はじめに
目的
本レポートは、Googleサーチコンソールに表示される「不良URL」が何を意味するのか、なぜ発生するのか、そしてどのように改善すれば良いかを分かりやすく整理したものです。特にコア ウェブ バイタルズの指標(LCPやCLS)に関する問題点と対策、インデックス関連のエラーとの関係、改善の優先順位に重点を置いています。
対象読者
ウェブサイトの運営者、SEO担当者、フロントエンド開発者、サイト改善を担当する方を想定しています。専門用語は最小限にし、具体例で補足しますので、技術的な経験が浅い方でも理解しやすい構成です。
レポートの進め方
実務で使える手順を重視します。まず「不良URL」の定義と確認方法を示し、次に主な原因を項目別に説明します。続いて改善策を実例を交えて提示し、最後に優先度のつけ方を解説します。図やコードは必要最小限に留め、概念と実践のバランスを取ります。
読み方の注意点
サーチコンソールのデータは変動します。まず現状データを正しく把握することが重要です。また、計測環境やユーザー環境で結果が異なることがあるため、改善は段階的に検証しながら行ってください。
不良URLとは何か
意味
サーチコンソールでの「不良URL」は、Googleが定めるコア ウェブ バイタルズ(表示速度や操作性などの指標)の基準を満たさないページを指します。評価は「良好」「改善が必要」「不良」の3段階です。
評価の仕組み
評価は実際のユーザーのデータ(フィールドデータ)を使います。主にLCP(最大コンテンツ描画時間)、FIDまたはINP(インタラクション応答)、CLS(視覚的安定性)の3つを基準に判定します。どれか一つでも基準を下回ると「不良」となります。
なぜ問題か
不良URLが多いと、検索でのユーザー体験が下がります。表示が遅い、タップや入力の反応が悪い、画面が飛ぶ、といった不満が増えます。結果として直帰率の上昇や検索順位への悪影響が出る可能性があります。
見分け方(具体例)
- ページが重くて表示に数秒以上かかる
- スマホでボタンが押しにくい、レイアウトが崩れる
- 画像や広告の読み込みで本文が後から移動する
サーチコンソールの「コア ウェブ バイタルズ」レポートで問題のURLや原因を確認できます。改善の第一歩は該当URLの特定です。
不良URLの主な原因
LCP(Largest Contentful Paint)の問題
LCPはページで最も大きな要素が表示されるまでの時間を測ります。基準は2.5秒以内です。主な原因は以下です。
- 画像や動画が最適化されていない:高解像度画像をそのまま表示すると遅くなります。例)スマホに大きい画像を読み込む。
- レンダーブロッキングなCSS・JavaScript:重要な表示を遅らせます。例)外部ライブラリが読み込み完了を待つ。
- サーバー応答が遅い:初回応答が遅いと表示開始も遅れます。例)共有ホスティングで遅延が発生。
- 大量のクライアント処理:ブラウザでの重い計算やレンダリングが遅延を招きます。例)複雑なアニメーションの初期処理。
CLS(Cumulative Layout Shift)の問題
CLSは予期しないレイアウトのズレを数値化します。閾値は0.25です。主な原因は以下です。
- 画像や広告に幅・高さが指定されていない:後から読み込まれてレイアウトがずれます。例)記事内の画像が読み込み後に下へ押す。
- 動的に挿入されるコンテンツ:DOM追加で位置が変わります。例)遅延読み込みの広告バナー。
- Webフォントの置換:フォント切替で行間や文字幅が変わる場合があります。例)カスタムフォントが遅れて適用される。
- 埋め込みコンポーネントのサイズ変動:iframeやウィジェットがサイズを変更する。
複合的なケース
広告の挿入と大きな画像が同時に起こると、LCPとCLSの両方で問題になります。診断では個別原因を切り分けて優先度を付けると対応が進みます。
不良URLの改善方法
問題ページの見つけ方
サーチコンソールの「カバレッジ」や「エクスペリエンス」→「ウェブに関する主な指標」で該当URLを特定します。URL検査で個別の問題を詳しく確認してください。
LCP(表示速度)改善の実務手順
- PageSpeed Insightsで該当URLを測定します。改善点が具体的に出ます。例:サーバー応答が遅い、画像が重い。
- サーバー応答を早める:キャッシュを設定、不要なプラグインを外す、可能ならCDNを使います。
- 画像を最適化:表示サイズに合わせてリサイズ、圧縮、WebP等の次世代フォーマットを検討します。
- 不要なスクリプトを遅延読み込み(遅延読み込みで最初の描画を速くする)やCSSの最適化を行います。
CLS(表示の安定性)改善の実務手順
- 広告枠は高さをCSSで固定し、表示のぶれを防ぎます。Google AdSenseのアンカー広告はオフにすると改善しやすいです。
- 画像や埋め込みコンテンツはwidth/height属性かCSSのアスペクト比を指定して、読み込み中の領域を確保します。
- 動的に挿入する要素は事前に空き領域を用意するか、アニメーションで位置を変えないようにします。
修正後の確認
修正したらPageSpeed Insightsで再測定し、サーチコンソールの関連レポートで改善状況を確認します。必要なら「修正を検証」やURL検査で再クロールを依頼してください。優先度は影響の大きいLCPやCLSが悪いページから取り組むと効率的です。
インデックス関連のエラーとの関連性
Webサイトのインデックスに関わるエラーは、不良URLと密接に結びついています。本章では代表的なエラーと、簡単な対処法を具体例で説明します。
主なエラーと影響
-
リダイレクト設定の誤り
例:一時的な302で恒久移転を示している・リダイレクトの連鎖がある。検索エンジンが正しい評価先を見つけにくくなり、クロール予算も無駄になります。対処:恒久移転は301を使い、チェーンを短くします。 -
URLの設定不備
例:末尾スラッシュの有無や大文字・小文字で同じ内容が別URLになる。クローラーが別ページと判断し、インデックスが分散します。対処:内部リンクを統一し、正規化を行います(canonicalやサーバ設定で統一)。 -
重複コンテンツ
同じ内容が複数URLで見えると、評価が分散し順位に悪影響が出ます。対処:canonicalタグを使う、または重複ページを統合して301で一本化します。 -
404エラー(存在しないページ)
内部リンクや外部リンクが404を返すと、ユーザー体験が悪化しインデックスから除外される可能性があります。対処:リンク先を修正するか、適切なリダイレクトを設定します。
実務的な対応手順
1) サイトをクロールして問題を洗い出す(例:クローラーツール)。
2) 優先度を決めて、リダイレクトやcanonical、内部リンクを修正します。
3) 修正後に再クロールを依頼し、Search Consoleなどで状態を確認します。
これらを順に行うと、インデックスの健全性が改善し、不良URLによる悪影響を減らせます。
不良URLの優先度付け対策
はじめに
複数の不良URLがある場合は、優先度を決めて順に改善すると短期間で効果が出ます。ここでは実務で使える手順と具体例を紹介します。
1. 対象URLの整理とスコアリング
- アクセス数(過去30〜90日)を優先基準にします。トラフィックが多いページは改善効果が大きいです。
- ユーザー影響(例:重要な購入ページかどうか)を加点します。
- CLSやLCPなどの各指標の悪化度合いを点数化して合算します。
2. 優先順の例
- トラフィック大かつ重要ページ
- CLSの問題が顕著なページ(表示のズレは直感的に悪影響が大きい)
- LCPが遅いページ(画像最適化やサーバ改善で対処)
- その他の小さなエラー
3. CLS優先対策(例)
- 画像・広告のサイズを決めてレイアウトズレを防ぎます。プレースホルダーを使うと効果的です。
- Webフォントはフォント表示戦略を設定します(表示遅延を避ける)。
4. LCP優先対策(例)
- 大きな画像は遅延読み込みを行い、適切なフォーマット・圧縮を適用します。
- サーバ応答を改善(キャッシュ、CDN、プリロード)します。
5. 実施後の監視と検証
- 優先度順に改善し、各変更後は必ず実測で比較します。
- 継続的モニタリングを設定し、戻りがないか確認します。短期のA/B検証も有効です。
6. 運用上のヒント
- 改善作業は小さな単位で進め、効果が見えたら次へ移ります。
- 週次で進捗を確認し、スコアを更新すると優先度が維持されます。
まとめ
要点の整理
サーチコンソールの「不良URL」は、ページがGoogleのページ読み込みや表示の基準(主にLCPやCLS)を満たしていないことを示す重要な指標です。放置するとユーザーの離脱や検索順位への悪影響につながる可能性があります。ユーザー体験の改善がそのままSEO対策になります。
優先順位の目安
- 高:アクセスが多く、指標の悪化が大きいページ(最優先で対応)
- 中:改善で効果が見込めるが影響範囲が限定的なページ
- 低:トラフィックが少ないページや表示上の問題が軽微なページ
確認と対策の流れ
- Search ConsoleやLighthouseで原因を特定します。
- LCPは画像最適化、遅延読み込み、サーバー応答の改善で対処します。
- CLSは画像や広告のサイズ指定、フォントの読み込み方式の見直しで対処します。
- 修正後に再検証し、インデックス状況を確認します。
最後に、改善は一度きりで終わらせず、定期的に計測して効果を確認してください。段階的かつ優先度を付けた対応で、着実にユーザー体験と検索パフォーマンスを向上できます。












