はじめに
目的
この文書は、AWS Builder ID(AWSビルダーID)について分かりやすく解説することを目的としています。正体や役割、既存のAWSアカウントやIAMユーザーとの違い、どのサービスで必要になるか、メリット、作成手順までを網羅します。
想定読者
主に以下の方を想定しています。
– 開発者や学習者で個人の環境を整えたい方
– これからAWSの特定機能を使おうとしている方
– 企業の担当者で利用方法を把握したい方
本章の位置づけ
第1章では本書の全体像と読み方を示します。続く第2章でAWS Builder IDの概要を説明し、第3〜6章で違い、利用されるサービス、利点、実際の作成手順を順に解説します。
読み方のポイント
専門用語は最小限にして具体例を交えます。実際に操作するときは第6章の手順を参照してください。
AWS Builder ID(AWSビルダーID)とは何か
概要
AWS Builder IDは、個人のプロファイル(個人ID)としてAWSが提供するアカウントです。GitHubやGoogleアカウントのように“人”を表すIDで、AWSの有料アカウントやIAMユーザーとは別物です。学習や開発者向けツールへサインインするために使います。
主な特徴
- 個人用プロファイル:氏名やメールアドレス、学習履歴などを紐付けられます。
- 独立性:AWSの課金が発生するアカウントや組織とは分離されています。
- 無料で取得可能:基本的には料金はかかりません。
具体例と利用シーン
- AWS Skill Builderでコースを受けるときにサインインする。
- Amazon Q Developerや一部の開発者向けツールで個人設定を保存する。
注意点
Builder ID自体は請求先ではありませんが、Builder IDから連携してAWSアカウントを使う場合はサービス利用で料金が発生することがあります。用途に応じて使い分けると便利です。
AWSアカウントやIAMユーザーとの違い
基本的な役割の違い
AWS Builder IDは「個人を識別するプロファイル」です。個人でサインインしてドキュメントや一部サービスにアクセスできるように設計されています。無料で作成でき、課金情報やクラウドリソースの管理は行いません。
一方、AWSアカウントはクラウドリソースと請求を管理する単位です。ルートアカウントがあり、そこに紐づくリソースと請求が発生します。IAMユーザーはそのアカウント内で作られる「権限付きのユーザー」で、リソース操作や権限付与が目的です。
認証と権限の違い
AWS Builder IDは主に認証(あなたが誰かを確認)に使います。IAMユーザーは認証に加え、誰がどのリソースに何をできるか(権限)を管理します。
使い分けの例
- 学習やハンズオン:個人のAWS Builder IDで気軽に始められます(課金リスクなし)。
- 本番運用:組織のAWSアカウントとIAMユーザーで厳密に管理します。
なぜ分離するのか
学習・開発用のIDを本番アカウントから切り離すことで、誤操作や予期せぬ請求を防げます。個人用の作業と企業のリソース管理を明確に分け、安全に利用できるようにするためです。
どのサービスでAWS Builder IDが必要になるのか
概要
AWS Builder IDは、開発者向けや学習向けの共通ログイン手段として使われます。ここでは主なサービスごとに、Builder IDがいつ必要かを分かりやすく説明します。
Amazon Q Developer(IDE統合の生成AI)
Amazon Q Developerは、VS CodeやJetBrainsなどのIDEから利用できる生成AIアシスタントです。無償版を使う場合、AWSアカウントは不要で、AWS Builder IDまたはIAM Identity Centerでの認証が必要になります。例:VS Codeの拡張機能を入れてサインインするときにBuilder IDでログインします。
AWS Skill Builder(オンライン学習)
AWS Skill Builderは学習コンテンツのプラットフォームです。メールアドレス登録と認証コードの入力でAWS Builder IDにサインインできます。学習履歴やクイズの記録を紐付ける際にBuilder IDが使われます。
その他の開発者向けサービス
AWSの一部の開発者向け機能や実験的サービスは、共通のBuilder IDでアクセス管理するケースが増えています。たとえば、ドキュメントやフォーラム、デベロッパーツールのプレビュー機能などです。Googleログインや他の外部プロバイダ対応の案内が出ているため、選べる認証方法が増えていく見込みです。
ポイント
必要な場面は「IDE連携のツール」と「学習・トレーニングのプラットフォーム」が中心です。したがって、開発や学習でAWS関連のサービスを利用する方は、Builder IDを用意しておくとスムーズに使えます。
AWS Builder IDのメリット
AWS Builder ID(以下、Builder ID)は、個人向けの共通ログインとして多くの利点があります。ここでは分かりやすく整理して説明します。
無料で始められる
Builder IDは無料で作成できます。たとえば、AWSアカウントを持っていなくても、Amazon Q Developerの無償版やAWS Skill Builderを使い始められます。学習や試用を気軽に始めたい方に便利です。
複数サービスで同じIDを使える
一つのBuilder IDで複数のAWS関連サービスにログインできます。毎回別のアカウントを作る手間を省け、学習履歴や個人プロファイルを一元管理できます。
企業アカウントと切り離して使える
会社のAWSアカウントや職場の認証情報とは分けて使えます。プライベートな学習や副業の管理を明確に分離でき、アクセス権や課金の混在を防げます。
認証方法が柔軟で安心
Googleログインなど外部IDプロバイダーに対応しています。また、多要素認証(MFA)など強化された認証手段を設定できます。セキュリティと利便性を両立できます。
利用シーンの例
- 新しいサービスを試したい個人学習者
- フリーランスが仕事と学習を分けて管理したい場合
- 企業で個人の学習アカウントを分離して運用したい場合
これらのメリットにより、まずBuilder IDを作っておくと後の学習やサービス利用がスムーズになります。
AWS Builder IDの作成手順
以下は一般的な作成手順です。画面や文言はサービスにより多少異なりますが、基本的な流れは同じです。
- 作成画面へアクセス
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AWS Skill BuilderやAmazon Q Developerのサインイン画面から「AWS Builder IDを作成」などのリンクをクリックします。直接URLがある場合はそちらを使います。
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メールアドレスの登録
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使用するメールアドレスを入力します。職場のメールを使う場合は管理者の許可を確認してください。
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認証コードの入力
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登録したメールに届く認証コードを画面に入力します。メールが届かない場合は迷惑メールフォルダーを確認し、再送を試します。
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パスワードと基本情報の設定
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安全なパスワードを設定します(例:英大文字、小文字、数字、記号を組み合わせる)。氏名や表示名を入力します。
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二段階認証(MFA)の設定(任意だが推奨)
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SMSや認証アプリでの設定を求められることがあります。設定するとアカウントがより安全になります。
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利用規約の確認と作成完了
- 利用規約やプライバシーポリシーに同意すると作成が完了します。サインインしてプロファイルや通知設定を確認します。
トラブル対処のコツ:メール未着は時間を置く、別のメールを試す、ブラウザのキャッシュをクリアして再試行してください。パスワードはパスワードマネージャーで管理すると便利です。












