オウンドメディア運用で押さえるべき注意点と対策ポイント

目次

はじめに

オウンドメディアは自社の情報発信を強め、顧客との関係を育てる重要な施策です。本書では立ち上げから運用までに注意したい点を分かりやすく解説します。目的・KPIの明確化、体制づくり、SEOとコンテンツ品質の両立、ブランドと法務リスク、効果測定と改善の五つの観点をカバーします。

なぜ重要か
– 自社の価値や専門性を定期的に伝えることで信頼を築けます。例えば製品の使い方を丁寧に説明する記事で問い合わせが減ることがあります。
– 広告に頼らず長期的な集客基盤を作れます。

読むべき人
– これからメディアを始める方、既に運用して改善したい方の両方に役立ちます。

この章の使い方
– 各章で実務的な注意点と具体例を紹介します。まずは目的を明確にし、次に体制と運用の仕組みづくりを検討してください。

戦略・目的設計の注意点

まず目的をひとつに絞る

オウンドメディアの役割を「問い合わせ増」「採用強化」「認知拡大」などから明確に選びます。目的が混在すると、記事のテーマや訴求がブレて成果につながりにくくなります。例えば採用を重視するなら企業文化や社員インタビューを中心にし、問い合わせ重視なら課題解決型の記事とCTAを強化します。

ターゲットと顧客の行動を想定する

誰に読んでほしいかを具体化します。ペルソナは簡単な属性(業種・役職・課題)で十分です。読者が記事を読んだあとにとる行動(資料請求・問い合わせ・応募)を想定して、各段階で必要なコンテンツを設計します。

KPIはPVだけに頼らない

PVは指標の一つですが、ビジネスに直結するKPIも同時に設計します。具体例:資料ダウンロード数、問い合わせ件数、メルマガ登録数、採用応募数など。各KPIに対して目標値と期限を設定し、達成指標を明確にします。

テーマの絞り込みと優先順位

幅広く手を出さず、コアとなるテーマを3〜5に絞ります。優先度はビジネスインパクトと制作工数で決めます。まず成果につながりやすいテーマから着手し、徐々に領域を広げます。

計測方法と導線設計を忘れない

どの流入がKPIに結びついたかを測れるように、リンクやフォームに識別子を付けます。簡単な例として、資料ダウンロードページに専用フォームを用意し、完了時にイベント計測を入れます。これで改善点が見えやすくなります。

体制と運用面の注意点

1. 役割分担を明確にする

コンテンツ制作では「企画・編集」「ライティング」「分析・改善」の3役割を分けます。例:
– 企画・編集担当:目標設計、編集方針、ワークフロー作成
– ライティング担当:記事作成、納期と品質の担保
– 分析・改善担当:アクセス解析、改善案の実行
役割を明文化し、誰が最終承認するかを決めます。具体的な担当表(RACI)を作ると分かりやすいです。

2. 属人化を防ぐ運用フロー

作業手順とテンプレートをドキュメント化します。チェックリスト、編集カレンダー、記事テンプレを用意し、共有ツールで履歴を残します。引き継ぎ時は短い動画やFAQを用意するとスムーズです。

3. 継続可能な更新頻度と予算設計

無理のない頻度を最初に決めます。例:週1本ならライター1名分の稼働と編集時間を見積もる。制作費(記事単価)とディレクション費(管理工数)を分けて予算化してください。簡単な見積式:月予算=(記事単価×本数)+ディレクション工数×単価。

4. 実務のポイント

  • スケジュールは余裕を持たせる
  • 外注ルールを定義し品質基準を提示
  • 定期的にワークフローを見直す

5. 報告と評価の仕組み

週次または月次で進捗報告を行い、KPI(例:公開本数、滞在時間、CV)を最低限設定します。数値に基づき担当間で改善サイクルを回してください。

コンテンツ品質・SEOの注意点

概要

検索ボリュームだけでテーマを決めず、自社の専門性が活きる領域に絞ることが大切です。一次情報や独自視点を入れて「選ばれる理由」が伝わる記事にしましょう。E-E-A-T(経験・専門性・権威性・信頼性)を意識して運用します。

テーマ選定のコツ

・顧客の具体的な疑問を起点にする(例:よくある問合せやサポート履歴)。
・競合が薄いが自社で深掘りできる分野を狙う(長めの検索語=ロングテール)。

一次情報と独自性の出し方

・自社のデータ、事例、インタビューを必ず入れる。数字や写真があると説得力が上がります。
・他社のまとめに終わらせず、自社なりの解釈や運用上の注意点を添える。

E-E-A-Tを具体的に実装する

・執筆者情報を明示し、専門性や経験を書き添える。
・引用元はリンクで示し、根拠を分かりやすくする。

情報管理の手順

・事実確認チェックリストを作り、公開前に必ず確認する。
・更新日を目立たせ、定期的なレビュー日を決める。

SEOの基本ポイント

・検索意図に合ったタイトルと見出しを使う。自然な文章で関連語を散りばめる。
・内部リンクで導線を作り、読みやすい段落構成にする。

よくあるミスと対策

・表面的な情報だけで公開する→一次情報を追加して補強する。
・更新を放置する→優先度をつけて定期更新ルールを設定する。

以上を守ると、信頼され選ばれるコンテンツを作りやすくなります。

ブランド・法務リスクの注意点

トーン&マナー(言葉遣い・立ち位置)

  • ブランドの声を定義します(例:親しみやすく丁寧/専門的だが分かりやすい)。
  • 役割を決めます(公式情報は広報、意見は個人の見解と明記)。

NGワードと表現例

  • 誇張表現や断定的な表現は避けます(例:「絶対に効く」)。
  • 比較広告は事実確認を必須にします(競合名を出す際の注意)。

著作権・画像・引用の注意

  • 画像は自社撮影か、ライセンスを確認した素材のみ使用。無料素材でも商用利用可か確認します。
  • 引用は出典明示と範囲の最小化を徹底。

商標・薬機法・景表法など法規制

  • 製品の効能を示す表現は薬機法の範囲を確認。医療・健康分野は特に慎重に。
  • 表示や比較が景表法に抵触しないか事前チェックを行います。

レビューフローと責任分担

  • 法務・コンプラによる事前レビューのフローを決め、チェックリストを運用します。
  • 最終承認者を明確にし、修正履歴と承認記録を保存。

実務的な運用ポイント

  • テンプレート(許諾依頼文、引用許可フォーム)を用意します。
  • 定期的な研修とモニタリングで運用精度を高めます。
  • 万一の表現問題は速やかに公開中止・訂正し、報告フローに沿って対応します。

効果測定と改善の注意点

計測設計の基本

アクセス数だけで判断せず、流入チャネル別・記事別のCV(問い合わせ・申込など)を測れるようにします。事前に計測タグ、UTM、イベントトラッキング、コンバージョン(ゴール)を設定してください。例:お問い合わせ送信、資料ダウンロード、会員登録をゴールに設定します。

見るべき指標

  • 記事別CV数・CVR(コンバージョン率)
  • チャネル別流入とCV貢献度
  • ランディングページの直帰率や滞在時間
  • 指名検索やブランド貢献の評価(例:特定キーワードでの流入)

記事別・チャネル別分析の進め方

  1. 毎週:流入とCVの推移を把握します。すぐ対応が必要な変化を見逃しません。
  2. 月次:記事別に「読まれているがCVしない」「CVはあるが流入が少ない」を分類します。
  3. 四半期:指名検索やブランド貢献を含めた深掘りを行い、リライトや導線の大きな見直しを検討します。

具体例:読まれているがCVしない記事には、CTAの設置場所変更や問い合わせボタンの文言変更を試します。指名検索に貢献する記事はブランド訴求を強め、LPへの導線を明確にします。

改善の優先順位と実験

効果が見えやすい施策から実施します。優先順位は「影響度×実行容易度」で決めます。A/BテストでCTA文言、ボタン色、導線の順序を比較し、結果を数週間で確認します。

運用上の注意点

データのブレに注意し、季節変動や広告の影響を考慮します。複数指標を見て判断し、一つの数値で結論を出さないでください。改善は小さな仮説検証を積み重ねることが近道です。

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