ECサイトのサイトマップ作成と解析でSEO効果を高める方法

目次

はじめに

目的

本資料は「サイトマップ 解析」に関する調査結果を分かりやすくまとめた入門書です。ECサイトや企業サイトの運営者、担当者、制作パートナー向けに、実務で役立つ知識を提供します。

本書で学べること

  • サイトマップの種類とそれぞれの役割
  • 構成図・HTML・XMLの使い分け方と作り方
  • ディレクトリマップを使ったサイト解析の手順と課題発見
  • Excelを使った実務的な作成のコツと改善方針

なぜ重要か

サイト構造を可視化すると、導線の改善やSEO、運用効率の向上につながります。たとえば商品ページの位置が分かれば、ユーザーが迷いやすい箇所を特定して改善できます。

読み方の案内

各章は独立して読み進められるように構成しました。まず第2章で3種類のサイトマップを概観し、第6章以降でディレクトリマップによる実践解析へ進みます。実例を交えて丁寧に説明しますので、初心者の方も安心して読み進めてください。

ECサイトに必要な3種類のサイトマップ(構成図)の作り方と活用方法

はじめに

ECサイトでは目的に応じて3種類のサイトマップを用意します。各々の役割を分けて作ると、運用や解析、SEOがスムーズになります。

1) 構成図サイトマップ(ビジュアルな構成図)

  • 定義:サイトのページ関係を図で示したもの。トップ→カテゴリ→商品といった階層を視覚化します。
  • 作り方:①主要ページを洗い出す(例:トップ、カテゴリ、商品、カート)②階層で並べる③図にする(手書き、draw.io、Figmaなど)
  • 活用:設計会議や認識合わせに使います。新規ページ追加時に影響範囲を確認できます。例:新カテゴリを入れるとナビやフィルターが変わると一目で分かります。

2) HTMLサイトマップ(ユーザー向け)

  • 定義:訪問者がアクセスしやすいようにページ一覧をHTMLで提供するページです。
  • 作り方:重要なカテゴリや人気商品、問い合わせ先を目立つ順に並べて作成します。フッターからリンクすると見つけやすいです。
  • 活用:ユーザーの回遊を助けます。サイト内検索で見つからないページの受け皿になります。

3) XMLサイトマップ(検索エンジン向け)

  • 定義:検索エンジンにページ情報を伝えるためのXMLファイルです。
  • 作り方:CMSやプラグインで自動生成できます。更新日や優先度を設定し、Google Search Consoleに送信します。
  • 活用:クローラーが新しいページや重要なページを見つけやすくなります。特に商品ページの追加や在庫切れ対応に有効です。

実践チェックリスト

  • 構成図は常に最新に保つ
  • HTMLサイトマップはユーザー視点で整理
  • XMLは自動生成と定期送信を設定

これらを使い分けると、設計・運用・解析が効率的になります。

構成図サイトマップの定義と活用メリット

定義

構成図サイトマップは、サイト制作の設計図です。ツリー状の表や一覧で、ページ同士の親子関係や階層を視覚化します。例として「トップページ → カテゴリページ → 商品ページ」のように流れを示します。ExcelやGoogle Sheetsで列やインデントを使って作成すると分かりやすくなります。

作り方のポイント

  • まず主要なページ(トップ、カテゴリ、商品、カート、お問い合わせ)を洗い出します。
  • ページごとに目的と必須要素(例:商品ページ=写真・価格・カートボタン)を付けます。
  • インデントや列で階層を示し、抜け漏れがないか複数人で確認します。

活用メリット

  • サイト全体の構想を一目で把握できます。制作前に全体像が揃うと作業が速くなります。
  • チーム内で認識を統一できます。デザイナー、開発者、ディレクターが同じ設計図を見て議論できます。
  • 設計工程の基礎になります。ワイヤーフレームやコンテンツ設計、テスト項目のベースになります。

作成時の注意点

  • あいまいな名称は避け、ページの役割を具体的に記載します。
  • 小さなページも侮らずリスト化します。抜けが後工程で大きな手戻りになります。
  • 定期的に更新し、実装状況と差が出ないように管理します。

HTMLサイトマップの役割と活用メリット

HTMLサイトマップとは

HTMLサイトマップは、訪問者向けにサイト内のページを一覧で示すページです。目次のようにカテゴリや重要ページを並べ、訪問者が迷わず目的のページにたどり着けるようにします。

主な役割

  • サイト全体の構造を一目で伝える
  • 欲しい情報へ素早く誘導する
  • サイトの信頼感を高める(特に大規模サイトや通販サイト)

具体的な活用メリット

  1. ユーザビリティ向上:商品カテゴリやよくある質問をまとめておくと、買い物中の離脱を減らせます。
  2. サイト内回遊性の改善:関連ページを並べれば、閲覧が続きやすく料金ページや購入ページへの導線が強くなります。
  3. Web解析の精度向上:ページのグループ分けがしやすく、解析でどの領域が弱いか把握できます。例:FAQの閲覧が少なければ改善対象が分かります。

作り方のポイント

  • フッターやヘッダーから1クリックで辿れる場所に置く
  • 見出しでカテゴリを分け、短い説明文を添える
  • 定期的に更新し、削除ページは外す

運用のコツ

シンプルなリストと階層構造で見やすく保ちます。ユーザー目線で優先度の高いページを上に並べると効果が出ます。

XMLサイトマップの定義とSEOへの効果

定義

XMLサイトマップは検索エンジンのクローラー向けの一覧です。サイト内のURLを機械的に伝え、画像や動画、言語別URL(hreflang)なども記載できます。人が読むページではなく、検索エンジンの巡回を助けるファイルです。

何を含めるか(具体例)

  • ページURLと最終更新日(lastmod): 新しい商品ページや更新ページを知らせます。
  • 画像や動画情報: 商品画像やプロモーション動画の索引に有効です。
  • 優先度や更新頻度: クローラーへの参考情報になります(必須ではありません)。

SEOへの具体的効果

  • 新規ページや深い階層のページを早く見つけてもらえます。例えば、カテゴリ下層の特集ページの発見が早まります。
  • 画像・動画が適切に登録され、検索結果での露出が増えます。
  • 多言語サイトではhreflangで適切な地域表示を促せます。

運用ポイント

  • サイトマップはSearch Consoleに登録し、robots.txtでの参照も設定します。
  • 50,000 URL超える場合は分割してインデックスファイルを使います。
  • 更新時にはlastmodを正確に設定すると、クローラーの再訪を促せます。」}“

ディレクトリマップによるサイト解析の概要

概要

ディレクトリマップは、サイト内のすべてのURLやフォルダ構成を一覧化したものです。各ページの所在や階層関係を可視化し、重複ページや抜け漏れ、構造のゆがみを発見します。SEOの初期調査で現状を客観的に把握するために役立ちます。

ディレクトリマップで確認できる主な項目

  • URLとその階層(例: /products/, /products/shoes/)
  • ページ種別(商品ページ、カテゴリ、コンテンツページなど)
  • ステータスコード(正常、404など)
  • 重複や類似ページの有無
  • オーファンページ(どこからもリンクされていないページ)

SEO初期調査での役割

ディレクトリマップにより、サイト構造の偏りや深すぎる階層を見つけます。階層が深いと検索エンジンやユーザーが辿りにくくなります。したがって、改善優先度を決めやすくなります。

簡単な実例

トップ→カテゴリ→商品という理想構造で、実際に「カテゴリが散在している」「同じ商品が複数URLで存在する」などが発見できます。こうした問題は売上や評価に影響します。

運用上の注意点

定期的に更新して現状を反映してください。URLパラメータやクエリで同一内容が増える点に注意します。クローラーで取得した一覧をもとに、優先的に改善する箇所を決めると効果的です。

ディレクトリマップで発見できる主な課題

1. コンテンツの重複

同じ内容が複数のディレクトリやページに散らばると、検索エンジンもユーザーも迷います。例:同一の商品説明がカテゴリAとカテゴリBに掲載されている。ディレクトリマップで同じタイトルや類似URLが並ぶ箇所を探します。

2. コンテンツの過不足(過多・不足)

重要なカテゴリにページが少ないと情報不足になります。逆に同じカテゴリに大量の似たページがあると管理負担が増えます。例:人気カテゴリに商品説明が1件しかない、あるいは何百件もあり内容が薄い。

3. 構造のゆがみ

本来の階層と実際のURL構造が一致しないとナビゲーションがわかりにくくなります。例:商品ページがカテゴリの直下ではなく深い階層に散在している。ディレクトリマップで階層の偏りを確認します。

4. 孤立ページ(オーファンページ)

内部リンクがほとんどないページは見つかりにくく、価値が下がります。例:キャンペーンページがナビにも一覧にも含まれていない。ディレクトリマップでリンク元が無いページを特定します。

5. リンク切れ・重い階層

参照先が存在しないリンクや、深すぎる階層はユーザー体験を損ねます。例:3クリック以内で到達できない重要ページ。

これらはディレクトリマップを眺めるだけで可視化できます。見つけた課題は優先度を付けて対応を進めると効果が出やすいです。

ディレクトリマップの作成手順

STEP1:現状把握(サイト全体の可視化)

まず全URLを一覧にします。サイトマップ、クローラー、CMSエクスポートで取得し、トップページ→カテゴリ→商品/記事の順でツリーにします。視覚化は図や階層表示が分かりやすいです。

STEP2:URLの役割・目的の分類

各URLが「集客用」「購入導線」「サポート」「情報提供」などどの役割かを書きます。役割ごとに優先度を付けると後の改善がスムーズです。

STEP3:必要情報の抽出

各行に下記を入れます。対策キーワード、タイトル文字数、パンくず(有無)、公開日、内部リンク数、ステータス(公開/下書き/リダイレクト)、備考(重複や品質問題)。実例:商品ページ/キーワード「赤い靴」/タイトル32文字/パンくず有/内部リンク5件。

STEP4:データ取得と整合性チェック

Google Search Consoleや解析ツールからクリック数や表示回数を取得し、CMSから更新日やステータスを確認します。ツール間でURL表記や重複がないかを照合してからマップを確定してください。

■小さなコツ
・重要ページを色分けする、・まず1カテゴリで試作し改善点を見つける、・Excel列は最小限で始めると続けやすいです。

Excelでのディレクトリマップ作成のコツ

はじめに

Excelは手早く可視化でき、運用にも向くツールです。ここでは実務で使える設計のコツを具体例とともに説明します。

推奨する列設計

  • URL:絶対URLを保存するとリンク確認が楽です。
  • ページタイトル:表示名を統一して入力します。
  • ページタイプ:商品/カテゴリ/情報など。入力はドロップダウンで統制します。
  • 階層レベル:1,2,3の数値で管理します。
  • 親ID/ページID:親子関係を崩さないためにIDを付けます。
  • 更新日・ステータス:YYYY-MM-DD形式と公開/下書きで管理します。

階層の表現方法

  • インデント列を作り、=REPT(“ ”,C2-1)&B2 のような式で見た目を揃えます。
  • Excelのグループ/アウトライン機能も活用すると折りたたみが便利です。

視覚化と操作性

  • 条件付き書式でページタイプや古い更新日の色分けを行います。
  • フィルターやスライサーで必要な範囲を素早く抽出します。
  • ハイパーリンク列を作り、クリックで該当ページへ飛べるようにします。

入力の品質維持

  • データ検証で入力ミスを減らします。定期的に更新日でフィルタし、古いページを洗い出します。
  • 並べ替えは階層列→親ID→タイトルの順に行い、親子関係が崩れないようにします。

運用のコツ

  • シートを保護し、必須列だけ編集可にします。
  • バージョン管理を行い、変更履歴を残す運用にします。

ディレクトリマップをもとにした改善方針

はじめに

ディレクトリマップの分析結果を実際の改善に結び付けるには、優先順位を付けて進めることが大切です。ここでは具体的な方針と実施手順を分かりやすく説明します。

1. コンテンツ整理

  • 重複統合:同じ商品や説明が複数ページに分散している場合、代表ページに統合します。例:サイズ違いだけのほぼ同一ページは1ページにまとめ、選択肢で切り替える。統合後は301リダイレクトで旧URLを集約します。
  • 不要ページ削除:アクセスが極めて少なく、価値のないタグページや自動生成ページは削除またはnoindexにします。負担を減らしクロール効率を上げます。

2. 内部リンク設計の最適化

  • 関連リンク追加:カテゴリ→商品、商品→関連商品などユーザーの導線を設計します。トップからのクリック数を減らして目的ページへ早く誘導します。
  • アンカーテキスト最適化:『ここをクリック』ではなく『赤いスニーカー詳細』のように内容を示す文言を使います。検索エンジンとユーザーに内容が伝わりやすくなります。

3. URL構造の再設計

  • 階層見直し:深すぎる階層(例:/a/b/c/d)はフラット化して重要ページまでのクリック数を減らします。カテゴリ名を明確にして分かりやすくします。
  • URL正規化:大文字小文字の統一、クエリパラメータの整理、canonical指定で重複を防ぎます。

実施手順と優先順位

  1. 影響の大きい箇所(流入・CVが高いページ)を優先する
  2. 低コストで効果が出る施策(リダイレクト、アンカーテキスト変更)を先に行う
  3. 構造の見直しやテンプレート変更は計画的に実施する

効果測定とフォロー

  • 指標:有機検索流入、インデックス数、クロールエラー、平均クリック数、CVRを定期チェックします。
  • PDCA:変更後は1〜3ヶ月で効果を確認し、必要に応じて追加改善を行います。
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