cdnとプロキシの違いを徹底解説!基本から利点まで理解するポイント

目次

はじめに

本書の目的

本ドキュメントは、CDN(コンテンツ配信ネットワーク)とプロキシの違いを分かりやすく整理することを目的としています。技術者だけでなく、運用担当者や導入を検討する方にも役立つように書いています。

本章の位置づけ

第1章では全体の概要と読み方を説明します。第2章で基本定義を示し、第3章以降で目的や機能の違い、CDNのリバースプロキシ的な役割、利点、配置戦略、代表的サービスの特徴を順に解説します。

対象読者と前提知識

対象はウェブサイトやAPIを運用する方、ネットワークの基礎を知りたい方です。専門的な数学や深いネットワーク理論は不要で、HTTPの基本やキャッシュの概念を押さえておくと読みやすいです。

読み方の案内

技術の全体像をつかみたい場合は第2章と第3章を先に読むとよいです。導入手順や配置を検討する場合は、第5章と第6章を重点的に参照してください。各章は独立して読めるように配慮しています。

本書を読むことで得られること

  • CDNとプロキシの違いを実務で判断できる理解
  • CDN導入時に注目すべきポイントの把握
  • 主要サービスを比較する際の観点の習得

以降の章で具体例を交えつつ、丁寧に解説していきます。

CDNとプロキシの基本的な定義

CDN(コンテンツ配信ネットワーク)とは

CDNは、世界中に分散したサーバー群とデータセンターのネットワークです。ウェブサイトの画像や動画、スタイルシートなどの静的コンテンツをユーザーの近くに置き、そこから配信します。結果としてページの表示が速くなり、通信の負担も軽くなります。たとえば、日本のユーザーが日本国内のサーバーから動画を受け取ると、遠くの本社サーバーまで届く必要がなくなります。

プロキシとは

プロキシは、クライアントとサーバーの間に立って通信を仲介するソフトウェアやサーバーのことです。主にセキュリティやアクセス制御、ログ取得、匿名化などが目的です。家庭や企業で使う「インターネット接続を中継するサーバー」や、個人がプライバシー保護のために使うプロキシサービスが例です。

前提となる違い(簡単な見分け方)

  • 目的:CDNは配信の高速化と負荷分散が主目的、プロキシは制御や保護が主目的です。
  • 配置場所:CDNはユーザーに近い“エッジ”に分散、プロキシはクライアント側やネットワーク境界に置かれることが多いです。

この章ではまず用語の基本を押さえ、次章で目的や機能の違いを詳しく見ていきます。

目的と機能の違い

目的の違い

CDNは主に配信の速さと安定性を高める目的で使います。ユーザーに近い場所からデータを届けることで表示時間を短くし、アクセス集中時もサービスを継続させます。一方プロキシはアクセス制御やセキュリティ、プライバシー保護を重視します。企業や個人が通信を監視・制限したり、利用者の匿名性を守ったりします。

CDNが提供する主な機能

  • コンテンツのキャッシュ:画像や動画、静的ファイルを配信拠点に保存して配信時間を短縮します。
  • 負荷分散:複数の配信拠点でトラフィックを分散しサーバー負荷を下げます。
  • 可用性向上:拠点が切れても別の拠点で配信を継続します。

プロキシが提供する主な機能

  • アクセス制御:特定のサイトやサービスへの接続を許可・ブロックします。
  • セキュリティ検査:不正な通信を検出して遮断したり、ログを残したりします。
  • 匿名化・IP変換:利用者のIP情報を隠してプライバシーを守ります。

具体例での違い

動画配信サイトはCDNを使って再生を滑らかにします。会社のネットワークではプロキシで業務に関係ないサイトを遮断したり、通信を監査したりします。両者は目的が重なる部分もありますが、使いどころが異なります。

CDNのリバースプロキシ機能

概要

CDNは利用者とオリジンサーバーの間に立つリバースプロキシとして動作します。リクエストを受け取り、最適な応答を返すことで、負荷軽減と応答速度の向上を同時に実現します。

Webサーバーのエミュレーション

CDNはオリジンと同じように振る舞えます。例えば、URLの書き換えやヘッダー追加で特定のコンテンツを別の場所から配信します。これによりオリジンを直接触らずに動作を変更できます。

コンテンツのキャッシュ

画像やCSS、JavaScriptなど静的ファイルをエッジでキャッシュします。TTL(有効期限)を設定し、不要なリクエストを減らすことで応答を速くします。変更時はキャッシュの無効化(パージ)で即時反映できます。

ファイアウォール保護とWAF

CDNは不正アクセスや攻撃をエッジで遮断します。SQLインジェクションやXSSなどを検出するWAFや、IPベースのアクセス制御、レート制限を組み合わせてオリジンを守ります。

A/Bスプリットテスト

リクエストを条件で振り分け、異なるバージョンを配信できます。特定地域やブラウザだけに新機能を試すといった運用が簡単になります。

ボットブロックとトラフィック管理

悪意あるボットを検知してチャレンジやブロックを行えます。良いクローラーは許可リストで通し、解析やSEOへの影響を抑えます。

セキュリティとパフォーマンスの両立

CDNのリバースプロキシ機能は、攻撃からの防御と高速化を同時に提供します。エッジでの処理によりオリジンの負担を下げ、利用者へ安定した配信を実現します。

CDNの主要な利点

1. コンテンツの高速配信

CDNは画像や動画、CSS、JavaScriptなどをエッジ(利用者に近いサーバー)にキャッシュします。ユーザーは近くのエッジから受け取るため、読み込みが速く感じます。たとえば日本の利用者は東京のエッジから受け取れます。

2. ユーザー体験の向上

ページ表示が速いと離脱が減り、滞在時間やコンバージョンが上がります。遅いサイトは訪問者が離れるため、速度改善は重要です。

3. 可用性と冗長性の向上

複数のエッジにデータを置くため、あるサーバーが落ちても別のエッジが応答します。障害時のダウンタイムを短くできます。

4. セキュリティ強化

多くのCDNはDDoS緩和やTLS(HTTPS)終端を提供します。攻撃トラフィックをエッジで吸収し、本来のサーバーへの影響を減らせます。

5. ネットワーク負荷の軽減

キャッシュによりリクエストがオリジンサーバーへ行く頻度を減らします。結果として原点の負荷が下がり、コストやスケールの問題を抑えられます。

CDNの配置戦略

概要

CDNは利用者に近い場所にキャッシュを置くことで体感速度を上げます。しかし全ての利用者に近い場所に置くのは現実的でないため、広い地域を代表する場所にPoP(Point of Presence)を分散して置きます。主要都市をハブにして、その周辺の利用者にサービスを提供するのが基本です。

PoP配置の基本原則

  • ユーザー密度:アクセスが多い都市や地域を優先します。
  • レイテンシ:遅延が目立つ地域をカバーします。
  • ネットワーク経路:主要ISPやIX(インターネット交換点)への接続が良い場所を選びます。

地理的分布の考え方

主要都市を拠点にして地域ごとにPoPを置きます。例えば国内なら首都圏、関西、九州などの主要都市に配置します。小さな町や過疎地域には専用PoPを置かず、近隣の大都市PoPでカバーすることが多いです。しかし、特殊なユーザー層や極端に遅延が出る地域は別途検討します。

トラフィック特性に基づく最適化

  • コンテンツの種類で配置を変えます。静的ファイルは多くのPoPでキャッシュし、動的処理はオリジンまたは少数のエッジで処理します。
  • 人気コンテンツは多めのPoPで保持すると効果的です。したがってヒット率向上のために利用状況を定期的に分析し、キャッシュ配置を調整します。

容量設計と冗長性

各PoPは利用ピークを想定した容量を確保します。トラフィック急増に備えオートスケールやフェイルオーバーを設定します。Anycastや複数リージョンの冗長化で稼働率を上げ、単一障害点を避けます。

実践的な導入手順

  1. 現状トラフィックを解析して上位地域を特定します。
  2. 第1フェーズとして3~5カ所のPoPで主要トラフィックをカバーする計画を立てます。
  3. パイロット運用でキャッシュヒット率、遅延、コストを評価します。
  4. モニタリング結果を基にPoPを追加・移転・縮小して最適化します。

この手順を繰り返すことで、ユーザー体験と運用コストのバランスを保ちながら効率的なPoP配置を実現できます。

主要なCDNサービスの特徴

概要

主要なCDNは得意分野が異なります。用途や規模に合わせて選ぶと運用が楽になります。

Fastly

  • 特徴:リアルタイムのキャッシュ削除(パージ)や柔軟なキャッシュ制御を提供します。
  • 向いている場面:ニュースサイトや頻繁に更新するAPIなど、即時反映が必要なサイトに向きます。
  • 使い方の例:記事を更新したらすぐに古いキャッシュを消して最新表示にできます。

KeyCDN

  • 特徴:25か所以上のPoPを持ち、HTTP/2対応や無料SSLなど基本機能が充実しています。価格も抑えめです。
  • 向いている場面:中小規模のウェブサイトやコスト重視の静的コンテンツに適します。
  • 使い方の例:ブログや企業サイトの画像配信を安く高速化できます。

Akamai

  • 特徴:世界規模のネットワークを持ち、高度な負荷分散や安定性向上機能を備えます。
  • 向いている場面:グローバルなトラフィックや高トラフィックのサービスで信頼性を重視する場合に最適です。
  • 使い方の例:大規模ECや動画配信での安定配信に向きます。

選び方の簡単な目安

  • すぐ反映したいならFastly。コスト重視で広く使うならKeyCDN。規模と安定を最優先するならAkamaiを検討してください。
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