はじめに
本記事の目的
本記事は、Googleが提唱する「コアウェブバイタル」について、基礎からわかりやすく説明することを目的としています。Webサイトの表示速度や操作感がなぜ大切かを理解し、改善の入口をつかめるようにします。
対象読者
サイト運営者、コンテンツ制作者、Web担当者、そしてWebパフォーマンスを学びたい初心者の方を想定しています。専門用語は最小限にし、具体例を交えて解説します。
この記事で学べること
- コアウェブバイタルの全体像
- 構成する主要指標（LCP・INP・CLS）の概要（詳細は後章で解説）
- SEOやユーザー体験への関わり方
- 計測や改善の基本的な考え方
読み方のヒント
まず第2章で指標の意味をつかんでください。その後、第4章で実際の改善策を確認すると効率的です。わからない用語は具体例に置き換えて読み進めると理解しやすくなります。
コアウェブバイタルとは何か
概要
コアウェブバイタル（Core Web Vitals）は、Googleが提唱する、Webサイトの「使いやすさ」を数値で表す指標の集まりです。誰でも共通の基準でユーザー体験（UX）を評価できるように設計されています。
コアとなる3つの観点
- 読み込み速度：ページを開いて主要なコンテンツが見えるまでの速さです。例）トップ画像や記事本文が早く表示されると満足感が高まります。
- インタラクティブ性：ボタンやフォームに対する応答の速さです。例）ボタンを押してから反応するまでの遅れが小さいと使い勝手が良く感じられます。
- 視覚的安定性：ページ表示中に要素が不意に動かないことです。例）広告の読み込みで本文がずれると誤タップが起きやすくなります。
測定される指標（名称と簡単な説明）
- LCP（Largest Contentful Paint）：ページの主要なコンテンツが表示されるまでの時間。
- INP（Interaction to Next Paint）：ユーザー操作に対して実際に画面が更新されるまでの応答速度（2024年以降の正式指標）。
- CLS（Cumulative Layout Shift）：表示中に起きるレイアウトのずれの合計スコア。
どんなサイトでも対象になる理由
コアウェブバイタルは、コンテンツの種類にかかわらずユーザーの体験を測るための共通言語です。個人ブログからECサイトまで、優先して改善すべき点を示してくれます。
なぜコアウェブバイタルが重要なのか
ユーザー体験に直結する指標です
コアウェブバイタルは、ページを見たときの「快適さ」を数値で示します。表示の速さ（LCP）、操作の反応（INP）、表示の安定性（CLS）の3点が中心です。たとえば、画像の読み込みが遅いと最初の表示が遅れ（LCPが悪化）、ボタンがすぐ反応しなければ操作がもたつき（INPが悪化）、広告でレイアウトが突然ずれると誤タップを招きます（CLSが悪化）。こうした体験の悪化は訪問者の不満につながります。
検索順位への影響
Googleは2021年6月からコアウェブバイタルをランキングの一部として導入しました。コンテンツの関連性や質が最優先ですが、同じくらい良い内容が並ぶ場合はページ体験が差をつけます。つまり基本は良いコンテンツですが、ユーザーが使いやすいサイトは検索上でも有利になります。
ビジネスへの具体的効果
改善すると直帰率が下がり、滞在時間やコンバージョン率が上がります。ECサイトなら購入完了までの離脱が減り、メディアなら記事の閲覧数が増えます。小さな改善（画像最適化や余白の確保など）でも効果が出やすい点が特徴です。
改善の本質はユーザーのため
SEOのためだけでなく、訪問者に気持ちよく使ってもらうことが目的です。実ユーザーデータを見て優先度を決め、まずは影響が大きい箇所から手をつけると良いでしょう。
コアウェブバイタルを構成する3つの指標
1) LCP（Largest Contentful Paint）
ページで最も大きな見た目の要素が表示されるまでの時間を測ります。対象は大きな画像、ヒーローイメージ、主要見出しのテキスト、動画サムネイルなどです。例：トップページの大きなバナー画像が表示されるまでの時間。
評価基準：良好は2.5秒以下、要改善は2.5秒超〜4.0秒以下、不良は4.0秒超。
改善ポイント：画像を遅延読み込みする、サイズを最適化する、重要なリソースを優先して読み込む。
2) INP（Interaction to Next Paint）
ユーザーの操作（クリック、タップ、キー入力、カスタムUI操作など）から次の画面描画までの時間を測ります。従来のFIDは最初の入力だけを見ていましたが、2024年3月からINPに正式移行し、より多くの操作を評価します。例：ボタンを押してメニューが開くまでの応答時間。
評価基準：良好は200ms以下、要改善は200ms超〜500ms以下、不良は500ms超。
改善ポイント：メインスレッドの負荷を減らす、長いスクリプトを分割する、応答を先に返す（軽いUI反応を即座に見せる）。
3) CLS（Cumulative Layout Shift）
ページのレイアウトがどれだけ安定しているかを示します。予期せぬ文字や画像の移動があるとユーザーが誤タップしやすくなります。例：読み込み途中でボタンが下に動いてしまい、別のリンクを押してしまう。
評価基準：良好は0.1以下、要改善は0.1超〜0.25以下、不良は0.25超。
改善ポイント：画像や広告に幅・高さを指定する、動的コンテンツのスペースを確保する、フォント読み込みでのレイアウトズレを防ぐ。
各指標はユーザー体験の異なる面を測ります。どれも改善により訪問者の満足度と操作率が高まります。
