はじめに
本書の目的
本ドキュメントは、AWSの約款に関する検索意図の分析と、主要な約款の内容調査結果を分かりやすくまとめたものです。契約の全体像を把握し、利用形態に応じた確認ポイントを示します。
背景と構成
AWSの約款は多層的に構成されています。基本的なカスタマー契約に加え、特定サービス向けの規約(例:Marketplaceや特定APIの利用規約)、請求代行サービスの約款などが存在します。本書ではこれらを章ごとに分けて解説します。
読者想定と利用方法
対象はAWSを業務で利用する個人・企業の担当者です。まず自社の利用形態(例:自社で直接利用、マーケットプレイス経由で販売、サードパーティに請求代行を依頼)を明確にしてください。次に該当する約款の「料金」「責任制限」「データ取り扱い」などの条項を確認します。具体例として、S3でのデータ保持ルールやMarketplaceでの販売手数料の違いをチェックします。
言語と版の注意点
日本語版と英語版で表現が異なる場合があります。重要な契約内容は原文(通常は英語)も併せて確認し、必要なら法務窓口に相談してください。
本書の読み方
各章で該当約款の要点を抽出します。実務で迷った場合に参照できるよう、確認箇所と具体的なチェックリストを用意しています。
AWS Customer Agreement(AWSカスタマー契約)
概要
AWSカスタマー契約は、AWSのサービスを利用するすべてのユーザーに適用される基本契約です。ユーザーとAmazonの間でサービス利用に関する権利や義務、責任範囲を定めます。日常的には、アカウント作成時や支払い、セキュリティ対策で関係する文書と考えてください。
主なポイント
- 適用範囲と優先順位:この契約が基本となり、サービスごとの追加規約やSLA(稼働保証)がある場合はそちらが優先される点に注意してください。例として、EC2やS3の個別規約があります。
- アカウント責任:パスワード管理やアクセス権の設定は利用者の責任です。第三者による不正利用があった場合でも、基本的な対処義務が利用者にあります。
- 支払いと料金:利用した分に応じて請求されます。請求サイクルや支払い方法、遅延時の措置(停止や手数料)も規約で明示されています。
- データ所有権とプライバシー:ユーザーがアップロードしたデータの所有権は原則ユーザーにあります。Amazonは契約に基づきデータ処理を行いますが、バックアップや取り扱い方法を確認してください。
- サービス停止と解約:違反があればアカウント停止やサービス削減があり得ます。契約は更新や変更が行われることがあり、事前通知や同意方法も規定されています。
利用者へのアドバイス
契約本文は普段長文ですが、料金・セキュリティ・終了条件の条項だけは必ず確認してください。実務では、チーム内で責任者を決めて定期的に規約の変更をチェックすることをおすすめします。
AWS Marketplace販売者向けサービス規約
概要
AWS Marketplace販売者向けサービス規約は、AWS Marketplaceで製品やサービスを販売する際のルールを定めた文書です。日本語訳が提供されていますが、英語版が優先されることが明記されています。販売者はこの規約に従って出品・契約・サポートを行います。
主なポイント
- 登録と承認:販売者は事前にアカウント登録と審査を受けます。例:企業情報や連絡先の提出が必要です。
- ライセンスと価格設定:料金や利用期間、ライセンス形態を明示します。たとえば時間課金や年額契約などを選べます。
- 配送とサポート:ソフトウェア提供方法(AMI、SaaS等)やサポート対応の範囲を記載します。
言語の優先
日本語訳に差異がある場合は英語版が優先されます。契約上の不一致を避けるため、重要な条項は英語原文も確認してください。
販売者の義務と制約
販売者は正確な製品説明を提供し、利用者に対する責任を負います。禁止事項(違法コンテンツ、第三者権利侵害等)に違反すると出品停止や契約解除の対象になります。
請求と支払い
料金の請求・受領方法や手数料率が定められます。支払いはAWSを介して行われるケースが多く、タイミングや通貨に注意してください。
コンプライアンス
データ保護、輸出管理、税務など各種法令を遵守する必要があります。必要に応じて顧客情報の取り扱い方針を整備してください。
よくある注意点
- 契約書は定期的に更新されるため、改定通知を確認してください。
- 英語版との不一致を避けるため、重要事項は英語原文も保存しておくと安心です。
請求代行サービス利用約款
適用範囲
この約款は、Going Cloudが提供するAWS請求代行サービス(以下「本サービス」)を利用するすべての契約者に適用します。AWS社の規約も併せて適用され、両方に従う必要があります。具体例:契約者がAWS利用料の請求処理を依頼する場合、本約款が優先して適用されます。
サービス内容
- AWSの請求書受領・支払代行
- 利用状況のレポート提供
- 請求に関する問い合わせ対応
各機能は契約で定めた範囲内で提供します。例えば月次レポートは標準内か追加オプションかを契約で明示します。
契約者の責任
契約者は正確な請求情報と支払先情報を提供してください。誤った情報により発生した費用は契約者の負担です。支払遅延があればサービスを一時停止する場合があります。
料金と支払
サービス料金は契約書に基づき請求します。AWS利用料は実費精算とし、手数料を別途請求することがあります。支払方法や期日は契約で定めます。
データ取扱い
請求情報や利用履歴は機密情報として適切に管理します。第三者提供は契約者の同意がある場合に限ります。法令に基づく開示要求には対応します。
契約期間と解除
契約期間、更新、解約条件は契約書に従います。重大な契約違反があれば相手方は直ちに契約を解除できます。解除後の未払金は速やかに清算します。
免責・賠償
Going Cloudは合理的な注意を払って本サービスを提供しますが、間接的損害については責任を限定することがあります。故意または重大な過失による損害は賠償対象となります。
紛争解決・準拠法
本約款に関する紛争は、契約で定める管轄裁判所および日本法を準拠法として解決します。
Amazon Bedrockの規約情報
概要
Amazon Bedrockは生成AI向けプラットフォームで、モデルの利用やAPI呼び出しに関するサービス規約(Service Terms)が適用されます。規約はAWSの公式ドキュメント内で管理され、他のAWSサービスと統一的に参照できます。短く言うと、Bedrock固有の利用条件と、AWS全体の契約が重なって適用されます。
主な規約ポイント
- 利用範囲: 商用利用や研究利用など、利用目的に応じた制限や許可が明記されています。例えば、生成物の取り扱いや第三者権利への配慮が必要です。
- データとプライバシー: 入力データの扱い、ログの保存期間、PII(個人情報)への対応方針が示されています。具体例として、機密情報を送信する前に匿名化を推奨します。
- 責任範囲: 結果の精度や生成物に関する責任の所在が規定されています。予期せぬ出力について利用者側での確認と対策を求められる場合があります。
利用時の注意点
- 利用前に最新のService Termsを必ず確認してください。
- 商用提供する場合は、第三者権利やコンプライアンス条件を事前に確認し、必要に応じて法務に相談してください。
規約の確認方法
AWS公式ドキュメントサイトで”Amazon Bedrock Service Terms”や関連する”AWS Service Terms”を検索すると、最新の条文と改訂履歴が確認できます。条文を読む際は適用範囲(リージョンやアカウント種別)に注意してください。
まとめ
AWSの約款は層ごとに分かれており、基本のカスタマー契約に加え、Marketplaceや請求代行などサービスごとの規約が適用されます。利用形態によって適用される約款が変わるため、まず自分がどのサービスを使うかを確認してください。
日本語の翻訳版は分かりやすい一方で、英語版との表現差が生じることがあります。重要な点や不明点があれば英語版を参照し、必要ならAWSサポートや法務担当に確認してください。
Marketplace経由の購入や第三者による請求代行を利用する場合は、販売者や請求代行業者の規約、請求方法、返金ポリシー、データ取扱いの記載を確認しましょう。例えば、SaaSをMarketplaceで契約して請求が販売者から来るのかAWSから来るのかは、支払い・請求書の扱いに直結します。
実務的には、次の順で確認すると分かりやすいです。1) 利用サービスを特定、2) 該当する各約款の該当箇所を読む、3) 日本語と英語の差をチェック、4) 不明点は販売者またはAWSに問い合わせ、5) 重要な合意は記録に残す。
これらを習慣にすれば、契約上のリスクを減らして安心してAWSを利用できます。












