はじめに
本書の目的
本ドキュメントは、ホームページを紙に印刷するときの実用的な方法とトラブル解決をまとめたガイドです。ブラウザの標準機能からスクリーンショット、拡張機能、印刷用CSSまで幅広く扱い、見やすく効率的な印刷を目指します。
この章で分かること
- どんな場面でどの方法を選べばよいかの全体像
- 各章で扱う具体的な手法の一覧と目的
- 印刷前に確認しておくべき準備項目（レイアウト、不要要素の扱い、画像の扱いなど）
想定する読者と前提条件
ウェブページを紙に出力したい一般ユーザーや職場で配布物を作る方を想定します。専門的な知識は不要です。パソコンの基本操作が分かれば十分です。
注意点と使い方のコツ
印刷結果はブラウザやページの作り方で変わります。まずは「印刷プレビュー」で確認し、必要に応じて別の方法（スクリーンショットや印刷用CSS）を試してください。具体的な手順は次章以降で順に説明します。
ホームページをそのまま印刷する方法
ホームページを画面のまま紙に出力する基本的な手順と注意点をわかりやすく説明します。デザインを崩さずに印刷したいときに役立つ方法です。
1. ブラウザから直接印刷（簡単・手早い）
- 印刷したいページを表示し、Ctrl+P（MacはCommand+P）を押します。
- プリンタを選び、用紙サイズをA4にします。
- 印刷プレビューで表示を確認します。表示が崩れるときは「用紙に合わせる」や縮小率を調整します。
- 背景の色や画像をそのまま出したい場合は「背景グラフィックスを印刷」の設定をオンにします。インク量が増える点に注意してください。
2. 一度PDFに保存して調整する方法
- 印刷ダイアログで「PDFに保存」を選び、いったんファイルを作成します。
- PDFでページ区切りや余白を確認し、必要なら向き（縦／横）や余白を変えて再出力します。
3. ページを1枚に収めたいときのコツ
- 用紙を横にする、縮小率を指定する、余白を最小にすることで1枚に収めやすくなります。
- 表や画像がはみ出す場合はPDF化して編集ソフトでレイアウトを調整します。
注意点
- 動画やスライドショーなどは静止画としてしか印刷できません。
- 広告や不要な要素がある場合は印刷前に非表示にすると無駄を減らせます。
以上が画面表示のまま印刷する基本です。まずはプレビューで確認し、必要に応じてPDF保存で微調整してください。
ブラウザの印刷設定による基本的な方法
基本手順
- 印刷したいページを表示し、Ctrl+P（Macは⌘+P）を押します。もしくはページ上で右クリック→「印刷」を選びます。印刷プレビュー画面が開きます。
プレビューで確認する項目
- 宛先（プリンターまたはPDF保存）
- 部数、ページ範囲
- レイアウト（縦/横）
- カラー設定（カラー/白黒）
用紙サイズと倍率の調整
A4に収めたい場合は用紙サイズをA4に設定します。画面上では「拡大縮小（倍率）」で調整できます。一般に50%前後にすると長いページも収まりやすいですが、文字が小さくなりすぎないよう注意してください。
背景や余白の設定
「詳細設定」や「その他の設定」で背景グラフィックの印刷をオンにできます。ヘッダー・フッター（URLや日付）を表示しない設定も可能です。余白は「デフォルト」「狭い」「なし」などから選べます。
ワンポイントアドバイス
- 文字が読めるか必ずプレビューで確認します。PDF保存してから別の端末で確認すると安心です。
- 不要な画像や広告が多い場合はスクリーンショットや印刷用CSSの活用を検討してください。
スクリーンショットを活用した方法
概要
ウェブページの見た目をそのまま残したいとき、スクリーンショットが有効です。表示どおりのデザインや注釈を含めて印刷できます。
撮影方法（代表例）
- Windows: Print Screen（全画面）、Snipping Tool / 切り取り＆スケッチ（範囲指定）
- Mac: Shift＋Command＋4（範囲指定）、Shift＋Command＋5（画面全体や録画）
- ブラウザ拡張や「フルページキャプチャ」でページ全体を一枚にする方法もあります。
編集と調整
撮った画像はPaint、Photoshop、またはMacのプレビューで開き、不要部分をトリミングし注釈を加えます。印刷前に解像度（できれば300dpi相当）や用紙サイズ、向きを調整してください。長いページは複数ページに分割して印刷するか、比率を縮小して1枚に収めます。
印刷時のポイント
- 用紙の向き（縦／横）を適切に設定する
- 余白設定で切れないようにする
- 画像をPDFに変換すると位置や品質が安定します
注意点
高解像度画像はファイルが大きくなりやすいので、必要以上にサイズを上げないようにします。著作権や個人情報には配慮してください。
ブラウザ拡張機能「FireShot」の活用
FireShotはページを見た目どおりにキャプチャして保存・印刷できる拡張機能です。特に長い記事や複雑なデザインのページで、レイアウト崩れを抑えて印刷したいときに便利です。
導入と初期設定
- ChromeウェブストアまたはEdgeアドオンから追加します。アイコンがツールバーに表示されます。
- 設定で保存形式（PDF、PNG、JPEG）や用紙サイズ、余白を確認してください。
基本的な使い方（ステップ）
- 印刷したいページを表示します。
- FireShotアイコンをクリックし「Capture entire page（ページ全体をキャプチャ）」を選びます。
- 自動でスクロールして全体を取り込みます。
- 編集画面で不要箇所をトリミングしたり、注釈を入れます。
- 「Save as PDF」や「Print」を選んで保存・印刷します。
保存・印刷のコツ
- PDFで保存するとページ分割がきれいになります。
- 用紙サイズや余白を事前に設定し、プレビューで崩れを確認してください。
- 画像が多いページはファイルが大きくなるので、必要なら圧縮やトリミングで軽くします。
注意点と便利機能
- 範囲指定で一部だけをキャプチャできます。
- 無料版でも基本機能は使えますが、高度な編集や直接印刷の詳細オプションは有料版で拡張されます。
- 非常に長いページは一枚画像になると扱いにくいので、PDF保存や分割を検討してください。
印刷用CSSの作成
概要
印刷専用のCSS（@media print）は、ウェブページを紙にしたときの見た目を細かく調整できます。不要な要素を消したり、文字サイズや余白を最適化したりして、読みやすく無駄のない印刷物を作れます。
用意するもの
- HTMLとCSSを編集できる環境（テキストエディタ、CMSのテーマ編集など）
- ブラウザで印刷プレビューを確認する時間
基本の書き方（例）
@media print {
/* 印刷時のみ適用 */
}
または外部に分けて
<link rel="stylesheet" href="print.css" media="print">
よく使う調整例
- 非表示: ヘッダー・フッター・広告など
.header, .footer, .ad { display: none !important; }
- 文字サイズ・行間
body { font-size: 12pt; line-height: 1.4; }
- 画像の扱い: 必要なものだけ表示
img.print-only { display: inline; }
img { max-width: 100%; height: auto; }
ページ分割の指定
- 改ページを制御して見出しでページを分ける
h2 { page-break-before: always; }
- ページ内での分割禁止
.avoid-break { page-break-inside: avoid; }
余白と用紙サイズ
@page { size: A4; margin: 15mm; }
小さい余白は用紙の節約になりますが、プリンターの余白に注意してください。
テストのポイント
- 各ブラウザの印刷プレビューで確認する
- 実際に1枚印刷して不要部分が消えているか確かめる
- 長文は改ページ位置が適切か確認する
実務のヒント
- 小さな変更は印刷用CSSだけで済ませると管理が楽です。ページごとに調整する場合はコメントを残すと後で分かりやすくなります。
紙の使用量を削減する工夫
- 1ページあたりの表示枚数を増やす
-
印刷ダイアログで「複数ページ／枚」を選び、2ページ／枚や4ページ／枚に設定します。例えば、A4用紙1枚に2つのウェブページを並べれば半分の用紙で済みます。
-
両面印刷を活用する
-
プリンターの設定で両面（自動または手動）印刷を選びます。長い一覧や資料を両面で印刷すると用紙使用量を大幅に削減できます。
-
不要な部分を省く
-
広告やコメント、ナビゲーションなど不要な要素は印刷対象から外します。ブラウザの「印刷プレビュー」や「選択範囲を印刷」を使うと簡単です。
-
画像や背景をオフにする
-
印刷設定で背景画像や写真を省きます。文字中心にするとインクも節約できます。
-
印刷品質と色設定を調整する
-
草案モードやグレースケール印刷に切り替えると、インクと電力も節約できます。
-
PDF化して整理する
-
まずPDFに保存して不要ページを削除、複数ページを組み合わせてから印刷すると無駄が減ります。
-
印刷前の確認を習慣に
- プレビューで余白や拡大率を確認し、1ページに収まるかをチェックします。小さな工夫で大きく節約できます。
複数の方法の選択基準
概要
ホームページを見たまま印刷する方法は複数あります。用途やページ構成で適した方法が変わるため、目的をはっきりさせて選びます。
用途別の選び方
- 配布用の高品質印刷：印刷用CSSかFireShotでレイアウトを整えます。PDF化して共有すると受け手に優しいです。
- 単ページの保存や確認：スクリーンショット（全体キャプチャ）を使うと簡単です。
- プレゼンや資料作成：PowerPointに貼り付けて配置を調整します。
ページ構成に応じた選び方
- レイアウトが固定で画像が多い場合：スクリーンショットや拡張機能が忠実です。
- 動的コンテンツ（動画・スライダー）がある場合：静止画像に変換して手動で整えます。
操作性・品質・コスト
- 標準のブラウザ印刷は手軽ですが余白や広告が残ることがあります。
- 拡張機能は設定で細かく調整できますが導入が必要です。
選択チェックリスト
- 印刷目的は？ 2. ページの長さや動的要素は？ 3. 編集や配布の必要性は？
これらに答えて最も手間と品質のバランスが取れる方法を選んでください。
