AWSとVMwareの最新連携で実現する革新的クラウド活用術

目次

はじめに

目的

本ドキュメントは、AWS上でVMware環境を運用・移行する際に役立つ情報を分かりやすくまとめたガイドです。主に「VMware Cloud on AWS」と新サービス「Amazon Elastic VMware Service(Amazon EVS)」の概要、特徴、運用モデル、移行やハイブリッドクラウドのベストプラクティスを扱います。

対象読者

エンジニアやインフラ担当者を想定しています。VMwareやクラウドの基礎知識があると読みやすいですが、専門用語は必要最小限にし具体例で補足します。

本書で得られること

・各サービスの役割と違いを理解できます。
・運用パターン(オンプレ併用やクラウド移行)を比較できます。
・移行時に注意すべきポイントや実務的なヒントを得られます。

構成と読み方

第2章で全体像を説明し、第3章でVMware Cloud on AWSの詳細を、第4章でAmazon EVSの特徴を扱います。自分の目的に合わせて章を順に読んでください。短いチェックリストや具体例を交えて、実務で使える知識を提供します。

AWS × VMware の全体像:なぜ今「VMware on AWS」なのか

目的と背景

多くの企業はオンプレミスでvSphereを中心にした仮想基盤を長年運用してきました。これを一度にクラウドネイティブへ作り直すのは時間とコストがかかります。そこで、既存のVM(仮想マシン)や運用フローを大きく変えずにAWSのクラウドへ移す方法が求められました。VMware技術をそのままAWS上で動かすサービスは、こうした現実的なニーズに応えます。代表例としてVMware Cloud on AWSとAmazon Elastic VMware Service(Amazon EVS)があります。

主なメリット(具体例で説明)

  • 移行の簡便さ:既存のVMをそのまま持ってくる「リフト&シフト」が可能です。アプリを全部書き換える必要がありません。
  • スケールと柔軟性:繁忙期だけリソースを増やすバーストや、容量不足の一時対応が簡単です。
  • AWSのサービス利用:データベースやS3などのマネージドサービスを併用できます。運用負荷を減らせます。
  • 災害対策やデータセンター撤退:遠隔地に簡単に複製しておけるため復旧時間を短縮できます。

よくある利用パターン(実例イメージ)

  • 段階的移行:まず非クリティカルなシステムを移し、問題がなければ重要系も移行する。
  • バースト用途:月末やキャンペーン時だけAWSに能力を追加する。
  • DR(ディザスタリカバリ):オンプレのバックアップをAWS上に置き、迅速に復旧する。

注意点

運用は似ていますが、ネットワーク設計やコスト構造はクラウド向けに見直す必要があります。ライセンスやデータ転送費用も確認してください。

VMware Cloud on AWSとは:AWS上の「VMware専用クラウド」

概要

VMware Cloud on AWSは、AWSのベアメタル環境上にVMwareのデータセンタ機能(SDDC)をそのまま提供するサービスです。簡単に言えば、オンプレのvSphere環境をクラウド上に移した専用の領域です。vCenterやvSphere Clientで慣れた操作感のまま使えます。

構成要素

  • ハード(例):AWSのEC2ベアメタルインスタンス上で稼働します。
  • ソフト(例):vSphere(仮想化)、vSAN(ストレージ)、NSX(ネットワーク)でSDDCを構成します。
  • 管理:VMware Cloud ServicesコンソールでSDDCを作成し、vCenterで詳細管理します。

運用と移行

vMotionを使えば、ダウンタイムなしでオンプレからクラウドへ仮想マシンを移行できます。運用は従来のvSphere運用と同じ手順で行えますので、学習コストを抑えられます。

AWS連携と拡張性

SDDCはVPC上に配置され、S3やRDSなどのAWSサービスと高速ネットワークで連携できます。VMware Cloud Flex Storageなどを使ってストレージをスケールアウトできます。

責任共有モデル

インフラ層(ホストやSDDCのパッチ適用など)はVMwareが管理します。ユーザーはゲストOSやアプリケーションの管理に集中できます。具体例として、OSのセキュリティ更新はユーザー側が行い、ハイパーバイザの更新はVMware側が行います。

新サービス:Amazon Elastic VMware Service(Amazon EVS)

概要

Amazon EVSは、AWS上でVMware Cloud Foundation(VCF 5.2.1、vSphere 8.0 U3相当)を直接動かせるマネージドサービスです。VCFはEC2のベアメタルインスタンス上で動作し、デプロイ先はお客さま自身のVPCです。管理者はvCenterやESXiに対するフル管理者権限を持てます。デプロイは自動化され、概ね3時間以内に完了します。

主な特長

  • VPC内での専有実行:VMwareが自分のVPC内でネイティブに稼働します。既存のネットワーク設計を大きく変えずに移行できます。
  • フル管理者権限:vCenterやESXiへ直接アクセスでき、設定や運用の自由度が高いです。
  • ネイティブなNSX動作:VMware NSXがVPC上で動き、仮想ネットワークを細かく制御できます(例:マイクロセグメンテーション)。
  • BYOLとAWS統合:既存のVMwareライセンスを持ち込めます。また、S3やRDSなどのAWSサービスと連携できます。

運用のポイント

デプロイが速いため検証環境を短時間で用意できます。監視やバックアップは従来のVMwareツールとAWSのサービスを組み合わせると効果的です。ネットワーク設計ではVPCルーティングとNSXの役割を明確に分けると混乱を避けられます。

想定される利用例

  • 大規模なオンプレ移行(段階的なリフト&シフト)
  • 本番と同等の短期検証環境の即時構築
  • AWSネイティブ機能とVMware環境の併用によるハイブリッド運用

運用自由度が高く、既存のVMware資産を活かしつつAWSの拡張性を利用したいケースに向きます。

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