クラウド・サーバー・webサーバーの違いをわかりやすく解説

目次

はじめに

本稿の目的

本稿は「クラウドサーバー」と「Webサーバー」の違いを分かりやすく説明することを目的とします。言葉の使い分けや実際の関係、選ぶときの視点を整理します。専門的な用語は最小限にし、具体的な例で補足します。

対象読者

ITの専門家でなくても読みやすい内容です。担当者や学びはじめの方、サービス選定を検討している方に向けています。

本稿で扱うこと

  • クラウドサーバーが示すもの(提供形態・インフラの仕組み)
  • Webサーバーが果たす役割(WebサイトやAPIの配信)
  • 両者の関係と、選ぶ際の基本的な考え方

具体例でイメージ

たとえば個人ブログを公開する場合、レンタルの仮想的なサーバー(クラウドサーバー)を借り、その上でApacheやNginxといったソフト(Webサーバー)を動かして公開します。クラウドは“どこでどう動くか”を指し、Webサーバーは“何をするか”を指します。

進め方

次章で用語をざっくり整理し、第3章で違いを比較します。第4章では選定のイメージを示します。難しい用語は例で補足しながら進めます。

用語のざっくり整理

最初に、使われることが多い言葉をやさしく整理します。具体例を交えながら、雲の上の話を現実的に理解できるように説明します。

クラウドサーバー

インターネット経由で必要なときだけ借りる仮想的なサーバーです。CPUやメモリ、ディスクを必要に応じて増やせます。料金は使ったぶんだけ払う仕組みが一般的で、サーバーを自分で買って管理する手間を省けます。

Webサーバー

ブラウザからのHTTP/HTTPSのリクエストに応じて、HTMLや画像、APIの応答を返す役割を持ちます。ApacheやNginxといったソフトが有名で、それらをクラウドサーバーや物理サーバー上で動かします。

仮想サーバー(VM)

1台の物理サーバーを切り分けて、複数の独立したサーバーとして使えるようにしたものです。見た目はそれぞれ独立しているため、設定や管理がしやすい利点があります。

コンテナ

アプリとその実行に必要な部品だけをまとめて軽く動かせる仕組みです。起動が速く、同じサーバー上で多くのコンテナを効率よく動かせます。

ホスティング(共有/専用)

共有ホスティングは複数の利用者が1台を分け合う形です。費用が安く手軽ですが、性能は他の利用者の影響を受けます。専用ホスティングは1人で1台を使うため性能が安定します。

CDN(コンテンツ配信ネットワーク)

画像や動画などの静的ファイルを世界中の配信拠点にキャッシュし、利用者に近い場所から配る仕組みです。表示が速くなり、サーバー負荷も下がります。

どう違うのか

概要

クラウドサーバーとWebサーバーは役割が違います。前者は「どこで・どう動くか」というインフラ側、後者は「何をするか」という機能側の区分です。混同しないように順を追って説明します。

種類の違い(インフラ側)

クラウドサーバーは物理サーバー上で動く仮想的な環境です。例として、インターネット上の仮想マシンやコンテナがあります。あなたが借りる箱だと考えてください。箱の大きさや性能を選べます。

機能の違い(用途側)

Webサーバーはその箱の中で動くソフトです。Webページを返したりAPIを応答したりします。代表的なソフトにApacheやNginxがあります。箱があってもソフトがなければWebは表示されません。

関係性と運用イメージ

一般的にはクラウドサーバーの上にWebサーバーをインストールして動かします。例:仮想マシン(箱)を借りて、Nginx(中で動く配達役)を立てるイメージです。クラウドは土台、Webサーバーはその上で働く役割、と覚えてください。

実務での注意点

  • スケール:アクセスが増えたら箱を大きくする(クラウド)か、Webサーバーの設定を調整します。
  • 管理範囲:クラウド事業者が管理する領域と自分で設定する領域があります。どこまで管理したいかで選び方が変わります。

選定イメージ

以下では、実際に環境や構成を選ぶときのイメージをわかりやすく示します。まずはインフラ(クラウド/オンプレ/レンタル)を決め、その上でWebサーバー構成を選びます。

1) インフラ選びの基準

  • スケーラビリティ:アクセスが増える見込みがあるならクラウドを優先します。クラウドは必要に応じてリソースを増やせます。
  • 初期費用と運用コスト:初期投資を抑えたいならクラウドやレンタル(VPSや専用サーバのレンタル)が向きます。長期間高負荷で常時同じ性能が必要ならオンプレの方が総コストで有利になることがあります。
  • 可用性と冗長化:ダウンが許されない場合は冗長構成(複数台+ロードバランサ)を検討します。クラウドは冗長化を簡単に実現できます。
  • 運用体制:自社で運用する人員が少なければマネージドなレンタルやクラウドのマネージドサービスが負担を軽くします。

2) Webサーバー構成の決め方

  • トラフィックが小さくシンプルなサービス:まずは1台構成で始め、監視しながらスケールするのが現実的です。コストを抑えられます。
  • トラフィックが中〜大規模、または可用性が重要:ロードバランサ+複数台構成にします。片側が落ちてもサービス継続できます。
  • ソフトウェア選択(Apache / Nginxなど):静的コンテンツが多い場合はNginxが効率的です。リライトや互換性でモジュールを多用するアプリならApacheが扱いやすい傾向があります。

3) 実際の選定例(短いシナリオ)

  • 小規模ブログ:クラウドの小さなVPS1台+Nginx。コスト低めで運用も簡単です。
  • 成長中のサービス:クラウド環境でスケールアウトを想定、ロードバランサ+複数のアプリサーバ。静的配信はCDNを併用します。
  • 社内業務システム(安定重視):オンプレまたは専用レンタルで冗長化した構成。運用体制に合わせて選びます。

4) 最終判断のチェックリスト

  • 予算の上限は?
  • 将来のトラフィック予想は?
  • ダウンが許されるか?許されないか?
  • 運用担当者のスキルと人数は?

この流れで選べば、「クラウドサーバー vs Webサーバー」という対立的な見方ではなく、クラウド環境上にどのようなWebサーバー構成を置くか、という整理ができます。

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