はじめに
本書の目的
本書は「CMSと単位」に関する調査結果を分かりやすくまとめたものです。CMSで用いられる“単位”（例：サイト、ページ、ユーザー、ストレージなど）を整理し、運用や費用、管理画面での扱い方まで実務に役立つ知識を提供します。具体例を交えて説明しますので、初めてCMSを扱う方にも読んでいただけます。
対象読者
- CMS導入を検討している担当者
- 現行CMSの運用を見直したい運用者
- 開発・設計に関わる担当者
本書の構成と読み方
第2章で単位の基本定義と重要性を説明します。第3章では種類ごとの単位関係を整理し、第4章で管理画面の実務的な管理方法を解説します。第5章は費用面の目安、第6章は権限や機能拡張など共通機能と単位管理に触れます。章ごとに具体例を示しますので、必要な箇所を選んで参照してください。
CMSの基本定義と単位の重要性
CMSとは
CMSはContents Management Systemの略で、専門的なHTMLの知識がなくてもWebサイトのコンテンツを作成・更新・管理できる仕組みです。例としてはブログの記事投稿、会社サイトの製品紹介ページ、画像ギャラリーの管理などがあります。デザインや構造はテンプレートで統一できます。
管理単位（階層）の概念
CMSは情報を階層的に分けて管理します。代表的な単位は以下の通りです。
– プロジェクト（サイト全体や特定のキャンペーン）
– モデル（コンテンツの種類。例：記事、製品、FAQ）
– アイテム（モデルごとの個別データ。例：1件の記事、1つの製品）
– アセット（画像やファイル）
Studio CMSの例では「プロジェクト→モデル→アイテム」という階層で扱います。
単位が重要な理由
単位を適切に定めると、編集や公開の作業が楽になります。たとえばモデルを分ければテンプレートを使い回せますし、アイテム単位で権限を設定すれば担当者ごとの作業が明確になります。データの再利用性や検索性も向上します。
実務で気をつける点
- 粒度は使う人に合わせる（細かすぎると運用が難しくなります）
- 命名規則を統一する（後から探しやすくなります）
- 権限とワークフローを設計する（公開の流れを決める）
- メタデータを活用する（カテゴリーやタグで整理）
これらを意識するとCMS運用の効率が上がり、サイトの品質も安定します。
CMSの種類と単位の関係性
概要
CMSの種類ごとに利用される単位（モデル数、アイテム数、ページ数、APIコールなど）は異なります。ここではクラウドCMS、オンプレミスCMS、ヘッドレスCMSの特徴と、料金プランと単位の関係を分かりやすく説明します。
クラウドCMS
クラウドCMSはベンダーのサーバー上で動きます。多くは月額や従量課金制で、料金プランごとに管理できる単位の上限が決まります。小規模プランはモデルやアイテム数が少なく、上位プランで段階的に増えます。運用負荷が低く、スケール時の手続きが簡単です。
オンプレミスCMS
自社環境で運用するため、単位の制約はソフトウェア側よりインフラ側で決まります。モデル数やアイテム数は実質的に制限しやすく、コストは初期導入と保守に偏ります。自由度が高い反面、拡張時に自社で対応する必要があります。
ヘッドレスCMS
コンテンツ管理と表示を分離するため、APIコール数や配信量が重要な単位になります。フロントエンドを自由に変えられる利点がありますが、配信回数が増えると従量課金が増えることに注意が必要です。
Studio CMSのプラン別単位上限（例）
Studio CMSではプランごとに上限が段階的に増えます。Starterはモデル数・アイテム数・ページ数が抑えられ、中間プランで実務向けの余裕が出ます。Enterpriseでは上限をカスタムでき、大規模なデータ設計や大量配信に対応します。
単位と運用の関係
プラン選びは現在のデータ量と将来の成長を見越すことが大切です。短期的に安く済ませると、後でプランアップやデータ整理が必要になります。運用チームと連携し、どの単位がボトルネックになるかを把握してください。
単位を抑える実用的な工夫
- モデルを整理し共通化することでモデル数を減らす
- 不要なアイテムを定期的に削除する
- ページはテンプレート化してデータ項目を最小化する
- 配信頻度をキャッシュで抑え、APIコールを減らす
これらでコストを抑えつつ運用しやすくなります。
CMSの管理画面における単位
ブロック単位の管理
CMSの管理画面ではページを「ブロック（部品）」として扱います。例えば見出し、本文、画像、CTA（行動を促すボタン）を別々に編集できます。これにより一部だけ差し替えたり、異なるページで同じブロックを再利用したりできます。
ヘッダー・フッター・サイドバーの制御
ヘッダーやフッター、サイドバーは共通部品として管理します。サイト全体で共通表示するロゴやメニューをヘッダーに置き、個別ページで表示を切り替えることも可能です。例：キャンペーン期間中だけヘッダーにバナーを表示する等。
SEO管理（サイト単位／ページ単位）
管理画面でメタタイトルやメタディスクリプションをサイト全体のデフォルトとページごとに上書きする形で設定できます。パンくずやcanonicalタグも管理画面から設定でき、一覧画面で一括確認できます。
CSVでの一括置換
多数ページのタグやタイトルを変更する場合、CSVでの一括置換が便利です。CSVにページIDと新しい値を準備し、アップロードすると短時間で反映します。事前にバックアップを取ることをおすすめします。
運用のポイント
編集権限をロールごとに分け、テスト環境で確認してから本番へ反映してください。ブロック名や説明を分かりやすくしておくと担当者が迷わず運用できます。
CMSの導入における単位と費用
概要
パッケージ型CMSを自社サーバーにインストールして運用する場合、導入方法は主に「製品を購入して自社で設定する」「ベンダーに制作や導入を依頼する」の二つです。相場としては導入全体で50万〜100万円程度が一般的です。要件定義の段階で10万〜60万円程度がかかります。
導入形態ごとの特徴と費用目安
- 自社対応：製品ライセンスやサーバー費用、社内設定工数が中心。比較的費用を抑えられますが、技術担当の工数が必要です。費用目安は20万〜80万円。
- ベンダー依頼：要件整理から構築、検証まで含むため費用は高めですが安心感があります。費用目安は50万〜150万円。
要件定義での費用内訳（例）
- ヒアリングと要件整理：5万〜30万円
- 画面設計やワークフロー設計：5万〜20万円
- 見積もり・提案書作成：1万〜10万円
費用を左右する主な要因
- カスタマイズ量、デザインの複雑さ
- 追加機能（検索、会員管理など）
- データ移行やインテグレーションの有無
- セキュリティ対策や保守契約
- トレーニングやマニュアル作成
コストを抑えるポイント
- 初期は必要最小限の機能に絞る
- 既存のテンプレートや標準機能を活用する
- 要件を明確にして無駄な仕様変更を避ける
注意点
見積もりはベンダーによって幅が出やすく、後から追加費用が発生しやすい部分（データ移行・連携・保守）を事前に確認してください。
CMSの共通機能と単位管理
概要
CMSは組織の役割や業務ごとに「単位」を分け、適切な権限でコンテンツを管理できる仕組みを持ちます。ここでは代表的な共通機能と、それが単位管理にどう影響するかを分かりやすく説明します。
権限と役割管理
- ロール（管理者、編集者、投稿者など）を定義し、操作可能な範囲を決めます。例：編集者は記事の作成・編集ができるが、公開はできない。これで誤操作を防げます。
- グループ単位で権限を割り当てれば、部署ごとの管理が楽になります。営業チームは製品ページ、広報はニュースだけ管理するといった運用が可能です。
ワークフローとバージョン管理
- 下書き→レビュー→公開といったワークフローを設定します。承認フローがあると品質が安定します。
- 変更履歴（バージョン）を保存すれば、前の状態に戻せます。ミス対応が容易です。
プラグイン・モジュールによる拡張
- プラグインで「製品管理」「イベント管理」「多言語」などの新たな管理単位を追加できます。例：ECプラグインを入れると商品ごとの管理単位が増えます。
- 拡張は便利ですが、権限やデータの整合性を確認してから導入してください。
監査ログとセキュリティ
- 操作ログを残すと、誰がいつ何をしたか追跡できます。問題発生時の原因特定に役立ちます。
- アクセス制限やパスワード管理も単位管理の一部です。
運用のコツ
- 単位は責任範囲で分ける（部署・役割・機能ごと）。
- 最小権限の原則を徹底する。不要な権限は与えない。
- 定期的に権限とプラグインを見直し、使われていない管理単位は整理する。
これらの機能を組み合わせることで、組織に合った柔軟で安全な単位管理が実現できます。
