AzureのWebサーバー料金を初心者にもわかりやすく解説

目次

はじめに

目的

本ドキュメントは、AzureでWebサーバーを構築したときに発生する料金の仕組みと、実際のコストイメージをわかりやすく説明することを目的としています。実務で予算を立てる人や、初めてクラウドを使う方に役立つ内容です。

対象読者

  • 小規模〜中規模のWebサイトを運用予定のエンジニアや担当者
  • クラウド未経験だが概算の費用を知りたい方
  • 既にAzureを使っているが料金の内訳を整理したい方

本書で扱う内容(概略)

  1. Azureの料金の基本ルール
  2. Webサーバー構築の代表パターン(App ServiceとVirtual Machines)の特徴と料金比較
  3. 構成別のざっくり月額目安
  4. ストレージ・ディスク料金の基礎知識(補足)

読み方のヒント

章ごとに具体例を交えて説明します。最初は第2章の料金の基本を押さえると理解が進みます。実際の見積もりをする際は、利用時間・スペック・ストレージ量の3点を意識してください。

注意点

クラウドの料金は利用状況で変動します。ここで示す目安は参考値です。最終的な見積もりはAzureの料金計算ツール等で確認してください。

Azureの料金の基本を押さえる

概要

Azureは多くのサービスで「使った分だけ払う」従量課金制が基本です。Webサーバーに関わる主な課金要素を押さえると、料金の見積りや節約がしやすくなります。

従量課金のイメージ

例えば仮想マシン(VM)は、起動している時間と割り当てたCPU・メモリで料金が決まります。使わない時間は停止すれば費用を抑えられます。

主な課金要素(Webサーバー視点)

  • コンピューティング:CPU・メモリ。スペックが上がるほど高くなります。
  • ストレージ:OSディスクやデータ保存の容量と種類で変わります。
  • データ転送:ネットへ出すトラフィックで課金される場合があります。
  • オプション機能:バックアップ、監視、CDN、マネージドDBなどは別料金です。

割引と節約の主な方法

  • 無料枠:小規模な試験で利用可能です。
  • 予約インスタンス:長期利用を前提に割引が受けられます。
  • Azure Hybrid Benefit:既存のWindowsライセンスを持ち込むと安くなります。

コスト管理のポイント

見積もりツールで事前に確認し、実運用ではモニタリングとアラートで使い過ぎを防ぎます。小さく始めて必要に応じてスケールアップする運用が現実的です。

注意点

サービスごとに課金単位が異なります。ドキュメントや料金計算ツールを確認してから構成を決めてください。

AzureでWebサーバーを立てる2つの代表パターン

はじめに

AzureでWebサイトやAPIを公開する代表的なやり方は二つあります。運用を任せて手軽に始めるPaaSの「App Service」と、自分で仮想マシンを管理するIaaSの「Virtual Machines」です。それぞれの特徴と使いどころをわかりやすく説明します。

1) Azure App Service(PaaS)

App ServiceはMicrosoftが実行環境を管理します。プランごとにCPUやメモリ、ストレージが決まっており、月額の料金が固定です。コードをデプロイするだけで公開でき、スケール設定や自動更新、簡単な監視機能が付いています。例として、小規模なコーポレートサイトやWeb API、短期間のプロジェクトに向きます。運用負担を減らしたい場合におすすめです。カスタムソフトの細かい設定には制約が出ることがあります。

2) Azure Virtual Machines(IaaS)

VMはOSやミドルウェア、アプリを自分で管理します。サイズ(vCPUやメモリ)やOS、リージョン、課金モデルで料金が変わります。自由度が高く、特殊なソフトウェアや自前のミドルウェアが必要な場合に適しています。低価格のBsシリーズや無料利用枠があるため、コストを抑えて試すことも可能です。一方でOSパッチやバックアップ、監視など運用作業は自分で行います。

選び方のポイント

  • 運用を簡単にしたい、標準的なWebアプリならApp Serviceを選びます。料金が分かりやすく、導入が速いです。
  • 自由度やカスタマイズが必要ならVMを選びます。構成次第で安くも高くもなります。

料金はApp Serviceがプラン固定、VMは利用時間やサイズで変動します。ストレージやバックアップの費用は別途かかる点にご注意ください。

構成別:ざっくり月額の目安イメージ

個人ブログ・検証サイト向け

低グレードのApp ServiceやBsシリーズの小さなVMを使うと、数百円〜数千円/月が目安です。例:最小構成で約300〜1,500円/月、ちょっと余裕を見て1,500〜3,000円/月。

中小規模の業務アプリ

アクセスが増える想定なら、App ServiceのStandardプランや中位のVMが適します。概ね2,000〜8,000円/月の帯が多いです。冗長化(バックアップやスナップショット)を入れるともう少し上がります。

企業向け・高可用性構成

冗長構成やロードバランサー、複数台のVMを使う場合は、数万円/月が一般的です。目安は3〜10万円/月。App ServiceのS2やPremium、P1v2クラスを使うとこのレンジになります。

割引・コスト最適化のポイント

Reserved Instances(予約)やAzure Hybrid Benefitで数十%の割引が得られます。長期間運用するなら割引を検討してください。ストレージや転送は別途発生しますので、詳細は第5章を参照ください。

ストレージ・ディスク料金の基礎知識(Webサーバーの補足コスト)

なぜストレージ費用が重要か

Webサーバーはアプリ本体だけでなく、ログや画像、バックアップでストレージを使います。保存量やアクセス頻度で月額が変わるため、早めに見積もると安心です。

料金を決める主な要素

  • 保存容量(GB/月):保存しているデータ量そのものです。増えるほど単純に比例します。
  • アクセス階層(Hot/Cool/Archive):頻繁に読むデータはHot、あまり読まないものはCoolやArchiveにすると保存単価が下がります。例:ColdはHotより保存単価が安いが取り出しにコストや遅延が発生します。
  • 冗長性(LRS/GRSなど):データの複製方法でコストが変わります。遠隔コピーを有効にすると高くなります。
  • トランザクション数(読み書き回数):API呼び出しや小さなファイルの読み書きが多いと、保存料とは別に課金されます。
  • データ取り出し(egress):外部へ送るデータ量にも課金があります。特に大量の配信がある場合は注意してください。

Blob Storageのイメージ例(簡単な計算)

仮に保存料がHotで月0.02ドル/GB、Coolで0.01ドル/GBだとします。100 GBをHotで置くと約2ドル/月、Coolだと1ドル/月です。ただしCoolは取り出しやトランザクション単価が高めなので、頻繁にアクセスするものには向きません。

VMのディスク(Managed Disk)について

仮想マシンのOS/データディスクは別料金です。ディスクはサイズと性能(標準HDD/標準SSD/プレミアムSSD)で価格が決まります。IOPSやスループット要件が高い場合は上位のディスクを選ぶ必要があります。

実務的な節約ポイント

  • アクセス頻度で階層を使い分ける。
  • ライフサイクルポリシーで古いデータを自動でCool/Archiveに移す。
  • 不要なスナップショットや未使用ディスクを削除する。
  • CDNやキャッシュでegressとトランザクションを減らす。
  • 冗長性は必要最小限にする(業務要件を確認)。

これらを踏まえ、保存容量とアクセスパターンを把握してから構成を決めると、無駄なコストを抑えられます。

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