はじめに
この記事の目的
本記事では、ブラウザのアドレスバーなどに表示される「保護されていない通信」という警告の意味を分かりやすく解説します。警告が出る理由や、それがもたらすリスク、そして解消するための基本的な手順まで丁寧に説明します。
対象読者
ウェブサイト運営者、個人ブログの管理者、企業の担当者、また普段からウェブを使う一般の方を想定しています。専門知識がなくても理解できるよう具体例を交えて伝えます。
読み方のポイント
まず「保護されていない通信」の意味を理解し、次にHTTPとHTTPSの違いを確認してください。その上で、なぜ警告が出るのか、どんな危険があるのかを見ていきます。最後に、実際に取るべき基本ステップを紹介します。手順は段階的で実行しやすい内容にしていますので、順に進めてください。
この章の役割
この記事の導入として、全体像をつかんでいただくための案内役を務めます。次章から詳細に入りますので、準備ができたら続きをお読みください。
「保護されていない通信」とは何か
意味
ブラウザのアドレスバーに「保護されていない通信」や「このサイトへの接続は保護されていません」と表示されるとき、それはサイトとあなたの間のデータが暗号化されていないことを意味します。簡単に言うと、やり取りがそのままの文字列で送られている状態です。
具体的な例で言うと
・URLが「http://」で始まるサイトにフォームでパスワードや住所を入力すると、そのまま送信されます。
・カフェの無料Wi‑Fiなど共有回線では、第三者に見られる可能性があります。
ブラウザはなぜ警告するのか
ブラウザは利用者の安全を守るため、暗号化されていない接続を目立つ形で知らせます。鍵アイコンがない、あるいは「保護されていません」と表示されれば注意を促す合図です。
技術的に何が不足しているか(簡単に)
暗号化の仕組み(一般にはSSL/TLSという仕組み)で保護されていません。証明書が導入されていないか、設定が不完全なことが多いです。
日常でできる対処(簡単なポイント)
・重要な情報は入力しない。
・「https://」と鍵マークがあるサイトを使う。
・心配なら同じサービスのアプリや公式ページで確認する。
以上が「保護されていない通信」の基本的な説明です。
HTTPとHTTPSの違い
概要
HTTPはウェブ上でデータをそのまま送る仕組みです。フォームの入力や閲覧したページの情報が暗号化されずに流れます。HTTPSは通信を暗号化する方式で、第三者に読み取られにくくなります。暗号化対応は一般に「SSL化」と呼ばれます。
暗号化の有無
HTTPは送信内容を平文で送ります。例えば、ログインフォームのユーザー名やパスワードがそのまま流れるため、同じネットワークにいる人に見られる可能性があります。HTTPSはSSL/TLSという仕組みで通信を暗号化します。通信の内容は暗号化されるため、盗聴や改ざんのリスクが大幅に下がります。
ポート番号と接続の違い
HTTPは通常ポート番号80、HTTPSは443を使います。HTTPSでは接続時にサーバーと鍵のやり取り(ハンドシェイク)を行い、安全な経路を確立します。これにより第三者は内容を解読しにくくなります。
見分け方と実用的な注意点
ブラウザのアドレス欄が「https://」で始まり、鍵アイコンが表示されていればHTTPSです。サイトが個人情報や支払い情報を扱う場合は必ずHTTPSを使ってください。したがって、安心して使うためにはHTTPS化が必須です。
なぜ「保護されていない通信」と表示されるのか(原因)
はじめに:ブラウザが「保護されていない通信」と表示するのは、通信の安全性に疑いがあるためです。主な原因を分かりやすく説明します。
1) SSL/TLS証明書が導入されていない
説明:サイトがHTTPSに対応していないと、暗号化されません。例:URLが「http://」のままです。対処:証明書を取得してHTTPS化します(無料の発行サービスもあります)。
2) 証明書の期限切れや設定ミス
説明:期限切れやドメイン不一致、証明書チェーンの欠落でブラウザが警告を出します。例:証明書の有効期限を更新し忘れる。対処:期限管理と正しいサーバー設定を行います。
3) 混在コンテンツ(ページ内の一部がhttp)
説明:ページ自体はHTTPSでも、画像やスクリプトがHTTPで読み込まれると警告されます。例:HTTPSページにHTTPの画像を表示。対処:すべてのリソースをHTTPSで配信します。
4) 古いセキュリティプロトコルの使用
説明:TLS1.0やTLS1.1など古いプロトコルは安全でないと見なされます。対処:サーバーで最新のTLSを有効にします。
5) 自己署名証明書の利用
説明:自分で作った証明書は公的な認証局により信頼されません。例:社内テスト用の証明書。対処:公開サイトは認証局発行の証明書を使うか、内部で信頼する仕組みを整えます。
「保護されていない通信」がもたらすリスク
情報漏洩・盗聴の危険
HTTPは暗号化しないため、通信内容が第三者に見られます。例えば、カフェの無料Wi‑Fiでログイン情報や住所がそのまま流れると、盗まれる恐れがあります。
データ改ざん・なりすまし
通信途中でデータを書き換えられると、表示内容や送信データが変わります。フォーム入力後に内容が改ざんされると、誤った情報が送られることがあります。また、攻撃者がサイトになりすますと、ユーザーが偽サイトに誘導されやすくなります。
マルウェア配布・フィッシング誘導
暗号化がないと、ページに悪意あるスクリプトを差し込まれる可能性があります。結果として、マルウェアが配布されたり、偽のログイン画面へ誘導されたりします。
信頼低下とビジネスへの影響
ユーザーは「保護されていない」と表示されるとフォーム送信や決済をやめる傾向があります。結果としてコンバージョン率や売上が下がる可能性があります。顧客の信頼回復には時間とコストがかかります。
検索順位や法的リスク
主要検索エンジンはHTTPSを評価基準の一つにしています。暗号化していないとSEOで不利になります。個人情報を扱う場合、法令やガイドラインの観点からもリスクが生じます。
「保護されていない通信」を解消するための基本ステップ
1. サーバーがSSLに対応しているか確認
まず契約しているレンタルサーバーやホスティングがSSLに対応しているか確認します。多くのサービスは管理画面でLet’s Encryptの無料独自SSLをワンクリックで有効化できます。対応していない場合はプロバイダへ問い合わせるか移行を検討します。
2. SSL証明書の取得と設定(流れ)
- CSR(証明書署名要求)の作成:サーバーで鍵ペアを作り、CSRを生成します。レンタルサーバーでは自動作成される場合もあります。
- 認証局に申請:Let’s Encryptなら自動化ツール(例:Certbot)で申請します。有料の証明書は手動で申請・支払いを行います。
- 証明書のインストール:発行された証明書と秘密鍵をサーバーに配置します。管理画面でアップロードするケースが多いです。
- 中間証明書の設定:中間証明書(チェーン)を正しく設定しないとブラウザに警告が出ます。プロバイダの手順に従ってください。
3. サイト内のURLをすべてhttpsに変更
ページ内のリンク、画像、CSS、JavaScriptなどのURLをhttpからhttpsへ書き換えます。テンプレート、データベース、CMSの設定も忘れずに修正してください。混在コンテンツ(httpsページ内でhttpリソースを読み込む状態)を防ぐことが重要です。
4. リダイレクトと追加設定
- HTTPからHTTPSへ恒久的リダイレクト(301)を設定します。これで古いURLでも自動的に安全な接続へ移動します。
- 必要ならHSTS(HTTP Strict Transport Security)を導入してブラウザ側で強制的にHTTPSを使わせます。初めは短い期間でテストしてください。
5. 動作確認と運用
ブラウザのアドレスバーや開発者ツールで混在コンテンツがないか確認します。外部の検査ツール(例:SSL Labs)で証明書や設定をチェックし、Let’s Encryptなら自動更新を有効にして証明書期限切れを防ぎます。












