はじめに
この文書の目的
この文書は「CMS(Contents Management System)」が何かをやさしく理解していただくための入門書です。CMSの略称の意味だけでなく、役割や基本機能、仕組み、導入によるメリット、代表的な例、似た略語との違いまで、初心者の方でも分かるように順を追って説明します。
誰に向けた内容か
・これからサイトを作ろうと考えている個人や小規模事業者
・ウェブ担当になったばかりの方
・CMSの導入を検討している担当者
専門的な前提知識は不要です。具体例を交えて丁寧に解説します。
本書の構成(全7章)
第1章 はじめに
第2章 CMSとは何の略?基本の意味と役割
第3章 CMSで何ができる?基本機能と特徴
第4章 CMSの仕組み:テンプレート+コンテンツでページを生成
第5章 CMS導入の主なメリット
第6章 代表的なCMSとその種類
第7章 CMSと似た略語との違い(CRMなど)
これから順に読み進めると、CMSの全体像と導入したときの利点がつかめます。まずは次の章で「CMSとは何か」を見ていきましょう。
CMSとは何の略?基本の意味と役割をやさしく解説
CMSとは何の略?
CMSは「Contents Management System(コンテンツ・マネジメント・システム)」の略で、日本語では「コンテンツ管理システム」と呼びます。Webサイトの文章や画像、動画などの“中身(コンテンツ)”をまとめて管理するためのソフトやサービスです。
どんな役割があるの?
CMSは、専門的なプログラミング知識がなくてもWebページの作成・編集・公開を行えます。たとえば、ブログ記事の投稿、商品の写真差し替え、ページの公開・非公開といった作業をブラウザの管理画面で直感的に操作できます。
具体例で見ると
- 会社サイトのニュース更新を担当者が行う
- 商品説明ページを写真付きで追加する
- 複数人で記事を作り、編集履歴を残す
誰に向いている?
企画担当や広報、個人のブロガーなど、日常的に情報を更新したい人に向きます。IT部署に依頼する手間を減らせます。
導入前の簡単な注意点
CMSには種類があり、使いやすさや機能、費用が異なります。最初に何をしたいか(ブログ運営、EC、会社案内など)を明確にすると選びやすくなります。
CMSで何ができる?基本機能と特徴
簡単にページ作成・編集
CMSでは管理画面からコードを書かずにページを作れます。ブログ感覚のエディタで文章を書き、画像をドラッグ&ドロップで差し替えられます。公開日時の予約や下書き保存、公開プレビューも一般的です。
テンプレート(テーマ)で見た目を一括変更
見た目はテンプレートで切り替えます。テンプレートを替えるだけで全ページのデザインを一括変更できます。色やレイアウトを細かく調整できる場合も多いです。
メディア一元管理
画像や動画、PDFなどをまとめて管理します。ファイル名や説明を付けて検索しやすく保管できます。
カテゴリ・タグで整理
記事をカテゴリやタグで分類できます。訪問者が目的の情報を見つけやすくなります。
複数人運用を支える機能
ユーザーごとに権限を設定し、編集・公開の役割を分けられます。承認フローやバージョン管理で誤編集の復旧や履歴確認が容易です。
セキュリティとバックアップ
多くのCMSは更新やプラグインで脆弱性対策ができます。定期バックアップや復元機能でデータの安全性を高められます。
具体例(イメージ)
- 新しい記事を作り、アイキャッチ画像を置き換え、翌日公開を予約
- 複数人で下書きを共有し、編集者が承認して公開
- 誤って上書きした記事をバージョンから復元
これらの機能で、非エンジニアでも効率よくWebサイトを運営できます。
CMSの仕組み:テンプレート+コンテンツでページを生成
概要
CMSは「見た目の設計(テンプレート)」と「本文や画像などの中身(コンテンツ)」を別々に管理します。管理画面で入力した内容をテンプレートに当てはめ、自動でWebページを作ります。
テンプレートとコンテンツの分離
テンプレートはHTMLやCSSで作られた枠組みです。たとえばヘッダー、本文、サイドバーの配置を決めます。一方、コンテンツは記事の本文、写真、公開日などのデータです。分けることでデザイン変更や内容更新を簡単に行えます。
CMAとCDAの役割
専門的にはCMA(編集画面)でコンテンツを作り、CDA(配信側)がテンプレートに組み込んで表示します。運用担当者はHTMLを直接書かず、フォームに入力するだけで済みます。
ページ生成の流れ(例)
- 管理画面で記事のタイトル、本文、画像を入力
- CMSが該当テンプレートにデータを当てはめる
- サーバーがHTMLを出力し、利用者に配信
非技術者にやさしい理由
テンプレートを用意すれば、担当者は文章と画像の準備だけで公開できます。デザイン崩れを避けつつ、更新の手間を大きく減らせます。
CMS導入の主なメリット
専門知識がなくても運用できる
CMSがあれば、一般的なPC操作ができればページの作成・更新ができます。たとえば、会社のお知らせやブログ投稿を制作会社に依頼せずに担当者が自分で公開できます。
作業効率の向上とコスト削減
テンプレートを使えばレイアウトやデザインの手直しが不要になり、更新にかかる時間が短くなります。結果として外注費や制作時間を減らせます。キャンペーンページを短時間で出せる例が分かりやすいです。
複数人での運用がしやすい
権限を分けて編集者・承認者を設定できます。複数人で同時に作業しても役割が明確になるため、作業の重複や混乱を防げます。
デザインを保ちながら内容だけ更新
テンプレートとコンテンツが分かれているので、見た目を崩さずに文章や画像だけを差し替えられます。ブランドの統一感を保てます。
承認フロー・バージョン管理で安全に運用
公開前の承認フローや、過去のバージョンに戻せる機能があるため、誤って公開したときも復旧できます。情報の品質を保ちながら運用できます。
導入後の効果(具体例)
・更新回数が増え、SEO対策や情報鮮度が向上する
・外注費が減り、長期的なコストが削減される
・担当者がスピーディに対応でき、機会損失を減らせる
これらのメリットにより、制作会社への依頼回数を減らし、日常の運用負担を大きく軽減できます。
代表的なCMSとその種類
代表的なCMSの例
- WordPress:世界で最も普及。ブログや企業サイト、簡単なECまで幅広く使えます。
- Drupal/Joomla:機能が豊富で、中〜大規模サイト向けに使われます。
- Shopify:ECに特化したクラウド型。商品管理や決済が簡単です。
- Wix/Squarespace:デザイン重視のクラウド型。初心者でも直感的に作れます。
- 国産CMS(例:baserCMS、EC-CUBE):日本の利用実態に合わせた機能やサポートがあります。
- 商用CMS(例:Adobe Experience Managerなど):大企業向けで高度な運用や連携に強みがあります。
種類ごとの特徴
- オープンソース型:ソースコードが公開。自由に改変でき、費用を抑えやすい反面、運用や保守は自社で行う必要があります。
- パッケージ型(オンプレミス):自社サーバーに導入。セキュリティやカスタマイズを自分で管理したい場合に向きます。
- クラウド/SaaS型:運用やアップデートを提供側が行います。初期設定が簡単でメンテナンス負担が少ないです。
選び方のポイント
- 目的に合わせて選びます。ブログや小規模サイトはWordPressやWix、ECならShopifyやEC-CUBEが合理的です。
- カスタマイズ性と運用負担のバランスを考えます。自由度が高いほど管理の手間が増えます。
- サポート体制やコミュニティの充実度も重要です。国産CMSは日本語の情報や窓口が整っています。
CMSと似た略語との違い(CRMなど)
はじめに
CMSはContents Management Systemで、主にWebサイトや公開コンテンツの作成・管理を行う仕組みです。同じように“○○ Management System”と呼ばれるものでも、扱う対象が違います。ここでは分かりやすく違いを説明します。
CMS(コンテンツ管理)の中身
CMSはページ、記事、画像、公開日時や承認フローなどを管理します。たとえば会社のニュース記事や商品ページを編集・公開するのが代表例です。
CRM(顧客管理)との違い
CRMはCustomer Relationship Managementで、顧客情報、商談履歴、サポート履歴を管理します。CMSが“見せる内容”を扱うのに対し、CRMは“人(顧客)との関係”を扱います。例として、CMSで商品説明を作り、CRMでその商品を買った顧客の対応を管理します。
ほかの“管理システム”との比較
- SCM(Supply Chain Management):仕入れや物流の流れを管理します。
- ERP(Enterprise Resource Planning):会計、在庫、人事など業務を統合管理します。
- DMS(Document Management System):契約書や社内文書の保存・検索・版管理を行います。
- LMS(Learning Management System):研修や学習コンテンツを管理します。
実務での使い分けと連携例
役割を理解すると適切に選べます。たとえばCMSとCRMを連携すると、会員ごとに表示を変えられます。CMSとERPをつなげれば、在庫状況をサイトに出せます。DMSは内部文書、CMSは公開用コンテンツと役割を分けると運用が楽になります。
扱う対象の違いを押さえ、目的に合わせて単独で使うか連携して使うかを決めてください。












