はじめに
本ドキュメントは、2025年版のAWS EC2インスタンス料金について、分かりやすく丁寧に解説することを目的としています。基本的な料金の仕組み、代表的な料金プランの違い、そして東京リージョンにおける具体的なオンデマンド料金例までを順に説明します。
本書の目的
・料金構造を理解して無駄な支出を減らせるようにすること
・用途別に適した料金プランを選べるようにすること
想定読者
クラウド利用を始めたばかりの方、中小規模のシステム担当者、料金最適化に関心のあるエンジニアや管理者を想定しています。専門用語は最小限にし、具体例で補足します。
本書の使い方
各章は独立して読み進められますが、まず第2章で料金の基本を押さすと分かりやすくなります。第4章では東京リージョンの具体的な金額例を示しますので、実務の目安にしてください。
前提と注意点
本書はEC2インスタンスの料金に焦点を当てます。データ転送やストレージの料金は別途考慮が必要です。
AWSインスタンス料金の基本構造を理解しよう
まずは全体像
AWSのサーバー(特にEC2)は従量課金制です。使った分だけ支払う仕組みで、時間単位やデータ量で料金が計算されます。シンプルですが、要素が重なると合計が変わります。
料金に影響する主な要素
- インスタンスタイプと台数:CPUやメモリの大きさで単価が変わります。台数が増えればその分、比例して料金が上がります。
- 稼働時間:時間単位で課金されます。24時間稼働と停止を繰り返す場合で差が出ます。月額換算が分かりやすいです。
- ストレージ(EBSなど):容量と利用時間で課金されます。高性能なストレージは単価が高くなります。
- バックアップや冗長構成:スナップショットや複数AZ配置は追加のコストを生みます。
- データ転送料金:外部への送信やリージョン間転送に費用がかかることがあります。
時間単価の月額換算(具体例)
時間単価を月額に直すと把握しやすくなります。例:
– インスタンス時間単価:0.10 USD/時
– 1か月のおおよその時間:24×30=720時間
– 月額:0.10×720=72 USD
このようにすると、台数やストレージを足した総額が分かりやすくなります。
コスト管理のコツ
- 実際の稼働時間を計測して無駄をなくす。
- 使用していないインスタンスやボリュームは停止・削除する。
- ストレージクラスやバックアップ頻度を見直す。
各要素を把握しておくと、見積もりや予算管理がずっと楽になります。
代表的な料金プラン(オンデマンド / リザーブド / Savings Plans)の違い
オンデマンド
使った分だけ時間単位で支払う最もシンプルな方法です。起動・停止のたびに料金が発生し、長期契約が不要なので短期間や試験的な利用に向きます。料金は高めですが、必要なときにすぐ使える柔軟さがあります。例:テスト環境や突発的なトラフィック増加へ対応する場合。
リザーブドインスタンス(RI)
1年または3年の利用を予約して割引を受ける方式です。最大で大きな割引(案内値で最大約72%)を得られ、常時稼働するサーバーに向きます。支払い方法に「前払い」や「分割」などがあり、前払いを増やすほど割引率が高まります。柔軟性はオンデマンドより低く、契約期間中の変更は制約があります。
Savings Plans
一定期間の時間当たりの利用金額(コミット)を約束することで割引を受ける新しい仕組みです。EC2以外のサービス(例:FargateやLambda)も割引対象となるケースがあり、RIよりも適用範囲が広めです。種類によって適用範囲や柔軟性が異なるため、利用パターンに合わせて選ぶと費用対効果が高くなります。
どう選ぶかの目安
- 短期・不定期:オンデマンド
- 常時稼働で予測可能:リザーブド(期間と前払いのバランスを検討)
- 複数サービスをまたぐ・柔軟性が欲しい:Savings Plans
実際の選択は稼働時間と予算の優先度で判断してください。
オンデマンド料金の具体例(東京リージョン / 2025年)
概要
2025年の東京リージョンでの代表的なオンデマンド月額目安を示します。月額は「時間単価×24時間×30日」で概算しています。
代表的な目安(オンデマンド・月額)
- t3.nano:約762円/月(低負荷の小規模サービス向け)
- t3.micro:約1,527円/月(小さなウェブサイトや検証用)
- t3ファミリーの特徴:性能が1段階上がるごとに料金はほぼ2倍になります。必要に応じて段階的に拡張できます。
- m5.large:約13,000円/月(中程度の本番アプリ向け)
- m5.xlarge:約28,000~29,000円/月(より高性能な本番やバッチ処理向け)
選び方のポイント
- 小規模・低トラフィック:t3系でコストを抑えつつバースト性能を活用します。
- 本番・高負荷:m5系などの汎用型でCPUとメモリのバランスを重視します。
- 目安としてCPUとメモリの必要量を基に候補を絞り、負荷が増えたら上位へ移行してください。
注意点
- 表示は目安です。実際の請求は利用時間や追加ストレージ・転送量で変動します。












