はじめに
本記事は、WordPressサイトのドメイン変更を安全に行うための完全ガイドです。
目的
ドメイン変更は、サイト名変更や独自ドメイン取得、サブドメイン移行などで必要になります。本ガイドでは、管理画面での簡易変更から、データベースやファイルを手動で書き換える方法まで、段階を追ってわかりやすく解説します。
この章で得られること
- ドメイン変更で起こりやすい問題の概要
- 本記事の全体構成と各章で学べること
対象読者
初心者から中級者のサイト運営者向けです。技術的な専門知識が少なくても理解できるよう、専門用語は最小限にし、具体例で補足します。
注意点(先に押さえておくこと)
ドメイン変更はSEOやアクセスに影響します。バックアップを必ず取り、作業は慎重に進めてください。以降の章で具体的な手順とチェックポイントを丁寧に説明します。
WordPressのドメイン変更とは?どんな時に必要になるか
ドメイン変更とは
WordPressのドメイン変更とは、サイトのURL(例: old.example.com → new-example.com)を新しいドメインに切り替える作業です。具体的には、WordPressアドレスやサイトアドレスの書き換えに加え、データベース内のURL、サーバー設定、リダイレクト設定などをまとめて変更します。作業を正しく行わないと表示崩れやリンク切れ、ログイン不能が起きます。
どんな時に必要か(具体例)
- リブランディングでブランド名を変えるとき(例:サービス名変更)
- サブドメイン(blog.example.com)から独自ドメイン(example.com)へ移すとき
- 無料ドメインや開発用ドメイン(example.test)を本番の独自ドメインに切り替えるとき
- ドメインを買い替える、合併や事業譲渡でURLを統一するとき
変更で扱う主な項目
- WordPressアドレス(URL)とサイトアドレス(URL)の更新
- 投稿内やウィジェットの内部リンク、画像URLの書き換え
- データベース内の古いURLの一括置換
- サーバーのバーチャルホストやDNS設定、SSL証明書の更新
- 旧ドメインから新ドメインへの301リダイレクト設定
注意点
- バックアップを必ず取ること。失敗時の復旧が可能になります。
- SEO対策として301リダイレクトとSearch Consoleの設定を忘れないでください。
- 変更後は内部リンクや画像が正しく表示されるかを丁寧に確認してください。
慎重に進めれば問題を最小限に抑えられます。次章では、実際の変更パターンを見ていきます。
ドメイン変更の3つの基本パターン
概要
WordPressのドメイン変更は主に3つのやり方があります。目的や技術レベル、時間に応じて適切な方法を選びます。どの方法でも旧ドメイン→新ドメインへの301リダイレクトとGoogle Search Consoleでの手続きは重要です。
1. 管理画面だけでURLを書き換える(簡易変更)
- 概要: WordPress管理画面の「設定→一般」でサイトアドレス(URL)を変更します。小規模で内部リンクや外部サービスが少ない場合に向きます。
- 長所: 手順が簡単で短時間で完了します。
- 短所: メディアや投稿内のリンク、プラグイン設定、キャッシュなどが残ると表示や動作に問題が出ます。テーマ内に絶対URLがあれば手作業で直す必要があります。
2. サーバーとデータベースを含めたフル移行(手動)
- 概要: ファイルとデータベースを丸ごとコピーし、データベース内のURLを検索・置換して新ドメインへ切り替えます。DNSやサーバー設定も更新します。
- 長所: 正確にサイトを丸ごと移せます。細かい調整が可能です。
- 短所: 手順が多く、ミスするとサイトが壊れる恐れがあります。バックアップとテスト環境が必須です。
3. 移行系プラグインを使う方法
- 概要: 専用プラグイン(例: Duplicator、All-in-One WP Migrationなど)でファイルとDBをエクスポート・インポートし、URLを置換します。
- 長所: 操作が自動化されるため失敗が少ないです。初心者にも使いやすいです。
- 短所: 大規模サイトやカスタム構成ではプラグインだけでは足りない場合があります。
SEO保護の注意点
- 旧ドメインから新ドメインへの301リダイレクトを必ず設定してください。検索エンジンと訪問者が新しい場所に移動します。
- Google Search Consoleで新ドメインの所有確認とアドレス変更の申請を行ってください。これで検索順位の引き継ぎがスムーズになります。
準備編 – ドメイン変更の前に必ずやるべきこと
はじめに
ドメイン変更は思ったより手間がかかります。作業前に必ず準備を整え、トラブル時に元に戻せる状態にしておきます。
1) 新ドメインの取得とサーバー設定
- レジストラで新ドメインを取得します(例:example.com)。
- レンタルサーバーの管理画面で「ドメイン追加」または「アドオンドメイン」を設定します。
- レジストラ側でネームサーバーをサーバー指定のものに変更します。反映に24〜48時間かかることを見込みます。
2) ファイルとデータベースの完全バックアップ
- FTP/SFTPでWordPressの全ファイルをローカルにダウンロードし、ZIPで保存します。テーマ、プラグイン、uploadsフォルダを必ず含めます。
- phpMyAdminまたはサーバー提供のツールでデータベースをエクスポート(SQLファイル)します。
- バックアップは別のクラウドや外付けHDDにも保管してください。
3) SSLとメール設定の確認
- 新ドメイン用のSSL(Let’s Encrypt等)取得方法を確認します。証明書は後で必要です。
- メールをそのドメインで運用している場合はMX設定や受信箱の引継ぎ方法を確認します。
4) 作業時間とメンテナンス表示
- アクセスが少ない深夜や午前帯を選んで作業します。
- 万一に備え、メンテナンス画面を出す手順(プラグインや一時index.html)を用意します。
5) 最終チェックリスト(作業前に確認)
- 新ドメイン取得済み、サーバーに追加済み
- FTP/DBのログイン情報が手元にある
- バックアップファイルを別所に保管済み
- SSLとメールの取り扱い方を確認済み
- 作業時間の周知とメンテナンス表示準備
これらを済ませておけば、ドメイン変更作業を安全に進められます。
もっとも簡単な方法 – 管理画面からURLを書き換える手順
概要
小規模サイトや開発環境では、管理画面から「WordPressアドレス (URL)」と「サイトアドレス (URL)」を変更するだけで済む場合があります。手順は簡単ですが、データベース内の内部リンクや画像URL、シリアライズ済みデータは自動で書き換わりません。
手順(簡単)
- WordPress管理画面に管理者ユーザーでログインします。
- 「設定」→「一般」を開きます。
- 「WordPressアドレス (URL)」「サイトアドレス (URL)」の欄に新しいドメイン(例:https://example.com)を入力します。
- ページ下部の「変更を保存」をクリックします。
- ログアウトして、トップページやいくつかの固定ページ・投稿を確認します。キャッシュがある場合はブラウザとプラグインのキャッシュをクリアしてください。
実施前に最低限やること
- サイトの完全バックアップ(ファイルとデータベース)を必ず取る。
- 新ドメインのDNSが設定済みで、ホスティングが新ドメインを受け入れているか確認する。
- SSL(HTTPS)を使う場合は証明書を用意する。
確認すべき点(注意)
- 投稿内リンクや画像のURLは変更されません(例:記事内の画像が旧ドメインのまま表示される)。
- シリアライズされたデータ(ウィジェットや一部プラグインの設定)はそのままだと壊れる恐れがあります。
- ページ数が多い、内部リンクが多い、本番移行ならこの方法だけでは不十分です。その場合は検索置換ツールやWP-CLI、後述の手動手順を検討してください。
いつ使うか:少数ページのテスト移行やローカル開発では有効です。本格移行前の素早い確認手段として覚えておくと便利です。
手動で行う本格的なドメイン変更(プラグインなし)
概要
本番サイトでドメインやサーバーを移す場合は、ファイルとデータベースを手動で移行しつつドメインを書き換えるのが確実です。ここでは基本手順を順に説明します。
手順(順番に行ってください)
1) バックアップ
– サイトの全ファイルをFTP/SFTPでダウンロードします。例:wp-content、テーマ、プラグイン、アップロード済み画像など。
– データベースをphpMyAdminやmysqldumpでエクスポートします。
2) 新サーバーの準備
– 新ドメインでホスティングを用意し、FTPでファイルをアップロードします。
– wp-config.phpのDB接続情報(DB名、ユーザー、パスワード、ホスト)を新環境用に書き換えます。
3) データベースの移行と置換
– 新しいデータベースを作成し、エクスポートしたSQLをインポートします。
– SQLファイル内の旧ドメインを新ドメインに一括置換します。注意:WordPressはシリアライズされたデータを使うため、単純な文字置換で破損することがあります。
– 対策として、SSHで使えるWP-CLIの”search-replace”コマンドを使うか、Interconnect/ITのシリアライズ対応スクリプトを利用してください。どちらもプラグイン不要です。
4) 設定の最終調整
– wp_optionsテーブルのsiteurlとhomeを新URLに更新します。
– パーマリンク設定を管理画面で保存して. htaccessを再生成します。
– メディアや内部リンクを確認し、必要に応じて手動で修正します。
5) DNSとSSL
– 新ドメインのDNSを新サーバーに向けます。反映には時間がかかる場合があります。
– SSL(HTTPS)が必要なら新サーバーで証明書を発行・設定してください。
6) 動作確認と掃除
– 表示・ログイン・フォーム送信など主要な機能を確認します。
– 問題なければ旧サーバーを停止し、不要なバックアップを整理します。
注意点
– 作業前に必ず完全なバックアップを取り、元に戻せる準備をしてください。
– シリアライズデータの扱いを誤ると表示崩れやログイン不可になります。安全な方法(WP-CLIなど)を優先してください。












