はじめに
本ドキュメントの目的
本ドキュメントは、Amazon CloudWatch(以下CloudWatch)を初めて学ぶ方や導入を検討するエンジニア、運用担当者のために、要点を分かりやすくまとめたものです。CloudWatchの役割、導入の目的とメリット、主要機能や使い方、料金感、活用のポイントまで体系的に解説します。
こんな方に向けています
- AWS環境の監視設計や運用を担当する方
- CloudWatchの導入を検討している管理者
- 日常の運用でアラートやログ管理を改善したい方
本書の構成と読み方
以下の章で段階的に学べるように構成しています。第2章でCloudWatchの全体像をつかみ、第3章で導入目的とメリットを確認します。第4章ではメトリクスやログ、アラームなどの主要機能を具体例(CPU使用率の監視やログ検索など)を交えて説明します。必要に応じて個別の機能に飛んで読んでいただけます。
読後に期待できること
- CloudWatchの基本的な役割と監視対象を理解できます
- 導入で得られる運用上の利点を判断できます
- 実際の設定や運用に役立つ知識を手に入れられます
以後の章で、順を追って詳しく解説していきます。ご一緒に学んでいきましょう。
2. AWS CloudWatchとは何か?
概要
Amazon CloudWatchは、AWSが提供する統合モニタリングサービスです。サーバーやデータベース、サーバーレス関数などから自動的にデータを集め、グラフ表示や検索、通知設定まで一つの画面で行えます。運用担当者や開発者がシステム状態をリアルタイムで把握できます。
監視できるもの
- メトリクス: CPU使用率やディスク使用量など、数値で表す指標
- ログ: アプリケーションやOSのログ行(CloudWatch Logs)
- イベント: リソースの状態変化やスケジュールされた作業
- カスタムデータ: アプリ独自の指標も送れます
具体例
EC2のCPUが高いときにグラフで確認し、閾値を超えたらメールで通知します。Lambdaの実行エラーをログで追い、発生箇所を絞り込みます。ダッシュボードで複数サービスの状況を一画面で確認できます。
使い方の流れ(簡単)
- 監視対象を選びます(例: EC2、RDS、Lambda)
- メトリクスやログをCloudWatchに送ります
- グラフやダッシュボードを作成します
- アラームを設定し、異常時に通知や自動対応を行います
これにより、問題の早期発見と迅速な対応が可能になります。
3. AWS CloudWatchを導入する目的とメリット
1. リアルタイムでシステムの状態を把握できます
CloudWatchはCPU使用率、メモリやディスクI/O、ネットワークなどの指標を継続的に取得します。例えばWebサーバーのCPUが急上昇した時点でグラフと数値で確認でき、原因調査を速やかに始められます。状態を時系列で見るため、瞬間的な異常も見落としにくくなります。
2. 早期警告と自動化で運用効率が上がります
メトリクスに閾値を設定してアラームを作成できます。閾値を超えればメールやSNSで通知し、Lambdaを呼んで自動復旧やスケールアウトを行えます。24時間体制での目視監視を減らし、人的対応を必要な場面に絞れます。例として、ディスク使用率が高くなったら自動でアラームが上がり、管理者に通知が届きます。
3. トレンド分析とキャパシティプランニングに役立ちます
収集したデータをグラフで比較し、アクセス増加や負荷の傾向を把握できます。過去のピーク時間をもとにインスタンスを増やす判断や、コスト削減のために不要なリソースを削る判断に活かせます。将来の負荷予測にも使えます。
4. AWSネイティブで導入が容易です
CloudWatchはAWSのマネージドサービスで、多くのAWSサービスから基本的なメトリクスを自動で取得します。監視基盤を一から構築する必要が少なく、初期導入の負担を軽減します。オンプレ含む既存環境はエージェントで連携できます。
4. AWS CloudWatchの主な機能
4-1 メトリクス(CloudWatch Metrics)
CloudWatchは時系列の数値データを扱います。例としてEC2のCPU使用率やRDSの接続数、ELBのリクエスト数があります。複数期間でグラフ表示でき、統計(平均・最大・最小など)を切り替えられます。アプリやエージェントからカスタムメトリクスを送信し、売上や処理件数などビジネス指標も監視できます。
4-2 ログ監視(CloudWatch Logs)
アプリやOSのログを集中管理します。ログはロググループ・ログストリームで整理でき、テキスト検索・フィルタで必要な行を素早く見つけられます。ログからメトリクスを作るメトリクスフィルタで、エラー件数を数えるといった監視が可能です。
4-3 アラーム(Alarms)
メトリクスやログベースのメトリクスにしきい値を設定し、超過時に通知や自動対応を実行できます。通知はSNS、イベントはAuto ScalingやLambdaと連携できます。障害対応の自動化に役立ちます。
4-4 ダッシュボードと可視化
複数のグラフや数値を一つのダッシュボードにまとめられます。ウィジェットを組み合わせて運用用モニタ画面を作れます。チームで共有して状況を一目で確認できます。
4-5 分析機能
Logs Insightsでログをクエリし、集計や絞り込みができます。Metric Mathで複数メトリクスを組み合わせた指標を作成できます。Anomaly Detectionで異常を自動検出し、見逃しを減らせます。
4-6 合わせて使うポイント
CloudWatch Agentでホストから詳細メトリクスやログを送信します。Syntheticsで定期的に外部からの機能チェックも行えます。これらを組み合わせると、運用の可視化と自動化が進みます。












