はじめに
この章では、本ドキュメントの目的と読み方をやさしくご案内します。検索キーワード「ga4 直帰率 低い」を調べている方が抱く疑問に応えることを目指しています。
目的
GA4(Google Analytics 4)で表示される「直帰率」が低い・高いと感じたときに、原因を整理し、適切な確認手順と改善の糸口を得られるようにします。用語の説明やUA(Universal Analytics)との違いも順を追って解説します。
対象読者
- Web担当者やマーケターで直帰率の見方を知りたい方
- GA4に移行したが直帰率の扱いに戸惑っている方
- 数字の意味を理解して、実際に改善につなげたい方
本書の構成
全6章で段階的に進めます。第2章でGA4の直帰率の定義とUAとの違いを整理し、第3章で具体的な確認手順を説明します。第4章は“低い/高い”の意味と目安、第5章は原因分析、第6章は改善施策です。
まずは次の章で、GA4とUAの違いをわかりやすく整理します。
GA4における直帰率とは?UAとの違いを整理
概要
GA4では直帰率がデフォルト指標ではありません。代わりに「エンゲージメント率」が主要な指標です。ここではGA4の直帰率の定義と、従来のユニバーサルアナリティクス(UA)との違いを分かりやすく説明します。
定義の違い
- UA(従来): 「1ページだけ見て離脱したセッション」の割合を直帰率と定義します。ページビューが1回だけのセッションをカウントします。
- GA4: 「エンゲージメントが発生しなかったセッション」の割合を直帰率と定義します。エンゲージメントとは、たとえば10秒以上の滞在、コンバージョン達成、または別のページ/スクリーン表示のいずれかです。
具体例でイメージ
- ユーザーがページを開いて5秒で離脱 → UAは“直帰”、GA4も“エンゲージメント無し”なら直帰扱いになります。
- ユーザーがページを開いて15秒で離脱 → UAは“直帰”になる一方、GA4は滞在時間が10秒を超えたため“エンゲージメント有り”と判定され、直帰になりません。
比較の注意点
数値をそのまま比較すると誤解が生まれます。GA4の直帰率は滞在時間や指定イベントにも左右されます。したがって、評価する際は「どの定義に基づく数字か」を必ず確認してください。
推奨の考え方
直帰率だけで判断せず、エンゲージメント率や平均エンゲージメント時間、コンバージョンなど複数の指標を合わせて見ると、ユーザー行動を正しく理解できます。
GA4で直帰率を確認する具体的な手順
概要
GA4の標準画面では直帰率が表示されないため、レポートをカスタマイズして追加します。ここではわかりやすい手順と、ページ別・チャネル別に見るときのポイントを説明します。
手順(画面操作)
- GA4にログインして左メニューから「レポート」→「エンゲージメント」→「ページとスクリーン」を開きます。
- 画面右上の鉛筆アイコン(レポートの編集)をクリックします。
- 「指標(Metrics)」の編集欄で「指標を追加」ボタンを押し、検索欄に「直帰率」または“Bounce rate”と入力して追加します。
- 追加したら「保存」してレポートに戻ります。直帰率が一覧に表示されます。
ページ別・チャネル別で見るコツ
- ページ別: 次に見るべきは「ページタイトル」や「ページパス」を指標にして直帰率を確認することです。ランディングページ単位で高い箇所が見つかります。
- チャネル別: 「集客(Traffic acquisition)」やレポートのディメンションに「デフォルト チャネル グループ」を設定すると、チャネルごとの直帰率が分かります。
- 比較: レポート上部の比較機能を使うと、特定のページ群や流入元だけを絞って直帰率を比較できます。
注意点
- 日付範囲は適切に設定してください。短期間だと偏りが出やすいです。
- 直帰率はセッション単位の指標です。イベントの設定やページ遷移の計測方法で数値が変わる場合があります。
上記手順で、必要な切り口ごとに直帰率を確認できるようになります。
直帰率が“低い/高い”の意味と目安の考え方
概要
GA4の直帰率は「エンゲージメント率の逆数」です。つまり直帰率が低いほど、ユーザーがページで何かしらの行動を取っている可能性が高いと解釈できます。ただし数値だけで結論を出さないことが大切です。
直帰率が低い場合の意味
- 一般的にはページが興味を引き、別ページへの遷移やイベント発生が多いことを示します。
- 例:記事ページで関連記事クリックやスクロール深度が高い、商品の詳細ページでカート追加が発生している。
- 注意点:極端に低い直帰率は、計測イベントが過剰に発火している可能性があります(自動計測の設定やタグの重複など)。
直帰率が高い場合の意味
- ユーザーが期待した情報に到達できなかった、読み込み遅延やUXの問題があることが疑われます。
- 例:広告や外部リンクから来たユーザーが求めるページで離脱している、導線(CTAやリンク)が不十分。
判断のポイントと目安の考え方
- ページの役割で判断する:ランディングページやチャート表など“参照だけ”が目的のページは高めでも問題ない。フォームや購入ページは低い方が望ましい。
- 流入チャネルを見る:検索流入は意図が強いので直帰率が低くなる傾向、SNS流入は目的が曖昧で直帰率が高くなりやすい。
- コンバージョンとの関係:直帰率だけでなく、コンバージョン率や滞在時間と合わせて評価する。
- 計測の健全性確認:極端な値が出たらイベント設定、タグの重複、測定フィルタをチェックしてください。
目安は業種やページで変わります。数値は参考にしつつ、ページの目的・流入元・コンバージョンと合わせて判断してください。
直帰率が高いときの代表的な原因
検索意図とコンテンツのズレ
ユーザーは検索で期待した情報を求めます。例えば「簡単レシピ」を検索した人に対して商品だけを紹介するページだと期待が外れ、すぐ離脱します。着地ページが疑似広告や概要だけだと直帰が増えます。まずは検索ワードとページ内容が合っているか確認しましょう。
ページ表示速度の遅さ
ページの読み込みが遅いと、待てずに戻る人が増えます。画像が重い、不要なスクリプトが多いと遅くなります。画像を圧縮したり、不要な読み込みを減らすと改善します。
わかりにくい導線・ナビゲーション
次に何をすれば良いかわからないと離脱します。メニューが見つけにくい、リンクが少ない、ページ内の誘導が不明瞭だとユーザーが行き詰まります。主要な導線(関連記事・次へ進むボタン)を目立たせましょう。
CTA(行動喚起)の欠如や弱さ
購入や詳細閲覧への誘導がない、または目立たないとユーザーは行動しません。具体例は小さなボタンや文言が曖昧なケースです。「今すぐ読む」「〇〇を試す」といった明確で利点が分かる文言に変えると効果的です。
コンテンツの読みづらさ・品質の問題
文字が多すぎる、段落が長すぎる、専門用語が多いと読む気を失わせます。見出し、箇条書き、図解を増やし、最初の数行で結論や価値を示すと直帰を減らせます。
その他の代表的な要因
モバイル非対応、404やスクリプトエラー、広告の多さやポップアップの過剰表示も離脱を招きます。定期的に動作確認を行いましょう。
すぐできる簡単チェックリスト
- 着地ページは検索意図に合っているか?
- スマホでの表示は速く読みやすいか?
- CTAは一目で分かるか?
- ページ内に次の行動への導線があるか?
これらを一つずつ確認して、原因に応じた対策を進めてください。
直帰率を“低く”するための具体的な改善施策
1. 検索意図に合わせたコンテンツ設計
- ユーザーが何を知りたいか(課題・目的)を明確にします。冒頭で結論や解決策を提示し、スクロールせずに主要情報が分かるようにします。BtoBでは「仕様」「利点」「導入事例」を見やすく並べます。
2. ファーストビューの改善
- タイトル・リード文を簡潔にし、価値を一目で伝えます。重要なCTAや問い合わせ導線をファーストビューに配置します。
3. ページ速度と表示品質
- 画像の最適化、不要なスクリプト削減、遅延読み込みを行います。モバイルでの表示確認も必ず行います。
4. 導線(ナビゲーション)と内部リンク
- 次に読むべきコンテンツを提案するボタンや関連記事を設けます。離脱しやすい箇所には誘導を追加します。
5. CTAの強化
- 目的別に複数設置(資料請求、見積り、無料トライアル)。文言は具体的にし、色や配置で目立たせます。
6. コンテンツの質向上
- 見出しで要点を整理し、箇条書きや図表で読みやすくします。事例や数値を入れて信頼性を高めます。
7. ユーザー体験の改善
- ポップアップを減らし、フォームは入力項目を絞ります。モバイルの操作性を優先します。
8. 計測と検証
- 施策ごとに仮説を立てA/Bテストを実施します。GA4のイベントで滞在やクリックを追跡し、効果を確認します。
これらを優先順位をつけて実行し、効果が出る項目を中心に改善を続けると直帰率が改善しやすくなります。












