はじめに
アクセサリー作りを始めるとき、材料は大きく「パーツ」と「道具」に分けられます。本章ではその全体像をやさしく紹介します。
パーツとは
パーツは作品の素材そのものです。代表例は次の通りです。
– ビーズ:ガラス、アクリル、天然石など。色や形で印象が変わります。
– 金具:丸カン、留め具、チャーム。パーツ同士をつなぐ役割です。
– ワイヤー・糸:作品の土台になります。太さや素材で使い方が異なります。
それぞれ少しずつ性質が違うので、最初は扱いやすい素材を選ぶと失敗が減ります。
道具とは
道具は作業を助けるものです。基本は次のとおりです。
– ペンチ類(丸・平):丸めたりつかんだりします。
– ニッパー:ワイヤーやピンを切るときに使います。
– はさみ・ピンセット:細かい取り扱いに便利です。
安全に作業するために、作業台を整え、刃物や小さな部品に注意して作業してください。
この本では第2章でよく使う材料、第3章で基本の道具、第4章で初心者向けの組み合わせ、第5章で買いやすい場所を丁寧に紹介していきます。まずは気軽に一歩踏み出してみましょう。
よく使う材料
ビーズ類
- アクリルビーズ:軽くて安価。色や形が豊富で練習用に向きます。
- ガラスビーズ:光を反射してツヤが出ます。スワロフスキーなどは高級感があります。
- パール:樹脂パールは扱いやすく、本真珠は繊細で高価です。フォーマルに合います。
- 天然石:ラピス、アメジスト、ターコイズなど。重さや硬さが異なるので割れやすさに注意してください。
金具類(丸カン、ピン、留め具など)
- 丸カン:部品どうしをつなぐ基本パーツです。両側に力をかけて横に開閉すると外れにくくなります。
- 9ピン・Tピン:ビーズを固定してチャームを作るときに使います。9ピンは先端を丸めて輪を作ります。
- カニカン・アジャスター:ネックレスやブレスレットの留め具です。耐久性のある金属を選ぶと安心です。
- ピアス・イヤリング金具:フック、ポスト、ネジバネ式など用途で使い分けます。
- 素材の違い:真鍮、ステンレス、メッキなどがあり、敏感肌の方はアレルギー対応の素材を選んでください。
通すもの(糸・ワイヤー・チェーン)
- テグス(ナイロンコーティングワイヤー):透明で目立ちにくく、切れにくいので定番です。結び目をしっかり固定してください。
- ナイロン糸・ミシン糸:編み物やビーズステッチに使います。太さで仕上がりが変わります。
- ワイヤー:形を保持したいパーツに向きます。ゲージ(太さ)で硬さが変わるので用途に合わせて選びます。
- ゴム紐:伸縮性があり着脱しやすいブレスレット向けです。結び目は接着剤で補強すると安心です。
- 革紐・コード・リボン:カジュアルな雰囲気に合います。端は接着や金具で処理してください。
- チェーン:そのままネックレスに使えます。長さとコマの大きさを確認しましょう。
選び方のポイント
用途(普段使い・特別な場)に合わせて、見た目と強度を優先して選んでください。まずは扱いやすいアクリルやガラスビーズ、テグスやゴム紐を揃えると始めやすいです。
基本の道具
ペンチ類(平ヤットコ・丸ヤットコ)
平ヤットコはワイヤーをつかんで曲げたり、引っぱったりするのに向いています。接続パーツをしっかりつかめるので、リングを広げたり閉じたりする作業が安定します。丸ヤットコは丸い先端でワイヤーを曲げて輪(ループ)を作るときに便利です。使うときは先端でワイヤーの根元を支え、手首ではなく指先で細かく動かすときれいに仕上がります。ハンドルにクッションがあると疲れにくく、小さめのものは細かい作業に向きます。
ニッパー(ワイヤーやピンを切る)
斜め切りやフラッシュカットのニッパーを用意すると仕上がりが良くなります。ワイヤーの太さに合った刃を選んでください。硬い金属用のニッパーでないと刃が欠けることがあります。切断時は切り口を目に入れないようにし、余分な長さを残してから微調整すると失敗が少ないです。
はさみ(糸やテグス用)
糸やテグスは細くて滑りやすいので、先の細い裁縫用はさみや刺繍鋏が使いやすいです。ワイヤーを切ると刃こぼれするので専用に分けてください。切れ味が悪くなったら早めに替えると作業効率が上がります。
ピンセットやビーズマット(細かいパーツの扱いを楽にするため)
ピンセットは小さなパーツをつまむ、位置を合わせるときに便利です。先端の形で使い分けると作業が速くなります。ビーズマットはパーツの転がりを防ぎ、配置を試すときに役立ちます。作業台に敷くだけで紛失を減らせます。
お手入れと保管
道具は使ったら布で拭き、乾燥した場所に保管します。接合部に軽く油をさすと動きが滑らかになります。用途ごとに道具を分けると長持ちします。
初心者におすすめの組み合わせ
ブレスレット(最も簡単)
- 組み合わせ:伸びるゴム紐(0.6〜1.0mm)+ビーズ(穴径1mm以上)
- 作り方:ビーズを通して結ぶだけ。外れにくい結び方(外科結び)を2回ほど行い、余った部分を切り、結び目に少量の接着剤をつけると安心です。金具は不要なので道具が少なく始められます。
ネックレス/ピアス(基本の組み合わせ)
- 組み合わせ:ビーズ+丸カン+9ピンまたはTピン+留め具(引き輪・ナスカン)/ピアス金具+ペンチ・ニッパー
- 作り方の要点:9ピンにビーズを通し、先端を丸めてループを作ります。丸カンでパーツ同士をつなぎ、最後に留め具やピアス金具を取り付けます。ピンは0.6〜0.8mmが扱いやすいです。
サイズ・素材の目安
- ビーズ:4〜8mmは初心者向きで扱いやすい
- 丸カン:4〜6mmが汎用的
- 留め具:10〜12mm程度が使いやすい
初心者に役立つコツ
- 大きめのビーズで練習すると失敗しにくいです。
- 工具は丸ペンチ・平ペンチ・ニッパーをそろえると作業が楽になります。
- 少量ずつ材料を揃えて試作を重ねてください。
注意点
- ゴム紐は強く引っ張らないこと。劣化しやすいので洗濯や水濡れに注意してください。
- 丸カンは必ずねじって閉じ、隙間がないか確かめてください。
- ピアスを作る場合は金属アレルギーに配慮して素材を選んでください。
材料を買いやすい場所
はじめに
材料を買う場所は目的や予算で選ぶと失敗が少ないです。まずは手軽さを重視するのか、色や素材の幅を重視するのかを考えてください。
100円ショップ
ビーズ、テグス、簡単な金具や道具が一通りそろいます。初心者が試作するには最適で、手軽に必要品をそろえられます。購入の際はビーズの穴の大きさやテグスの太さを確認してください。色が均一でない場合もあるので、複数個買って色合わせするのがおすすめです。
手芸店・ビーズ専門店
色や素材を細かく選びたいとき、本格的にそろえたいときに便利です。ガラス、金属、天然石など素材ごとの特徴を実物で確かめられます。少量売りやバラ売りがある店も多く、スタッフに相談すれば用途に合った素材や道具を教えてもらえます。
ネットショップ
品揃えが最も豊富で、珍しい色やサイズも見つかります。写真とレビューをよく見て、送料や返品対応を確認してください。初めて買う素材はサンプルパックや少量から試すと安心です。
購入のコツ
- サイズ(穴の大きさや長さ)を必ず確認する
- 必要量を計算して余裕を持って買う
- 比較して価格だけでなく品質も見る
- 保管用の小分け容器やラベルを用意すると整理しやすいです
用途に合わせて使い分けると、無駄なく材料をそろえられます。












