awsの通信料を詳しく解説!料金構造と削減方法ガイド

目次

はじめに

本記事の目的

本記事は、AWS(Amazon Web Services)の通信に関わる料金体系と、その削減方法をわかりやすく解説します。通信費はクラウド利用料の中でも見落としがちですが、運用コスト全体の約10〜20%を占めることが多く、対策で大きな効果が出ます。

対象読者

クラウドの費用を最適化したいエンジニア、運用担当者、経営者の方を想定しています。専門用語は最低限に抑え、具体例で補足しますので、クラウド初心者の方も読み進めやすい内容です。

本記事で扱う主な項目

  • インターネット経由の通信料金(例:外部ユーザーとのデータ送受信)
  • VPN接続やDirect Connectなど専用線系の料金
  • リージョン間・AZ間の通信コスト
  • ロードバランサーやNAT Gatewayなど通信関連サービスの課金
  • AzureやGoogle Cloudとの比較、具体的な削減手法

読み方のアドバイス

章ごとに料金の特徴と注意点、実務で使える対策を順に説明します。まずは第2章から各通信パターンの料金を確認し、後半で削減方法を実践的に学んでください。

インターネット経由の通信料金

概要

AWSとインターネット間の通信では、インバウンド(外からAWSへ)は無料、アウトバウンド(AWSから外へ)は有料です。一般的に、外向きのデータ量に応じて段階的に単価が下がります。

料金の内訳(東京リージョン)

  • 最初の10TB/月:0.114 USD/GB
  • 次の40TB/月:0.089 USD/GB
  • 次の100TB/月:0.086 USD/GB
  • 150TB/月以上:0.084 USD/GB

無料利用枠

VPCからインターネットへのデータ転送には100GB/月の無料利用枠があります。これを超えた分が上記の段階料金で課金されます。

具体例(簡易計算、1TB=1,000GBとして)

  • 月50GB:無料枠内で無料
  • 月200GB:最初の100GBは無料、残り100GB×0.114USD=約11.4USD
  • 月12TB:最初の10TBは0.114USD/GB、残り2TBは0.089USD/GBで合算して課金されます(概算の例示です)。

初めて確認する方も分かりやすいよう、無料枠をまず確認してから利用量に応じた段階単価を当てはめる手順をおすすめします。

VPN接続による通信料金

概要

VPN接続には主に「サイト間VPN」と「クライアントVPN」があります。サイト間VPNはインバウンド(クラウド→オンプレ)は無料で、アウトバウンド(オンプレ→クラウド)に対して0.114 USD/GBの転送料金がかかります。さらにVPN接続自体に0.048 USD/時間の接続料金が発生します。

サイト間VPNの料金例

接続料金の月額換算(31日として):0.048 USD/時間 × 24時間 × 31日 ≒ 35.71 USD(固定費)。
データ転送の例:アウトバウンド100 GBなら 0.114 USD/GB × 100 GB = 11.4 USD。固定費と合わせると約47.11 USD/月になります。

クライアントVPNの料金

クライアントVPNは接続あたり 0.2 USD/時間 の課金です。1ユーザーが常時接続(24時間×31日)すると 0.2 × 24 × 31 = 148.8 USD/月 と高めになります。複数ユーザーの同時接続でコストは比例して増えます。

コスト設計のポイント

・サイト間VPNは常時接続の拠点間通信に向き、固定費は比較的低いです。
・クライアントVPNはユーザー単位で高くなるため、リモートワークの大量同時接続には不向きです。
・転送費用はアウトバウンド中心なので、転送量の削減(圧縮、差分転送、キャッシュなど)を検討してください。したがって、利用形態に応じてサイト間VPNとクライアントVPNを使い分けると良いです。

Direct Connect接続による通信料金

概要

Direct Connectはクラウド事業者と自社拠点を専用線でつなぐサービスです。インターネット回線より安定しており、長時間・大量のデータ転送に向きます。

料金の内訳

  • ポート時間料金:例として100Mbps回線で0.057USD/時間(提示値)となります。時間単位で課金され、1か月換算では約41.61USDになります。実務ではプランや地域で変わる点に注意してください。
  • データ転送料金:アウト(クラウドから外向き)のデータに対し0.041USD/GB(提示値)がかかる例があります。大量転送があるとデータ転送料金の影響が大きくなります。

VPNとの比較(簡単な目安)

同じ条件では、Direct Connectの方がデータ転送料金が安くなる場合が多く、トラフィック量が多いとコスト優位になります。加えてレイテンシや安定性も向上します。

導入時のポイント

  • 既存のインターネット回線を使えるケースがあり、新規回線の開通費用を抑えられます。
  • 回線帯域は通信量のピークを想定して選びます。過小だと遅延、過大だと無駄な固定費になります。
  • 請求はポート料金とデータ転送料の両方を見る必要があります。料金表で地域差や割引を確認してください。

運用での工夫

  • 転送量の多い通信は夜間バッチにまとめる、圧縮を使うなどでデータ転送料を下げられます。
  • モニタリングで帯域利用を定期的に確認し、必要に応じて回線変更やルール調整を行ってください。

ロードバランサーと通信関連サービスの料金

概要

ロードバランサー(ELB)やネットワーク系のサービスは、時間課金とデータ転送料の組み合わせで費用が決まります。ここでは主要な3つ(ELB、NAT Gateway、Transit Gateway)について、料金構成と計算例、運用上の注意点を分かりやすく説明します。

ELB(Elastic Load Balancer)の料金

料金は時間単位の利用料とLCU(ロードバランシング単位)による追加料金で構成されます。示された例では時間課金が0.0243USD/時、LCU使用料が0.008USD/時です。月額の目安は、1台を24時間・30日稼働で計算すると、時間費用が約17.50USD、LCU分が約5.76USDで合計およそ23.26USDになります。トラフィック量や接続数でLCUが増えると追加費用が発生します。

NAT Gatewayの料金

NAT Gatewayは時間課金0.062USD/時とデータ処理料0.062USD/GBです。月間1GB利用の例では、時間料金(例えば31日・744時間で計算すると)とデータ処理料を合わせて約46.19USDになります。注意点として、常時稼働させると時間料金が主な要因になるため、アイドル状態でも費用がかかります。

Transit Gatewayの料金

Transit Gatewayは基本の時間課金が0.07USD/時で、データ転送が0.02USD/GBです。加えて、接続するアタッチメント数に応じて時間課金が増える仕組みが一般的です。運用例として基本料金だけで1か月(720時間)稼働すると約50.4USDになり、そこに各接続分の時間料金とデータ転送費を加えて見積もります。

運用上の注意点

  • 時間課金は稼働時間で累積します。短時間でも常時稼働が多いサービスは月額が大きくなります。
  • データ転送量は想定より膨らみやすいので、モニタリングで実際のGB数を把握してください。
  • 小規模であれば不要な常時リソースを減らすだけで大きな節約につながります。

リージョン間・AZ間の通信料金

概要

同一リージョン内の異なるAZ(アベイラビリティゾーン)間の通信は、送信方向ごとに0.01 USD/GBの課金です。双方向のやり取りが発生すると合計で0.02 USD/GBになります。対して、同一AZ内の通信は無料です。別リージョンへのデータ送信は0.09 USD/GBと高めに設定されています。

具体例で見ると

  • 同一リージョン内で100 GBを片方向で送ると、100×0.01 = 1.00 USDです。
  • 双方向で100 GBずつやり取りすると、合計で2.00 USDになります。
  • 別リージョンへ100 GB送ると、100×0.09 = 9.00 USDです。

課金の注意点

通信量はGB単位で集計されます。小さなトラフィックでも頻度が高いと積み上がります。アーキテクチャ設計でデータ転送の発生場所を意識すると無駄な課金を避けられます。

節約のヒント

  • 同一AZ内でリソースをまとめることで無料化を活用してください。
  • 大量のデータを頻繁に送る場合は、リージョンをまたがない設計を検討してください。
  • 必要に応じてデータ転送をまとめてバッチ処理にすると回数分の課金を抑えられます。

Azure・Google Cloudとの料金比較

概要

Azureはインターネット向けアウトバウンドで最初の100GB/月を無料にしています。以降は段階的に単価が上がります。リージョン内(別AZ含む)への送信は0.01USD/GBで、AWSと異なり同一リージョン内への送信にも課金されます。Google Cloudも同様に同一リージョン・別ゾーン間送信を0.01USD/GiBで設定しています。

比較ポイント

  • 無料枠:Azureは100GBの無料枠があります。Googleは無料枠が小さいか無い場合が多いです。具体的な適用はプランで異なります。
  • 同一リージョンの扱い:AWSは同一AZ・同一リージョン内は無料のことが多いですが、AzureとGoogleは同一リージョン送信でも課金されます。

具体例(概算)

例:月間500GBの外部送信
– Azure:最初の100GBは無料、残り400GB×0.01USD=4USD(概算)
– Google:500GiB×0.01USD=5USD(GiB換算で若干差があります)

注意点

請求はGBとGiBの単位差や、プロモーション・リージョン別の料金差で変わります。使用状況を確認して見積もりを取ることをおすすめします。

通信費用削減の具体的方法

1. NATの選択を見直す

低コスト重視ならNATインスタンス(例: t3a.nano)を検討します。提示の通りインスタンス料金は0.0061USD/時間で、最初の100GB/月のOUTが無料ならNAT Gatewayより大幅に安くなります。トラフィック量が少なく、可用性を自前で管理できる環境に向きます。

2. 同一AZ内通信を優先する

AZ間トラフィックは無料枠がなく0.01USD/GBかかります。通信設計で可能な限り同一AZ内にリソースを配置し、データ転送を抑えます。例えばデータベースとアプリを同じAZに置くと効果的です。

3. リージョン間通信の最適化

リージョン間はさらに高額になりがちです。データ同期を間引く、差分転送やバッチ転送にして回数を減らす、必要なデータだけ送る設計にします。

4. ネットワーク構成の工夫

キャッシュやCDNを使って外部へのOUTを減らします。VPCエンドポイントやプライベート接続を使えば、インターネット経由の料金を避けられる場合があります。通信圧縮やまとめ送信も有効です。

5. 監視と定期的な見直し

通信量を可視化して多い経路を特定します。アラートや費用レポートを設定し、月次で構成を見直すと無駄を削減できます。

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