はじめに
調査の目的
本調査は「cms プラン」に関する検索キーワードの動向と、利用者が知りたい料金や機能の違いを分かりやすく整理することを目的としています。CMS選びで迷う方が、自分に合ったプランを見つけられるよう案内します。
対象と範囲
国内外の代表的なクラウド型・ヘッドレス・オープンソースCMSを対象に、無料プランと有料プランの違い、プラン別の機能、価格帯の比較、用途別の選び方を中心に調査しました。個人サイトから企業サイトまで幅広く想定しています。
本記事の読み方
各章では具体例を交えて説明します。例えば「無料プラン」は個人ブログや試験運用向け、「有料プラン」は商用サイトやトラフィックが多いサイト向けといった使い分けを示します。専門用語は可能な限り避け、初心者にも理解しやすい表現でお伝えします。
注意点
プラン名や価格はサービス側の変更で変わることがあります。実際に導入を決める際は、公式サイトで最新情報をご確認ください。
CMS選択時の重要なポイント
1. 目的を明確にする
まず用途をはっきりさせます。例えば個人ブログなら編集のしやすさ、企業サイトなら多言語対応や公開権限が重要です。具体例を想定すると判断が楽になります。
2. 機能と拡張性
必要な機能（フォーム、検索、API連携など）を洗い出します。将来の拡張を見越して、プラグインや外部サービスとの相性も確認してください。例：EC機能を将来追加する可能性がある場合は対応の有無をチェックします。
3. コスト構造
初期費用だけでなく、利用料・トラフィック費用・追加機能の費用を比較します。小規模は無料プラン、大規模は従量課金や固定プランが向きます。
4. サポートと日本語対応
日本語のドキュメントやサポート窓口があると安心です。導入時のサポート品質は運用の負担を大きく左右します。
5. スケーラビリティと信頼性
アクセス増加時の対応、バックアップ、復旧手順を確認します。例：アクセス急増時に自動でスケールするかどうか。
6. セキュリティと運用性
認証、権限管理、ログ管理、更新手順をチェックします。運用担当者が扱いやすい管理画面かも重要です。
7. 導入・移行のしやすさ
既存データの移行手順やエクスポート機能を確認してください。移行コストが高いと後で困ります。
チェックリスト（短く）
目的、必須機能、総コスト、日本語サポート、スケール性、セキュリティ、移行のしやすさを満たしているか順に確認してください。
国産CMS「microCMS」のプラン体系
プランの全体像
microCMSは日本語の使いやすさと手厚い日本語サポートが強みのヘッドレスCMSです。無料、Team、Businessの主な3プランがあり、用途に応じて選べます。
無料プラン（試用・小規模向け）
- 特徴: ストレージは実質無制限、APIリクエスト無制限で試しやすいです。
- 制限: 月間転送量が20GBを超えるとサービス停止となります。
- 向き: 個人ブログやテスト、社内の簡単な情報公開に向きます。例えば画像少なめのコーポレート情報サイト。
Teamプラン（中小〜成長企業向け）
- 価格: 月額4,900円〜（プラン幅やオプションで変動）
- 特徴: 月200GBのデータ転送、コンテンツ2万件管理など現場で使いやすい容量。
- 向き: 小〜中規模のコーポレートサイト、ECの一部、複数人での運用に適します。
Businessプラン（大規模・高機能向け）
- 価格帯: 6万円台〜（要見積もりで機能調整可能）
- 特徴: 月1TBの転送量や高度な機能（パフォーマンス保証や追加サポート）に対応します。
- 向き: 大規模メディア、トラフィックが多いサービス、セキュリティやSLAが重要な案件。
選び方の目安
- トラフィックが少なくコストを抑えたいなら無料プランで試すと良いです。実運用で転送量が増える見込みがあればTeam以上を検討してください。
- 日本語サポートやUIを重視する場合、microCMSは導入後の安心感があります。
海外主要CMS「Contentful」と「Sanity」の比較
概要
Contentfulは多言語や大規模チーム向けの機能が充実した商用向けCMSです。無料プランは開発用途中心で商用利用に制限があり、APIコール数などの上限があります。ライト相当の商用プランは約300ドル/月からです。Sanityは無料プランでも商用利用を許可し、リアルタイム編集やチームコラボ機能が強みです。従量課金プランは99ドル〜が目安です。
主な違い
- 多言語・エンタープライズ機能：Contentfulが強い。大規模なロール管理やSAML連携など企業向け機能を備えます。
- 料金体系：Contentfulは階層型で固定費が高め。Sanityは使用量に応じた従量課金で柔軟性があります。
- コラボレーション：Sanityはリアルタイムで編集内容を共有しやすく、小〜中規模チームで扱いやすいです。
向いている用途
- Contentful：多言語サイト、大規模組織、厳しいコンプライアンス対応が必要な場合。
- Sanity：開発速度を重視するプロジェクト、チームで頻繁に編集するサービス、中小企業向け。
導入時の確認ポイント
- API制限とコール数の見積もりを行う。
- 多言語対応や認証方式の要件を照合する。
- 実際の編集ワークフローを試し、リアルタイム性やプレビューの挙動を確認する。
- 予算に対する固定費と変動費のバランスを評価する。
各社の無料プランでまず試し、要件に合うかを検証することをおすすめします。
オープンソースCMS「Strapi」と「Ghost」の特徴
Strapi（ストラピ）
- 概要：オープンソースのヘッドレスCMSで、自己ホストならライセンス料は無料です。管理画面でスキーマ（コンテンツ構造）を作成し、RESTやGraphQLでデータを提供します。
- 特長：APIリクエストやストレージに制限が無く、柔軟なデータ設計が可能です。開発者向けの拡張性が高く、複数のチャネル（Web、モバイル、IoT）に向く構成が得意です。
- 注意点：自己ホストの場合はサーバー費用や運用（バックアップ、セキュリティ）を自分で負担します。Strapi Cloudという有料のマネージドサービスもあります。
Ghost（ゴースト）
- 概要：ブログやオンラインマガジンに特化したオープンソースCMS。自己ホストで無料利用できます。
- 特長：執筆体験と公開機能が充実しており、会員管理や有料購読の仕組みが内蔵されています。テンプレートやメール配信、SEO機能も簡単に使えます。
- 注意点：コンテンツ寄りの機能に特化しており、複雑なデータ構造や多様なAPI用途には向かない場合があります。Ghost(Pro)というホスティングプランは月9ドル程度からで、運用を任せられます。
選び方のポイント（簡潔）
- カスタムAPIやマルチチャネルが必要ならStrapiを検討してください。
- ブログ運営や会員課金が主目的ならGhostが導入しやすいです。
利用例
- Strapi：ECのカタログ管理、スマホアプリ向けAPI、企業サイトの複雑な情報管理。
- Ghost：個人メディアの有料会員制、ニュースレター中心の運用。
国内クラウド型CMS「Wix」「Jimdo」などの価格帯
概要
国内で利用しやすいクラウド型CMSは、料金や機能の幅が広いです。代表例はWix（月額4,850円～58,500円）、Jimdo（4,950円～35,640円）、HubSpot CMS（無料～月額180,000円）です。年払い割引やCRM連携が充実するプランもあります。
Wixの価格帯と特徴
Wixは個人サイト向けの安価プランから、企業向けの大容量プランまで揃います。月額4,850円は基本的な公開とカスタムドメイン対応、上位プランは予約・EC・高度なSEOやサポートを含みます。年払いで割安になります。
Jimdoの価格帯と特徴
Jimdoも小規模サイトからEC対応まで対応します。月額4,950円の入門プランで基本公開とSSLが使え、上位プランは決済連携や広告非表示、より大きなストレージを提供します。
HubSpot CMSについて
HubSpotは無料で始められますが、CRM連携やマーケティング機能を強化すると大幅に費用が上がります。企業向けに柔軟な料金体系です。
価格比較のポイント
・想定アクセス数と必要なストレージで比較してください。例：写真多めなら上位プランが必要です。
・ECや予約、決済が必要なら該当機能を確認してください。
・年払い割引やサポート内容もコストに影響します。
選び方の簡単な指針
予算が限られるなら最低限の機能で試し、必要に応じて上位へ移行する方法をおすすめします。無料期間やトライアルを活用して操作感を確かめてください。
用途別プラン選択のポイント
この章では、用途ごとに選ぶべきプランのポイントを具体例を交えて説明します。
小規模サイト（個人・ランディング）
低コストと運用の簡便さを重視します。例：microCMSの無料プランやSanityの無料、Ghostの自己ホスト、Jimdoの低価格プランが向きます。ページ数やトラフィックが少なければ無料や最安プランで十分です。
中規模サイト（コーポレート・サービス）
チームでの編集や外部連携を考えます。例：microCMSのTeamプラン、WixのAdvanced、Jimdoプレミアム。バックアップや権限管理、API制限を確認してください。
大規模サイト（メディア・EC）
スケーラビリティとSLA、細かな権限管理が重要です。例：ContentfulのLite以上やHubSpot Enterpriseを検討します。配信量や検索性能、キャッシュ戦略を確認します。
多言語対応
翻訳管理や言語ごとのバージョン管理が必要です。対応がしっかりしたCMSを選んでください。microCMSやContentfulは多言語に強いです。
会員制・課金モデル
会員管理や課金連携が必要なら、外部決済サービスとの接続性や会員ごとの権限設定を確認します。HubSpotや専用プラグイン対応があるCMSを選ぶと安心です。
選定チェックリスト
- 想定トラフィックとデータ量
- チーム人数と権限の必要度
- 外部サービス連携（決済・検索）
- 多言語や会員機能の有無
用途に合わせて、まずは低コストで試し、必要に応じて上位プランへ移行する方針がおすすめです。
無料プランから有料プランへの移行基準
収益とプランの目安
多くのCMSは段階的な料金体系を採用します。目安としては次の通りです。月商10万円以下：無料プランで十分。月商10万～100万円：初級有料プランを検討。月商100万円以上：ビジネスプランへ移行。年間売上40万ドル（約）以上：エンタープライズが必要になることが多いです。例：月商15万円のECは、決済や在庫連携のために有料プランが適します。
収益以外の判断基準
- トラフィック（ページビュー／APIコール）の上限到達
- 編集者数や権限管理の必要性
- カスタムドメインやSSL、ブランド機能の要否
- SLAやサポートの優先度、法令準拠（ログ保管など）
- マルチ環境（ステージング／本番）、自動バックアップ、リビジョン
例：編集者が5人以上で同時編集が発生する場合、有料プランを推奨します。
移行の実務手順
- 現状の利用状況を測る（月間PV・APIコール・編集者数・ビルド時間）。
- 各社の有料プランで上限と費用を比較する。
- テスト環境で機能制限や移行手順を検証する。
- バックアップとエクスポートを準備する。
- DNSや認証の切り替えを計画し、時間帯を選んで移行する。
移行時のチェックリスト（簡易）
- データバックアップ完了
- 必要なAPIキー・権限の確認
- 動作確認のテストケース用意
- 影響範囲の通知（社内・顧客）
これらを踏まえ、実際の利用状況と費用対効果を比較して判断してください。
