はじめに
本章の目的
この章では、WordPressにパンくずリストを追加するときの基本的な考え方をやさしく説明します。専用プラグインとSEOプラグイン内の機能という代表的な選択肢があり、それぞれに向き不向きがあります。まず違いを把握して、後の章で詳しい使い方や選び方に進めるようにします。
パンくずリストとは
パンくずリストは、サイト内の現在位置を示す小さな道しるべです。たとえば「ホーム > カテゴリ > 記事タイトル」のように表示され、訪問者が戻る場所を直感的に理解できます。ユーザーの利便性が上がり、検索エンジンにもページ構造を伝えやすくなります。
2つの大きな選択肢
- 専用プラグイン:パンくず表示に特化し、デザインや出力の細かい調整ができます。例として、見た目を細かく変えたい場合や特定のHTML構造が必要なときに向きます。
- SEOプラグイン内の機能:既にSEO対策で使っているプラグインにパンくず機能がある場合、設定を一箇所で管理できます。サイト全体のSEO設定と統合できる点が利点です。
この先の流れ
次章では専用プラグインの特徴と代表的な使い方を、続いてSEOプラグイン内の機能と比較を詳しく説明します。どちらが自分のサイトに合うか、具体例を交えてわかりやすく解説していきます。
専用プラグイン
Breadcrumb NavXTとは
Breadcrumb NavXTはパンくずリストに特化した定番プラグインです。日本語の情報が多く、階層構造や出力HTMLの細かなカスタマイズに向いています。複雑なサイトでも柔軟に対応できます。
主な特徴と使い方
- 階層ごとの表示や区切り文字を細かく設定できます。
- テーマに専用関数やウィジェットを追加して使います。例えばテンプレート内に
<?php if ( function_exists('bcn_display') ) bcn_display(); ?>を置くだけで表示できます。 - 出力をテンプレートの構造に合わせて調整できるため、デザインと整合させやすいです。
Breadcrumb(シンプル系)とは
Breadcrumb(シンプル系)は軽量で導入が簡単なタイプです。ショートコードで任意の位置にパンくずを挿入できます(例:[breadcrumb])。表示はシンプルで、必要最低限の機能を求めるサイトに向きます。
比較と選び方の目安
- 表示の自由度や細かい調整が必要ならBreadcrumb NavXTを選びます。テンプレート編集に抵抗がなければ特に適します。
- すばやく軽く導入したい、設定をあまり触りたくないならシンプル系を選びます。
導入時の注意点
- テーマのテンプレート編集はバックアップを取ってから行ってください。
- モバイルでの表示や構造化データの有無を確認すると、SEO面でも安心です。
SEOプラグイン内の機能
概要
多くのSEOプラグインはパンくずリスト機能を内蔵しています。検索エンジン向けの構造化データも同時に出力できるため、別プラグインを増やさずに済みます。
Yoast SEOでの使い方
- 管理画面の「検索での見え方」→「パンくずリスト」をオンにします。
- 表示箇所にテーマのheader.phpやsingle.phpへ次のようなコードを追記します(例):
if ( function_exists('yoast_breadcrumb') ) {
yoast_breadcrumb('<p id="breadcrumbs">','</p>');
}
この方法で既存の設定を活かしつつパンくずを表示できます。カスタム投稿や階層がある場合は、Yoastの設定で表示項目を調整してください。
All in One SEO (AIOSEO)での使い方
AIOSEOも同様にパンくず機能を持ちます。プラグイン内で有効化し、テーマにショートコードやPHPコードを追加するだけで反映します。管理画面でラベルや区切り文字を変更できます。
利点と注意点
- 利点:追加プラグインが不要で管理が一元化できます。構造化データも出るためSEO効果が期待できます。
- 注意点:テーマに直接コードを入れるとテーマ更新で消える恐れがあります。子テーマかウィジェット、テンプレートの上書きで対応してください。
カスタマイズのヒント
CSSで見た目を整え、必要ならパンくずの出力をフィルタで調整します。表示順やパン屑の区切り文字はプラグイン側の設定で簡単に変えられます。
選び方の目安
目的で選ぶ
まず目的を明確にします。プラグインを増やしたくない、あるいは現在使っているSEOプラグインで済ませたいなら、Yoast SEOやAIOSEOのパンくず機能を検討します。設定は簡単で基本的な構造化データも出力します。
デザインや構造を細かく制御したい場合
サイトの階層が深い、表示を細かく調整したい、大量の記事やカスタム投稿がある場合は、Breadcrumb NavXTなど専用プラグインが向きます。テンプレートタグやショートコードで細かく配置できます。
パフォーマンスと互換性
専用プラグインは柔軟ですが機能が増えると負荷や管理点が増えます。キャッシュやテーマとの相性を必ず確認してください。逆にSEOプラグイン内蔵の機能は軽く済むことが多いです。
導入前のチェックポイント
- 構造化データ(schema.org)を出力するか確認する
- モバイル表示で崩れないか確認する
- 多言語サイトなら対応状況を確認する
- 既存のテーマや他プラグインと競合しないかテストする
切り替え・併用の注意
既にSEOプラグインのパンくずを使う場合、同じ機能を別プラグインと併用しないでください。重複した構造化データや表示が起きる恐れがあります。必要なら一時的に無効化して動作を確認してください。












