awsとリバースプロキシの基本知識と活用法を詳しく解説

目次

はじめに

本記事の目的

本記事は、AWS環境でリバースプロキシを理解し、適切に使えるようにするための入門ガイドです。基本の考え方や関連するサービスの違い、実際の使い方をわかりやすく説明します。

なぜ学ぶべきか

リバースプロキシは、トラフィックの振り分け、キャッシュ、セキュリティ強化などに役立ちます。例えば、複数のアプリを一つのドメインで公開したい場合や、負荷を分散して応答速度を安定させたい場合に有効です。

対象読者

クラウドでサービスを運用するエンジニアや、これからAWSで構成を考える方を想定しています。基礎知識があれば理解しやすい内容にしています。

本記事の構成(全6章)

第1章: はじめに(本章)
第2章: リバースプロキシとは何か
第3章: フォワードプロキシとの違い
第4章: リバースプロキシとロードバランサー・API Gatewayの違い
第5章: リバースプロキシを使うメリット(AWSでの利点)
第6章: AWSで使える主な“リバースプロキシ的”サービス(ALB、CloudFront、API Gateway、Nginxなどの構成例)

以降の章では、具体例や設計のポイントを丁寧に解説します。気軽に読み進めてください。

リバースプロキシとは何か:基本概念と役割

概要

リバースプロキシは、クライアント(利用者)と複数のバックエンドサーバーの間に立つ仲介役のサーバーです。外部からのリクエストを一旦受け取り、適切な内部サーバーへ振り分けて応答を返します。単なる中継ではなく、性能や安全性を高めるための重要な役割を担います。

どのように動くか(イメージ)

利用者がウェブサイトにアクセスすると、まずリバースプロキシに届きます。プロキシはリクエストの内容や負荷状況を見て、最適なバックエンドに転送します。バックエンドの応答は一度プロキシで受け取られ、利用者に返されます。これにより内部構成を外部に隠せます。

主な機能と役割

  • 負荷分散:複数のサーバーにリクエストを振り分け、過負荷を防ぎます。
  • キャッシュ:よく使われる応答を保存し、応答時間を短縮します。
  • SSL/TLS終端:暗号化処理をプロキシでまとめて行い、内部サーバーの負担を減らします。
  • セキュリティ強化:直接の攻撃から本体サーバーを隠し、不正アクセスを検査します。

具体例での説明

例えば、ECサイトで商品一覧はキャッシュし、購入処理は負荷分散して複数サーバーで処理します。SSLはプロキシで終端して内部は平文通信にすることも可能です。これにより応答速度と運用管理が楽になります。

設置のイメージ

リバースプロキシはネットワークの入口に置き、公開部分を一元管理します。運用面での設定変更や証明書更新をプロキシ側で行えば、内部サーバーの変更を減らせます。

フォワードプロキシとの違い:なぜ「リバース」なのか

配置と役割

フォワードプロキシはクライアント側に置かれ、利用者の代理で外部サーバーに接続します。たとえば会社のネットワークで社員が外部サイトへアクセスする際に、閲覧制御やキャッシュを行うのがフォワードプロキシです。一方、リバースプロキシはサーバー側の前段に置かれ、外部からのリクエストを受けて、内部のオリジンサーバーに振り分けます。

通信の流れ(簡単な例)

  • フォワードプロキシ:クライアント → フォワードプロキシ → インターネット上のサーバー
  • リバースプロキシ:クライアント(外部) → リバースプロキシ → オリジンサーバー

見え方と目的の違い

フォワードプロキシはクライアントの情報を隠すことが多く、利用者の代行が目的です。対してリバースプロキシはオリジンサーバー群を外部から隠し、負荷分散やTLS終端、キャッシュでサーバー側を保護・最適化します。

具体例で覚える

  • フォワード:社内のプロキシで社員の閲覧を制限する
  • リバース:NginxやCDNが公開Webサイトへの入口となり負荷をさばく

なぜ「リバース」か

外向きに振る舞う代理(サーバー群の代表)という点が“逆(リバース)”の由来です。外から見るとリバースプロキシがサービスそのものに見えるため、この名前が使われます。

リバースプロキシとロードバランサー・API Gatewayの違い

リバースプロキシ(簡単な役割)

リバースプロキシは、クライアントと実際のサーバーの間に立ち、リクエストを受けて適切なサーバーに渡します。SSL終端、応答のキャッシュ、URL書き換え、圧縮など付加価値を付けられます。例:NginxでSSLを終わらせて静的ファイルをキャッシュする。

ロードバランサー(主な役割)

ロードバランサーは主に負荷分散とヘルスチェックを担当します。トラフィックを複数のサーバーに配分し、落ちたサーバーを検出して外します。例:同じAPIを複数台で動かし、均等に振り分ける。

API Gateway(API管理レイヤ)

API GatewayはAPI向けに設計され、認証、認可、レート制限、APIキー、リクエスト/レスポンスの変換などを行います。マイクロサービスの公開や課金・利用制限が必要なときに便利です。

違いをわかりやすく

  • 機能の広がり:リバースプロキシは“付加価値のある転送屋”です。ロードバランサーは“流れを均等にする装置”。API Gatewayは“APIの門番”です。
  • 組み合わせ:ALB(L7ロードバランサー)はリバースプロキシ的な機能も持ちます。API Gatewayは認証やスロットリングなどAPIに特化した管理機能が強みです。

選び方の目安

  • 単に負荷分散とヘルスチェック:ロードバランサー
  • SSL終端やキャッシュ、レスポンス操作が必要:リバースプロキシ
  • 認証・レート制限・利用制御を一元化したい:API Gateway

ただし、実際は組み合わせて使うことが多く、要件で選ぶと良いです。

リバースプロキシを使うメリット:AWSで活きるポイント

パフォーマンス改善(負荷分散・キャッシュ・SSL終端)

リバースプロキシはリクエストをうまく振り分けてバックエンドの負荷を下げます。たとえば複数のEC2に均等に振ることで個々のサーバーが過負荷になりにくくなります。画像やCSSなど変化しにくい静的データはプロキシ側でキャッシュでき、バックエンドへのアクセスを減らします。さらにSSL終端をプロキシで行えば、暗号化処理の負担をフロントに集められます。

セキュリティ強化(バックエンドのプライベート化・WAF・認証)

プロキシが外部と直接やり取りするため、バックエンドをプライベートサブネットに置けます。これにより直接アクセスを防ぎます。また、プロキシにWAFや認証を集中させるとルール管理が楽になり、攻撃を早期にブロックできます。たとえば不正なリクエストは入口で弾く設計が可能です。

スケーラビリティと運用性(エンドポイント固定・複数サービスの統合)

クライアントは常に同じ入口を使えるためエンドポイント設計が簡単です。APIや静的サイト、マイクロサービスをプロキシで振り分けると運用が楽になります。スケール時もバックエンドを入れ替えるだけで済み、ダウンタイムを減らせます。高トラフィックなサイトやSaaSでは、入口に置く多層構成が特に有効です。

AWSで使える主な“リバースプロキシ的”サービス

CloudFront(CDN)

グローバルな配信とキャッシュを行います。TLS終端を担当し、静的ファイルやキャッシュ可能なレスポンスをエッジで返すことでオリジンサーバーの負荷を下げます。例:静的サイトや画像配信で応答速度を改善したいときに向きます。

ALB(Application Load Balancer)

L7(HTTP/HTTPS)で動作するロードバランサーです。パスやホスト名でルーティングし、ヘッダ操作やTLS終端も可能で、リバースプロキシ的に振る舞います。例:複数のマイクロサービスへリクエストを振り分ける場合に便利です。

NLB(Network Load Balancer)

主にL4(TCP/UDP)で高速に接続を捌きます。リバースプロキシではなくパススルーに近いため、L7の細かな制御が必要な場面には向きません。例:高スループットのTCPサービスやIPベースの負荷分散に使います。

API Gateway

API専用のフロントエンドです。認証、ステージング、レート制限、変換などAPI向けの機能を多く備え、リクエストをバックエンドに中継します。例:外部公開APIのセキュリティや運用を簡単にしたいときに最適です。

EC2上のNginxやコンテナ

柔軟な設定が必要なら、自前でNginxやEnvoyを立てる選択があります。細かなヘッダ操作やカスタム認証、プロキシルールを実装できますが、運用管理は自分で行います。例:特殊なプロトコル変換や独自ロジックがある場合に有効です。

選び方の目安

・静的配信やグローバル配信:CloudFront
・HTTPでルーティングやTLS終端が要る:ALB
・高スループットTCP:NLB
・APIに特化した制御:API Gateway
・細かなカスタムが必要:EC2上のNginx

用途や運用負荷に応じて使い分けると良いです。

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