AWSダッシュボード活用法|リアルタイム監視と最適化のポイント

目次

はじめに

目的

本記事は、AWSが提供する代表的なダッシュボードサービス三つ(AWS Health Dashboard、CloudWatch、Trusted Advisor Organizational Dashboard)について、特徴と使い分けをわかりやすく解説することを目的とします。技術担当者だけでなく、運用やコスト管理に関わる方にも役立つ内容です。

背景と重要性

クラウド環境は常に変化します。サービスの状態やコスト、設定の最適化を見える化することは、安定運用と無駄の削減につながります。各ダッシュボードは用途が異なるため、適切に使い分けることが重要です。

本記事で学べること

  • 各ダッシュボードの役割と主な機能
  • 具体的な活用例(例:障害検知、メトリクスの可視化、コスト削減)
  • 実務での使い分け方の判断基準

想定読者と読み方

想定読者はクラウド運用者、開発者、管理者です。まず章ごとの概要を読み、必要に応じて第2〜第4章を詳細にご覧ください。例を交えて解説しますので、手元の環境と照らし合わせながら読めます。

AWS Health Dashboard – リアルタイムサービス監視

概要

AWS Health Dashboardは、AWS全体と自分のアカウントに影響する障害やメンテナンス情報を一つの画面で確認できるサービスです。従来のService Health DashboardとPersonal Health Dashboardが統合されており、グローバルな問題とアカウント固有の影響を切り分けて把握できます。

主な機能

  • リアルタイムの障害情報表示:サービス停止やリージョン影響を時系列で見られます。
  • フィルタリング:リージョンやサービス、重要度で絞り込めます。
  • 詳細インシデント情報:影響範囲、開始時刻、暫定対処などを確認できます。

簡単な始め方

  1. AWSコンソールでHealth Dashboardを開きます。
  2. フィルタで自分のリージョンやサービスを選びます。
  3. インシデントを定期的にチェックするか通知を設定します。

EventBridge連携の例(チャット通知)

EventBridgeと連携すると、異常発生時に自動でSlackやTeamsへ通知できます。具体例:HealthイベントをEventBridgeルールで捕まえ、SNSやLambda経由でチャットに投稿する設定です。自動化すると初動対応が早くなります。

運用のポイント

  • 通知の閾値を調整し、誤検知を減らしてください。
  • 影響範囲を関係者に明示するテンプレートを用意すると対応が速くなります。

注意点

  • Dashboardは影響の可視化に優れますが、復旧作業は個別対応が必要です。運用手順を事前に整備してください。

CloudWatch – カスタマイズ可能な監視ダッシュボード

概要

CloudWatchはAWSの監視サービスで、EC2やS3などのリソースから集めた情報を可視化します。数値の推移やアラートを一つの画面にまとめられるため、運用状況を素早く把握できます。

ダッシュボード作成(コンソール)

コンソールから新しいダッシュボードを作成します。ウィジェットを追加して表示するメトリクスを選び、サイズや配置を調整します。たとえばEC2のCPU使用率をグラフ化し、横にS3のリクエスト数を表示するなどの並べ替えが可能です。

ウィジェットとカスタマイズ

ウィジェットはグラフ、数値表示、テキストなどがあります。名称を変更してわかりやすく整理できます。複数のメトリクスを重ねて表示すると、関連性を視覚で確認できます。

アラームと無料枠

アラームを設定して閾値超過を検知できます。無料枠ではダッシュボード3個、アラーム10個まで作成可能です。まずは無料範囲で構成を試して、必要に応じて拡張するとよいです。

データ保持と注意点

長期にわたる詳細データの保持には別途ストレージや設定が必要です。ログや詳細メトリクスを長く残す場合は、保存先とコストを事前に確認してください。

Trusted Advisor Organizational Dashboard – コスト最適化と監査

概要

Trusted Advisor Organizational DashboardはAmazon QuickSightで作る対話型ダッシュボードです。組織単位での健全性やコスト改善点を一画面で確認できます。レポートはS3に蓄積し、Athenaを使って集計、QuickSightで可視化します。

8つのセクション(概要)

  • コスト最適化:低使用率インスタンスや未使用リソースを抽出します。
  • セキュリティ:公開設定や古い認証情報を確認します。
  • フォールトトレランス:冗長化不足を検出します。
  • パフォーマンス:過負荷やボトルネックを特定します。
  • サービスリミット:接近している上限を通知します。
  • リソース統合:重複や不要なリソースを提示します。
  • ライフサイクル管理:古いスナップショットやログを把握します。
  • 運用ガイド:優先度付きの改善手順を示します。

コスト最適化の具体例

使用率が低いEC2(例:平均CPU使用率10%未満)や未アタッチのEBSボリュームを検出します。改善案は、インスタンスタイプのダウングレード、停止・削除、リザーブドインスタンスやSavings Plansの検討などです。ダッシュボードは優先度と期待される月間削減額を示し、実行すべき順序を分かりやすくします。

レポート保存と可視化の流れ

Trusted Advisorの出力をS3に保存し、AthenaでSQL的に集計します。QuickSightはその結果を読み込み、フィルタやドリルダウンで詳細確認できます。これにより過去の傾向や部門別の責任範囲が見やすくなります。

運用のポイント

定期的にダッシュボードをレビューし、改善の実施状況を追跡してください。提案をすぐ削除せず、影響範囲を確認してから実行することを推奨します。しかし、放置すると無駄なコストが増えますので、優先度の高い項目から対応してください。

まとめ

ここまでで紹介した3つのダッシュボードは、それぞれ役割がはっきり分かれています。要点をわかりやすく整理します。

  • Health Dashboard(リアルタイム監視)
  • AWS側のサービス障害や運用イベントを即時に把握できます。例:リージョン単位の障害情報を確認して影響範囲を特定する。

  • CloudWatch(詳細監視とカスタマイズ)

  • メトリクスやログを細かく監視し、アラームやダッシュボードを自由に作成できます。例:EC2のCPUやRDSの接続数に閾値アラームを設定する。

  • Trusted Advisor(コスト最適化と監査)

  • コスト削減、安全性、パフォーマンス改善の提案を受けられます。例:未使用のリソースの検出や推奨設定の確認。

組み合わせの実践例:Healthで緊急対応、CloudWatchで原因追跡と自動復旧、Trusted Advisorで定期的な最適化を行います。したがって、運用はリアルタイム監視と定期改善の両輪で進めると効果的です。

まずはアラートと自動化を整え、週次または月次でTrusted Advisorの推奨を見直す運用ルールを決めることをおすすめします。これにより包括的なAWS環境管理とコスト最適化が実現できます。

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