はじめに
本記事の目的
本記事は、AWS Lambda（ラムダ）について基礎から実務での活用までを分かりやすく解説することを目的としています。初心者の方や導入を検討している方が全体像をつかみ、具体的なメリットや注意点を理解できるように書いています。
AWS Lambdaとは
AWS Lambdaはサーバーを自分で管理せずにプログラムを実行できるサービスです。例えば、画像がアップロードされたら自動で縮小処理を始める、といった「イベントが起きたときに動く仕組み」を簡単に作れます。実行した時間だけ課金されるため、使わないときはコストがかかりません。
読者対象と読み方のポイント
対象は初心者から実装検討段階の方です。基本概念と主な特徴を最初に説明し、その後で具体的な活用例や他サービスとの連携方法、料金に触れます。まずは全体像を把握し、必要な箇所から読み進めてください。
本記事の構成
第2章で基本概念、第3章で主要な特徴、第4章で活用例、第5章でLambdaを選ぶメリットを詳しく解説します。各章は実務で役立つ情報を中心にまとめています。
AWS Lambdaの基本概念
概要
AWS Lambdaは、サーバーを用意せずにプログラムを実行するサービスです。開発者はコードと実行条件だけ用意すれば、AWSが必要なインフラを自動で用意して処理を行います。運用作業を減らして機能開発に集中できます。
仕組み（イベントと関数）
Lambdaは「イベント」をきっかけに動きます。例えば、画像がアップロードされたときに自動で画像を縮小する処理を実行する、といった使い方です。開発者は処理を関数（ハンドラー）として書き、どのイベントで呼ぶかを設定します。
実行環境とランタイム
Lambdaは複数の言語をサポートします。JavaScriptやPython、Javaなどが使えます。必要なライブラリを含めてアップロードすれば、その環境でコードが動きます。
スケーリングと料金
Lambdaは負荷に応じて自動で処理を増やします。使った分だけ料金が発生するため、小規模な機能から試しやすいです。長時間の処理や頻繁な呼び出しにはコスト設計が必要です。
簡単な例
・画像をアップロードしたら自動で縮小
・フォーム送信でメールを送る
こうした短い処理を手軽に実装でき、サーバー管理の手間を省けます。
AWS Lambdaの主要な特徴
イベント駆動型で自動実行します
Lambdaは特定の出来事（イベント）をきっかけに自動でコードを動かします。例えば、S3にファイルがアップロードされたら画像を処理する、API Gateway経由のリクエストが来たら処理を返す、DynamoDBの更新を検知して集計する、といった使い方ができます。イベントを指定するだけで動作するため、常時稼働のサーバーを用意する必要がありません。
必要に応じて自動でスケールします
アクセスが増えればLambdaは自動で実行環境を増やし、アクセスが減れば減らします。これにより急なアクセス増でも応答を保てます。負荷対応を自分で調整する手間が減るため、運用が楽になります。
実行時間とメモリで課金します
課金は関数の実行時間と割り当てたメモリ量に基づきます。使った分だけ支払う仕組みなので、小さな処理や断続的な処理ではコストを抑えられます。料金の計算が分かりやすく、試験的な導入にも向きます。
多くの言語に対応します
Python、Node.js、Java、C#、Go、Ruby、PowerShellなどが使えます。慣れた言語で関数を書けるため、開発の敷居が低くなります。
AWSのサービスと連携しやすいです
S3、API Gateway、DynamoDB、SNS、SQSなど多くのマネージドサービスと簡単に連携できます。連携により、イベントの受け渡しや通知、データ保存などをスムーズに組み合わせられます。
バージョン管理や権限の制御も可能です
関数ごとにバージョンや別名（エイリアス）を付けられ、テストと本番で切り替えられます。実行時の権限は最小限に絞ることができ、安全性を高められます。
注意点（簡単に）
短時間の処理向けに最適化されています。長時間実行する処理や、起動に時間がかかるライブラリを多用する場合は設計を工夫すると良いです。
具体的な活用例
画像の自動最適化（ECサイト）
ユーザーが商品画像をS3にアップロードすると、Lambdaが起動して自動でリサイズやフォーマット変換を行います。処理後は別のS3バケットに保存し、サイト表示用のURLを生成します。手作業を減らし、表示速度を改善します。
Webサイトのバックエンド処理
API Gateway経由で受けた注文やフォームのリクエストをLambdaが受け取り、データベースに登録してサンクスメールを送ります。サーバーの常時稼働が不要になり、コストを抑えつつ応答を自動化できます。
ログの集計と解析
S3に溜まったアクセスログをトリガーにLambdaが起動し、必要な項目を抽出してDynamoDBや検索サービスに格納します。短時間で集計結果を得られ、運用の監視や分析に役立ちます。
リアルタイム処理・ストリーミング
動画や音声の軽い前処理、センサーデータの集約、Kinesisなどから来るストリームのフィルタリングにLambdaを使えます。遅延を小さく保ちながら処理を分散できます。
IoTバックエンドと定期タスク
IoT機器からのメッセージ処理や、毎日のデータ集計・バックアップなどをスケジュール実行できます。インフラ管理を減らして運用効率を高めます。
AWS Lambdaを選ぶメリット
はじめに
AWS Lambdaを選ぶ主な理由を分かりやすく説明します。技術に詳しくない方にもイメージしやすいよう、具体例を交えて解説します。
1. サーバー管理の手間が省ける
サーバーのセットアップやOSの保守、パッチ適用を気にする必要がありません。たとえば、週末にサーバーの状態を見る代わりに、コードの改善に集中できます。運用担当者の負担が減り、ミスも減ります。
2. コストの最適化（従量課金）
使った分だけ支払うため、アクセスが少ないサービスは費用を抑えられます。試作段階やバッチ処理など、常時稼働が不要な処理で特に効果が出ます。
3. 自動スケーリングで安定運用
アクセスが増えるとLambdaが自動で並列実行を増やします。急なアクセス増でも対応しやすく、安定したサービス提供につながります。
4. イベント駆動で自動化が進む
ファイルのアップロードやAPIの呼び出しをトリガーに処理を実行できます。手作業を減らし、処理の遅延や抜けを防げます。
5. 言語対応と他サービス連携の柔軟性
複数のプログラミング言語に対応し、S3やDynamoDBなどと簡単に連携できます。既存資産を活かして段階的に導入できます。
6. 開発スピードの向上
関数単位で小さく作ることでテストやデプロイが速くなります。短いサイクルで改善を繰り返せるため、品質向上にも寄与します。
