はじめに
目的
この資料は、CMS（コンテンツ管理システム）のデータ移行について、検索者が知りたい事柄を整理し、移行の手順や注意点を分かりやすくまとめた入門ガイドです。実際の現場で使える具体例を交えて説明します。たとえば、個人ブログを別のCMSへ移す場合や企業サイトを刷新するときの参考にしてください。
想定読者
・サイト責任者や編集担当者
・開発者や外注先を管理する方
・これから移行を検討する方
初心者の方でも読みやすいよう、専門用語は最小限にし具体例で補います。
本章で伝えたいこと
本資料の全体構成と各章の役割を示します。第2章で移行の基本、第3章で準備、第4章で新CMSの選び方とデザイン決定、第5章でデータ移行方法の種類と選び方を詳述します。
読み方のポイント
各章は順番に読むと流れがつかみやすいです。まず自分の目的（例：表示の速さ、編集のしやすさ、コスト）を明確にしてください。目的を決めることで、後の判断が楽になります。
CMS移行とは何か
概要
CMS移行とは、現在使っているコンテンツ管理システム（CMS）を別のCMSに切り替える作業です。単にソフトを入れ替えるだけでなく、記事や画像、URL、設定、利用者情報などを正確に移す必要があります。
移行で扱う主な要素
- コンテンツ（記事、ページ）: 見出しや本文、公開日など。例: ブログ記事や商品説明。
- メディア: 画像や動画のファイルと参照パス。
- URLとリダイレクト: 旧URLが変わるとアクセスが途切れるため管理が必要です。
- デザインとテンプレート: 表示方法を新CMSに合わせます。
- メタ情報と設定: SEO用の説明文やカテゴリ、カスタムフィールド。
なぜ移行するのか
機能不足や保守性、コスト、セキュリティ向上のために移行します。例えば、スマホ対応が弱いCMSからレスポンシブ対応のCMSへ移すケースです。
難しさと注意点
データ構造が異なるため単純コピーで済まないことが多いです。画像パスや内部リンク、プラグイン依存、ユーザー権限の再設定などで問題が起こります。
成功のための心構え
事前に移行対象を一覧化し、マッピング（旧→新の対応表）を作り、テスト環境で段階的に確認します。バックアップとロールバック手順も準備します。
CMS移行前の準備段階
1) コンテンツの棚卸しと評価
移行前はまず全ページと資産（画像、PDFなど）を一覧にします。スプレッドシートでURL、担当者、公開日、重要度（高・中・低）を記録してください。例えば「製品ページ：高」「ブログ：中」といった具合に分類すると優先順位が明確になります。
2) 要件定義とリソース確保
誰が何を担当するかを決めます。技術担当、編集担当、テスト担当を割り当て、必要な予算や時間を見積もります。必要機能（多言語、検索、フォーム等）は具体例で書き出すと後の判断が楽になります。
3) データバックアップの実施
移行作業前に必ず完全バックアップを取ります。ファイルとデータベースを別々に保存し、復元手順を確認してください。外部ストレージやクラウドへ複数コピーを置くと安全です。
4) 実行計画とスケジュール設定
フェーズ（棚卸し→設計→移行→検証）ごとに期限を決め、各工程の成果物を明記します。短いテスト期間を挟むと問題を早期に発見できます。
5) テスト計画と関係者連携
移行後の表示確認、リンクチェック、フォーム送信などのテスト項目を作ります。担当者にチェックリストを配り、問題報告の窓口を一本化すると対応が速くなります。
準備を丁寧に行うことで移行リスクは大きく下がります。急ぎすぎず、優先度に従って着実に進めてください。
新CMSの選定とデザイン決定
1. 要件を明確にする
移行対象のコンテンツ（記事、商品、会員情報、フォーム等）と運用フローを洗い出します。例：多言語対応が必要か、検索が重要か、編集権限はどう分けるか。優先順位を付けると選定がぶれません。
2. CMS候補の比較ポイント
- 機能性：標準で必要機能があるか。プラグインや拡張で補えるか。例としてEC連携や予約機能。
- 運用性：編集画面の使いやすさ、権限管理、バックアップ方法。
- コスト：初期費用、ライセンス、運用コスト（ホスティングや保守）。
- 技術要件：PHPやNode.js、ヘッドレス対応など。既存技術との親和性を確認します。
- セキュリティとサポート：更新頻度やベンダーの対応力。
3. デザイン方針とテンプレート選定
ブランドガイドに沿った色・書体を決め、ユーザー導線を優先してワイヤー化します。テンプレートを使う場合は、カスタマイズのしやすさとレスポンシブ対応を確認してください。例：ニュース中心なら一覧・カテゴリページの見やすさを重視します。
4. フロントエンド実装の注意点
パフォーマンスを意識して画像の最適化や遅延読み込みを取り入れます。SEOを考えた構造化データやメタタグ設定を設計段階で決めます。静的生成やキャッシュ戦略も候補に入れてください。
5. 検証と最終決定
候補CMSでプロトタイプを作成し、編集者と運用担当で操作性テストを行います。コストとリスクを比較して最終決定を下します。移行後の保守体制も同時に確保してください。
データ移行方法の種類と選択
手作業（コピー＆ペースト）
小規模なサイトや数ページだけの更新に向きます。作業は単純で追加ツールが不要です。欠点は時間がかかり、ヒューマンエラーが起きやすい点です。
CSVエクスポート／インポート
記事一覧やユーザー情報をCSVで扱います。代表的な項目はタイトル、本文、作成日、カテゴリ、スラッグなどです。テンプレートで整形すれば一括移行が楽になりますが、画像や複雑なフィールドは別扱いになります。
プラグインによる自動化
WordPressなどでは移行プラグインが豊富です。投稿・画像・メタデータを自動で移すため工数が大幅に減ります。互換性を確認してテスト環境で動作検証してください。
専用プログラムによる自動化
APIやデータベースに直接アクセスするスクリプトを作成します。大量データや特殊な構造に強く細かなルールを適用できますが、開発と検証に時間と専門知識が必要です。
CMS未導入サイトからの移行
静的HTMLや古いシステムからはスクレイピングやパーサーを使って構造化します。リンクや画像パスの正規化を忘れずに行ってください。
選び方のポイント
規模、データの複雑さ、ダウンタイムの許容度、予算で選びます。小規模なら手作業やCSV、大規模ならプラグインか専用プログラムが現実的です。WordPressからの移行はCSVやプラグイン利用が一般的で、まずテスト移行とバックアップを必ず行ってください。
