はじめに
本資料の目的
本資料は、プラチナのアクセサリーで起きる「黒ずみ」について、原因や日常での影響、放置した場合のリスクと対処法を分かりやすく解説します。専門用語は最小限にして、具体例を添えて説明しますので、初めての方でも読み進めやすい構成です。
プラチナは錆びにくいが黒ずむことがある
プラチナ自体は錆びにくい貴金属です。ただし、多くのアクセサリーは強度や色調を整えるために別の金属を混ぜています。混ぜた金属(割金)は環境や汗、化粧品と反応して黒ずみを引き起こす主な原因です。例えば、指輪の内側だけ黒くなるケースや、チェーンのつなぎ目だけ変色することがあります。
本資料の読み方
第2章で黒ずみが起きる仕組み、第3章で日常生活での具体的な要因、第4章で放置した場合のリスクや対処法を順に解説します。普段のお手入れや予防法も取り上げますので、アクセサリーを長く使いたい方はぜひ最後までご覧ください。
次の章から、黒ずみのメカニズムをやさしく掘り下げます。
プラチナは「錆びない」はずなのに、なぜ黒ずむのか?
プラチナ自体は錆びにくい
プラチナは化学的に非常に安定で、酸や空気にほとんど反応しません。ジュエリーとしてずっと光る理由はここにあります。ただし、実際の指輪やネックレスはほとんどの場合、他金属を混ぜた合金(割金)で作られます。
割金が黒ずむ仕組み
割金に使われる銀や銅、パラジウム、イリジウムなどの金属が汗や皮脂、化粧品、洗剤、大気中の硫黄成分などと化学反応を起こします。特に銀や銅は硫黄分と結びついて硫化物になり、表面が黒く見えます。洗剤や化粧品に含まれる成分(界面活性剤など)が金属と反応して変色を促すこともあります。プールの塩素や家庭用漂白剤など塩素を含むものも影響します。
純度と黒ずみの関係
プラチナの純度が低いほど割金の割合が多くなり、黒ずみのリスクが高まります。たとえばPt950(95%プラチナ)はPt900より割金が少なく、一般に変色しにくいです。しかし、使い方や環境によっては高純度でも周囲の物質で黒ずむことがあります。
どの割金が特に注意か
銀や銅は変色しやすく、日常生活で黒ずみを起こしやすいです。パラジウムやイリジウムは比較的安定ですが、完全に無害ではありません。黒ずみの正体はプラチナではなく割金由来の化学変化であることを押さえておくと理解しやすいです。
黒ずみの原因になる生活シーン・身近な要因
1) 皮脂・汗
皮膚から出る皮脂や汗がリングやネックレスに付着すると、金属と反応して酸化や変色を起こします。特に夏場や運動で大量に汗をかくと、短時間で黒ずみが進みます。例:ランニング中に着けた指輪の内側がくすむ。
2) 日焼け止め・化粧品・香水
日焼け止めやファンデ、香水に含まれる成分が金属に触れると化学反応を起こし、黒ずみを誘発します。肌に塗った直後に着けると付着しやすいので、化粧→衣服→アクセサリーの順で行うとリスクが減ります。
3) 家事や入浴時の洗剤・シャンプー・ボディソープ
洗剤やシャンプーの成分は金属と反応しやすく、宝石部分を傷めることもあります。食器洗いや掃除、入浴時は外しておくと安全です。洗剤に含まれる塩素やアルカリ成分が変色を早めます。
4) 温泉・プール・大気中の成分
温泉地に多い硫黄成分や、工場・車の排気ガスに含まれる硫黄化合物が金属と反応して黒ずみを起こします。プールの塩素も指輪などの表面を変色させることがあります。
5) ホコリ・汚れの蓄積
細かなホコリや皮脂が積もると黒ずみに見えることがあります。日常的な拭き取りや保管方法の工夫で目立ちにくくなります。
黒ずみを放置するとどうなる?
黒ずみは進行します
割金が化学反応を起こしているサインです。最初は小さな点だった黒ずみが、時間とともに広がります。放置すると表面に入り込み、拭いただけでは落ちなくなります。
落としにくくなる理由
軽い黒ずみは重曹や中性洗剤で取れますが、酸化物や硫化物が層を作ると家庭ケアでは限界が出ます。無理に力を入れて擦ると傷を付ける恐れがあり、汚れが深く固着します。
地金や表面への影響
プラチナ自体は安定していますが、合金部分や付着した汚れは化学反応で変質します。黒ずみを除去するために研磨が必要になると、わずかずつ地金が削られてしまいます。結果として輪の形や細かな刻印が薄くなることがあります。
見た目と価値への影響
輝きが失われて高級感が損なわれます。査定や売却時には評価が下がる可能性があります。状態が悪いほど修復費用がかかり、手元に残る価値が減ります。
いつ専門店に頼むべきか
黒ずみが広範囲、表面に凹みや深い傷がある、家庭ケアで取れない場合は専門店へ相談してください。研磨や超音波洗浄などで元の輝きを取り戻せますが、処置によっては地金が削られる点を説明してもらいましょう。












