はじめに
この文書の目的
この章では、本稿の目的と読む上での注意点をやさしく説明します。主に、AWSの無料プランに関する最新の仕組みを分かりやすくまとめることを目指します。
背景と主な変更点
以前は新規ユーザー向けに「1年間の無料枠」が標準でしたが、現在はそれが新規標準プランとしては廃止され、2025年7月以降は最大6か月・最大200ドル分のクレジットを利用できる新しい無料プランが中心になっています。本稿ではこの新しい枠組みを起点に、旧無料枠(過去の1年無料)や「常に無料」枠との違いを整理します。
本稿の構成と読み方
続く章で、現在の無料プランの具体的な概要、1年無料に近い位置づけ、代表的な無料対象の例、注意点、最後にざっくり比較表を示します。まずは全体像を把握してから、必要な章だけを詳しくご覧ください。
現在の無料プランの概要
概要
新規アカウントで「無料プラン」を選ぶと、最大6か月間、合計で最大200ドル分のAWSクレジットの範囲内で主要サービスを無料で試せます。サインアップ時にまず100ドル分のクレジットが付与され、チュートリアルや指定アクティビティを行うと追加で最大100ドル分を獲得できます。料金プランを自発的に有料へ切り替えない限り、無料プラン期間中に請求は発生しません。
クレジットの仕組み
クレジットはアカウント残高のように扱われ、各サービスの利用料から差し引かれます。上限(合計200ドル)を超えると、以降は利用料が請求されます。期間は最初のサインアップ日から数えて最大6か月です。
利用上のポイント
- 主要サービス(例:仮想サーバー、ストレージ、データベース)を試せます。
- クレジット残高は管理画面で確認できます。
- テスト目的の短期間利用でコストを抑えやすい設計です。
利用例
例えば小さなウェブサイトを立ち上げて日常の動作を確認する、学習用にAPIを動かすといった用途に向いています。
「1年無料」に近い位置づけ
前提
2025年7月15日以前に作成したアカウントには、従来どおり「アカウント作成から12か月間」の無料枠(いわゆる1年無料)が適用されるケースがあります。一方で、常時使える「Always Free」も別に存在します。
何が「1年無料」に近いか
ここで言う「1年無料に近い」は、アカウント作成時点で有効になっている12か月の無料期間がまだ残っている状態を指します。該当するユーザーは、一定のサービスを追加費用なしで試せます。
Always Freeとの関係
Always Freeは無期限で使える無料枠で、LambdaやDynamoDBなどの一部サービスが該当します。アカウントに12か月無料とAlways Freeの両方がある場合は、各サービスごとにどちらの枠に該当するかで判定されます。
利用イメージ(具体例)
例1: 小さなサーバレスアプリをLambdaとDynamoDBで構築する場合、該当サービスは長期的に無料枠内で運用できる可能性が高いです。
例2: 仮想サーバや大容量ストレージは、12か月無料の対象であることが多く、期間終了後は費用が発生します。
確認すべき点
- アカウント作成日を確認する
- 管理コンソールの無料枠表示を確認する
- 利用予定サービスがAlways Freeか12か月枠かを確認する
これらを確認すると、自分のアカウントが「1年無料」に近い位置にあるかが分かります。
代表的な無料対象の例
概要
旧12か月無料枠では、代表的なサービスに対して具体的な容量や時間が無料でした。新しい無料プランは「クレジット」を配布し、その範囲で小規模インスタンスやストレージを利用する想定です。
EC2(仮想サーバー)の例
- 旧プラン: t2.micro / t3.micro を月750時間(つまり常時1台)まで無料で動かせました。テスト用途や小規模サイトに向きます。
- 新プラン: t3.micro や t4g.micro などの小さいインスタンスをクレジット範囲で動かします。クレジットが無くなるか6か月経過すると通常課金に移行します。
ストレージ(S3)
- 旧プラン: S3で5GB程度が無料対象でした。ログ保存や静的ファイルに使いやすいサイズです。
- 新プランでもストレージはクレジットでカバー可能ですが、使用量に応じて早くクレジットが減る点に注意してください。
データベース(RDS)
- 旧プラン: 小規模インスタンス(シングルAZの軽量インスタンス)や一定のストレージが無料でした。運用環境よりも検証用に向きます。
- 新プラン: 小さなインスタンスは引き続き想定内ですが、長期運用だとクレジット消費で課金に移る可能性が高くなります。
利用イメージ
短期の検証や学習、軽い運用ではクレジット内で十分使えます。長期間常時稼働させる場合は使用時間とクレジット残量を意識して計画してください。
注意点
以下は無料枠を使ううえで特に注意したい点です。できるだけ具体例を交えて丁寧に説明します。
アカウント作成日の違い
- アカウントをいつ作ったかで適用される無料枠が変わります(例:2025年7月15日を境にプランや枠が異なることがあります)。
- 作成日が古いアカウントは従来の無料枠が継続される場合があり、新しいアカウントは別の条件になることがあります。
上限と課金の仕組み
- 無料と言っても「量」「時間」「容量」などで上限があります。たとえばサーバー稼働時間やストレージ容量が無料枠の対象であることが多いです。
- 上限を超えた分や無料対象外のサービスは即時に課金されます。したがって、使い続けると予期せぬ請求が発生する可能性があります。
コンソールで必ず確認する項目
- クレジット残高:付与クレジットがどれだけ残っているかを確認します。
- 無料枠の利用状況:どのサービスでどれだけ使っているかを把握します。
実践的な対策
- 小まめに確認する:週に一度はコンソールで残高と利用状況をチェックしてください。
- アラート設定:予算や利用量の閾値でメールや通知を受け取る設定を活用します。
- 不要リソースの停止・削除:使っていない仮想マシンやストレージを残さないようにします。
- 大きな変更は事前確認:インスタンスサイズ変更や大容量の保存を行う前に、料金影響を調べておきます。
以上を守ると、無料枠を安全に使いやすくなります。必要に応じて設定方法やチェックリストもお手伝いできますので、お知らせください。
ざっくり比較表
以下は旧12か月無料枠(いわゆる「1年無料」)、新しい無料プラン、常に無料枠を分かりやすく比べた表です。主要な違いは対象となるアカウントと無料の期間、課金が始まるタイミングです。
| 項目 | 旧12か月無料枠(1年無料) | 新しい無料プラン | 常に無料枠 |
|---|---|---|---|
| 対象 | 主に2025年7月15日以前に作成された新規アカウント | 2025年7月16日以降に作成された新規アカウントで、無料プランを選択した場合 | すべてのアカウント |
| 無料期間・枠 | 12か月間利用可能 | 最大6か月間、または200ドルを使い切るまで | 無期限(対象サービスの無料枠内) |
| 無料終了条件 | 12か月経過またはユーザーによるアップグレード等 | 6か月経過または200ドル消化、またはアップグレード | 無料枠を超える使用があれば課金対象 |
| 課金開始タイミング | 12か月終了後またはユーザーがアップグレードした時点 | 6か月または200ドル到達後、または有料プランへ移行した時点 | 無料枠を超えた使用が発生した時点 |
具体例:2025年7月10日に作った新規アカウントなら旧枠で12か月使えます。2025年7月20日に作り無料プランを選べば、新プランで6か月か200ドルまで無料です。常に無料枠は日常的な小規模利用に向いています。












