cmsの種類ごとの特徴と選び方のポイントを徹底解説

目次

はじめに

本資料はCMS(コンテンツ管理システム)の種類や特徴、代表的な製品例、比較ポイントについて丁寧に解説します。まずCMSの基本を押さえ、次にオープンソース型、クラウド型(SaaS型)、パッケージ型、独自開発型の4種類に分けて、それぞれのメリット・デメリットと代表例を紹介します。最近注目されるヘッドレスCMSについても触れ、最後に選定のポイントを示します。

この資料で学べること

  • CMSの役割と基本的な仕組みを理解できます。
  • 各種類の特徴と使いどころが分かります(例:小規模サイト向け、企業サイト向けなど)。
  • 導入時に見るべき比較ポイントが分かります。

想定する読者

  • これからサイトを作る方や、既存サイトのCMSを見直す方。
  • 技術担当者だけでなく、運用担当や企画担当の方にも役立つ内容です。

読み方のおすすめ

章は順に読むと理解しやすいです。まず第2章でCMSの全体像を把握し、用途に応じた章(第4〜7章)を重点的に読むと実務で活用しやすくなります。必要に応じて第11章の選び方ポイントを参考にしてください。

CMSとは?

CMSの定義

CMS(コンテンツ管理システム)は、専門的な知識がなくてもWebサイトの文章や画像を作成・編集・公開できる仕組みです。HTMLやサーバー操作を普段しない人でも扱えます。

何ができるのか(具体例で説明)

  • 記事作成:ブラウザ上で見出しや本文を入力し、公開ボタンを押すだけで記事が表示されます。
  • 画像管理:写真をアップロードしてページに挿入できます。
  • デザイン切替:テンプレートを変えるだけで見た目を一括変更できます(例:会社のコーポレートサイトとブログで使い分け)。

主な構成要素(簡単に)

  • エディタ:文章を編集する画面。ワープロ感覚で使えます。
  • テンプレート/テーマ:見た目を決める部品。
  • メディアライブラリ:画像やファイルの保管場所。
  • ユーザー権限:編集者や管理者などの役割を分けられます。
  • 拡張機能(プラグイン):機能を追加できます(例:お問い合わせフォーム)。

導入の利点と注意点

利点:更新が速く、複数人で運用しやすい点が大きなメリットです。コストや管理負担を下げられます。注意点:初期設定や保守が必要で、使い方によっては過剰な機能が逆に手間になることがあります。

誰に向くか

企業の広報担当、個人ブロガー、商品情報を頻繁に更新する担当者など、非技術者がコンテンツを扱う場面に特に向いています。

CMSの主な種類

CMSは主に「提供形態」と「開発・運用方法」によって分類します。ここでは代表的な4種類を分かりやすく説明します。

1. オープンソース型

特徴: ソースコードが公開され、誰でも使えます。多くは無料で始められます。
メリット: カスタマイズ性が高く、プラグインやテーマが豊富です。小規模サイトから大規模サイトまで幅広く使われます。
例: WordPress(ブログ・コーポレートサイトによく使われる)

2. クラウド型(SaaS型)

特徴: サービス提供者がシステムを運用し、ユーザーはブラウザだけで利用します。
メリット: 導入が簡単で、サーバー管理が不要です。非技術者でも扱いやすい設計が多いです。
例: Wix、Squarespace、Shopify(ECに強い)

3. パッケージ型

特徴: ベンダーが提供する完成されたソフトを購入して導入します。導入支援や保守契約が付くことが多いです。
メリット: 安定性とサポートが期待できます。業務要件に合った構成で導入する企業が使います。
例: 企業向けの商用CMS(導入支援がある製品)

4. 独自開発型

特徴: 自社で設計・開発する方式です。既存のCMSでは実現しにくい要件に対応できます。
メリット: 自由度が最大で、他社と差別化しやすいです。反面、開発や保守のコストが高くなります。

それぞれ特長が異なるため、目的や予算、運用体制に合わせて選ぶことが大切です。後続の章で詳しく比較していきます。

オープンソース型CMS

特徴

オープンソース型CMSはソースコードが公開され、誰でも無料で利用・改変・再配布できます。世界中の開発者が機能拡張や不具合修正、安全性向上に参加します。基本機能は無償で手に入り、プラグインやテーマで見た目や機能を自由に変えられます。

メリット

  • 導入コストが低い(基本無料)ため、予算を抑えたい企業や個人に向きます。
  • カスタマイズ性が高く、独自機能を追加しやすいです。
  • プラグインやテーマが豊富で、短時間でサイトを作れます。

デメリット

  • トラブル発生時は自社で調査・対応する必要が多く、技術力が求められます。
  • セキュリティ対策やソフトウェアの更新(アップデート)は運用側の責任です。
  • プラグインの相性問題やアップデートで動作が変わることがあります。

導入時のポイント

  • 定期的なバックアップとアップデートを計画してください。
  • 利用するプラグインの評価や更新履歴を確認し、信頼できるものを選びます。
  • 必要なら外部の開発会社やコミュニティの有償サポートを検討すると安心です。

代表例(簡単な特徴)

  • WordPress:直感的で導入しやすく、世界で最も利用されます。
  • Drupal:大規模サイト向けで柔軟な権限管理が得意です。
  • Joomla!:中規模のサイトでバランスが良く、拡張性があります。

クラウド型CMS(SaaS型CMS)

概要

クラウド型CMS(SaaS型CMS)は、ベンダーが用意したサーバー上で動くサービスをブラウザから利用するタイプのCMSです。自社でサーバーやインフラを用意せず、ネット環境があればすぐに使い始められます。

特徴

  • ベンダーが運用・保守・セキュリティ対策を行います。
  • ブラウザだけで管理でき、更新や機能追加が自動で反映されます。

メリット

  • サーバー管理やソフト更新の手間が不要です。
  • 初期導入が短期間で済みます。すぐにサイト公開できます。
  • サポートやマニュアルが整っており、担当者が不慣れでも運用しやすいです。

デメリット

  • プラットフォーム上の制約でカスタマイズ性が限定されます。
  • 月額・年額の利用料が発生します。
  • ベンダー依存(乗り換えやデータ移行の手間)が生じることがあります。

導入時のポイント

  • 必要な機能が標準で備わっているかを確認してください。
  • 将来的な拡張性や外部サービスとの連携性をチェックします。
  • データのエクスポート方法や費用を事前に確認しておきます。

代表的なサービス

Wix(汎用サイト構築)、Shopify(EC向け)、STUDIO(デザイン重視)、microCMS(ヘッドレス対応)

用途としては、小規模事業やキャンペーンサイト、ECの立ち上げ、短期間での公開を目指す場合に特に向いています。

パッケージ型CMS

概要

ベンダーが開発・販売する有償のCMSパッケージを購入し、自社のサーバー(オンプレミス)や指定環境にインストールして使います。導入から運用までベンダーの提供する機能やサポートを受けられる点が特徴です。

特徴

  • 導入時にまとまった機能がそろっているため、短期間で運用を始めやすいです。
  • 業務システムとの連携や画面・機能の独自カスタマイズがしやすく、企業要件に合わせて調整できます。
  • ベンダーによる保守や障害対応、セキュリティ対応が受けられます。

メリット

  • 業務に合わせた高度なカスタマイズが可能で、社内システムとの統合がしやすいです。
  • 専用サポートや契約に基づく保証があるため、運用の安心感が高まります。

デメリット

  • ライセンス費用や初期導入費が高くなる場合があります。
  • 専門知識がないと導入・保守が難しく、外部ベンダーに委託することが多いです。

導入時のポイント

  • 目的と必要機能を明確にして、カスタマイズ範囲と費用を見積もってください。運用体制(社内での保守かベンダー委託か)も決めておくと失敗が少なくなります。

代表例

Movable Type、Adobe Experience Manager、HeartCore

独自開発型CMS

特徴

自社や外部ベンダーで一から設計・開発するCMSです。特定の業務フローやデザイン要件に合わせて、機能を最適化できます。既存の製品にない独自機能を実装できます。

メリット

  • 機能や画面を完全に自由に設計できます。
  • 社内システムや基幹システムと厳密に連携できます。
  • セキュリティ方針や運用ルールに合わせて調整できます。

デメリット

  • 開発費用と期間が大きくなります。
  • 保守やアップデートは自社または契約先の責任です。
  • 要件変更で追加コストが発生しやすいです。

向くケース(具体例)

  • 銀行や自治体の専用業務
  • 複雑な承認フローや個別要件があるECサイト
  • 他システムと深く連携する社内ポータル

開発・保守での注意点

  • 要件定義を丁寧に行い、将来の拡張を見越してください。
  • テストやドキュメントを充実させ、技術継承の仕組みを作ってください。
  • 外部依存(ライブラリやフレームワーク)の管理も重要です。

導入の進め方

  1. 要件を明確化する
  2. 小さなプロトタイプで検証する
  3. 運用体制と保守計画を整える

独自開発は自由度が高い反面、コストと責任が増します。必要性を慎重に検討してください。

各CMS種類の比較表

以下は種類ごとに「コスト」「カスタマイズ性」「サポート」「セキュリティ」「導入・運用難易度」を比較した簡潔な表現です。具体例を挙げながら分かりやすく説明します。

コスト

  • オープンソース型:ソフト自体は無料が多いですが、開発や保守に費用がかかります(例:サーバー代や開発者人件費)。
  • クラウド型:月額や年額の料金が発生します。初期費用を抑えやすいです。
  • パッケージ型:買い切りのライセンス費用が高めです。導入時にまとまった費用が必要です。
  • 独自開発型:要件次第で非常に高額になります。設計・開発・テストで費用が膨らみます。

カスタマイズ性

  • オープンソース型:柔軟に改変できます。独自機能を追加しやすいです。
  • クラウド型:提供機能の範囲で利用します。柔軟性は限定されますがテンプレートで素早く作れます。
  • パッケージ型:高いカスタマイズ性を持つ製品もあります。ベンダーと調整して対応します。
  • 独自開発型:要望通りに作れます。最も自由度が高いです。

サポート

  • オープンソース型:主にコミュニティや外部ベンダーに頼ります。
  • クラウド型:ベンダーからのサポートが受けられます。運用相談がしやすいです。
  • パッケージ型:導入ベンダーのサポートが基本です。保守契約を結べます。
  • 独自開発型:自社または委託先がサポートします。継続的な体制が必要です。

セキュリティ

  • オープンソース型:自社で更新や対策を行います。管理次第で安全性が変わります。
  • クラウド型:ベンダーがセキュリティ対策を行います。責任分界点を確認してください。
  • パッケージ型:導入企業が設定や対策を行います。ベンダー支援が受けられます。
  • 独自開発型:設計段階で高い安全性を組み込めますが、運用負担が大きいです。

導入・運用難易度

  • オープンソース型:ある程度の技術力が必要です。柔軟性と引き換えに手間がかかります。
  • クラウド型:低めです。初めての導入でも始めやすいです。
  • パッケージ型:中~高。導入規模やカスタマイズで難易度が変わります。
  • 独自開発型:非常に高いです。要件定義や品質管理に専門知識が必要です。

代表的なCMSと特徴

以下は代表的なCMSとその特徴、向いている用途です。

  • WordPress
  • オープンソースで圧倒的なシェア。プラグインやテーマが豊富でコストを抑えて始められます。ブログや中小企業のサイト、情報発信に向きます。

  • Drupal

  • 柔軟性と拡張性が高く、複雑な権限管理や大規模コンテンツに強みがあります。開発や運用に技術力が必要です。

  • Joomla!

  • 多言語対応やコミュニティ機能が得意で、中規模サイトに適します。海外での導入例が多いです。

  • Wix

  • クラウド型でテンプレートを直感的に編集できます。初心者が手早く公開するのに便利で、ホスティング込みです。

  • Shopify

  • ECに特化したクラウド型。決済や在庫管理が簡単で、サブスク型のため運用が楽です。オンラインショップに最適です。

  • STUDIO

  • デザイン性を重視したクラウド型ノーコードツール。ビジュアル重視のポートフォリオや企業サイトに向きます。

  • microCMS

  • ヘッドレス型のクラウドCMSで、API経由で自由に表示を作れます。フロントを独自に設計したい開発者に適し、日本語サポートがあります。

  • Movable Type

  • パッケージ型で企業向けの実績が豊富。セキュリティや運用サポートを重視する場合に選ばれます。

  • Adobe Experience Manager

  • 大規模サイト向けの高機能パッケージ。マーケティングや分析、統合機能が充実しますが導入コストは高めです。

最近注目の「ヘッドレスCMS」とは

概要

ヘッドレスCMSは、表示(フロントエンド)と管理(バックエンド)を分けた仕組みです。コンテンツは管理画面で作成・保存し、APIを通して必要な場所に届けます。スマホアプリやIoT、複数サイトへ同じデータを配信するときに役立ちます。

主な特徴

  • フロントエンドと独立:表示は自由に作れます。例えば、ReactやVueで独自のデザインを作れます。
  • APIで配信:データをJSONなどで受け取り、様々なデバイスに対応できます。
  • 開発の柔軟性:開発者が好みの技術を使えます。

利点(具体例付き)

  • マルチチャネル配信:同じ記事をWeb、アプリ、デジタルサイネージに再利用できます。
  • 高速なページ表示:表示部分を最適化すれば表示速度が向上します。
  • チーム分業しやすい:デザイナーは見た目を、編集者はコンテンツを別々に作業できます。

代表例

  • microCMS:日本発で使いやすく、導入が速いです。
  • Kuroco:柔軟なAPI設計と日本語サポートが特徴です。
  • Contentful:世界的に広く使われ、機能が豊富です。

導入時の注意点

  • API制限や料金体系を確認してください。トラフィックが増えると費用が変わる場合があります。
  • プレビュー機能の有無で編集体験が変わります。実際に確認すると良いです。
  • フロントエンドの実装が必要なので、開発体制を整えてください。

CMS種類の選び方ポイント

1) 自社サイトの規模・目的を明確にする

まず目的をはっきりさせます。コーポレートサイトは静的ページが中心で、SaaS型やパッケージ型で十分なことが多いです。ECサイトは決済や在庫管理が必要なので、専用のEC対応CMSやプラグインが充実した選択が向きます。メディアや多数記事を扱う場合は、拡張性の高いオープンソースやヘッドレスが適します。

2) ITリテラシーと運用体制

社内に開発者がいるか、運用を外部委託するかで選び方が変わります。社内で管理できる人が少ないなら、管理画面が分かりやすくサポートのあるクラウド型が安心です。自社でカスタマイズを頻繁に行うなら、ソースを自由に触れるオープンソースや独自開発が適します。

3) コスト(初期・運用)

初期費用は導入やデザイン制作、カスタマイズ費用を含みます。運用費はホスティング、ライセンス、保守、プラグインの更新費用などです。低コストで始めたい場合はクラウド型、長期的に細かく改良する予定があるならオープンソースや独自開発の総コストを試算してください。

4) カスタマイズやデザインの自由度

テンプレートで素早く作るならクラウド型やパッケージ型が便利です。独自の表現や複雑な機能を実装したいなら、オープンソースやヘッドレス、独自開発が適します。例:多言語対応や特殊検索機能を入れる場合は柔軟性を重視します。

5) サポートやセキュリティ要件

運用中のサポート体制、バックアップ、自動アップデートの有無を確認します。個人情報を扱う場合はセキュリティ対策やコンプライアンス対応が必須です。ベンダーの信頼性や実績も評価基準に入れてください。

最終チェックリスト(実務で使える質問)

  • 目的は何か(集客・販売・情報発信)?
  • どの程度の頻度で更新するか?
  • 社内に技術者はいるか?外部に依頼するか?
  • 予算の上限は?初期と毎月の費用は?
  • 必要な外部連携(決済、CRMなど)はあるか?

これらを基に、必要な機能と運用体制を照らし合わせて候補を絞ると選定が楽になります。

まとめ:CMS種類選定のポイント

以下では、CMSの種類ごとに選定ポイントを分かりやすく整理します。

  • オープンソース型(例:WordPress)
  • 低コストで始めやすく、拡張やカスタマイズに強いです。多数のプラグインやテーマがあり情報も豊富です。社内で開発・運用できる体制がある場合に向いています。

  • クラウド型(SaaS)(例:Wix、Squarespace)

  • サーバー管理や更新作業が不要で運用が楽です。サポートが充実しているサービスを選べば安定して運用できます。短期間でサイトを公開したい場合に適します。

  • パッケージ型・独自開発型

  • 企業固有の要件や大規模な運用がある場合に適します。初期費用や導入期間がかかりますが、要件にぴったり合わせられます。ITチームや外部ベンダーと密に連携してください。

  • ヘッドレスCMS(例:Contentful)

  • 複数デバイスへの配信やAPI活用が重要な場合に有利です。フロントエンドを自由に設計できるため、モバイルアプリやIoT連携にも向いています。

選定のためのチェックリスト

  • 目的:情報発信、EC、会員サイトなど目的を明確にします。
  • 予算:初期費用とランニングコストを見積もります。
  • 運用体制:社内で運用するか外部に委託するか決めます。
  • 拡張性と技術要件:将来の機能追加や連携を想定します。
  • セキュリティと法令対応:必要な基準を満たせるか確認します。

選定の進め方(簡潔)

  1. 要件を整理して優先順位を付けます。
  2. 候補を絞り、実際に試用やデモを実施します。
  3. 小さなテスト導入(PoC)で運用性を確かめます。
  4. 最終的に費用対効果と運用負荷を踏まえて決定します。

最後に

自社の目的と運用体制を最優先に考えてください。状況に応じて専門家に相談し、導入後も定期的に見直すことをおすすめします。

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