awsでロードバランサーとは?基本と仕組みを詳しく解説

目次

はじめに

この記事では、AWSが提供するロードバランサーについて、初心者から技術者まで分かりやすく解説します。ロードバランサーは、Webサービスやアプリの「アクセスの分担役」です。アクセスが集中しても一部のサーバーに負荷が集中しないように振り分け、サービスを安定して動かせるようにします。たとえば、オンラインショップのセール時に注文が一斉に入っても、ロードバランサーが受け口を分けることでシステムを守れます。

本記事は次の内容で進めます。まずロードバランサーの基本的な仕組みを押さえ、その後AWSのサービス(ELB)全体像を説明します。続いて、ALBとNLBといった種類ごとの特徴と使いどころ、導入のメリットまで順に見ていきます。各章では具体的な利用シーンや簡単な例も挙げますので、実務での選定や設定の判断に役立つはずです。

「どれを使えばよいか分からない」「仕組みをまず理解したい」といった疑問に答える構成にしています。これから一緒に学んでいきましょう。

ロードバランサーの基本とは?

ロードバランサーとは

ロードバランサーは、利用者からのアクセス(リクエスト)を複数のサーバに振り分ける装置や仕組みです。単一のサーバに負荷が集中するのを防ぎ、応答速度や停止(ダウン)を抑える役割を果たします。例えば、3台のサーバA・B・Cがあるとき、ロードバランサーが順番に振り分ければ1台にだけ集中しません。

主な機能

  • 負荷分散:リクエストを分配して性能を保ちます。
  • ヘルスチェック:サーバの稼働状況を定期的に確認し、故障したサーバには送らないようにします。
  • セッション管理:同じ利用者を同じサーバに割り当てる(スティッキーセッション)機能があります。買い物かごの例では、同じサーバに接続することで整合性を保てます。

振り分けの仕組み(わかりやすい例)

  • ラウンドロビン:A→B→C→A… と順に振る方法。構成が均一な場合に有効です。
  • 最少接続数:現在接続数が少ないサーバに振る方法。負荷差があるときに有利です。

導入で期待できる効果

応答速度の安定、障害時の切り替えによる可用性向上、メンテナンス時の影響軽減などが見込めます。初心者でもイメージしやすいので、まずは小規模で試して感触を確かめるとよいでしょう。

AWSのロードバランサーサービス「ELB」とは?

概要

AWS ELB(Elastic Load Balancing)は、受け取ったリクエストを複数のサーバーに自動で振り分けるマネージドサービスです。管理作業をAWSが代行し、可用性やスケーラビリティを確保します。例えば、アクセスが増えたときに特定のサーバーに負荷が集中しないように分散します。

主な機能とわかりやすい例

  • トラフィック分散:複数のEC2やコンテナに均等に振り分けます。例:ショッピングサイトのアクセスを5台のサーバーに振り分ける。
  • ヘルスチェック:壊れたサーバーを自動で除外します。例:応答しないサーバーを配列から外す。
  • SSL終端(暗号化解除):SSLの処理をELBで受け持ち、内部の通信を軽くします。
  • 自動スケーリング連携:負荷に応じてサーバー台数を増減できます。

利点と運用で気を付ける点

利点は高可用性と手間の削減です。設定はGUIやAPIで簡単に行えます。ただし、用途に応じてレイヤー(HTTPやTCP)や料金モデルを選ぶ必要があります。初めての方は小さな構成で試してから運用を広げると安心です。

AWSロードバランサーの種類

AWSのロードバランサーは主に3種類あります。ここではそれぞれの特徴と、具体例を交えて分かりやすく説明します。

1) ALB(Application Load Balancer)

  • レイヤー7(アプリケーション層)で動作し、HTTP/HTTPSの内容に応じた細かいルーティングが可能です。
  • 例えば、URLのパスでリクエストを振り分けたり、ホスト名ごとに処理を分けたりできます。マイクロサービスやコンテナ環境に向いています。

2) NLB(Network Load Balancer)

  • レイヤー4(ネットワーク層)で動作し、TCP/UDPを高速にさばきます。大量トラフィックや低遅延が求められる場面に強いです。
  • 例えば、ゲームサーバーや金融取引など、応答速度が重要なシステムで使います。

3) CLB(Classic Load Balancer)

  • 旧世代のロードバランサーで、シンプルな負荷分散を行います。基本的な機能は備えますが、新規構築では推奨されません。
  • 既存システムで互換性が必要な場合に使われます。

選び方のポイント

  • HTTP/HTTPSで柔軟なルーティングが必要ならALBを選びます。
  • 高速なTCP/UDP処理や低レイテンシが重要ならNLBが適します。
  • 互換性維持が目的で古い構成を扱う場合はCLBを検討します。

各種ロードバランサーは用途に応じて使い分けると、運用が楽になります。

ALB(Application Load Balancer)の特徴と仕組み

概要

ALBはHTTP/HTTPSのトラフィックを細かく制御するロードバランサーです。URLのパスやホスト名に基づく振り分けができ、WebアプリやAPIの振り分けに向いています。EC2やECS、Lambdaなど多様なバックエンドに対応します。

主な特徴

  • パスベース/ホストベースのルーティング:例として、example.com/api を APIサーバ群へ、example.com/web をフロントに送れます。
  • ターゲットグループ単位で管理:複数サーバをグループにまとめ、グループ単位で振り分けます。
  • WebSocketやHTTP/2対応:リアルタイム通信や効率的な接続に使えます。
  • ヘルスチェック:正常なサーバだけにトラフィックを送ります。

仕組み(リスナー・ルール・ターゲットグループ)

  • リスナー:ALBは特定ポート(例:80/443)で待ち受けます。リスナーが受け取ったリクエストをルールに渡します。
  • ルール:条件(パス、ヘッダ、メソッドなど)を順に評価してターゲットグループへ振り分けます。最初に一致したルールが適用されます。
  • ターゲットグループ:バックエンドの集合です。IP、インスタンス、Lambdaを登録して切り替えます。

その他の機能と注意点

ALBは認証連携(Cognito等)やWAFとの組合せでセキュリティ強化が可能です。セッション固着(ステッキーセッション)やターゲットの容量設計も検討してください。トラフィックの種類がHTTP/HTTPS中心であれば、ALBが使いやすい選択肢です。

NLB(Network Load Balancer)の特徴と活用シーン

概要

NLBはTCP/UDPなどの低レベルな接続を高速に中継するロードバランサーです。毎秒数百万の接続をさばける設計で、応答の遅れを最小にしたい場面で使われます。ソースIPの保持や固定IPの割り当ても可能で、ネットワーク寄りの要件に強みがあります。

主な特徴(わかりやすく)

  • 高速・低遅延:接続ごとの処理を極力減らし、速く転送します。ゲームや音声通話で体感差が出やすいです。
  • 大量トラフィック対応:短時間に大量の接続が来ても耐えられます。イベント時の一斉アクセスに強いです。
  • ソースIPの保持:利用者のIPが裏側のサーバーで分かるため、アクセス制御やログが正しく残せます。
  • 固定IP(Elastic IP)対応:ファイアウォールや外部システムとの連携で便利です。
  • TCP/UDPの透過:TLSの終端をしない設定(パススルー)で暗号化されたまま転送できます。

活用シーン(具体例)

  • オンラインゲームのマルチプレイヤーサーバー:低遅延と大量接続に向きます。プレイ感が安定します。
  • 金融系のリアルタイム取引:応答時間が重要なサービスで採用されます。
  • VoIP・ビデオ会議:音声や映像の遅延を抑える必要がある場合に有効です。
  • IoTデバイス大量接続:多数の端末からの同時接続をさばけます。
  • 固定IPが必要な外部連携:既存のファイアウォール設定と合わせやすいです。

選ぶときのポイント

HTTPの詳細な内容で振り分けたい(パスやヘッダーで分岐)ならALBが適します。一方で接続の速さやIP保持、UDP対応が重要ならNLBを選ぶと効果を発揮します。具体的な要件を元に、性能と機能のバランスを見てください。

AWSロードバランサー導入のメリット

概要

AWSのロードバランサーを導入すると、サービスの安定性や運用効率を高められます。ここでは具体的な利点を分かりやすく説明します。

可用性・信頼性の向上

ロードバランサーはトラフィックを複数のサーバーに分散します。たとえばECサイトで一台が故障しても、自動で別の正常なサーバーに振り分けてサービスを継続できます。障害による停止時間を小さく抑えられます。

スケーラビリティ(自動対応)

アクセスが急増した場合、自動でインスタンスを増やす仕組みと組み合わせることで負荷を吸収します。ピーク時に処理が遅くなる心配を減らし、利用状況に応じてリソースを最適化できます。

運用負荷の軽減

ヘルスチェックや自動振り分けがあるため、手動での監視や切替の工数を減らせます。運用チームの負担を軽くし、日常の保守が楽になります。

セキュリティ強化

SSL終端で暗号化処理をロードバランサー側で行い、サーバーの負荷を下げられます。またWAFと連携して、不正アクセスの遮断や攻撃対策を強化できます。

コスト最適化

トラフィックに合わせてリソースを増減することで、過剰な設備投資を避けられます。必要なときだけリソースを使う設計で無駄を減らせます。

まとめ

要点のまとめ

AWSのロードバランサー(ELB/ALB/NLB)は、トラフィックを適切に振り分けることで可用性と拡張性を高める基本インフラです。ALBはHTTP/HTTPSの細かなルーティングに強く、NLBは高スループットや低遅延のTCP/UDP処理に向きます。用途に合わせて選ぶことで効果が出ます。

選び方のポイント

  • Webアプリでパスやホストごとの振り分けが必要ならALBを検討してください(例:/apiと/staticで別サーバ)。
  • レイテンシや大量TCP接続が課題ならNLBが適します(例:ゲームサーバやリアルタイム通信)。
  • 可用性を高めたい場合は複数のAvailability Zoneに展開し、ヘルスチェックを設定します。

次にやること

まずは要件(プロトコル、想定負荷、予算)を整理し、検証環境でALB/NLBの動作を確認してください。詳しい構築手順や料金面の深掘りもご希望があれば対応します。

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