はじめに
この章では、本書の目的と読み方をやさしく説明します。Webサーバーにファイルをアップロードする方法を体系的に学びたい方へ向けた導入です。専門用語は必要最低限にとどめ、具体例で補足します。
本書の目的
- Webサーバーにファイルを置く意味を理解する
- FTP/SFTPやブラウザ経由の基本的な方法を知る
- 実際の手順を見て安全に操作できるようになる
対象読者
初心者から中級者まで。例えば、画像を公開したい人、個人サイトを更新する人、開発環境を整えたい人に役立ちます。
本書で扱う主な項目
- ファイルをアップロードするとは何か
- ドキュメントルート(公開フォルダ)について
- FTP/SFTPやFileZillaなどツールの使い方
読み方の注意
各章で具体的な手順やスクリーンショットの説明を行います。実際に手を動かすと理解が深まりますので、段階を追って試してみてください。
Webサーバーに「ファイルをアップロードする」とは?
概要
Webサーバーにファイルをアップロードするとは、自分のパソコンにあるファイルをインターネット上のサーバーに転送して、Webブラウザから見られるようにすることです。例えば、ホームページ用のHTMLやスタイルシート、画像、PDFなどを置くと、他の人がURLを通じてアクセスできます。
何が起きるか(かんたんに)
ファイルはネットワーク経由でサーバーの指定フォルダにコピーされます。サーバー側ではそのフォルダとファイル名をもとにURLを割り当てます。たとえば「example.com/images/photo.jpg」のようにブラウザで開けるようになります。
置く場所と公開範囲
公開用のフォルダ(ドキュメントルート)に置けば誰でも閲覧できます。非公開領域に置けばログインや権限がないと見えません。重要な個人情報や設定ファイルは公開領域に置かないようにします。
注意点
・ファイル名に日本語や空白を入れるとURLで問題になることがあります。英数字とハイフン、アンダースコアを使うと安全です。
・容量制限や上書きに注意してください。大きな動画は専用のストレージを使う方が良い場合があります。
・アップロード直後にブラウザで確認し、見えない場合はパーミッション(アクセス権)やパスを確認します。
この先の章で、具体的なアップロード方法や手順を順を追って説明します。
ドキュメントルート(公開フォルダ)とは何か
概要
ドキュメントルートは、外部からブラウザでアクセスできるサーバー上のフォルダです。ドメイン名と紐づき、そこに置いたファイルだけがWeb上で表示されます。レンタルサーバーでは「public_html」「htdocs」などが一般的です。
URLとフォルダの対応
ブラウザのURLはサーバー内のファイルに対応します。例えば https://example.com/index.html はサーバー側の /home/ユーザー/public_html/index.html に対応する、という具合です。サブフォルダもそのままURLのパスになります。
よく使われるファイル名
多くのサーバーはデフォルトで index.html や index.php を優先表示します。これを置くと、ディレクトリ名だけでページが開きます。
公開範囲と注意点
ドキュメントルート外のファイルは通常公開されません。公開したくない設定ファイルや個人データは、必ずルート外に置いてください。また、ディレクトリ一覧表示を無効にし、必要な権限設定を行うことが重要です。
実例(共有ホスティング・ローカル)
- 共有ホスティング: /home/ユーザー/public_html/
- ローカル開発: /var/www/html/ や ./htdocs/
この中にHTMLや画像、CSS、PHPを置くとブラウザから見られます。
Webサーバーにファイルをアップロードする主な方法
はじめに
Webサーバーへファイルを送る方法は用途や環境で変わります。ここでは代表的なやり方を分かりやすく紹介します。
1) FTP / SFTPクライアント(例:FileZilla)
説明:専用ソフトでサーバーに接続し、ファイルをドラッグ&ドロップで送ります。SFTPは暗号化され安全です。
長所:操作が直感的で大量ファイルの転送に向く。
短所:設定が必要で、セキュリティに注意します。
簡単な手順:①ホスト・ユーザー名・パスワードを入力 ②接続して公開フォルダにアップロード
2) HTMLフォーム+サーバー側スクリプト(例:PHP)
説明:ブラウザからフォームでファイルを選び、サーバー側で受け取って保存します。
長所:ユーザーが簡単にアップロードできる。ウェブアプリに組み込みやすい。
短所:実装と安全対策(サイズ制限・拡張子チェックなど)が必要。
簡単な流れ:フォーム→スクリプトが受け取り→保存
3) アプリケーションからのアップロード(例:ASP.NET/C#)
説明:独自アプリや管理画面からプログラム的にファイルを送ります。
長所:業務フローに合わせた細かい制御が可能です。
短所:実装の手間とセキュリティ設計が要ります。
4) CMSや管理画面経由(例:WordPress)
説明:WordPressやCMSの管理画面からメディアをアップロードします。
長所:初心者でも使いやすく、権限管理も備わることが多いです。
短所:大量ファイルや特殊な配置には向かない場合があります。
5) その他(WebDAV・クラウド同期・オブジェクトストレージ)
説明:フォルダを共有するように扱ったり、S3などへアップして配信に利用します。必要に応じて検討してください。
FTP / SFTPでWebサーバーにファイルをアップロードする手順
概要
最もよく使われる方法はFTPクライアントを使ってサーバーに接続し、ローカルのファイルをドラッグ&ドロップで転送する方法です。SFTP(SSH経由)が安全でおすすめです。代表的なクライアントはFileZillaやWinSCPです。
準備するもの
- FTP/SFTPクライアント(例:FileZilla、WinSCP)
- サーバーの接続情報:ホスト名(例:example.com または IP)、ユーザー名、パスワード、プロトコル(FTP/SFTP)、ポート番号(通常FTPは21、SFTPは22)
- アップロードするファイルと、公開先のフォルダ(ドキュメントルート)
基本的な手順
- クライアントを起動し、新しい接続を作成します。ホスト、ユーザー名、パスワード、プロトコル、ポートを入力します。
- 接続ボタンを押してサーバーに接続します。SFTPの場合は初回にホスト鍵の確認が出ることがありますが、正しければ承認します。
- サーバー側で公開フォルダ(例:public_html、www、htdocsなど)を探します。
- ローカル側の該当ファイルやフォルダを選び、サーバー側の公開フォルダへドラッグ&ドロップで転送します。
- 転送が完了したら、ブラウザで該当のURLにアクセスして動作を確認します。
アップロード後の注意点
- パーミッション(権限)が適切か確認します。通常はディレクトリが755、ファイルが644が目安です。クライアントで右クリック→属性変更(CHMOD)で設定できます。
- 不要な公開ファイルを残さないよう注意してください。
セキュリティのポイント
- 可能ならSFTPを使い、FTPは避けます。パスワードの盗聴リスクが低くなります。
- SSH鍵認証が使える場合は、鍵認証を設定するとさらに安全です。
- パスワードは強力にし、使い回しを避けます。接続後は必要に応じてセッションを切断してください。
FileZillaでの具体的な接続・アップロード手順
1. 接続情報を用意する
まずレンタルサーバーの管理画面で接続情報を確認します。必要なのは「ホスト名(例: ftp.example.com)」「プロトコル(FTPまたはSFTP)」「ポート番号」「ユーザー名」「パスワード」「公開フォルダ名(例: public_html)」です。画面のスクリーンショットを保存しておくと安心です。
2. サイトマネージャーに登録する
FileZillaを起動し、左上の「サイトマネージャー」を開きます。「新しいサイト」を作成し、ホスト、プロトコル(SFTP推奨)、ポート、ログオンタイプを「通常」にしてユーザー名とパスワードを入力します。保存して「接続」を押します。
3. サーバーへ接続する
接続に成功すると右側にサーバーのフォルダが表示されます。公開フォルダ(例: public_html、htdocs、wwwなど)を開いてください。見つからない場合はレンタルサーバーのマニュアルを確認します。
4. ファイルをアップロードする
左側でローカルのアップロードしたいフォルダを開き、対象のファイルやフォルダを右側の公開フォルダにドラッグ&ドロップします。あるいはファイルを右クリックして「アップロード」を選びます。下部の転送キューで進行状況を確認できます。
5. アップロード後の確認
転送キューが空になったら、ブラウザで該当URL(例: https://yourdomain.com/ファイル名)を開いて動作を確認します。表示されない場合はファイル名やパス、パーミッション(権限)を見直してください。
6. トラブルシューティングのポイント
・接続エラー:ホスト名、ポート、ユーザー名、パスワードを再確認してください。
・タイムアウト:パッシブモードの切替やファイアウォール設定を確認します。
・権限エラー:サーバー上でファイルのパーミッションを変更する必要がある場合があります。












