直帰率の改善でSEO効果とユーザー満足度を高める方法

目次

はじめに

この記事の目的

この連載では「直帰率」について、基礎から実務で使える改善の考え方までを分かりやすく解説します。自社サイトやランディングページ(LP)で直帰率が気になる方が、原因を見つけて対策を打てるようになることを目指します。

読者向け

・サイトに訪問はあるが問い合わせや購入に繋がらない方
・マーケティング担当者や制作担当者で、直帰率の意味や改善方法を知りたい方

本記事で学べること(全7章)

第1章:はじめに(本章)
第2章:直帰率とは何か?離脱率との違い
第3章:直帰率がなぜ重要なのか(SEO・CVRとの関係)
第4章:直帰率の目安と判断基準
第5章:GA4での見方と定義の違い
第6章:直帰率が高くなる主な原因
第7章:改善のための基本的なPDCA

この記事の使い方

章を順に読めば基礎から応用まで身に付きます。まずは現在の直帰率がどの程度かを確認し、気になるページから章5〜7を参考にしてください。読み時間は目安で約5分です。継続して改善する姿勢が成果につながります。

直帰率とは何か?離脱率との違い

定義

直帰率(Bounce Rate)は、サイトに訪れたセッションのうち「入口ページだけを見てサイトを離れた」割合です。最初に来たページから先に進まなかった=一ページだけの滞在を指します。

離脱率(Exit Rate)は、特定のページがそのセッションの最後のページになった割合です。サイト内のどのページでも発生し、必ずしも入口ページである必要はありません。

具体例でわかりやすく

例:100セッションのうち40セッションが最初のページで離脱すれば、直帰率は40%です。一方、あるページAが50回閲覧され、そのうち20回が最後のページになっていれば、ページAの離脱率は40%です。

違いのポイント

  • 対象:直帰率はセッション単位(入口ページに限定)。離脱率はページ単位(閲覧された回数に対する割合)。
  • 意味:直帰率が高いとユーザーが期待した情報を見つけられず「No」と言っているサインになりやすいです。離脱率はページの終点としての役割を示します。

チェック時の注意

入口ページごとの直帰率と、流入元(検索・広告・SNS)を組み合わせて見ると原因が見つかります。ページの読み込み遅延や内容のズレ、導線の分かりにくさがあると直帰率は上がります。

直帰率がなぜ重要なのか(SEO・CVRとの関係)

1) 直帰率が示すもの

直帰率は、ユーザーが最初のページだけ見て離脱した割合を示します。数値が高いということは、そのページがユーザーの期待に合っていない可能性が高いです。分かりやすい導線や適切な情報がなければ、ユーザーは次の行動に進みません。

2) SEOとの関係

直帰率そのものが直接の検索順位シグナルとは言えません。ただし、満足度の低いページが多いサイトは間接的に評価を落とすリスクがあります。検索エンジンはユーザー行動を参考にするため、滞在時間やページ遷移の少なさはマイナス要因になり得ます。つまり、UX改善はSEO対策の一部です。

3) CVR(コンバージョン率)との関係

一般的に、LPの平均直帰率は70〜90%、CVR平均は2〜3%とされています。直帰率を下げれば、同じ流入数でもCV数を増やせます。例えば直帰率が80%から60%に下がれば、ページを最後まで見たユーザーが増え、申し込みや購入につながる確率が上がります。

4) なぜ改善が効果的か

直帰率はユーザーの第一印象を示す早期警告です。コンテンツの質、デザイン、表示速度、導線を見直すだけで大きく改善することが多く、SEOとCVRの両方に良い影響を与えます。

直帰率の目安と「高い」「低い」の判断

概要

直帰率の「良し悪し」は業界やページの目的で大きく変わります。数値だけで一律に判断せず、まずは自社サイトの平均や同じ種類のページと比べてください。

一般的な目安(目安は参考値です)

  • ランディングページ(LP):70〜90%がよく見られます。短い訴求で離脱が多くなりやすいです。
  • コンテンツサイト/ブログ:60〜80%が一般的ですが、1記事だけ読んで満足して離脱するケースが多いです。
  • ECサイトのカテゴリページ:40〜60%程度が望ましいことが多いです。

判断のポイント

  • 自社平均と比較:個別ページが平均より大きく外れていれば要調査です。例えば平均50%で特定ページが75%なら改善優先度が高いです。
  • ページ目的を確認:情報提供が目的なら直帰が高くても問題ない場合があります。CV(購入・申込)を狙うページで高ければ問題です。
  • 補助指標を見る:滞在時間、ページごとのイベント(スクロール・クリック)、直帰率と合わせて判断します。

具体的な目安の使い方

  • まずは「自社の許容範囲」を設定します(例:平均±10ポイント)。
  • 異常値はセグメント別に確認(デバイス、流入元、地域)。
  • 目安を基に優先順位を決め、原因分析へつなげます。

指標は状況を示すヒントです。数値の裏にあるユーザー行動を確認して対応してください。

GA4での直帰率の見方と定義の違い

概要

GA4の直帰率は、従来の「ページを1回しか見なかったセッション」より定義が厳密です。具体的には「エンゲージメント時間が10秒未満・コンバージョンがない・ページビューが1回のみ」のセッションを指します。

UA(ユニバーサルアナリティクス)との違い

UAでは直帰率=離脱したセッションの割合(ページが1枚だけのセッション)でした。GA4は滞在時間やコンバージョンの有無を組み込み、単なる1ページ表示でも十分に滞在・操作があれば“直帰”と見なしません。

GA4での確認方法(手順)

  1. レポート > エンゲージメント > 概要 または ページとスクリーン を開きます。
  2. 表に「直帰率」「平均エンゲージメント時間」「エンゲージメント率」「コンバージョン数」を追加します。
  3. 比較やセグメントで着地ページや流入元ごとに絞り込みます。

分析のポイント(特にBtoB向け)

  • 直帰率と平均エンゲージメント時間をセットで見ると意図が分かります。短時間で離脱してもエンゲージメント時間が長ければコンテンツは読まれている可能性があります。
  • コンバージョンイベント(資料ダウンロードなど)と合わせて、エンゲージメントの無いセッションを洗い出します。
  • エクスプロレーションで「直帰セッション」のセグメントを作り、遷移パターンや流入元を深掘りします。

直帰率が高くなる主な原因

はじめに

直帰率が高くなる理由は一つではありません。ここでは、よくある原因を分かりやすく挙げ、それぞれの例と改善のヒントを紹介します。

1. 検索意図とコンテンツのズレ

説明:ユーザーが知りたいことと記事が提供する情報が合わないと、すぐに離れます。
例:レシピを探しているのに商品ページが表示された。
改善ヒント:ターゲット検索ワードを見直し、見出しで答えを明確に示します。

2. タイトル・ディスクリプションと本文の不一致

説明:見出しや説明で約束した内容が本文にないと信頼を失います。
例:『初心者向けガイド』と書いてあるのに専門用語ばかり。
改善ヒント:タイトルで伝えた内容を冒頭で要約します。

3. ファーストビューの弱さ

説明:最初の画面で何が得られるか分からないと離脱が増えます。
例:長い広告や大きな画像で本文が見えない。
改善ヒント:最初に結論や価値を書き、余計な要素を減らします。

4. ページ読み込み速度が遅い

説明:表示が遅いと我慢できず別ページへ移動します。
例:画像が未圧縮で読み込みに時間がかかる。
改善ヒント:画像圧縮、キャッシュ活用、不要なスクリプト削除を行います。

5. スマホ非対応・操作性の悪さ

説明:スマホで見づらいとユーザーが離れます。
例:ボタンが小さく押しにくい。
改善ヒント:レスポンシブ対応、タップしやすい配置にします。

6. 導線・ナビゲーションの分かりづらさ

説明:次に何をすれば良いか分からないと離脱します。
例:関連情報へのリンクが見つからない。
改善ヒント:見やすい目次や関連記事リンクを置きます。

7. CTA(行動促進)の不適切さ

説明:誘導が弱かったり多すぎると行動されません。
例:申し込みボタンが見えないか複数並んで混乱する。
改善ヒント:目的を絞り、目立つ一つの行動を提案します。

8. コンテンツの質や読みやすさの低さ

説明:情報が整理されていないと読む気が失せます。
例:長文が段落区切りなしで続く。
改善ヒント:見出しや箇条書きで読みやすくします。

9. 広告やポップアップの過剰表示

説明:広告が多いと体験を阻害し離脱を招きます。
例:記事閲覧中に頻繁に表示されるポップアップ。
改善ヒント:必要最小限に抑え、表示タイミングを調整します。

直帰率改善のための基本的な考え方(PDCA)

全体像(PDCA)は必須です

直帰率改善は一度の対策で終わりません。原因の特定→仮説→施策→検証を繰り返すPDCAが基本です。小さな改善を積み上げることで大きな成果になります。

Plan(原因分析と仮説立案)

GA4でページごとの直帰・エンゲージメントを確認し、離脱が起きるページを特定します。ヒートマップやセッションリプレイでユーザーの動きを可視化し、どのブロックで離脱しているかを探します。例:ランディングページのファーストビューで離脱が多ければ、見出しや導入文が目的に合っていないと仮定します。

Do(施策実行)

優先度を「効果×工数」で決め、少ない工数で効果が見込める施策から実行します。例:見出しの文言変更、CTAの色や文言の改善、読み込み速度の向上、不要要素の削除。A/Bテストで比較しながら進めます。

Check(効果検証)

施策ごとにKPIを設定して検証します。直帰率だけでなく、エンゲージメント時間やコンバージョンも見ると全体の改善が分かります。テスト期間は十分に取り、統計的に有意な差を確認します。

Act(改善と次の仮説へ)

検証結果を基に成功施策は横展開し、効果が薄ければ別仮説を立てます。継続的にデータを監視し、定期的にPDCAを回す習慣をつけることが重要です。

具体例(簡単な実践例)

問題:トップページの直帰率が高い。仮説:導入文が分かりにくい。施策:導入文を短くしてメリットを先に記載。検証:A/Bテストで直帰率と滞在時間を比較。結果に応じて修正を繰り返す。

小さな仮説検証を継続することが、直帰率改善の最短ルートです。

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