はじめに
このドキュメントは、Googleサーチコンソールで使う「プロパティ」について、初心者から中級者の方がわかりやすく学べるようにまとめています。
目的
- サーチコンソールで「どの単位」を管理するかを明確にすること。たとえば、example.com 全体を管理するのか、https://www.example.com のような特定のURLだけを管理するのかで設定やデータが変わります。
本書で学べること
- プロパティの意味と役割
- 2種類のプロパティタイプ(ドメイン/URLプレフィックス)の特徴と違い
- それぞれのメリット・注意点
- どちらを選べばよいかの判断基準と設定の基本
読み方のポイント
- まず第2章以降で定義と実例を確認してください。実際の画面操作や所有権の確認方法は後半で扱います。技術的な用語は必要最小限にし、具体例を多く示しますので、順に読み進めるだけで理解が深まります。
サーチコンソールの「プロパティ」とは何か
定義
プロパティとは、サーチコンソールで管理・分析する「URLのまとまり」を指します。簡単に言えば「この範囲のURLを1セットとして計測・管理する」ための単位です。サイト全体や特定のディレクトリ、サブドメインなどをプロパティとして登録します。
なぜプロパティが必要か
サーチコンソールはプロパティごとに検索パフォーマンスやインデックス状況、URL検査の結果を表示します。プロパティを作ることで、どの範囲のデータを見たいかを明確にできます。1つのGoogleアカウントで複数のプロパティを登録・管理できます。
具体例でイメージ
- example.com 全体を見たい → ドメイン全体を1つのプロパティに
- example.com/blog/ だけ管理したい → そのディレクトリをURLプレフィックスとして登録
- shop.example.com を別扱いにしたい → サブドメインを個別プロパティに
管理上のポイント
- 各プロパティは所有の確認(認証)が必要です。
- 同じサイトでも範囲を変えれば複数のプロパティを持てます。
- どの範囲で問題を把握したいかを基準にプロパティを作成してください。
サーチコンソールのプロパティタイプは2種類
概要
サーチコンソールには「ドメインプロパティ」と「URLプレフィックスプロパティ」の2種類があります。どの範囲のURLをひとつのサイトとして扱うか、所有権の確認方法、ほかのツールとの連携に関わる重要な区分です。
管理範囲(計測の単位)の違い
ドメインプロパティは example.com のようにドメイン全体をカバーします。http/https、www やサブドメイン(blog.example.com、m.example.com)をまとめて計測できます。一方、URLプレフィックスは指定した接頭辞のみを対象にします。例: https://www.example.com は https://www.example.com/page のみを含み、http://example.com や https://blog.example.com は含みません。
所有権の確認方法の違い
ドメインプロパティは原則としてDNSレコード(TXT)の追加で確認します。手続きは一度でドメイン全体が確認されます。URLプレフィックスはHTMLファイルのアップロード、meta タグの設置、Googleアナリティクスやタグマネージャー経由など、複数の方法で確認できます。DNSに触れられない場合はURLプレフィックスが実用的です。
他サービスとの連携について
プロパティタイプによって連携時の手順や見え方が変わることがあります。一般にURLプレフィックスは特定のサイト(プロトコルやサブドメイン)に対して直接結びつけやすく、設定や検証が直感的です。ドメインプロパティは包括的にデータを取れる反面、連携設定で追加のステップが必要になる場合があります。
選び方の目安
- サブドメインやプロトコルも含めて全体を管理したいならドメインプロパティを選んでください。
- DNSの操作が難しい、あるいは特定のサブドメインだけを管理したいならURLプレフィックスを選ぶと簡単です。
次章ではドメインプロパティを詳しく説明します。
ドメインプロパティとは
概要
ドメインプロパティは、指定したドメイン配下のすべてのURLをまとめて管理するプロパティタイプです。たとえば「example.com」を指定すると、http://example.com、https://example.com、http://www.example.com、https://sub.example.com、http://example.com/subdir/などを一括で扱えます。ドメイン以下をまとめて把握したいときに向いています。
含まれるURLの例
- プロトコル:http と https の両方
- サブドメイン:www や sub.example.com などすべて
- ディレクトリ:/、/subdir/、/blog/ 等の全パス
メリット
- 一元管理できるため、サイト全体の検索パフォーマンスやインデックス状況を見落としにくいです。
- URLパターン(wwwの有無やプロトコル)を意識せずに済むため、初心者でも管理しやすいです。
- Googleは通常ドメインプロパティでの登録を推奨しています。
注意点
- 所有権確認にDNSレコードの設定が必要です。ドメイン管理画面でTXTレコードを追加する作業が発生します。サーバーやドメインの知識が少し必要です。
- サブドメインやディレクトリごとに細かく分析したい場合は、URLプレフィックスを併用すると便利です。
設定の簡単な流れ
- サーチコンソールでドメインプロパティを追加します。
- 指示に従い、ドメイン管理画面でTXTレコードを登録します。
- DNS反映を待って所有権が確認されれば完了です。反映に数分〜数時間かかる場合があります。
URLプレフィックスプロパティとは
概要
URLプレフィックスプロパティは、登録したURLで始まる範囲だけを計測対象にするタイプです。プロトコル(http:// や https://)から指定します。例えば「http://example.com/」を登録すると、そのURLで始まるページだけが計測対象になります。
仕組みと具体例
- 登録: http://example.com/ をプロパティに登録
- 対象になる例: http://example.com/, http://example.com/subdir/page.html
- 対象外になる例: https://example.com/, http://www.example.com/, http://sub.example.com/
このようにプロトコルやサブドメインが違うと別プロパティ扱いになります。
メリット
- http/https、サブドメイン、ディレクトリごとに細かく分けられます。ピンポイントな分析に向きます。
- 所有権の確認方法を複数から選べます(例: HTMLファイル一時アップ、メタタグ、既存の計測タグなど)。DNS編集が難しい人でも扱いやすいです。
- Googleアナリティクス(UA/GA4)との連携はURLプレフィックスでのみ可能です。アナリティクス連携が目的なら有利です。
注意点
指定したプロトコルやサブドメインが異なると別プロパティになるため、サイト全体を一括で把握したい場合は向きません。運用では、サイト全体の概況はドメインプロパティで見て、詳細なディレクトリやサブドメインはURLプレフィックスで補助する使い分けが一般的です。
活用例
- キャンペーン用のサブディレクトリだけを詳しく見る
- サイトの一部を別運用しているときのトラフィック測定
- アナリティクス連携用の補助プロパティとして設定
以上がURLプレフィックスプロパティの基本です。
ドメイン vs URLプレフィックスの違いと選び方
管理範囲の違い
ドメインプロパティはドメイン全体をまとめて管理します。プロトコル(http/https)やwwwの有無、サブドメイン(blog.example.com など)も含みます。一方、URLプレフィックスプロパティは指定したURLの先頭部分で始まるページだけを計測します。たとえば特定のサブフォルダやプロトコルに限定したい場合に向きます。
入力例
- ドメインプロパティ: example.com
- URLプレフィックス: https://www.example.com/ または http://example.com/blog/
どちらを選ぶべきか(実務的な判断基準)
- サイト全体を一括で見たいならドメインプロパティを選びます。複数のサブドメインやプロトコルをまたがる場合に便利です。
- 特定のサブドメインやフォルダだけ管理したいならURLプレフィックスを選びます。たとえばキャンペーン用のディレクトリだけ計測したい場合です。
- DNSへのアクセスがあるか確認します。ドメインプロパティはDNSのTXTレコードでの所有権確認が必要です。DNS操作ができない場合、URLプレフィックスのHTMLファイルやメタタグでの確認が現実的です。
実務上の注意点
- プロトコルやwwwの違いでデータが分かれることがあります。両方を含めたい場合はドメインプロパティが確実です。
- 複数のプロパティを作成しても問題ありません。目的に応じてドメインとURLプレフィックスを併用すると管理しやすくなります。
推奨
一般的にはサイト全体を正確に把握したいならドメインプロパティをおすすめします。特定部分だけの分析やDNS管理が難しい場合はURLプレフィックスを使ってください。












