はじめに
この資料の目的
本資料は「直帰率とは何か」を分かりやすく説明します。特にGoogleアナリティクスにおける定義と計算方法の違いに焦点を当て、UA（ユニバーサルアナリティクス）とGA4（Googleアナリティクス4）での扱いを整理します。
対象読者
ウェブサイト運営者、マーケター、解析担当者、あるいは直帰率を初めて学ぶ方を想定しています。専門用語は最小限に留め、具体例を交えて説明します。
本資料で学べること
- 直帰率の基本的な意味と直感的な見方
- 直帰率の計算方法の違い
- UAとGA4で定義や計測にどんな違いがあるか
- 直帰率とエンゲージメント率の関係性
読み方のヒント
各章を順に読むと理解が深まります。まずは第2章で直帰率の基本を押さえ、その後に計算やプラットフォーム差を確認してください。実例や図がなくても、イメージしやすい説明を心がけます。
直帰率の基本的な定義
基本的な意味
直帰率（Bounce Rate）は、訪問者がサイトに入って最初の1ページだけ見て他のページに移らずに離脱した割合を指します。簡単に言うと「最初のページだけで終わったセッションの割合」です。
どのようにカウントされるか
直帰としてカウントされるのは、セッション中に他のページビューや事前に設定した『インタラクションイベント』が発生しなかった場合です。たとえばページを開いて何も操作せず閉じた場合、そのセッションは直帰になります。
具体例
100人がサイトに来て、そのうち40人が最初のページだけ見て離れたら、直帰率は40%です。外部リンクをクリックしてすぐ離れた場合も直帰に含まれることがあります。逆に、動画再生や問い合わせボタンのクリックなどが計測されていれば直帰とはみなされません。
注意点（解釈のコツ）
直帰率が高いからといって必ず悪いとは限りません。ランディングページで十分な情報が提供されている場合、ユーザーは満足して離脱することがあります。目的（情報提供、購入、問い合わせ）に応じて直帰率の意味合いを変えて評価してください。
活用のヒント
ページ内容が期待に合っているか、内部リンクや誘導が分かりやすいかをチェックします。必要な場合は、特定ページでイベント（クリックやスクロール）を計測して、ユーザーの関与を正確に把握しましょう。
直帰率の計算方法
直帰率は次の式で求めます。
直帰率 = 直帰セッション数 ÷ 総セッション数 × 100
ここで「直帰セッション」とは、訪問者がそのセッション中に1ページしか見なかった場合のセッションです。分子にその回数、分母に総セッション数（その期間に発生したすべてのセッション）を入れて割合を出します。
具体例:
– あるページのセッションが5回あり、そのうち2回が1ページだけで離脱した場合：
直帰率 = 2 ÷ 5 × 100 = 40%
– サイト全体でセッションが10回、そのうち7回が1ページだけで終わった場合：
直帰率 = 7 ÷ 10 × 100 = 70%
計算の手順:
1. 対象期間と対象ページ（またはサイト全体）を決める
2. その期間の総セッション数を数える
3. 1ページのみのセッション数（直帰セッション）を数える
4. 式に当てはめ、百分率で表す（小数点は状況に応じて四捨五入）
注意点:
– パソコンとスマホで行動が異なるので、端末別に計算すると把握しやすくなります。
– ページで発生するクリックやスクロールを計測すると直帰率は下がる場合があります。計測方法によって値が変わる点に注意してください。
– ボットや同一ユーザーの複数セッションは分母・分子に影響します。期間・フィルタ条件を揃えて比較してください。
Googleアナリティクス（UA）での直帰率
定義と計算式
UA（ユニバーサルアナリティクス）では直帰率を「そのページで何も行われずに終了した、1ページのみのセッションの割合」と定義します。計算式は次の通りです。
ページの直帰数 ÷ そのページから始まるセッション数 × 100
つまり、そのページで別ページに移動したりイベント（例えば動画再生やファイルダウンロード）が発生しなければ直帰と判定されます。
UAでの確認方法
UAのレポートでは「行動」→「サイトコンテンツ」→「すべてのページ」などでページごとの直帰率を確認できます。集計期間やセグメントで絞り込むと傾向が見えやすくなります。
特徴と注意点
- ページビューベースの指標のため、同一セッション内で複数ページを見れば直帰になりません。
- イベントが計測されないと、本当は関与があっても直帰としてカウントされることがあります。例えばページ内で長時間スクロールしたり、外部ツールでの操作があってもイベントを送らなければ直帰扱いです。
- ランディングページの目的によって適切な解釈が変わります。問い合わせ完了ページや単一ページの説明ページは直帰率が高くても必ずしも悪いとは限りません。
改善のための具体的な施策例
- ページ内でのユーザー行動をイベントで計測する（スクロール深度、クリック、動画再生など）。
- 内部リンクや関連コンテンツを目立たせて次の行動を促す。
- ページの読み込み速度や導線を改善して訪問者の迷いを減らす。
Googleアナリティクス4（GA4）での直帰率
定義
GA4では直帰率の定義が変わりました。直帰率は「エンゲージメントのなかったセッションの割合」です。従来の単純な『1ページだけ見て離脱』とは異なり、ユーザーの能動的な行動に着目します。
エンゲージメントとは
エンゲージメントは次のような行動を指します。例を挙げて説明します。
– 10秒以上の滞在（ページに長くとどまる）
– サイト内で別のページに移動する
– イベントが発生する（ボタン押下、フォーム送信など）
– 動画再生やファイルダウンロード
計算式と具体例
計算式は次の通りです。
直帰率 = エンゲージメントのなかったセッション数 ÷ そのページから始まるセッション数 × 100
または「直帰率 = 100% − エンゲージメント率」としても表せます。
例：あるページでセッション100件、うちエンゲージしたのが30件なら直帰率は70%です。
注意点と運用のヒント
- イベントを適切に設定すると、実際の訪問行動を正しく把握できます。
- 10秒ルールだけで判断せず、ページの目的に合わせた指標を使ってください。
- UAと定義が変わっているため、過去データと単純比較しないよう注意してください。
UAとGA4の直帰率における重要な違い
定義の違い
UA（ユニバーサルアナリティクス）は「セッション内でページを一度しか見なかった割合」を直帰率と定義します。対してGA4は直帰率を直接の主要指標にせず、エンゲージメントの有無（イベントに基づく）で評価します。
測定単位の違い
UAはセッションとページビューを基準にします。GA4はイベント単位で計測し、スクロールや滞在時間、カスタムイベントなどを「エンゲージメント」と見なします。そのため、同じ訪問でもGA4は直帰と見なさない場合があります。
対象の違い
UAは主にウェブサイト向けです。GA4はウェブとアプリ、動画など複数プラットフォームを統合して計測します。
数値傾向と原因
一般にGA4の直帰率はUAより低く出ます。理由はGA4がユーザーの簡単な操作もエンゲージメントとカウントするためです。
実務上の注意点
・履歴データの単純比較は避ける。設定やイベントの違いで数値が変わります。
・重要なのは変化の傾向と具体的なイベント設計です。GA4移行時は主要イベントを定義して、同等の指標を作ることをおすすめします。
直帰率とエンゲージメント率の関係
基本の関係
GA4では直帰率とエンゲージメント率が互いに補数の関係です。具体的には「直帰率 = 100% − エンゲージメント率」です。たとえばエンゲージメント率が70%なら直帰率は30%になります。
計算例
- エンゲージメント率 70% → 直帰率 30%（100%−70%）
- エンゲージメント率 25% → 直帰率 75%（100%−25%）
エンゲージメントの判定基準
GA4で「エンゲージメント」と見なされるのは主に次の条件を満たすセッションです：
– 滞在時間が10秒以上
– あるいはコンバージョンイベントが発生
– あるいは2ページ以上の閲覧
このため単純に1ページだけ見て離脱しても、条件を満たすと直帰とはカウントされません。
実務での見方と対策
数値の意味合いが変わったため、エンゲージメント率を中心に見てください。直帰率は逆算で出せますが、エンゲージメント率の内訳（滞在時間、イベント、ページ遷移）を確認するほうが改善策を立てやすいです。改善ポイントの例：
– ページ表示速度の改善
– 訴求内容と導線の見直し
– 重要な操作をイベントとして計測
– モバイル表示の最適化
これらを確認すると、数値の変化が何に起因するかをより正確に把握できます。
