はじめに
目的
本ドキュメントは「ヘッドレスCMS オープンソース」に関する基礎知識を整理するために作成しました。検索結果や一般的な情報をもとに、初心者でも理解しやすいように説明します。実務での選定や導入検討に役立つ情報を丁寧に伝えます。
対象読者
- Web担当者や開発者、プロジェクトマネージャー
- CMSの置き換えや新規導入を考えている方
- 技術的な背景があまりないが概念を理解したい方
具体例としては、コーポレートサイトやECサイト、モバイルアプリでコンテンツを共通利用したい方が対象です。
本書の構成
第1章 はじめに（本章）
第2章 ヘッドレスCMSとは何か？ オープンソースが注目される背景
第3章 オープンソース型ヘッドレスCMSのメリット・デメリット
第4章 代表的なオープンソース・ヘッドレスCMS一覧
第5章 主要OSSヘッドレスCMSの個別解説
各章で用語はできるだけ平易に説明し、具体例や比較を交えて進めます。専門用語は最小限に留め、初めて読む方でも読み進めやすい構成にしています。
第1章 ヘッドレスCMSとは何か？オープンソースが注目される背景
はじめに
ヘッドレスCMSは、コンテンツ管理（バックエンド）と表示（フロントエンド）を分けた仕組みです。編集者は管理画面でコンテンツを作り、APIを通じてさまざまな端末に配信します。技術的な難しさを利用者に押しつけず、柔軟に表示を変えられる点が特徴です。
ヘッドレスCMSの基本
ヘッドレスCMSは主にAPI（RESTやGraphQL）でコンテンツを渡します。例えば、同じ記事データをWebサイト、スマートフォンアプリ、デジタルサイネージで共有できます。フロントエンドは好きな技術（ReactやVue、ネイティブアプリなど）を使って表示できますので、開発チームの得意な技術を生かせます。
利用シーンの例
- 企業サイト＋アプリで同じ情報を使う場合
- 多言語サイトや複数チャネルへの一斉配信
- 表示性能を重視し、ヘッドレスでCDNや静的サイト生成を組み合わせる場合
オープンソースが注目される背景
オープンソース型はライセンス費用が不要で、セルフホスティングできます。自社の要件に合わせて機能を追加したり、コミュニティの改善を取り込んだりしやすい利点があります。透明性が高く、コードを確認してセキュリティや拡張性を評価できます。ベンダーロックインを避けたい組織や、柔軟なカスタマイズを求める場合に特に注目されています。
第2章 オープンソース型ヘッドレスCMSのメリット・デメリット
はじめに
オープンソース型のヘッドレスCMSを検討するときは、費用や自由度と運用負担の両面を比べて判断します。ここでは代表的なメリットとデメリットを分かりやすく説明します。
メリット
- 初期費用やライセンス料が不要
- ソフト自体にライセンス料がかからないため、試験導入や複数環境での検証がしやすいです。
- 高い拡張性とカスタマイズ性
- コードを直接触れるため、独自の機能や外部サービス連携を柔軟に実装できます。たとえば独自のAPIや検索機能を追加できます。
- インフラの自由度
- 好きなクラウドやオンプレミスに配置でき、パフォーマンスやコストに応じて構成を決められます。
- 透明性とコミュニティ
- ソースコードが公開されているため挙動を確認でき、問題解決にコミュニティが役立つ場合があります。
デメリット
- サーバー構築・運用の手間
- インストールやバックアップ、監視などを自分で用意する必要があり、専門知識が求められます。
- インフラコストやセキュリティ維持費
- 実際の運用ではホスティング費用やセキュリティアップデート対応が発生します。小さな組織ではこれが負担になることがあります。
- ドキュメントやサポートの言語・充実度
- 英語中心の資料やコミュニティが多く、日本語リソースが少ない場合があります。迅速なサポートを期待しにくいこともあります。
導入時のチェックポイント
- チームに運用スキルがあるか確認してください。
- 長期の総保有コスト（TCO）を見積もり、ライセンス型と比較してください。
- コミュニティの活発さや更新頻度を確認し、将来の保守性を判断してください。
第3章 代表的なオープンソース・ヘッドレスCMS一覧
baserCMS
- 概要：日本発のフルスタックCMSです。管理画面と公開側が一体ですが、APIやヘッドレス的な運用も可能です。
- 特徴：日本語のドキュメントやコミュニティが充実しています。既存のサイトをそのまま置き換えやすいです。
- 用途例：中小規模のコーポレートサイトや多言語サイトの移行。
Strapi
- 概要：Node.jsで動く柔軟なヘッドレスCMSです。
- 特徴：コンテンツ型の定義が自由で、REST/GraphQLのAPIをすぐ使えます。カスタムプラグインやロール管理も強力です。
- 用途例：SPAやモバイルアプリのバックエンド、カスタム要件のあるプロジェクト。
Ghost
- 概要：ブログに特化した軽量なCMSで、APIでコンテンツ配信します。
- 特徴：執筆体験が良く、会員制や課金機能も内蔵しています。
- 用途例：メディア運営や個人ブログ、ニュースレター配信。
Decap CMS（旧Netlify CMS）
- 概要：Gitベースで静的サイトジェネレーターと相性が良いCMSです。
- 特徴：コンテンツはリポジトリにコミットされるため、履歴管理が明確です。S3やGitHub Pagesと組み合わせやすいです。
- 用途例：静的サイト（Gatsby、Hugo等）での編集ワークフロー。
Directus
- 概要：既存のSQLデータベースをそのままAPI化するデータファーストなCMSです。
- 特徴：データベースの構造を尊重し、管理画面からテーブルを操作できます。APIの柔軟性が高いです。
- 用途例：既存DBを活かした社内ツールや複雑なデータモデルを持つサービス。
TinaCMS
- 概要：React向けのインライン編集が特徴のCMSです。
- 特徴：エディター画面で直接ページを編集でき、開発者体験が良好です。Git連携も可能です。
- 用途例：マーケティングサイトやコンテンツ担当者が頻繁に更新するサイト。
各ツールは得意領域が異なります。用途やチームのスキル、運用フローを考えて選ぶと良いです。
第4章 主要OSSヘッドレスCMSの個別解説
Strapi
説明：Node.jsで作られた完全オープンソースのヘッドレスCMSです。自己ホスト時はAPIコール数やコンテンツ数、ユーザー数に制限がなく無料で利用できます。
特徴：管理画面が使いやすく、REST/GraphQLを提供します。プラグインで機能を拡張しやすいです。
用途例：企業サイト、ECのカタログ、モバイルアプリのバックエンド。
注意点：ホスティングやスケールは自分で管理します。プラグインの品質に差があることがあります。
Directus
説明：既存のデータベースをそのままCMS化できるツールです。UIは分かりやすく、データ構造をそのまま使えます。
特徴：SQLデータベースとの親和性が高く、データ移行が楽です。
用途例：既存DBを活かして管理画面を作りたい場合に向きます。
注意点：複雑なデータ設計では調整が必要です。
Keystone
説明：Node.js系で柔軟なスキーマ設計ができるCMSです。コードで定義するため開発者向けです。
特徴：カスタムな運用や複雑なワークフローに向きます。
用途例：開発チームが要件に合わせて調整するプロジェクト。
注意点：コードで設定する分、初期設定は手間がかかります。
Ghost（ヘッドレス運用）
説明：元々ブログ向けのOSSですが、APIでコンテンツを配信できます。
特徴：執筆体験が優れており、シンプルなコンテンツ運用に向きます。
用途例：ニュースサイトやブログ、会員制コンテンツ。
注意点：複雑な多言語や大量データの運用には工夫が必要です。
