awsでわかるバケットとは?基本から応用まで徹底解説

目次

はじめに

概要

本調査は、AWSのS3サービスにおける「バケット」についてわかりやすくまとめた入門ガイドです。バケットが何か、どのように使うか、また運用で注意すべき点までを段階的に解説します。技術的な用語は最小限にし、具体例を交えて説明します。

対象読者

AWS初心者やS3の基礎を学びたい方を想定しています。クラウド経験が浅い方でも読み進められる内容にしています。

本書の目的と構成

本書は全10章構成で、バケットの基本定義、命名規則、特徴、用途、データ管理、アクセス制御、バージョン管理、種類、作成手順を順に説明します。各章で実務に役立つポイントと注意点を示します。

読み方のヒント

まずは第2章でバケットの基本イメージをつかんでください。実際にS3を触る際は、本書の手順に沿って進めると理解が深まります。

バケットの基本定義

概要

AWS S3におけるバケットは、データを保存する最上位の“入れ物”です。ファイルそのものではなく、ファイル(オブジェクト)を格納するための仮想的な容器を指します。バケットは特定のAWSリージョン内で作成され、そこで管理されます。

何が入るのか

バケットの中にはオブジェクトと呼ばれる単位でデータを置きます。オブジェクトは写真や動画、ログ、バックアップファイルなどです。各オブジェクトには名前(キー)を付けて識別します。

ファイルシステムとの違い

一般的なパソコンのフォルダとは違い、S3はオブジェクトストレージです。階層的なフォルダ構造のように見えても、実際には名前で管理しています。これにより大容量データの扱いが簡単になります。

利点と注意点

利点として、容量にほぼ制限がなく、アクセスや配信がしやすい点があります。注意点はバケット名はグローバルで一意にする必要があることや、作成地域に依存する設定がある点です。アクセス権やバックアップの方針は別途考える必要があります。

利用例

ウェブサイトの公開用ファイル、アプリのユーザーデータ、ログ収集や長期保存のアーカイブなどでよく使われます。

バケットの命名規則と特性

命名の基本ルール

バケット名は世界中で重複してはいけません。つまり、同じ名前のバケットは他のどのアカウントにも存在しません。一般的なルールとして、英小文字、数字、ハイフンを使い、3文字以上63文字以下にします。例えば「my-company-logs」などが分かりやすい名前です。数字だけやドメイン形式(例: 192.168.0.1)は避けます。

グローバルで一意であることの意味

グローバルで一意というのは、名前が世界共通の識別子になるということです。他の人が既に使っている名前は選べません。名前を決める際は、会社名やプロジェクト名、用途を組み合わせると衝突を減らせます。

リージョンと所有権

バケットは作成時にリージョンを指定します。データの保存場所はそのリージョンに置かれ、アカウントごとに管理します。リージョン選びで遅延や法規制への対応が変わりますので、用途に合わせて選んでください。

複数バケットとアクセス設定

同じアカウント内でいくつでもバケットを作成できます。各バケットでアクセス権限や公開設定を個別に決められます。ログ用と公開用でバケットを分けるなど、用途ごとに分離すると管理が楽になります。

運用上のポイント

命名には一貫性を持たせ、識別しやすいルールを作ってください。プロジェクト名、環境(prod/dev)、用途を組み合わせると運用が分かりやすくなります。

バケットの主な特徴

高可用性と耐久性

S3バケットの最大の特徴は高い可用性と耐久性です。提示された通り、99.999999999%(11ナイン)のデータ可用性を保証しており、データが失われる可能性は極めて低く抑えられます。たとえば重要なログや顧客データでも安心して保存できます。

スケーラビリティ

バケットは容量に制限がなく、データ量の増加に合わせて自動でスケールします。新しいサービスや利用者が増えても運用を止めずに対応できます。運用チームはストレージの増強作業を気にせずに済みます。

オブジェクトサイズと数の制限

1つのオブジェクトは最大5TBまで格納できます。大きな動画ファイルやバックアップも扱えます。また、保存できるオブジェクト数は無制限なので、数が膨大になっても格納先に困りません。

運用上の利便性

バケットは冗長保存やアクセス管理と組み合わせて使えます。階層的な保存やライフサイクル設定でコスト調整が可能です。具体例として、古いデータを自動で低コストな保存領域に移す運用が行えます。

第5章: バケットの用途

バケットは「ものを入れておく箱」のように扱えます。ここでは代表的な用途をわかりやすく説明します。

具体的な用途

  • Webサイトのホスティング
    静的なHTMLや画像を置き、ブラウザで直接配信できます。小規模な個人サイトや会社の紹介ページに便利です。
  • バックアップ
    サーバーやパソコンのデータを定期的に保存します。万が一のときに復元できるように保管します。
  • データアーカイブ
    使用頻度が低い古いデータを長期保存します。取り出す頻度が少ないためコストを抑えられます。
  • ログや解析データの保存
    アプリやサービスのアクセスログをため、後で分析に使います。
  • メディア配信
    画像・動画を保管して配信します。再生時に素早く取り出せる設計にします。

他サービスとの組み合わせ例

  • サーバーレス関数(例: Lambda)と組み合わせて、アップロード時に画像を自動でリサイズできます。これによりユーザーに最適なサイズを提供できます。
  • CDN(例: CloudFront)を使うと、世界中で配信を高速化できます。ユーザーの近くから配信することで表示が速くなります。

運用のポイント

  • 保存先の構成(フォルダのようなキー設計)を決めておくと管理が楽です。
  • ライフサイクル設定で古いデータを自動で移動・削除すると手間を減らせます。
  • アクセス権や公開設定は用途に応じて厳密に管理してください。

用途を明確にすると、運用やコストの最適化が進みます。

バケット内のデータ管理

フォルダとプレフィックスで整理

バケット内では実際のフォルダ構造がなくても、プレフィックス(接頭辞)を使いフォルダのように見せて整理します。たとえば「images/2023/夏祭り.jpg」や「invoices/2024/請求書001.pdf」のようにキーを付けると、関連ファイルをまとめて管理できます。プレフィックスを使うと一覧表示や検索が速くなります。

バケット名とカテゴリ管理

用途ごとにバケットを分けると管理が楽になります。例:業務用データは「company-data」、バックアップは「company-backup」といった具合です。バケット単位で権限やライフサイクルを設定できるため、カテゴリごとの運用ルールを適用しやすくなります。

オブジェクト単位の管理(キーとバージョンID)

各オブジェクトはキー(ファイルパスに相当)で一意に識別されます。バージョン管理を有効にすると、同じキーに対して複数のバージョンが存在します。バージョンごとにIDが付くため、過去の状態に戻したり誤削除を取り消したりできます。

運用のポイント

  • 一貫した命名規則を決める(日時や用途を含める)
  • 小さなプレフィックスでグループ化し、一覧負荷を下げる
  • バージョン管理は重要データに限定して使う
  • ライフサイクル設定で古いデータを自動で整理する

以上の方法で、バケット内のデータを安全かつ効率的に管理できます。

アクセス制御とセキュリティ

概要

バケット単位でアクセス権を設定すると、誰がどのデータに触れるかを明確に管理できます。権限を適切に設定すれば、意図しない公開や不正アクセスを防げます。

主な管理方法

  • IAMポリシー:ユーザーやグループに対する権限をきめ細かく付与します。例:営業チームは閲覧のみ、運用チームは読み書き可能。
  • バケットポリシー:バケット全体に適用するルールを設定します。例:特定のIPからのみアクセスを許可する。
  • ACL(アクセス制御リスト):オブジェクト単位で簡単なアクセスを設定します。共有先が少ない場合に使います。

オブジェクトの権限設定

アップロード時に公開設定や個別の権限を付けられます。限定的に第三者に渡すなら、期限付きの共有URLや特定ユーザーにだけ許可する方法が役立ちます。

暗号化と監査

保存時の暗号化を有効にし、アクセスログを記録してください。誰がいつ何をしたかが残ると、不正を早く検知できます。

ベストプラクティスと注意点

  • 最小権限の原則で運用する。
  • 公開設定は慎重に。意図せず全員に公開しない。
  • 定期的に権限を見直す。

必要があれば、設定例や具体的な手順を例示します。

バージョン管理とデータ保護

バージョニングとは

S3のバージョニングは、同じオブジェクト名に対して過去の状態を保存する仕組みです。ファイルを上書きしたり削除したりしても、以前のバージョンを残せます。例えば、誤って上書きしたレポートを前のバージョンに戻せます。

有効化と基本的な挙動

バケット単位でバージョニングを有効にします。有効にすると、以降に作成・更新されるオブジェクトにバージョンIDが付きます。オブジェクト削除時は“削除マーカー”が追加され、過去バージョンは保持されます。

復元と削除の扱い

特定のバージョンを復元するには、そのバージョンをコピーして最新にします。完全に削除したい場合は各バージョンを個別に削除する必要があります。誤削除からの復旧が容易です。

ライフサイクルとの併用

バージョンはストレージを増やすため、ライフサイクルルールで古いバージョンを自動で削除・アーカイブすると管理しやすくなります。コストと保護のバランスを考えて設定してください。

運用上の注意点

コストの増加、復元手順の周知、定期的なテストを行ってください。重要データはバージョニングに加えバックアップやアクセス制御を併用すると安全性が高まります。

バケットの種類

概要

AWS S3には主に「汎用バケット」と「ディレクトリバケット」の二種類があります。用途やパフォーマンス要件に応じて使い分けます。

汎用バケット

汎用バケットは従来のS3バケットで、多くのストレージクラスに保存されたオブジェクトを混在して保持できます。日常的なファイル保存やバックアップ、ウェブ配信など、ほとんどのユースケースで推奨されます。たとえば写真保存やアプリのログ保管などに向きます。

ディレクトリバケット

ディレクトリバケットはS3 Express One Zoneストレージクラスのオブジェクトのみを許可します。データは単一のアベイラビリティーゾーン内で処理され、レイテンシーが低く高速なアクセスが可能です。各バケットはディレクトリ数に関係なく、1秒あたり何十万件のトランザクションをサポートします。大量の短時間アクセスや高速処理が必要なワークロードに適します。

選び方の目安

  • 可用性と耐久性を重視するなら汎用バケットを選びます。
  • レイテンシーを最優先し、同一AZ内で十分な場合はディレクトリバケットが有利です。

注意点

ディレクトリバケットは単一AZに依存するため、リージョン障害時の影響を受けやすい点に注意してください。必要に応じてバックアップやレプリケーション戦略を併用してください。

バケット作成の手順

準備

AWSアカウントでサインインし、S3へのアクセス権を持つユーザー(またはロール)を用意します。バケット名はグローバルで一意である必要があります。例: example-bucket-123

コンソールでの手順

  1. AWSマネジメントコンソールにログインし、S3サービスを開きます。
  2. 「バケットを作成」をクリックします。
  3. バケット名を入力し、リージョンを選択します(例: ap-northeast-1)。
  4. オプション設定で暗号化、バージョニング、タグ付けを選択します。
  5. アクセス設定で「ブロックパブリックアクセス」を確認し、必要に応じて変更します。
  6. 設定を確認して「作成」をクリックします。

推奨設定の説明

  • 暗号化: 保存時のデータを保護します。管理キー(SSE-S3)やカスタマー管理(KMS)を選べます。
  • ブロックパブリックアクセス: 誤って公開しないために有効にすることを推奨します。
  • バージョニング: 上書きや削除から復元しやすくなります。

CLIでの簡単な例

aws s3api create-bucket --bucket example-bucket-123 --create-bucket-configuration LocationConstraint=ap-northeast-1

注意点

  • バケット名はグローバルで一意、DNSに適した形式にしてください。
  • リージョンは遅延やコストに影響します。用途に合わせて選択してください。
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