はじめに
目的
本ドキュメントは、Googleサーチコンソールの「ウェブに関する主な指標（Core Web Vitals）」を分かりやすく解説するために作成しました。基礎知識から具体的な見方・改善のヒントまでを体系的に学べます。
想定する読者
- 自社サイトやブログを運営する方
- ECサイトの担当者
- SEOやユーザー体験を改善したいWeb担当者
専門知識がなくても読み進められるように配慮しています。
本書の使い方
章ごとに実務に役立つ内容を用意しています。まずこの章で全体像をつかみ、第2章でサーチコンソールの基本を学び、第3〜5章で各指標の意味と数値の見方を理解します。最後に検索パフォーマンスと組み合わせた活用法を紹介します。
読み終えた後の成果イメージ
- Core Web Vitalsの指標を読み取れるようになります
- 問題のあるページを特定し、改善の優先順位を立てられます
- ユーザー体験と検索結果の両面で改善効果を期待できます
実践的な手順と具体例を交え、無理なく改善に取り組める内容です。
サーチコンソールとは何か？SEOとの関係
概要
Googleサーチコンソールは、自分のサイトがGoogle検索でどう見えているかを知るための公式ツールです。検索での表示回数やクリック数、クリック率（CTR）、平均掲載順位といったデータを確認できます。サイトマップ送信やインデックス状況、エラー通知など技術面の管理も行えます。
主な機能と分かりやすい例
- 検索パフォーマンス：どのキーワードで何回表示され、何回クリックされたかが分かります。たとえば「レシピ 簡単」で多く表示されるがクリックが少ない場合、タイトルや説明文を変える手がかりになります。
- カバレッジ（インデックス状況）：Googleがページを登録できているかを確認できます。エラーがあれば修正します。
- モバイルやセキュリティ警告：スマホ表示の問題やマルウェア通知を受け取れます。
SEOとの関係
サーチコンソールは数値を元に優先順位を決められるツールです。流入キーワードの特定やクリック率改善、順位下落時の原因調査に使えます。UXを示す「ウェブに関する主な指標（Core Web Vitals）」も確認でき、表示速度などの改善が検索評価につながります。
使い方の心構え
結果をただ見るだけで終わらせず、データをもとに具体的な改善案を立てて実行することが重要です。
「ウェブに関する主な指標（Core Web Vitals）」とは
概要
Core Web Vitals（コアウェブバイタル）は、ページの見やすさや操作の快適さといったユーザー体験を数値で表す指標群です。Googleがページの使いやすさを判断する重要な目安として位置づけており、検索結果の評価にも関わります。
なぜ重要か
訪問者がページを離れる原因の多くは「表示が遅い」「クリックに反応しない」「表示が突然ズレる」ことです。Core Web Vitalsはこうした問題を見つけやすくし、改善の優先順位を決める助けになります。例えば、大きな画像を遅く読み込むと表示が遅く感じられ、広告やフォントでレイアウトが動くと読みにくくなります。
何を評価するか（概略）
Core Web Vitalsは主に3つの観点で評価します。主要コンテンツの表示速度、操作から応答までの遅延、読み込み中のレイアウトの安定性です。これらはユーザーが実際に体感する部分を重視しています。
Search Consoleでの扱い
Search Consoleでは「ウェブに関する主な指標」レポートとして、PC・モバイル別に過去90日間の状態を自動集計します。問題があるページ群を一覧化し、改善箇所の絞り込みに使いやすくなっています。改善の手掛かりとしてまず目を通すべきレポートです。
3つの指標の意味と理想値
LCP（Largest Contentful Paint）
ページの主要なコンテンツが表示されるまでの時間を示します。理想値：2.5秒以内。
例：ページの大きな画像や記事タイトルが読み込まれる速さです。
影響：遅いとユーザーが離脱しやすくなります。
改善のポイント：
– 画像を圧縮し遅延読み込みする
– 不要なスクリプトを削る
– サーバー応答を速くする（CDNの利用など）
INP（Interaction to Next Paint）
ユーザーの操作（クリック・タップ）から次の描画更新までの時間を計測します。理想値：200ms以内。
例：メニューを押して表示が切り替わるまでの反応時間です。
影響：遅いと操作感が悪くなり、利用が面倒に感じられます。
改善のポイント：
– 長い処理を分割して短くする
– メインスレッドの負担を減らす
– 非同期処理を適切に使う
CLS（Cumulative Layout Shift）
読み込み中や操作中の予期せぬレイアウトのズレを測ります。視覚的なストレスを評価します。
評価は「良好」「改善が必要」「不良」の3段階です。
例：画像や広告の高さを指定しておらず本文が下にずれる場合。
改善のポイント：
– 画像や動画にサイズを指定する
– 広告枠はあらかじめ予約する
– 動的に要素を挿入する場合は場所を固定する
サーチコンソールの「ウェブに関する主な指標」レポートの見方
概要
サーチコンソールのレポートは、端末（PC／モバイル）ごとに切り替えられ、Core Web Vitalsを「良好」「改善が必要」「不良」の3段階で表示します。過去90日を日次で集計するため、改修による変化を追跡できます。
グラフの読み方
グラフは日ごとの評価分布を色で示します。例えばモバイルで「改善が必要」が減り「良好」が増えれば、修正が効果を出したと判断できます。日付範囲を絞って比較すると分かりやすいです。
問題のあるURLグループ
問題はURLグループ別にまとめられ、どの指標（LCP、FID/Coreの代替、CLS）が原因かが分かります。該当URL数も出るため、影響範囲を見て優先順位を付けられます。例：影響URLが多くてCLSが原因なら、レイアウトの安定化を優先します。
改修の追跡と実務的運用
URLを修正したら、該当グループの推移を数週間追い、改善がグラフに反映されるか確認します。問題が少数のページに留まるなら個別に検査し、広範囲ならテンプレートや配信側の改善を検討します。
チェック頻度と注意点
1～2か月に1回の確認が目安です。短期的な変動もあるため、1回だけで判断せず、傾向を見て対応してください。フィールドデータの性質上、完全にリアルタイムではない点に留意してください。
検索パフォーマンスとの合わせ技で見えること
概要
Core Web Vitalsはユーザー体験（UX）を測る指標です。サーチコンソールの検索パフォーマンス（表示回数・クリック数・CTR・平均掲載順位）と組み合わせると、SEOの観点から改善の優先順位や効果を具体的に見つけられます。
何が分かるか
- ページ別：同じ検索クエリで順位は高いのにCTRが低いページは、UXや表示の問題が疑われます。例：順位3位だがCTRが1%なら、スニペット改善や表示速度改善を検討します。
- クエリ別：特定の検索語で表示は多いがクリックが少ない場合、表示内容とユーザー期待のズレが考えられます。
- デバイス別：モバイルでCWVが悪いページはモバイルのCTRや直帰率に直結します。デスクトップは問題ないのにモバイルで落ちる例が多いです。
実務での合わせ技手順
- パフォーマンスで対象ページを絞る（表示回数・CTR・順位でフィルタ）。
- サーチコンソールの「ウェブに関する主な指標」レポートでそのページのLCP/CLS/FID（またはINP）を確認。
- デバイス・国別に差があれば、優先して対応。モバイル優先で改修することが多いです。
- 改善後は日次・週次でパフォーマンスを追い、CTRや順位の変化で効果を検証します。
具体例
ECサイトの事例：商品ページAは検索順位が5位で表示は多いがCTRが低く、LCPが遅いと判明。画像遅延読み込みとサーバー最適化でLCPを改善すると、数週間でCTRとCVR（コンバージョン率）が上昇しました。
注意点
指標は相互に影響しますが、順位低下の唯一の原因とは限りません。コンテンツや検索意図も同時に見てください。SEO改善は段階的に検証することが大切です。
