はじめに
目的
この文書はCMS（コンテンツ管理システム）で扱う「静的ページ」について、分かりやすく整理することを目的としています。定義や特徴、CMSとの関係、検索キーワードの工夫、典型的な使い方、そして比較表で理解を深めます。
対象読者
- ウェブ担当者やコンテンツ制作に携わる方
- CMS選定や運用を検討している方
- 技術的な背景が浅いが仕組みを知りたい方
読み方のヒント
章ごとに具体例を交えて説明します。専門用語は最小限にし、実務で役立つポイントに焦点を当てます。まずは静的ページの全体像をつかんでください。
静的ページとは
定義
静的ページは、1ページごとに用意したHTMLファイルをそのまま返すウェブページです。アクセスのたびに同じ内容を表示します。会社概要やアクセス、利用規約、お問い合わせの完了画面など、内容が頻繁に変わらないページに向いています。
仕組み
サーバーはリクエストに対して該当するHTMLファイルを送信します。サーバー側でデータベース検索やテンプレート生成の処理を行わないため、表示までの手順が短くなります。CDN（コンテンツ配信ネットワーク）を使うと世界中へ高速に配信できます。
主な用途と具体例
- 会社概要ページ: 住所や沿革を載せる固定ページ
- アクセスページ: 地図や最寄り駅の情報
- 利用規約やプライバシーポリシー
- お問い合わせ完了画面
これらは内容の変更頻度が低いため、管理が楽です。
利点
- 表示が速い: 動的処理が不要で応答が早いです
- サーバー負荷が低い: 同時アクセスに強くなります
- セキュリティ面で有利: データベース接続が不要な分、攻撃面が減ります
欠点
- 更新が手作業になりやすい: 頻繁に変える場合は管理が面倒です
- ユーザーごとの表示切替が難しい: パーソナライズには向きません
簡単な作り方のポイント
- HTMLファイルとCSS、画像をフォルダにまとめます。2. 静的ホスティング（例: GitHub PagesやNetlify）にアップロードします。3. 更新時は該当ファイルを修正して再デプロイします。お問い合わせの送信処理は別サービス（フォーム用のサーバレス関数など）と組み合わせると便利です。
CMSと静的ページの関係
一般的なCMSの動き
多くのCMSは、記事一覧や詳細ページをリクエストのたびに組み立てて表示します。データベースから記事を取り出し、テンプレートと組み合わせてHTMLを返す仕組みです。例として、ブログの記事一覧や個別記事ページが該当します。
固定ページ機能で静的ページを管理
一方で、CMSには「固定ページ」や「ページ」機能があり、会社概要やお問い合わせなどのように頻繁に構成が変わらない内容を管理できます。見た目は静的ページに近く、編集画面で内容を更新して保存するとそのまま公開されます。
静的HTMLをテンプレートとして組み込むワークフロー
a-blog cmsのように、あらかじめ作った静的HTMLをそのままテンプレート化してCMSに読み込む方式があります。手順は次の通りです。
1. デザイナーが静的HTMLを作成する
2. そのHTMLをテンプレートとしてCMSに登録する（共通ヘッダやフッタはそのまま）
3. コンテンツ部分だけをCMSの管理領域に差し込む
4. CMSは差し替え部分だけを動的に処理して公開する
利点と注意点
利点は、デザインの自由度を保ちながら編集はCMSで行える点や、表示速度・セキュリティ面で有利になる点です。注意点は、テンプレート側のファイル構成や画像パスを整える必要があること、運用ルールを決めないと編集者が混乱することです。場合によってはビルドやキャッシュの運用を検討してください。
検索キーワードの工夫
はじめに
目的に合ったキーワードを使うと、必要な情報に早くたどり着けます。検索意図（概要を知りたい、実装を知りたい、ツール比較をしたい）を意識して言葉を組み合わせましょう。
目的別のキーワード例
- CMSの概要を知りたい場合
- 「CMS 静的ページ とは」：基本の解説を探すときに有効です。
-
「静的CMS 動的CMS 違い」：違いを比較した記事が見つかります。
-
実装・制作のイメージを知りたい場合
- 「a-blog cms 静的HTML テンプレート」：具体的な導入例やテンプレートを探せます。
-
「WordPress 固定ページ 静的サイト化 プラグイン」：手順やプラグイン名を知りたいときに使います。
-
ツール選定をしたい場合
- 「静的CMS ツール 比較」：複数の候補を一覧で確認したいときに便利です。
- 「静的サイトジェネレーター CMS 連携」：連携のしやすさを調べるときに有効です。
キーワード作りのコツ
- 意図を明確にする：知識系は「とは」「違い」、手順系は「方法」「テンプレート」「プラグイン」を加えます。
- ブランド名＋作業：例「WordPress 固定ページ 静的化」は具体性が増します。
- ロングテールを試す：困りごとやエラー文をそのまま入れると解決策が見つかりやすいです。
- 表記ゆれを意識：ひらがな、漢字、アルファベットの組み合わせを試してください。
これらを組み合わせて検索すると、目的に合った情報を効率よく見つけられます。
よくあるユースケース
1. 既に静的HTMLで作ったサイトをCMS化して更新しやすくしたい場合
- 目的: HTMLを直接編集する手間を減らし、非エンジニアでも更新できるようにする。
- 具体的な流れ: テンプレート部分（ヘッダー・フッター・サイドバー）を切り出し、CMSのテンプレートに移行します。既存のページはコンテンツとして取り込み、管理画面から編集できるように設定します。小さなサイトなら手作業で、量が多ければ一括変換ツールやスクリプトを使います。
- 利点: 更新のスピードが上がり、誤編集が減ります。複数人での運用が楽になります。
- 注意点: URL構成やSEOを崩さないようにリダイレクトを計画してください。デザイン崩れや動的機能の互換性も事前に確認します。
2. コーポレートサイトで「ニュースだけCMS」「それ以外は静的」の組み合わせ
- 目的: 更新頻度が高い箇所だけCMSで管理し、他は軽量な静的運用を続ける。
- 具体例: 会社概要や製品ページは静的で高速表示にし、ニュースや採用情報はCMSで編集。ニュース一覧や個別記事だけをCMSで生成して、公開時に静的ファイルとして出力する方式も使えます。
- 利点: サイト全体の速度と安定性を保ちながら、運用コストを抑えます。編集者は管理画面で簡単に投稿できます。
- 注意点: デザインの一貫性を保つためにテンプレートを共有します。検索やパンくずなど、サイト全体で同じ動作が必要な部分は連携を設計してください。
チェックリスト（導入前に確認）
- 更新担当者は誰かを決める
- 現行のURL構成を整理する
- テンプレートの切り出し方を設計する
- テスト環境で表示やリンクを検証する
実例を想像しながら進めると、導入後の運用がスムーズになります。
簡単な比較表
| 観点 | 静的ページ（純HTML） | CMSの静的ページ機能 |
|---|---|---|
| 更新のしやすさ | コード編集やFTP・Gitでの反映が必要になりがち。開発者が対応すると早い例：デザイン修正をコードで直す。 | 管理画面からテキストや画像を直接編集できます。非開発者でも更新できる例：店舗の営業時間修正。 |
| 表現の自由度 | HTML/CSS/JavaScriptを自由に書けます。アニメーションや独自レイアウトも実装可能です。 | テンプレートやブロックの制約を受けることがあります。多くはカスタムHTMLやプラグインで回避できます。 |
| 変更反映 | ファイルをアップロードし直すか再デプロイが必要なことが多いです。キャッシュ対応も自分で行います。 | 「公開」ボタンで即時反映や下書き管理、承認フローを使えます。自動でキャッシュをクリアする仕組みも多いです。 |
補足のポイント
- 運用人員: 少人数で頻繁に更新するならCMSが向きます。逆に固定ページが多く、複雑な表現が必要なら静的HTMLが適します。
- 保守とコスト: 静的はホスティング費用が安い場合が多く、CMSは運用管理やプラグインで追加費用がかかることがあります。
- 具体例: 小さなランディングページやプロトタイプは静的HTML、会社の採用情報や店舗情報はCMSでの運用が現実的です。
用途に合わせて利点を生かすと運用が楽になります。
