AWSの可用性設計を徹底解説!可用性向上の具体手法まとめ

目次

はじめに

本資料の目的

本資料は、AWS(Amazon Web Services)を使ったシステムの「可用性」について、実務で役立つ考え方と手法をわかりやすくまとめます。設計の基本から冗長化、マネージドサービスの活用、監視と復旧のポイントまでを網羅し、日常運用に役立つ知識を提供します。

対象読者

クラウドでサービスを運用するエンジニアや設計者、運用担当者を主な対象とします。用語は必要最低限にし、具体例で補足しますので、AWS経験が浅い方でも理解しやすい内容にしています。

可用性とは何か(簡単な定義)

可用性とは「システムが利用者に対してサービスを提供できる状態」を指します。例えばウェブサイトが常に応答する、データが失われない、障害が起きても速やかに復旧する、といった点が含まれます。日常例としては、銀行ATMやECサイトの停止が顧客に与える影響を想像するとわかりやすいです。

本資料の使い方

各章は独立して読めますが、順に読むと設計から運用までの流れがつかめます。具体的な設定値や構成例も示しますので、自分のシステムに合わせて採用・調整してください。

可用性設計の基本:システム停止を防ぐAWSの考え方

可用性とは

可用性とは、必要なときにシステムを使える割合を指します。稼働率(例:99.9%)で表現します。100%はほぼ達成できないため、目標値を決めて設計します。

SLAと設計の違い

AWSは各サービスにSLA(サービス品質の約束)を提示しますが、無停止を保証しません。SLAは目安であり、運用側は冗長化、監視、復旧手順を用意する必要があります。例として、単一サーバーにWebサイトを置くとそのサーバー障害で停止しますが、複数台に分散すれば停止リスクを下げられます。

マルチAZの考え方

マルチAZは同一リージョン内の異なるデータセンターにシステムを配置する方式です。障害時に別AZへ切り替えてサービスを継続できます。具体例:Webサーバーを複数AZに配置し、ロードバランサーで振り分ける。RDSは同期レプリカで自動フェイルオーバーします。

監視と復旧計画

可用性は設計だけでなく監視が重要です。監視で異常を早期に検知し、自動アラートや自動復旧を組みます。障害時の手順(誰が何をするか)を文書化し、定期的に訓練してください。

メリットと注意点

メリット:サービス継続性が高まり、利用者への影響を小さくできます。注意点:コストが増え、構成が複雑になります。必要な可用性レベルとコストを比較し、最適化して設計してください。

AWSの冗長化とその必要性

冗長化とは

冗長化は同じ機能を複数の場所や装置に用意して、障害が起きてもサービスを続ける仕組みです。例えばサーバーを2台以上用意し、1台が止まっても残りで処理を続けます。可用性と耐障害性を高める基本的な考え方です。

マルチリージョン構成

複数のリージョンにシステムを分散します。リージョン単位の災害や停止に強くなります。例として、東京リージョンと米国リージョンに同じデータを置き、片方が使えなくなってももう片方に切り替えます。遠隔地に置くため遅延やデータ同期の設計に注意が必要です。

マルチAZ構成

同一リージョン内の異なるアベイラビリティゾーン(AZ)にリソースを置きます。電源やネットワークの局所的障害に備えられます。RDSのマルチAZやELBを使えば自動でフェイルオーバーします。

実装の具体例

  • ストレージ: S3やレプリケーションでデータを複製します。\n- データベース: マスター/スタンバイ構成やリードレプリカを用意します。\n- ネットワーク: DNSフェイルオーバー(Route 53)やロードバランサーで振り分けます。

注意点とトレードオフ

冗長化は可用性を高めますが、コストが増えます。運用も複雑になります。データ整合性や切り替え手順を事前に検証し、監視とバックアップを充実させることが重要です。

AWSにおける可用性の重要性と高可用性実現の方法

可用性が重要な理由

可用性とは、ユーザーがサービスを利用できる状態を保つことです。ダウンタイムは売上や信頼を失わせます。企業は障害発生時でも業務を継続できる設計を求められます。実務では「いつか壊れる」を前提に考えると、備えが行いやすくなります。

高可用性を実現する基本対策

  • マルチAZ(同一リージョン内の別物理施設): 例えば、RDSのマルチAZは自動でフェイルオーバーし、単一障害点を避けます。\
  • マルチリージョン: 地域全体の障害に備えて、別リージョンにリードレプリカや待機系を用意します。\
  • 耐久性の高いストレージ: S3やEBSスナップショットを使い、データ損失を防ぎます。

可用性を高める運用面の施策

  • 自動スケーリング: 負荷増に応じてサーバー台数を増減し、性能低下を防ぎます。\
  • 監視とアラート: CloudWatchやログ監視で異常を早期検知し、ヘルスチェックで自動復旧を促します。\
  • 障害時の自動化: 起動スクリプトや構成管理で短時間で代替リソースを投入できます。

設計の心構えと継続的改善

設計は常に失敗を想定して行います。障害対応手順を定期的に実行し、復旧時間や影響範囲を測定して改善します。小さな障害から学び、運用ルールや構成をアップデートすることが長期的な可用性向上につながります。

Amazon OpenSearch Serviceの可用性とスケーラビリティ

概要

Amazon OpenSearch Serviceは、複数のアベイラビリティゾーン(AZ)にインフラとデータを分散して、堅牢な可用性を提供します。標準で99.9%の可用性を目指し、Multi‑AZ with Standbyを使うと99.99%まで向上できます。

可用性の仕組み

ノードやデータを複数AZに分散して障害耐性を高めます。例えば1つのAZで停止が起きても、他のAZのノードが引き続き検索や書き込みに応答します。インデックスにレプリカを持たせることで、単一ノード障害でのデータ欠損を防げます。

スケーラビリティ

ノード数は最大1,002台、ストレージは最大25PBまで拡張できます。負荷が増えたらノードを追加し、インデックスのシャード設計を見直して処理を分散します。例えばECサイトなら、更新が多い時間帯にノードを増やして応答性を保ちます。

セキュリティと接続

アクセス制御、暗号化(転送中と保存時)、VPC接続、AWS IAM連携などの機能で安全に運用できます。細かなアクセス権限を設定して不要なアクセスを防ぎます。

監視と運用のポイント

CloudWatchと連携してメトリクスやログを収集し、CPUやメモリ、ディスク使用率、検索レイテンシを監視します。アラートで異常を早期に検知し、自動スケールや運用手順で対応します。

OpenSearchにおけるデータノード数と可用性向上の具体的手法

目的

OpenSearchでの可用性を高めるには、データの複製とノード配置を工夫します。ノード障害時にも検索や書き込みを継続できる構成を目指します。

基本の考え方

  • レプリカ(複製)を作成し、別ノードに配置します。これにより一つのノードが落ちてもデータにアクセスできます。
  • データノードは3台以上にします。3台あれば同時に1台が落ちても残りでサービスを維持できます。

推奨構成(例)

  • 3つのアベイラビリティゾーンに各1台ずつデータノードを配置します。ゾーン障害に備えます。
  • インデックスのレプリカ数を1以上に設定し、レプリカを異なるノードに分散します。
  • クラスタ安定性向上のため専用マスターノードを3台用意します。これで選挙や管理処理が安定します。

設定手順(概略)

  1. AWSコンソールまたはTerraformでドメインを作成し、ノード数とゾーン分散を指定します。
  2. インデックス設定でreplica数を確認・変更します。再配分が自動で行われます。
  3. 専用マスターノードを3台設定し、役割を分けます。

運用のポイント

  • スナップショットで定期的にバックアップを取得します。
  • ノード追加・削除はローリングで行い、サービス停止を避けます。
  • 定期的にフェイルオーバーをテストして、想定通りに復旧するか確認します。
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