はじめに
本書の目的
本ドキュメントは、Webサイト制作やリニューアル時に役立つサービスサイトの具体的な成功事例を集め、構成やデザインのポイントを分かりやすく示すことを目的としています。実際の事例を通して、方向性決定や制作会社との要件整理を効率化できます。
対象読者
- 企業のWeb責任者や広報担当者
- 制作会社とやり取りするディレクター
- 自社サイトを改善したい経営者
分かりやすい言葉で解説しますので、専門知識が浅い方もご利用いただけます。
使い方
各章で「ターゲット」「デザイン特徴」「構成ポイント」を整理します。自社の目的に照らして「良い点」「応用できる点」をメモすると活用しやすくなります。ワイヤーフレームや要件書作成の際の参考にしてください。
期待できる効果
比較検討がしやすくなり、方向性が定まります。意思決定が迅速になり、無駄な修正を減らせます。
注意点
事例は参考であり、必ず自社のユーザー調査や目標と照らして調整してください。
サービスサイトの事例を集めるべき理由
なぜ事例を集めるのか
サービスサイトは「問い合わせ」「資料請求」「トライアル登録」などの行動を増やすことが成果につながります。デザインや情報設計、導線の工夫がそのままKPIに影響するため、実際の事例から学ぶことが近道です。
何を観察すべきか(具体例)
- ファーストビューの構成:見せ方、キャッチコピー、ビジュアル
- 料金と機能の提示:比較表やプランの見せ方
- 導入事例の見せ方:課題→解決の流れ、数字の使い方
- CTA(行動ボタン)の置き方:文言、色、繰り返し位置
- トライアルや問い合わせの動線:フォームの長さ、入力負荷
効率的な集め方
- 業界を分けて20〜30事例を集める。自社に近い業種を多めに。
- スクリーンショットをデバイス別に保存(PC・スマホ)。
- 各事例を簡単に評価するチェックリストを作る。
使い方のコツ
- そのまま真似するのではなく、良い要素を組み合わせて自社仕様に落とし込む。
- 社内で共有し、営業やCSの意見も取り入れると導線設計が実用的になります。
これらを習慣にすると、ファーストビューや導線設計の判断が早くなり、成果に結びつけやすくなります。
サービスサイトの参考事例(日本国内向け)
はじめに
LeadGridの考え方を軸に、日本国内向けのサービスサイト事例を整理します。実際のサイトから「魅せ方」「導線」「信頼獲得」のポイントを抽出して解説します。デザインだけでなく、言葉遣いや情報の見せ方にも注目してください。
選定の基準
- 目的が明確:問い合わせ、資料請求、トライアルなど狙いがはっきりしている。
- 導線がシンプル:ファーストビューから行動まで迷わせない構成。
- 信頼要素がある:導入実績、レビュー、第三者の評価が見える。
- 情報の階層化:料金、機能、FAQが分かりやすく整理されている。
注目ポイント(見るべき場所)
- ファーストビュー:短く刺さる見出しとサブテキスト。CTAは複数置く。
- 機能紹介:図やアイコンで視覚的に説明する。
- 導入事例:業種や課題を具体的に示す。
- 料金表:プラン比較を見やすくする。
- フォーム:入力の手間を減らす工夫があるか。
- レスポンシブ:スマホでの見え方も確認する。
使い方のコツ
まず競合やターゲットが好む表現を集め、LeadGridのテンプレートに当てはめて比較してください。ベストプラクティスを真似るだけでなく、自社の強みを必ず1つ以上前面に出すと効果的です。
カチアルサポート(NTT印刷株式会社)
概要
カチアルサポートは、企業の販促支援や印刷関連サービスを検討する法人担当者を主な対象にしたサービスです。用途に合わせた印刷物の提案から実施後のフォローまで一貫して支援します。
デザインと配色
落ち着いた色合いを基調にし、信頼感を演出しています。余白を多めに取り、情報が多くても読みやすい視覚設計です。写真やアイコンは控えめで、重要情報が目に入るよう配慮しています。
ページ構成(検討フローに沿った設計)
- サービス内容の紹介:何ができるかを明確に提示します。
- 事例紹介:業種別や目的別に導入事例を掲載しています。
- 導入メリット:効果やコスト面の利点を具体的に説明します。
コンテンツのポイント
・事例はビフォー・アフターや定量データを交えて信頼性を高めています。\
・導入フローを図解で示し、まず何を相談すべきか分かるようにしています。
コンバージョン導線
資料ダウンロードや問い合わせボタンを要所に配置し、検討段階ごとに行動を促す導線が明確です。フォームは項目を絞り、問い合わせのハードルを下げています。
検討担当者への提案
導入効果を示す事例と分かりやすい導線がそろっているため、比較検討資料としても使いやすい構成です。資料請求や問い合わせを起点に、具体的な見積もりや提案を受けやすい作りになっています。
KARADABESTA(RILISIST株式会社)
ターゲットとコンセプト
KARADABESTAは健康・フィットネスに関心のある個人ユーザーを主な対象にしています。日常に取り入れやすい習慣やポジティブなライフスタイルを重視し、気軽に始められることを伝えます。
デザインの特徴
写真を大きく使い、実際の生活シーンや運動の瞬間を見せることでサービスの価値を直感的に伝えます。色調は明るく爽やかで、元気や前向きさを表現。余白を活かして情報を読みやすく整理しています。
コンテンツ構成と表現
サービスの価値をストーリー形式で説明し、利用の流れを段階的に示します。体験談や利用者の声を多く掲載し、ビフォー・アフターの写真や具体的な成果を載せて信頼性を高めます。FAQや料金表も分かりやすく配置しています。
信頼性の高め方
実名や職業、期間など具体的な情報を付けた利用者の声を載せます。専門家のコメントやデータを補足して、根拠を示すと安心感が増します。
デザイナーへの学び
大きなビジュアルで感情に訴え、ストーリーテリングで体験価値を伝える構成は応用しやすいです。写真の選び方や声の見せ方を工夫すると、より多くの共感を得られます。
ワガシャdeDOMO(株式会社アルバイトタイムス)
概要
ワガシャdeDOMOは中小企業の採用支援に特化したサービスサイトです。柔らかいイラストと温かみのある色使いで、企業担当者に親しみを持ってもらう設計です。課題→解決策→導入の流れを自然に示すストーリー構成が特徴です。
デザインと印象
イラストは手描き風やフラットなタッチで統一され、テキストは読みやすい行間と十分な余白を確保しています。カラーはコントラストを抑え、堅苦しくならない雰囲気を演出しています。結果として、初めて接する担当者でも安心して読み進められます。
ストーリーテリングと導線
トップではまず採用の課題に寄り添う問いかけから始め、具体的な解決策としてワガシャdeDOMOを提示します。重要な情報(料金・プラン、機能一覧、導入事例)へはワンクリックで移動できるナビを用意し、導線を短くしています。
メニュー設計と使いやすさ
メニューは用途別に整理され、迷わせない構成です。料金ページはプラン比較が一目で分かり、機能一覧は用途ごとに絞り込めます。導入事例は業種や規模でフィルタリングでき、閲覧者が自社に近い事例をすぐ見つけられます。
見せ方の工夫
・課題提起を冒頭に置くことで共感を引き出します。
・図表やアイコンでサービスの流れを視覚化しています。
・導入事例は成果(数値)を示しやすい形式で掲載しています。
改善のヒント
CTAは色で目立たせていますが、導線の途中に小さな問合せフォームを置くとさらに離脱を減らせます。導入事例に動画やインタビューを加えると信頼感が高まります。
プラスアールレシピ(リンナイ株式会社)
概要
リンナイの「+R RECIPE」は、ガス機器メーカーならではの視点で作られた料理サイトです。ブランドカラーで統一した明るいデザインと大きな写真で「おいしそう」「作ってみたい」と感じさせる作りになっています。
デザインと第一印象
写真を大きく配置し、調理後の見た目を強調しています。色使いは赤とグレーを基調に安定感を持たせつつ、アクセントで食欲をそそる配色を使っています。文字は読みやすく、スマホでもストレスなく閲覧できます。
検索・カテゴリの工夫
「レシピ検索」「オート調理」「ラク家事指数」など目的別にカテゴリ分けが明快です。たとえば「時短」「作り置き」「子ども向け」などで絞り込みやすく、料理の難易度や調理時間からも探せます。
機能と導線
アプリや対応機器との連携説明、オート調理の使い方、レシピ監修者情報など必要な情報にすぐたどり着けます。レシピページでは材料・手順・調理時間が見やすく配置され、迷わず調理を始められます。
参考になるポイント
・視覚で興味を引く大きなビジュアル
・目的別カテゴリでの明確な導線
・実機連携や使い方説明の丁寧さ
これらはサービスサイトを作る上で参考になります。
キントーン(サイボウズ株式会社)
概要
業務改善プラットフォーム「kintone」のサービスサイトです。キャラクターやイラストを用い、無機質になりがちなBtoBサービスを親しみやすく表現しています。紙やExcelでの運用に限界を感じるユーザーの課題を冒頭で提示し、ビフォー/アフターで成果をわかりやすく伝えています。
主要な特徴
- 課題提示から解決までの導線が明確で、訪問者が自分の状況に当てはめて理解できます。
- 業界別・用途別の活用事例ページが充実し、導入後のイメージをつかみやすくしています。
- ノーコードでアプリを作れる点をやさしく紹介し、ハードルを下げています(ドラッグ&ドロップの図示など)。
- ワークフローや自動化、コメント機能などの協働機能を具体的に示しています。
デザインと表現の工夫
- キャラクターやイラストで堅苦しさを和らげ、非専門家にも伝わりやすい雰囲気にしています。
- ビフォー/アフターの比較をビジュアルで示し、導入効果を直感的に伝えます。
- 事例カードや業種別のフィルタで、自分ごと化しやすい構成です。
サイトから学べること(制作視点)
- 親しみやすさを意図的に作ると、BtoBの説明がスムーズになります。
- 課題提示→解決策→具体事例という流れを守ることで、導線が自然になります。
- 導入のハードルを下げる情報(無料トライアル、テンプレート、簡単操作のデモ)を目立たせると、問い合わせにつながりやすいです。
デザイン実装のヒント
- イラストはトーンを統一して信頼感を保ちます。
- 事例ページは業種と用途でクロス分けし、導入イメージを短時間で伝えます。
- CTAは画面上部と事例末尾に配置し、迷わず次の行動を促します。
Chatwork(Chatwork株式会社)
概要
ビジネスチャットツールのサービスサイトです。余白を活かしたシンプルなレイアウトで、機能とメリットを端的に伝えます。メールより速いコミュニケーションという既存の習慣との比較を使って価値を示し、導入企業のロゴを多数掲載して安心感と普及度を可視化しています。
デザインの特徴
- 余白を広く取り、重要なメッセージをはっきり見せます。
- アイコンや短い説明で機能をすばやく理解できます。
- CTA(無料トライアルや資料請求)は目立つ色で配置し動線を短くしています。
訴求ポイント
- 「メールより速い」を短い文で繰り返し示し、利用シーンを想像させます(例:承認依頼や急ぎの連絡)。
- チャットのやりとり画面やタスク管理のスクリーンショットを適度に見せて使用感を伝えます。
信頼感の出し方
- 導入企業のロゴを並べることで実績を視覚化します。
- 導入事例や数値(導入企業数や平均導入期間)を載せると説得力が増します。
参考にしたいポイント
- シンプルな説明と視覚的な実例を両立すること。
- 問い合わせまでの動線を短くし、迷わせない導線を作ること。
- ロゴや導入事例で安心感を高めること。
導入のヒント
- キャッチコピーは短く具体的に(例:「メールより速く、業務はもっとスムーズに」)。
- スクリーンショットは実際の利用シーンを切り取って見せると効果的です。
カオナビ(株式会社カオナビ)
概要
タレントマネジメントシステムのサービスサイトです。企業の人事担当者を想定した落ち着いた配色と、視認性の高いアイコンを使い、信頼感を与えます。機能ごとに画面イメージを見せてシステムの使い方をイメージしやすくしており、ホワイトペーパーやセミナー情報などリード獲得用コンテンツが豊富です。
デザインの特徴
- カラー:落ち着いたブルー系やグレーを基調にして、企業向けの安心感を演出しています。
- アイコン:機能やフローをひと目で理解できるアイコンを採用しています。視認性を高めることで迷いを減らします。
- 画面イメージ:実際のダッシュボードやレポート画面を部分的に見せ、導入後のイメージを具体化しています。
コンテンツと導線
- リード獲得:ホワイトペーパー、ウェビナー、事例ダウンロードなど多彩なオファーで見込み客を集めます。
- CTA配置:各機能説明の近くに「資料請求」「デモ依頼」ボタンを置き、申し込みへの導線を短くしています。
- 信頼構築:導入企業のロゴや導入事例を目立たせ、導入効果を数値で示しています。
参考にするポイント(実践アドバイス)
- 機能ごとに画面キャプチャを見せ、導入後の利用イメージを伝えましょう。
- ホワイトペーパーやセミナーで異なる関心層を取り込み、申し込みフォームで興味度合いを計測します。
- CTAは説明の文脈に合わせて配置し、フォームは入力項目を必要最小限にします。
- 導入事例は数値や改善前後を具体的に示し、信頼を高めます。
これらを参考にすると、企業向けサービスサイトとしての説得力と導線の強さが高まります。
クラウド会計ソフト freee会計(freee株式会社)
概要
クラウド会計ソフト「freee会計」は、個人事業主や中小企業向けの会計・経理サービスです。モダンでシンプルな画面に動きのある画像やイラストを組み合わせ、初めての訪問者でも直感的に操作や魅力を理解できる構成になっています。
デザインの特徴
- 視覚的に軽い配色と余白を多く取り、情報を整理しています。
- マウスに反応するイラストやアニメーションで親しみやすさを演出しています。例:カーソルでイラストが動く、クリックでスタンプが押される演出。
導線と情報設計
- ユーザータイプ(個人・法人・会計事務所)ごとに導線を分け、必要な情報へ素早く誘導します。
- サービスの要点を短く伝える説明と、料金や導入の流れをわかりやすく並べています。初めての人にも使い方が想像しやすい構成です。
遊び心あるUIの効果
- 小さなアニメーションは操作のヒントになり、ユーザーの離脱を防ぎます。
- 親しみやすい表現で導入のハードルを下げ、問い合わせや無料トライアルへの誘導が自然になります。
参考にするポイント
- ターゲット別の導線は必ず用意すること。
- 情報を噛み砕いて短く見せること(図やアイコンを活用)。
- アニメーションは使い過ぎず、目的を持って配置すること。
TikTok Studio(ワンメディア株式会社など)
サービス概要
TikTok Studioはクリエイターや広告主向けに、動画制作から配信、効果検証までを支援するサービスサイトです。動きのあるビジュアルや短尺動画を前面に出し、成果事例を具体的な数値で示して信頼を高めています。
デザインの特徴
- ヒーローに自動再生の動画や短いループを配置し、視覚で興味を引きます。
- ケーススタディはサムネイル+数値(再生数・CVR・売上増)で一目で成果が分かります。
- インタラクション(ホバーやスクロール連動)を用いて操作感を高めます。
ユーザーへの訴求ポイント
- 具体的な成果を示すことで広告主へ導入イメージを与えます。
- クリエイター向けには制作サポートや報酬体系を明確に提示します。
制作時の注意点
- モバイル最優先で作り、動画はミュート+キャプションで視認性を確保します。
- 動画は遅延読み込み(lazy load)を使い表示速度を維持します。
- ケース事例は更新しやすい管理画面を用意し、新しい成果を定期的に追加してください。
参考にする理由
短尺動画と実績提示を両立させた表現は、動画系サービスの信頼獲得に有効です。見せ方を工夫すれば、コンバージョン向上につながります。












