はじめに
本稿では企業のWeb戦略における「オウンドメディア」と「ホームページ」の違いと使い分けをわかりやすく解説します。両者は目的や役割が異なり、それぞれ得意なことがあります。目的に応じて使い分けることで、集客やブランド構築、問い合わせ獲得などの効果を高められます。
オウンドメディアは、記事やコラム、動画などで情報を継続的に発信し、見込み客を集めて信頼を築く場です。例えば、製品の使い方を丁寧に解説する記事や業界の知見を紹介するコラムが該当します。検索からの流入やSNSでの拡散を通じて新しい読者を増やします。
一方、ホームページは会社の顔として会社概要やサービス、問い合わせ窓口を明確に伝えることに向きます。パンフレットのように公式情報を整理して提示するため、信頼感の構築や問い合わせの導線確保に適しています。
本稿は、これらの違いを理解した上で、どのように両者を組み合わせれば効果的かを段階的に説明します。次章では具体的な違いと比較点を詳しく見ていきます。
オウンドメディアとホームページの違い
定義と役割
オウンドメディアは、自社が発信する情報を継続的に公開するメディアです。検索やSNS経由で新しい見込み客を集め、信頼を築くことを目指します。ホームページは企業の公式サイトで、会社情報、連絡先、商品・サービスの詳細を分かりやすく伝える役割があります。既存顧客や直接検索したユーザーに向けた情報提供が中心です。
ターゲットと流入経路の違い
オウンドメディアは潜在層（まだ買う意思が固まっていない人）に届きやすく、記事やコラムで関心を引きます。例：悩みを解決するハウツー記事や比較記事。ホームページは意図を持って検索したユーザーや紹介で訪れる人が多く、問い合わせや購入に直結しやすいです。例：料金表、導入事例、問い合わせフォーム。
コンテンツの種類と更新頻度
オウンドメディアはブログ型、サービス訴求型、採用型など目的に応じてコンテンツを増やします。更新頻度が高いほど流入が増えます。ホームページは基本情報が中心なので頻繁に変わりませんが、キャンペーンや新商品情報は随時更新します。
設計と成果指標（KPI）
オウンドメディアはPV、検索順位、問い合わせに繋がった記事数などを重視します。ホームページは問い合わせ数、資料ダウンロード、電話発信などの直接的な成果を重視します。
運用のポイント（具体例）
- ブログ型オウンドメディア：悩み解決記事を増やして検索流入を狙う。例：使い方ガイド。
- サービス訴求型：比較や導入事例を中心に信頼を獲得。
- 採用型：社風や働き方を伝えて応募につなげる。
ホームページは分かりやすい導線を作り、問い合わせまでのステップを短くすることを優先します。
どちらも役割が異なるため、目的に応じて主体を分けて設計すると効果的です。
成功事例
LIGブログ（株式会社LIG）
LIGはWeb業界に特化したブログ型オウンドメディアで、月間500万PVを達成しています。実務に直結するノウハウ記事や現場レポートを丁寧に書き、読者の問題を解決する内容を提供しました。デザインや読みやすさにも配慮し、検索流入とSNSでの拡散を両立させています。
– 成功のポイント：実務寄りの深い記事、定期更新、視覚的な見せ方
– 実践例：社内の事例を記事化して具体的な手順や結果を示す
SATORI（株式会社SATORI）
SATORIはマーケティングオートメーションの導入事例やサービス解説を中心に、リード獲得を目的としたオウンドメディアを運営しています。導入効果を数字で示した事例や、資料請求への導線を明確にしています。読者が次に取るべき行動を分かりやすく提示しました。
– 成功のポイント：具体的な導入事例、明確なCTA、ダウンロード資料の提供
– 実践例：事例ごとに課題→対策→成果の流れを示す
FASHION HEADLINE（株式会社スタジオアルタ）
ファッション・美容・グルメなど幅広い話題を扱い、SNSでの拡散を重視して流入を増やしています。トレンド性のある記事と魅力的なビジュアルで読者の関心を引き、短い切り口でSNSに最適化しました。
– 成功のポイント：視覚訴求の強さ、速報性、SNS連携
– 実践例：記事の見出しや画像をSNS向けに最適化して拡散を狙う
両者の活用方法
概要
既にホームページがある企業は、まずブログ用のディレクトリを追加してオウンドメディアとして運用を始められます。オウンドメディアは検索流入やSNSでの拡散を狙い、ホームページは公式情報や直接の問い合わせを中心に使います。両者を使い分けるとWeb戦略の幅が広がります。
ステップ1: 目的を明確に分ける
- オウンドメディア：認知拡大、検索流入、SNS拡散。例）使い方記事、問題解決のノウハウ、業界コラム。
- ホームページ：会社情報、製品・サービス案内、購入・問い合わせ導線。例）料金表、事例紹介、採用情報。
ステップ2: 技術的な簡単手順
- /blog などのディレクトリを作る。
- ブログ記事からホームページの該当ページへ内部リンクを貼る（導線）。
- 各記事に分かりやすいタイトルと要約を付ける。
ステップ3: コンテンツ計画と運用
- 編集カレンダーを作り、月ごとのテーマと担当を決める。
- 読者が知りたい具体的な疑問を想定して記事を書く。
- 投稿頻度は無理なく継続できるペースにすることが重要です。
ステップ4: 導線とCTAの工夫
- 記事末に関連するサービスページや問い合わせへのボタンを設置する。
- 資料ダウンロードや無料相談など、行動を促す小さな導線を複数用意する。
ステップ5: 計測と改善
- アクセス解析で流入元（検索・SNS）とユーザー行動を把握する。
- よく読まれる記事を増やし、反応が悪いページは導線や見出しを改善する。
- 定期的に成果（問い合わせ数、資料DL、閲覧数）を確認してPDCAを回す。
これらを順に整備すると、オウンドメディアで見込み客を増やし、ホームページで確実に受注や問い合わせにつなげられます。
