことになり、目的のページにたどり着くまで時間がかかります。

4階層以上でも問題ないサイトの条件

階層が深くなっても、役割が明確であれば問題は起きません。上位階層が単なる通過点ではなく、内容を把握できる一覧として機能していれば、ユーザーは迷いません。情報量に応じて自然に階層が分かれているサイトでは、4階層以上でも使いやすさを保てます。

深くなる前に逃がす「受け皿ページ」の考え方

階層が深くなりそうなときは、関連情報をまとめる受け皿となるページを用意すると整理しやすくなります。このページが起点になることで、個別ページを無理に下の階層へ押し込まずに済みます。階層を浅く保つためではなく、全体の見通しを良くするために受け皿を作ると、構造は安定します。

カテゴリを増やすか、まとめるかで毎回迷う人へ

そのカテゴリ、本当にユーザーは探している?

カテゴリ名は、運営側の都合ではなく、ユーザーが実際に選ぶ言葉である必要があります。内容を正確に表していても、探すときに使われない言葉であれば入口として機能しません。検索や行動を想定すると、選ばれないカテゴリは増やす意味がなく、既存カテゴリにまとめたほうが迷いは減ります。

記事が何本たまったら「独立」させるべきか

数本しかない状態でカテゴリを分けると、一覧としての役割を果たせません。一定数の記事が集まり、一覧ページとして価値が出た段階で初めて独立させるほうが自然です。先に箱を作るのではなく、内容が育ってから分けることで、構造の無駄が減ります。

名前を変えただけのカテゴリが量産される原因

似たカテゴリが増える原因は、切り分けの基準が曖昧なまま決めてしまうことにあります。テーマ・目的・使われ方のどれで分けるのかが定まっていないと、言葉を変えただけのカテゴリが増えます。基準が一つに揃っていれば、まとめるか分けるかの判断に迷いません。

タグ設計で失敗すると、SEOも運用も一気に壊れる

タグが増えすぎるサイトに共通する運用ルール

タグが増え続けるサイトでは、作成の基準が決まっていません。ページを追加するたびに思いつきでタグを付けると、似た意味のタグが積み重なります。結果として、どのタグを使えばいいのか分からなくなり、同じテーマでも別々のタグに分散します。タグは自由に付けられるものではなく、数を抑える前提で扱う必要があります。

似たタグ・表記ゆれが止まらなくなる理由

表記の揺れは、最初に決めなかったことが原因です。日本語表記と英語表記、略称と正式名称などが混在すると、意図せず別のタグとして増えていきます。一度増えたタグは簡単には整理できず、放置すると構造全体が複雑になります。最初から使う言葉を固定しておくことで、後の混乱を防げます。

インデックスさせるタグ、させないタグの線引き

すべてのタグページを検索結果に出す必要はありません。一覧として意味を持つタグだけを残し、条件整理のためだけのタグは検索対象から外したほうが安定します。役割を分けて考えることで、タグが階層の代わりになってしまう事態を防げます。

URL設計は「今」ではなく「3年後」で考える

ディレクトリ名を軽く決めると後で地獄を見る

URLのディレクトリ名は、一度公開すると簡単には変えられません。意味が曖昧な名前や、その時点の流行に合わせた名称を使うと、後から内容が合わなくなります。結果として、実態と合わないディレクトリの中に無理やりページを入れることになり、構造が歪みます。

将来まとめ直せないURLの特徴

後から整理できないURLには共通点があります。カテゴリ名と内容の境界が曖昧で、別のテーマが混ざりやすい構造です。この状態では、統合や分割をしようとしても、どこから手を付ければいいのか分かりません。URLは今の分類だけでなく、将来まとめ直せる余地を残す必要があります。

サイト移行や統合で生き残る構造とは

移行や統合に強いURLは、役割が一貫しています。ディレクトリごとにテーマが明確で、別の場所に移しても意味が通る構造です。短期的な分かりやすさよりも、長く使い続けられるかどうかを基準に決めることで、後の負担を大きく減らせます。

内部リンクを考えない階層設計は必ず限界が来る

カテゴリだけでは回らなくなったときに起きること

ページ数が増えると、同じテーマでもカテゴリが分かれてしまう場面が出てきます。この状態でカテゴリだけに頼ると、関連ページ同士がつながらず、ユーザーは回遊しにくくなります。結果として、せっかく用意した情報が分断され、全体の価値が伝わりにくくなります。

ハブページを作ると一気に整理される理由

関連性の高いページをまとめるハブページがあると、カテゴリの枠を超えて情報を整理できます。個別ページは詳細に集中し、ハブページが全体の入口として機能することで、構造が分かりやすくなります。階層を増やさずに情報量を扱える点が、大規模サイトでは特に有効です。

階層が浅くても迷われない導線の作り方

内部リンクが適切につながっていれば、必ずしも深い階層は必要ありません。関連ページが自然に行き来できる状態では、ユーザーは自分で情報を広げていけます。カテゴリにすべてを押し込むのではなく、内部リンクで補完することで、階層設計の負担は大きく軽減されます。

大規模サイトは「作って終わり」にすると失敗する

新しいページは誰が、どこに、どう追加するのか

運用が始まると、新しいページは必ず増え続けます。このとき、追加の判断が人に任されていると、基準が少しずつズレていきます。結果として、似たページが別の場所に置かれたり、仮の置き場がそのまま定着したりします。追加の流れが決まっていない構造は、時間とともに確実に歪みます。

ルールがないと半年後に必ず揉めるポイント

カテゴリの追加、タグの作成、URLの付け方などは、最初は問題になりません。しかし運用が続くと、「なぜここにあるのか」「なぜこの名前なのか」という疑問が必ず出てきます。判断の根拠が残っていないと、修正のたびに意見が割れ、構造を直すこと自体が負担になります。

定期的に見直さないと起きる静かな崩壊

見た目は変わらなくても、内部では少しずつ整理が効かなくなります。古い分類が残り、新しいページとの整合性が取れなくなると、全体の構造は分かりにくくなります。定期的に確認し、不要な要素を整理する前提で作られた階層だけが、長く使い続けられます。

一覧表とツリー図、どっちを使うべきか問題

見た目がきれいな構成図が役に立たない理由

ツリー図は全体像を一目で共有できますが、ページが増えると更新が追いつかなくなります。

構成図だけで管理しようとすると、修正のたびに作り直しが必要になり、実際の構造とズレが生まれます。
見た目が整っていても、最新の情報を反映できなければ意味がありません。

Excel(スプレッドシート)で管理すべき理由

一覧表は、ページの追加や変更に強い管理方法です。

URL、カテゴリ、タグ、公開状態などを並べて把握できるため、全体を俯瞰しながら調整できます。
大規模サイトでは、構造そのものよりも、更新し続けられる管理方法を選ぶことが重要になります。

共有用と設計用は分けたほうがうまくいく

関係者に説明する場面では、ツリー図のほうが理解されやすいこともあります。一方で、日常の管理は一覧表のほうが現実的です。目的に応じて使い分けることで、設計と運用の両方がスムーズに回ります。

よくある「やり直し案件」は最初に防げる

カテゴリ整理を何度も繰り返している

何度も整理をやり直しているサイトでは、分類の基準が固定されていません。その場しのぎでまとめ直すと、一時的にきれいになっても、また同じ問題が起きます。最初に基準を決めていれば、修正は部分的で済み、全体を崩さずに調整できます。

タグを削除したら順位が不安定になった

タグを後から削除すると、関連ページへの導線が途切れ、評価の流れが変わります。役割を考えずに増やしたタグほど、整理の影響が大きくなります。最初から残すタグと残さないタグを分けておくことで、順位への影響を抑えられます。

誰も全体構造を説明できなくなった

構造が複雑になると、運営側ですら全体を把握できなくなります。この状態では、新しい判断ができず、変更が怖くなります。シンプルなルールに基づいた構造であれば、誰が見ても説明でき、修正もしやすくなります。

迷わない階層設計に共通するシンプルな考え方

正しく作るより「壊れにくくする」

大規模サイトでは、最初から完璧な構造を作ることはできません。情報は増え、状況も変わります。その中で重要なのは、多少のズレが出ても致命的な崩れ方をしないことです。細かく作り込みすぎた階層より、調整しやすい余白を残した構造のほうが長く安定します。

判断を人ではなくルールに任せる

人の判断に頼る構造は、担当が変わるたびにブレます。カテゴリを増やす条件、タグを付ける基準、URLの付け方が決まっていれば、迷いは減ります。ルールが判断を肩代わりすることで、構造は静かに保たれます。

大規模サイトほど完璧を目指さない

完璧を目指すほど、変更が怖くなり、構造は硬直します。少しずつ手を入れられる前提で作られた階層は、結果的に長く使えます。大規模サイトの階層設計では、整えることより、続けられることが何よりも重要になります。

まとめ

結論から言うと、大規模サイトの階層設計で最優先すべきなのは、「きれいな構造」ではなく「増えても迷わない仕組み」を作ることです。階層を浅く保つことや、テンプレ通りに整えることよりも、カテゴリ・タグ・URL・内部リンクの役割を明確に分け、運用ルールを固定した構造が長く機能します。

ページ数が増えると、例外やズレは必ず発生します。そのときに構造全体を作り直す必要があるサイトは、設計の前提が弱い状態です。一方で、分類の軸と追加のルールが固まっていれば、修正は部分的で済み、全体の見通しは崩れません。

大規模サイトの階層設計は、一度完成させるものではなく、使い続けられる形に整えるものです。壊れにくく、説明しやすく、直しやすい構造を選び続けることが、結果としてユーザーにも検索エンジンにも評価される設計につながります。

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この記事を書いた人

株式会社GLOBAL・CREATIVEのメンバーによって構成される編集部。GCで行われたイベントのレポート、グルメ投稿やその他弊社に関わるさまざまな情報をお届けします。

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