はじめに
概要
本資料は、Webサイト分析や改善に役立つ「直帰率」と「離脱率」について、違い・計算方法・目安・原因・改善策を分かりやすく解説します。Google Analyticsなどのアクセス解析ツールを使って自社サイトの課題を見つけたいWeb担当者やマーケター向けです。
目的
この章では、本資料の目的と読み方を説明します。直帰率と離脱率を正しく理解し、具体的な改善行動につなげられるようにします。
対象読者
- Webサイトの改善を担当する方
- アクセス解析の基礎を学びたい方
- マーケティング施策の効果を高めたい方
本資料の使い方
各章は順に読むと理解が深まります。まず概念と計算方法を押さえ、次に実際のデータを使って原因分析と改善を行ってください。図や具体例を交えて説明しますので、実務にそのまま使えます。
注意点
用語はできるだけ噛み砕いて説明しますが、ツール設定や業種によって数値の意味が変わります。データを見る際はセグメントや集計期間を確認してください。
直帰率と離脱率の違いとは?
概要
直帰率(Bounce Rate)は、ユーザーが最初に訪れたページだけを見てサイトを離れたセッションの割合です。入口ページで何もアクションせずに帰った人の割合を示します。一方、離脱率(Exit Rate)は、特定のページがそのユーザーの最後の閲覧ページになった割合で、サイト内を複数ページ閲覧した後にそのページで離脱した人も含みます。
計算の違い(イメージ)
- 直帰率:入口ページのセッション数を分母にします。例)100セッションのうち40が直帰→直帰率40%。
- 離脱率:そのページのページビュー数を分母にします。例)ページAが200回見られ、そのうち60回が最後→離脱率30%。
実務での見方の違い
直帰率は「入口ページの第一印象」が分かります。広告や検索結果から来た人が期待と違えば直帰率が高くなります。離脱率は「サイト内の導線」でどこでユーザーが離れているかを示します。複数ページを経由して最後に離脱するページが問題かを追えます。
よくある誤解
同じページでも直帰率と離脱率の値は異なります。ランディングページが離脱率は低くても直帰率は高いことがあり、逆も成り立ちます。
使い分けの簡単な指針
- ランディングページの改善→直帰率を見る
- サイト全体の導線改善→離脱率を見る
両方を併せて見ると、より正確に課題が見つかります。
直帰率・離脱率の計算方法と具体例
計算式
- 直帰率(Bounce Rate)
- 計算式:そのページで1ページだけ見て離脱したセッション数 ÷ そのページのセッション数 × 100
-
ポイント:セッション単位で計算します。
-
離脱率(Exit Rate)
- 計算式:そのページが最後のページとなったページビュー数 ÷ そのページの総ページビュー数 × 100
- ポイント:ページビュー単位で計算します。
具体例
- 直帰率の例1(ページA)
- ページAのセッション数:100
- そのうち直帰セッション:40
-
計算:40 ÷ 100 = 0.4 → 40%
-
直帰率の例2(ページB)
- ページBのセッション数:50
- そのうち直帰セッション:25
-
計算:25 ÷ 50 = 0.5 → 50%
-
離脱率の例(ページA)
- ページAのページビュー:200
- そのうち離脱数:60
- 計算:60 ÷ 200 = 0.3 → 30%
計算上の注意点
- 直帰は「そのページだけ見て離れた」セッションを数えます。離脱は「セッションの最後にそのページで終わった」ページビューを数えます。
- つまり、直帰は離脱の一種ですが、すべての離脱が直帰とは限りません。
- イベント計測や滞在時間の計測方法によって数値が変わる場合があるため、設定を確認してから比較してください。
直帰率・離脱率の目安(平均値)
この章では、直帰率と離脱率の一般的な目安をサイト種類別・状況別に分かりやすくまとめます。数値は参考値ですので、実際は自分のサイト特性に合わせて判断してください。
サイト種類別の直帰率目安
- ECサイト:20〜45%(商品一覧や購入導線が整っていると低め)。
- コンテンツ/ブログ/メディア:35〜60%(記事を一つ読んで離脱することが多い)。
- ランディングページ/キャンペーンページ:60〜90%(単一ページのため直帰が高くなりやすい)。
- コーポレート/サービスサイト:30〜55%(情報探索で複数ページを回る場合あり)。
全体の目安と注意点
一般的に直帰率は約40%前後が平均的な目安です。ただし、流入元(検索、広告、SNS)やデバイス(スマホ・PC)で大きく変わります。流入元ごとに数値を分けて見ると判断しやすくなります。
離脱率の見方
離脱率はページごとに異なるため一律の目安はありません。重要な導線やコンバージョン直前ページで離脱率が高い(例:40〜50%超)は優先的に改善してください。一方で、FAQやお問い合わせ完了ページのように目的達成後のページは離脱が高くても問題ないことが多いです。
実務的な使い方
- 同業他社や過去データと比較してベンチマークを作る。
- 流入元・デバイス別に分析して改善ポイントを絞る。
- 重要ページの閾値を設定し、A/Bテストで改善効果を確かめる。
目安を参考に、まずは自分のサイトの役割と流入経路を整理してから数値を評価してください。
直帰率・離脱率が高くなる主な原因
タイトルや導線と内容が一致しない
ユーザーはタイトルや広告、検索結果の断片を見てページを開きます。期待と実際の内容がずれていると、すぐ離脱します。例:”無料ダウンロード”と書かれているのに有料ページだった場合。
ページ読み込みが遅い
読み込みが遅いと待てずに離脱します。特にモバイル回線では影響が大きいです。画像やスクリプトの最適化で改善できます。
デザインや操作がわかりにくい
メニューが見つからない、文字が小さい、配色で読みづらいなどで離脱します。直感的なレイアウトと見やすいフォントで改善します。
スマホ対応が不十分
表示崩れやボタンが押しにくいとスマホユーザーが離脱します。レスポンシブ対応やタップ領域の確保が必要です。
CTA(次のアクション)が不明確
次に何をすれば良いか分からないとユーザーは動きません。ボタンや誘導文を明確にします。
情報が不足または多すぎる
必要な情報がないと不満で離脱します。逆に情報量が多すぎると疲れて離脱します。ターゲットに合わせて適切な量に調整します。
流入元とユーザーの意図が合っていない
広告や検索キーワードで集めたユーザーが求めるものと違う場合、直帰・離脱が増えます。流入経路ごとのコンテンツ最適化が有効です。
信頼感が低い
運営情報がない、更新日が古い、怪しい広告が多いなどは離脱を招きます。著者情報や実績、SSLなどで信頼性を示してください。
直帰率・離脱率の改善施策
タイトルとメタディスクリプションを一致させる
- ページの主題を正確に表す見出しを付けます。例:「ダイエット食品の比較」なら比較表を上部に置く。
- メタは50〜120文字で要点を伝え、期待と実際の内容がずれないようにします。
ファーストビューと導線の最適化
- 最初の画面に結論や重要ポイントを置きます(商品なら価格、特徴)。
- 目立つ見出し、短い導入文、次に進むボタンを配置します。例:記事内目次や「詳しく見る」ボタン。
ページ速度の改善
- 画像は必要なサイズに圧縮し、遅延読み込みを使います。
- 不要なスクリプトを減らし、キャッシュを有効にします。速度改善は離脱減少に直結します。
モバイル対応
- タップ領域を広くし、横スクロールを避けます。
- フォントと行間を調整して読みやすくします。
明確なCTA設置
- 目的に応じたCTAを各所に置きます(購入・資料請求・関連記事へ)。
- 文言は具体的にします:例「30秒で会員登録」
内部リンク・関連記事の強化
- 記事末だけでなく本文中にも関連ページへのリンクを置きます。
- 関連コンテンツは見出しやサムネで誘導し、次の行動を示します。
改善の測定と検証
- 小さな変更を一つずつ行い、A/Bテストやアクセス解析で効果を確認します。
- 指標は直帰率・離脱率だけでなく滞在時間やコンバージョンも見ると判断がしやすくなります。
業界・サイトの特性による見方の違い
検索流入とSNS流入の違い
検索から来る訪問者は明確な疑問や目的を持つことが多く、ページで用が済めばすぐ離脱しても満足している場合があります。一方、SNS経由は興味本位や偶発的な訪問が多く、直帰率が高くなりやすいです。例:検索で「レシピ 作り方」を探す人は記事を見て離脱しても問題ないことが多いです。
サイトの目的で見る基準が変わる
問い合わせや購入を目的とするランディングページは直帰率が低いほど良いです。FAQやマニュアル、ワンページ完結の記事は高い直帰率でも問題ありません。重要なのは「訪問者が目的を達成したか」を評価することです。
業界別の傾向と具体例
- EC:商品ページで比較検討が進むと直帰率が下がる。逆に広告から来た単発流入は高くなる。
- メディア:SNS流入が多いと直帰率が高め。ただし滞在時間やページビューで価値を確認します。
計測時の注意点
直帰率だけで判断せず、滞在時間・コンバージョン・流入元で総合的に見ると正しい解釈ができます。
まとめ
直帰率と離脱率は似て非なる指標で、目的に応じて見方を変える必要があります。直帰率は「入口ページで離脱した割合」、離脱率は「ページごとの離脱が全体のどれくらいか」を示します。両者を併せて見ることで、導線・コンテンツ・技術的要因のどこに課題があるか分かりやすくなります。
主なポイント
- 目安を知る:業界やページの役割で平均値は変わるため、自社の基準を作りましょう。
- 高い数値はサイン:ページ内容のミスマッチ、読み込み遅延、導線不足などが疑われます。
- 分析の順序:PVや滞在時間、流入元、遷移経路を確認し原因を絞ります。
実践的な対応
- まずはデータを分解して、問題のある流入元やページを特定します。
- 小さな改善(見出し・導線・CTA・速度)をA/Bで検証します。
- ページごとの役割を明確にし、評価基準を設定します。
最後に
指標は目安です。数値の変動を受け止めて原因を丁寧に探り、仮説→施策→検証を繰り返すことが成果につながります。継続的な改善を続けていきましょう。












