はじめに
本書の目的
この文書は、SharePointでサイトマップを作る際の基本的な流れと具体的な方法を分かりやすく示します。全体設計からSharePoint上での実装、さらにツール活用までを網羅します。
こんな方に向けています
- 社内ポータルや資料管理をわかりやすくしたい担当者
- SharePointで初めてサイト構成を設計する方
- 既存サイトを整理して運用しやすくしたい方
この記事で学べること
- サイトマップを作る目的と効果(例:部署ごとの資料を見つけやすくする)
- 全体構成の考え方と設計の進め方
- SharePoint上で実装する際の具体手順と注意点
- 設計を効率化するためのツール選びと使い方のコツ
読み方の案内
まず第2章で「何のサイトマップか」を整理してください。構成を考える場合は第3章、実装する場合は第4章、効率化したい場合は第5章を参照してください。短時間で全体像をつかみたい方は、第2章と第3章を先に読むと理解が早まります。
なぜサイトマップが重要か
サイトマップは情報の居場所を明確にします。たとえば、経理の申請書や人事のマニュアルがどこにあるか一目で分かれば、業務の無駄が減り問い合わせも減ります。さらに運用ルールを設ければ、情報が散らばらず保守もしやすくなります。
前提整理:何のサイトマップか
目的と対象
まず目的を明確にします。全社向けのトップページに置くナビゲーションか、特定部署内のページ一覧かで作り方が変わります。例:情報発信(ポータル)、業務マニュアル集(部門内)、プロジェクト資料集(限定公開)。
対象となるSharePointの種類
通信サイト(コミュニケーションサイト)は見せる用、チームサイトは共同作業向けです。ハブサイトを使うと複数サイトをまとめられます。目的に応じて対象サイトを決めてください。
含める要素(何をサイトマップ化するか)
- 左ナビ/上部ナビ:グローバルな入口
- トップページのクイックリンク/リンク集Webパーツ
- ページ一覧やサイト一覧を別ページで作る方法
- ハブナビゲーションやラベル(メタデータ)を使った分類
制約と注意点
SharePointは自動でHTMLサイトマップを作りません。表示は権限に依存します。モバイル表示や多言語対応も考慮してください。権限で見え方が変わる点は特に重要です。
運用ルールの前提
更新頻度、管理者(サイト所有者)、リンクの旬なチェック方法を決めます。誰が追加・削除するかを明確にすると継続的に使えるサイトマップになります。
具体例イメージ
- 全社ポータル:上部ナビ+ハブナビ+「サイト一覧」ページ
- 部署サイト:左ナビ+クイックリンク+ページ一覧(業務カテゴリ別)
これらを前提に、第3章で全体構成案を作っていきます。
① 全体構成(サイトマップ案)の作り方
1. 最初に載せたい情報を書き出す
まず頭にある情報を思いつくまま紙やExcelに列挙します。社内手続き、部門紹介、規程、FAQ、フォームなど具体例を書き出すと漏れが減ります。書き出す際は「誰が」「何を」「どの頻度で使うか」も添えてください。
2. 似た内容をグループ化して階層を決める
書き出した項目を似たものごとにまとめます。第一階層はポータルトップ(全社共通入口)、第二階層は部門別やカテゴリ別、第三階層は各カテゴリの詳細ページというイメージで整理します。例:人事(給与・福利厚生)、IT(ツール案内・申請)、総務(備品管理・施設予約)など。
3. ツリー図にする
紙、Excelのツリー、またはPowerPointで図にしてください。見出しラベルは短く分かりやすくします。実装時にページ数やナビゲーションの見え方が想像しやすくなります。
4. 優先順位と段階的な公開計画
最初は必要最小限のページだけ作り、浅い階層で運用を始めます。後から追加する方が変更しやすいです。頻度の高い情報や法的に必要なページを優先してください。
5. 実装を意識した補足ポイント
- ナビラベルは現場の呼び方に合わせる。専門用語は避ける。
- 各ページの目的(参照/申請/登録)を明確にする。
- 権限や公開範囲も早めに決めると実装で迷いません。
この流れでサイトマップ案を作ると、SharePoint上での実装や運用がスムーズになります。
② SharePoint上での具体的な実装方法
概要
SharePoint Onlineで設計図を形にする手順を、具体的に説明します。コミュニケーションサイトとチームサイトの使い分け、サイトやページの作り方、ナビゲーションやトップページの工夫を中心に扱います。
サイトの種類と使い分け
- コミュニケーションサイト:企業全体や部門向けの情報発信に最適。トップページを擬似サイトマップにすると分かりやすいです。例:社内ポータル。
- チームサイト:プロジェクトやチーム内の共同作業用。ドキュメントやリストを中心に使います。
サイトとページの作成手順(設計した階層に合わせる)
- 設計した階層をもとに、上位ノードはサイト、下位はページで作成します。
- サイトを作る:SharePointで「サイトを作成」→種類を選択→名前・説明を入力。
- ページを作る:サイト内で「新しいページ」→テンプレートを選び、コンテンツを配置。
ナビゲーション編集でツリー構造を作る
- サイトの[ナビゲーションの編集]を開き、「リンクを追加」を繰り返してメニューを作ります。
- サブメニューはリンクをドラッグしてインデント(階層化)します。
- ハブサイトに接続すると共通ナビゲーションを継承できます。必要なサイトをハブに登録してください。
- 必要に応じてオーディエンスタゲティングを設定し、表示対象を制限します。
トップページでの擬似サイトマップ作成(Webパーツ活用)
- Quick Links:主要ページへのカード表示で視認性を高めます。
- Hero / ボタン / リンク:重要な経路を目立たせます。
- ハブナビゲーション:複数サイトを横断するメニューを配置できます。
- 検索ボックスやパンくずを併設し、迷子を減らします。
運用の注意点
- 権限を見直し、閲覧権限がないとリンクが機能しない点を確認してください。
- 実際の利用者アカウントで操作を試し、モバイル表示も確認します。
- ラベルは短く具体的にし、リンク先の内容と一致させると迷いが減ります。
③ ツールを使った設計のコツ
はじめに
ツールを使うと設計が効率的で確実になります。ここではExcelで一覧を作り、PowerPointやVisioで図にする手順と、SharePointで使うときの注意点をわかりやすく解説します。
Excelでページ一覧を作る(手順と例)
- 列を決める:ページID、ページ名、親ページ、URL、タグ、所有者、公開日、説明
- 行に各ページを登録して階層を親ページでつなぐ
- フィルターやソートで重複や欠損を確認する
- 例:ID=001、ページ名=「社内ポリシー」、親=トップ
Excelは構造の確認や担当者管理に向きます。将来的な移行用のベースにもなります。
PowerPoint / Visioで視覚化する
- ツリー図を作って階層を見える化します。トップから下へ流す図が分かりやすいです。
- 各ノードにページIDや担当を入れると運用時に便利です。
- 大きくなった図は複数スライドに分け、PNGやPDFで保存して共有します。
SharePoint連携のコツ
- 階層は浅く保つ:目安は3階層以内に抑えると検索性が上がります。
- 1ページ1テーマを徹底する:検索ヒットやメンテナンスが楽になります。
- 命名規則とタグを決める:同義語対策やフィルター容易化に役立ちます。
- メタデータ列(部門、機密区分など)をExcelで設計してからSharePointに反映します。
実践チェックリスト(導入前)
- Excelで全ページを一覧化したか
- 図でユーザー視点の流れを確認したか
- 階層と命名規則を決めたか
- メタデータ列を定義したか
- 小さなユーザーグループで試験検索をしたか
これらを順に行うと、設計がブレずにSharePointへ移行できます。












